第24回最高裁判所裁判官国民審査

目次

第0 平成29年10月22日執行の第24回最高裁判所裁判官国民審査
第1 平成27年 2月17日任命の大谷直人最高裁判所判事(29期・第一小法廷)
第2 平成27年 4月 2日任命の小池裕 最高裁判所判事(29期・第一小法廷)
第3 平成28年 7月19日任命の木澤克之最高裁判所判事(29期・第一小法廷) 
第4 平成28年 9月 5日任命の菅野博之最高裁判所判事(32期・第二小法廷)
第5 平成29年 2月 6日任命の山口厚 最高裁判所判事( 期外・第一小法廷)
第6 平成29年 3月14日任命の戸倉三郎最高裁判所判事(34期・第三小法廷)
第7 平成29年 4月10日任命の林景一 最高裁判所判事( 期外・第三小法廷) 
第8 国民審査の判断材料として参考となる外部HP
 
*1 2017年(平成29年)10月22日施行の第24回最高裁判所裁判官国民審査における審査対象裁判官は,大谷直人小池裕,木澤克之(学校法人加計学園の元監事),菅野博之,山口厚,戸倉三郎及び林景一の7人です(任命順です。)。
   このうち,職業裁判官出身者は大谷直人,小池裕,菅野博之及び戸倉三郎の4人でありますところ,裁判部門での勤務期間が司法行政部門での勤務期間よりも長いのは菅野博之だけです(現代ビジネスHP「「年収4千万・退職金1億」最高裁判所エリートの羨ましすぎる境遇」参照)。
*2 以下のHPも参照してください。
① 最高裁判所裁判官国民審査
② 弁護士出身の最高裁判所裁判官の一覧
③ 幹部裁判官の後任候補者
④ 最高裁判所大法廷の判決・決定の一覧
⑤ 一票の格差に関する最高裁判決の一覧
⑥ 分限裁判及び罷免判決の実情
*3 いわゆる花押を書くことは,自筆証書遺言に関する民法968条1項の押印の要件を満たしません(最高裁平成28年6月3日判決)。
*4 平成29年12月22日付の司法行政文書不開示通知書によれば,第24回最高裁判所裁判官国民審査公報(近畿二府四県のもの)につき,最高裁判所は作成又は取得していません。
第24回最高裁判所裁判官国民審査における罷免を可とする投票数と罷免を可としない投票数(平成29年11月8日の最高裁判所裁判官会議の配布資料)

第0 平成29年10月22日執行の第24回最高裁判所裁判官国民審査

1 総論
(1) 2017年(平成29年)10月22日,第48回衆議院議員総選挙が執行される予定です。
(2)   NHK選挙WEBには開票速報の他,選挙に関する様々な情報が載っています。
(3) 平成28年6月19日施行の改正公職選挙法9条1項は18歳選挙権を定めていますから,平成11年10月23日以前に生まれた日本国民が衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査における有権者となります(最高裁判所裁判官国民審査法4条)。

7人の審査対象裁判官に対する国民審査の結果
(1)    次の衆議院議員総選挙時に行われる第24回最高裁判所裁判官国民審査において,平成26年12月14日施行の第47回衆議院議員総選挙の後に任命された,以下の7人の最高裁判所裁判官に対して国民審査が行われました。
   裁判官枠の現職者については赤文字表記とし,弁護士枠の現職者については青文字表記とし,その他の枠の現職者については緑文字表記としています。
平成26年12月24日発足の第3次安倍内閣任命分)
① 平成27年 2月17日任命の
大谷直人最高裁判所判事(29期・第一小法廷)
② 平成27年 4月 2日任命の小池裕 最高裁判所判事(29期・第一小法廷)
(平成27年10月 7日発足の第3次安部第1次改造内閣任命分)
③ 平成28年 7月19日任命の木澤克之最高裁判所判事(29期・第一小法廷)
(平成28年 8月 3日発足の第3次安部第2次改造内閣任命分)
④ 平成28年 9月 5日任命の菅野博之最高裁判所判事(32期・第二小法廷)
⑤ 平成29年 2月 6日任命の山口厚 最高裁判所判事( 期外・第一小法廷)
⑥ 平成29年 3月14日任命の戸倉三郎最高裁判所判事(34期・第三小法廷)
⑦ 平成29年 4月10日任命の林景一 最高裁判所判事( 期外・第三小法廷) 
(平成29年 8月 3日発足の第3次安部第3次改造内閣任命分)
(任命なし)
(2)  第24回最高裁判所裁判官国民審査における罷免を可とする投票数と罷免を可としない投票数(平成29年11月8日の最高裁判所裁判官会議の配布資料)によれば,国民審査の結果(罷免を可:罷免を不可)は以下のとおりであり,罷免を可とする率の平均は7.99%でした。
小池 裕  5011万7752票:470万1848票(罷免を可とする率は8.58%)
戸倉三郎  431万6361票:5050万3269票(罷免を可とする率は7.87%)
山口 厚  436万1391票:5045万8241票(罷免を可とする率は7.96%)
菅野博之  440万7669票:5041万1968票(罷免を可とする率は8.04%)
大谷直人  437万 741票:5044万8887票(罷免を可とする率は7.97%)
木澤克之  440万7902票:5041万1709票(罷免を可とする率は8.02%)
林 景一  410万1605票:5071万8038票(罷免を可とする率は7.48%)
(3) 最高裁判所裁判官国民審査開票所開票録寝屋川開票区(別紙その1)の数の誤りについて(平成29年10月23日付の報告)を掲載しています。

3 一票の格差訴訟における意見の内容
(1) 大谷直人裁判官及び小池裕裁判官は,平成26年12月14日実施の第47回衆議院議員総選挙に関する最高裁大法廷平成27年11月25日判決において個別の意見を書いていません。
(2) 大谷直人裁判官,小池裕裁判官,木澤克之裁判官,菅野博之裁判官,山口厚裁判官及び戸倉三郎裁判官は,平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙に関する最高裁大法廷平成29年9月27日判決において個別の意見を書いていません。
   林景一裁判官は,同判決において違憲状態であるという意見を書きました。

4 平成29年10月11日から期日前投票が開始すること
(1) 第24回最高裁判所裁判官国民審査の期日前投票の開始日は,第48回衆議院議員総選挙と同様,総選挙の公示日の翌日である平成29年10月11日です
最高裁判所裁判官国民審査法16条の2)。
(2) 大阪府HPの「第48回衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査について」には,審査期日が平成29年10月22日(日)であり,審査期日及び裁判官の氏名告示日は平成29年10月10日(火)であると書いてあります。
(3) 平成29年1月1日施行の,期日前投票の期間変更に関する法改正については,総務省HPの
「公職選挙法及び国民審査法の一部改正について」及び「最高裁判所裁判官国民審査関係法令」が参考になります。

5 東京都において国民審査等に必要となる経費
   東京都HPの「衆議院議員選挙及び最高裁判所裁判官国民審査にかかる補正予算について」によれば,東京都は補正予算において,衆議院議員選挙経費として63億3100万円,国民審査経費として1億1400万円を計上しています(合計は64億4500万円。)。

第1 平成27年2月17日任命の大谷直人最高裁判所判事(29期・第一小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「大谷直人」に載っています。

1 昭和27年6月23日生まれであり,東京大学法学部卒であり,元 大阪高等裁判所長官であり,平成34年6月23日に定年退官が発令される予定です。

2 平成27年2月15日に定年退官が発令される白木勇最高裁判所判事(22期・第一小法廷)の後任として,同年1月23日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。

3 最高裁調査官→東京地裁判事→司法研修所刑事裁判教官→最高裁刑事局第一課長→東京高裁12刑判事→東京地裁16刑部総括→最高裁秘書課長→最高裁刑事局長→最高裁人事局長→静岡地裁所長→最高裁事務総長→大阪高裁長官を経て最高裁判所判事となりました(詳細につきe-hokiの「大谷直人」参照)。

4 外部HPの「最高裁事務総局とはいかなる役所か」に,最高裁判所事務総長になるまでの大谷直人裁判官の経歴が書いてあります。
   東京高裁管内から出たのは富山地家裁勤務の1回だけです。

5 投票行動.comの
「大谷直人」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

6(1)   
大谷直人最高裁判所判事の履歴書等を掲載しています。
(2) 大谷直人最高裁判所長官任命時の閣議書を掲載しています。

7(1) 日本記者クラブ(JPNC)HP「富士山と重なる凛とした姿 最高裁判所事務総長・大谷直人さん」が載っています。
(2) 産経ニュースに「「国民の目が厳しくなっている」大谷直人・新最高裁判事が就任会見」が載っています。

8(1) 平成29年12月7日,次の最高裁判所長官に就任することがNHK等で報道されました(NHKニュースWEB「最高裁長官に大谷直人氏起用へ 政府が方針固める」参照)。
(2) 報道の前日,NHKの放送受信料は合憲であるとする最高裁大法廷平成29年12月6日判決が出ました。

9 平成29年12月19日付の,「新最高裁判所長官及び新最高裁判所判事の就任に伴う記者会見における写真取材について」を掲載しています。
大谷直人最高裁判所長官任命時の閣議書1/2
大谷直人最高裁判所長官任命時の閣議書2/2

第2 平成27年4月2日任命の小池裕最高裁判所判事(29期・第一小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「小池裕」に載っています。

1 昭和26年7月3日生まれであり,東京大学法学部卒であり,元 東京高等裁判所長官であり,平成33年7月3日に定年退官が発令される予定です。

2 平成27年4月1日に定年退官が発令される金築誠志最高裁判所判事(21期・第一小法廷)の後任として,同年3月3日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。

3 最高裁総務局制度調査室長→東京地裁判事→最高裁総務局第二課長→最高裁総務局第一課長→最高裁審議官→東京地裁10民部総括→最高裁経理局長→水戸地裁所長→東京高裁4民部総括→東京地裁所長→東京高裁長官を経て最高裁判所判事となりました(詳細につきe-hokiの「小池裕」参照)。

4 投票行動.comの「小池裕」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

5 平成27年3月3日の,小池裕最高裁判所判事任命の閣議書を掲載しています。

6 産経ニュースに「「何が正しくて正しくないか…批判に耐えうる判断を」最高裁新判事の小池裕氏が抱負」」が載っています。

7 togetterに「◆裁判員にストライク◆ 2017年10月22日 最高裁判所裁判官国民審査 【小池裕】裁判官について(一番右)」が載っています。
小池裕任命時の閣議書1/2
小池裕任命時の閣議書2/2

第3 平成28年7月19日任命の木澤克之最高裁判所判事(29期・第一小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「木澤克之」に載っています。

1(1) 昭和26年8月27日生まれであり,立教大学法学部卒であり,元 東京弁護士会司法修習委員会委員長・日弁連司法修習委員会委員,元司法研修所民事弁護教官(「司法研修所教官の名簿」も参照して下さい。)であり,平成33年8月27日に定年退官が発令される予定です。
(2) 中島・彦坂・久保内法律事務所facebookの「弁護士出身の最高裁判事」によれば,東京弁護士会の「法友会」という会派出身です。
(3) 日弁連新聞第515号(2016年12月発行)に「木澤最高裁判事を訪ねて」が載っています。

2 平成28年7月4日に定年退官が発令される山浦善樹最高裁判所判事(26期・第一小法廷)の後任として,同年6月17日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。

3 平成4年6月から蔵王産業株式会社の社外監査役をしていました(平成27年6月5日付の,同社の「第59回定時株主総会招集ご通知」39頁参照)が,最高裁判所判事就任に伴い,平成28年6月30日に退任しました(平成28年6月30日付の,同社の「監査役の退任及び補欠監査役の就任に関するお知らせ」参照)。
   同社は,平成28年6月3日付の「第60回定時株主総会招集ご通知」38頁において,第2号議案として補欠監査役1名選任の件を提案していますところ,そこには「なお,本議案における選任の効力は,就任前に限り,監査役会の同意のうえ取締役会の決議によりその選任を取り消すことができるものとさせていただきます。」と書いてありました。
   そのため,同日時点では,木澤克之弁護士の最高裁判所判事への就任が予定されていたものの,確定していたわけではなかったのかもしれません。

4(1) 立教大学校友会HPに「木澤克之氏(1974年法学部法学科卒)の最高裁判所判事就任が決定」が掲載されています。
(2) 立教大学法科大学院は,平成29年5月26日,平成30年度以降の学生募集停止を発表しました(立教大学HPの「立教大学大学院法務研究科(法科大学院)の募集停止について」参照)。
(3) 「⑬法科大学院の募集停止が相次ぎ、法曹志望者が減少するなか、法曹養成制度の現状をどう評価し、どうあるべきだと考えるか。」という質問に対して,「法科大学院で5年間教壇に立った者として、法曹養成の理想に向けて開校した有力な法科大学院で募集停止が相次ぐこととなり、残念でなりません。」などと回答しています(「国民審査を受ける最高裁裁判官7人のアンケート回答全文」)。
   そのため,木澤克之裁判官としては,立教大学法科大学院は有力な法科大学院であると考えているのかもしれません。

5 平成25年以降,岡山県の学校法人加計学園(かけがくえん)の監事をしていました。
   同学園の理事長である加計孝太郎(Wikipediaの記事によれば,立教大学文学部卒業です。)は,平成28年7月21日,安倍晋三首相と食事をしたり,同月22日,安倍晋三首相とゴルフをしたりしています(外部ブログの「【横車を押す】第二の森友「加計学園」の木澤克之監事が最高裁判事に任命されていた」参照。ただし,リンク先の記事と異なり,弁護士枠出身の最高裁判所判事の場合,判事経験がある人はいませんから,この点では慣例に違反した人事ではありません。)。

6 私の知る限り,高輪1期以降の立教大学出身の裁判官は,元裁判官で5人(21期の元福島家裁所長,25期の小川敏夫元法務大臣,27期の元横浜地裁刑事部部総括,30期の元熊本家裁所長及び32期の元名古屋高裁民事部判事),現職裁判官で3人(29期の木澤克之裁判官,31期の高麗邦彦裁判官及び59期の裁判官)です。

7 投票行動.comの「木澤克之」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

8   平成28年6月17日の,木澤克之最高裁判所判事任命の閣議書を掲載しています。

9 産経ニュースに「木沢氏「市民感覚を踏まえて」就任会見で抱負」が載っています。

10 togetterに「最高裁判所裁判官国民審査に加計学園理事長の同窓生が居る!安倍総理のお友達優遇!落とせ!→弁護士「最高裁判官は日弁連の推薦リストに載るのが出発点」 」が載っています。

11(1) 平成30年度(最情)答申第54号(平成30年12月21日答申)には以下の記載があります。
①   別紙記載1の文書について,最高裁判所事務総長の上記説明によれば,事務総局における決裁は審査公報の原稿を送付することを対象とするものであり,原稿の内容等については判事に一任されているので,当該文書は作成し,又は取得していないとのことである。本件開示申出の内容に照らして検討すれば,このような説明の内容が不合理とはいえない。そのほか,最高裁判所において別紙記載1の文書を保有していることをうかがわせる事情は認められない。
   したがって,最高裁判所において別紙記載1の文書を保有していないと認められる。
② 別紙記載2の文書について,苦情申出人は,対象文書の存否を答えるべきである旨を主張する。しかし,別紙記載2の文書の存否を答える場合には,特定の最高裁判所判事について本件開示申出に係る身上調査資料が存在するか否かが明らかになることからすれば,法5条6号に規定する不開示情報に相当する特定の最高裁判所判事の人事の具体的手続に関する情報を開示することになるので,文書の存否を答えることができないという最高裁判所事務総長の上記説明の内容が不合理とはいえない。
   したがって,別紙記載2の文書について,存否を答えるだけで法5条6号に規定する情報に相当する不開示情報を開示することになるとした原判断は,妥当である。
(2)ア 別紙記載1の文書は「別件の開示申出に対して開示された特定の文書の記載内容について,間違いないとの確認・検査の上での是認と思料される。何と照合されたか,原資料名とそ
の原本。」であり,別紙記載2の文書は「特定の最高裁判所判事の身上調査資料」です。
イ 特定の最高裁判所判事というのは,学校法人加計学園の監事をしていた木澤克之最高裁判所判事のことと思います。
木澤克之任命時の閣議書1/2
木澤克之任命時の閣議書2/2

第4 平成28年9月5日任命の菅野博之最高裁判所判事(32期・第二小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「菅野博之」に載っています。

1 昭和27年7月3日生まれであり,東北大学法学部卒業であり,元 大阪高等裁判所長官であり,平成34年7月3日に定年退官が発令される予定です。

2 平成28年8月25日に定年退官が発令される千葉勝美最高裁判所判事(24期・第二小法廷)の後任として,同年7月26日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。

3 東京地裁民事部第二所長代行→東京地裁民事部第一所長代行→水戸地裁所長→東京高裁17民部総括→大阪高裁長官を経て最高裁判所判事となりました(詳細につきe-hokiの「菅野博之」参照)。

4 投票行動.comの「菅野博之」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

5  平成28年7月26日の,菅野博之最高裁判所判事任命の閣議書を掲載しています。

6 東北大学新聞HPに「【特別インタビュー】最高裁判所判事 菅野博之さん~色々な角度からの視点必要~」が載っています。

7 漫画家の菅野博之(昭和31年生まれの男性)とは別人です。
菅野博之任命時の閣議書1/2
菅野博之任命時の閣議書2/2

第5 平成29年2月6日任命の山口厚最高裁判所判事(期外・第一小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「山口厚」に載っています。

1 昭和28年11月6日生まれであり,東京大学法学部卒業であり,元 第一東京弁護士会弁護士・東京大学大学院法学政治学研究科長・司法試験委員会委員長であり,平成35年11月6日に定年退官が発令される予定です。

2 司法試験問題漏洩事件(詳細につき,平成28年3月29日付の「これまでの調査及び検討の状況について」(司法試験出題内容漏えい問題に関する原因究明・再発防止検討ワーキングチーム)参照)に際しては,司法試験委員会委員長として,平成27年9月5日付の文書により,論文式試験公法系科目(憲法)第1問を受験するに当たり,事前に入手した出題内容を了知した状況で受験した明治大学法科大学院出身の女性受験生に対して,①平成27年司法試験の受験禁止,及び②今後5年間,司法試験及び司法試験予備試験の受験禁止処分を通知しました。
   また,同年9月8日,青柳幸一司法試験考査委員(明治大学法科大学院法務研究科教授)に対する告発状(罪名及び罰条は国家公務員法違反 同法109条12号,100条1項)を東京地検に提出しました。

3(1) 平成29年1月16日に定年退官が発令される櫻井龍子最高裁判所判事(期外・第一小法廷)の後任として,同月13日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。
(2) 平成29年6月5日付の司法行政文書不開示通知書によれば,櫻井龍子最高裁判事の後任として山口厚最高裁判事が任命されたことに関して,最高裁が日弁連に対して行った説明内容が分かる文書の存否を答えた場合,不開示情報である特定の最高裁判所判事の人選に関する情報を開示することとなるので,その存否を答えることはできないそうです。

4 早稲田大学HPに「山口厚教授(法学学術院)が最高裁判所裁判官に」という記事が掲載されています。

5 togetterの「「山口厚最高裁判所裁判官」にざわつくTL」で,山口厚最高裁判所判事就任に関するツイートがまとめられています。

6(1) 山口厚最高裁判所判事は,日弁連が最高裁判事として推薦した7人の候補者に含まれていなかったという意味で,最高裁判事の任命に関する従来の慣例を逸脱したものになっています(外部ブログの「安倍内閣が最高裁人事に介入か 山口厚最高裁判事」,週刊金曜日ニュースの「「慣行」無視の最高裁人事(西川伸一)」及び弁護士法人金岡法律事務所HPの「弁護士会推薦枠の最高裁判事が任命されなかった事態について」参照)。 
(2) 山口厚最高裁判所判事が実質的に弁護士出身の 最高裁判所判事でないとした場合,平成29年,弁護士出身の最高裁判所判事の人数は3人になったことになります(「弁護士出身の最高裁判所裁判官の一覧」参照)。

7 投票行動.comの「山口厚」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

8(1) 平成29年1月13日の,山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官任命の閣議書を掲載しています。
   山口厚最高裁判事は東大法学部3年生で司法試験に合格したことが分かります。 
(2) 外部HPの「山口厚(最高裁判事)天才の経歴と家族は?逸話や年収についても!」によれば,司法試験に一桁の成績で合格したらしいです。

9 山口厚最高裁判所判事は,平成29年1月25日をもって桃尾・松尾・難波法律事務所を退所しました。

10 山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官の人事は当初,平成29年1月27日に発令される予定でした。

   しかし,同日に認証式が実施できなかったため,発令が2月6日となりました。 

11 産経ニュースに「「筋が通った結論を」刑法学者から最高裁判事に転身 山口厚氏」が載っています。
山口厚任命時の閣議書1/2
山口厚任命時の閣議書2/2

第6 平成29年3月14日任命の戸倉三郎最高裁判所判事(34期・第三小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「戸倉三郎」に載っています。

1 昭和29年8月11日生まれであり,一橋大学法学部卒業であり,元 東京高等裁判所長官であり,平成36年8月11日に定年退官が発令される予定です。

2 平成29年3月9日に定年退官が発令される大谷剛彦最高裁判所判事(24期・第三小法廷)の後任として,同年2月10日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。

3(1) 平成28年6月21日,ツイッターに不適切なつぶやきをしたり,縄で縛られた上半身裸の男性の画像を投稿したりした岡口基一東京高裁第22民事部判事について,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意処分をしました。
   しかし,平成28年8月2日付の,東京高裁の司法行政文書不開示通知書及び平成28年12月14日付の最高裁判所事務総長の理由説明書によれば,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」について,東京高裁は,作成又は取得していないことになっています(「裁判所の情報公開」参照)。
(2) 「戸倉三郎」でグーグルの画像検索をした場合,パンツを被った男性が出てくる理由については,外部HPの「グーグルが最高裁判事をパンツを被った男性と認識している件」が参考になります。
(3) togetterに「◆あの人に厳重注意◆ 2017年10月22日 最高裁判所裁判官国民審査 【戸倉三郎】裁判官について(右から2番目)」が載っています。

4 広島高裁事務局長→最高裁人事局参事官→最高裁審議官→東京地裁13刑部総括→最高裁総務局長→東京高裁3刑判事→さいたま地裁所長→最高裁事務総長→東京高裁長官を経て最高裁判所判事となりました(詳細につきe-hokiの「戸倉三郎」参照)。

5 投票行動.comの「戸倉三郎」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。

6 平成29年2月10日の,戸倉三郎最高裁判所判事任命の閣議書を掲載しています。

7 産経ニュースに「「責任感持ち,誠実に」最高裁判事に就任した戸倉三郎氏」が載っています。
戸倉三郎任命時の閣議書1/2
戸倉三郎任命時の閣議書2/2

第7 平成29年4月10日任命の林景一最高裁判所判事(期外・第三小法廷)

0 公式の説明が裁判所HPの「林景一」に載っています。

1 昭和26年2月8日生まれであり,京都大学法学部卒業であり,元 駐英大使であり,平成33年2月8日に定年退官が発令される予定です。

2(1) 平成29年3月31日に定年退官が発令される大橋正春最高裁判所判事(24期・第三小法廷)の後任として,同年1月13日の閣議で,最高裁判所判事への就任が決定しました。
(2) 平成29年6月5日付の司法行政文書不開示通知書によれば,大橋正春最高裁判事の後任として,最高裁が内閣に対して提示した候補者の人数,及び日弁連からの推薦の有無が分かる文書の存否を答えた場合,不開示情報である特定の最高裁判所判事の人選に関する情報を開示することとなるので,その存否を答えることはできないそうです。

3(1) 外務省国際法局長→駐アイルランド大使→外務省大臣官房長→内閣官房副長官補→駐英公使→駐英大使を経て,最高裁判所判事となりました。
(2) 内閣官房HP「内閣官房副長官補」に,内閣官房副長官補時代の写真及び経歴が載っています。
(3) 在英国日本国大使館HPに掲載されていた,林景一駐英大使の挨拶(2011年1月11日付)にリンクを張っています。

「外務省国際法局研究序説-政軍関係への影響に注目して-」(PDF12頁)によれば,外務省条約局長(平成16年8月1日以降は外務省国際法局長)を経験した後に最高裁判所裁判官になった人は以下のとおりです。
① 栗山茂最高裁判所判事(昭和22年8月4日~昭和31年10月5日)
・ 昭和2年8月13日から同年11月25日までの間,外務省条約局長(心得)(その後,注ベルギー大使等)
② 下田武三最高裁判所判事(昭和46年1月12日~昭和52年4月2日)
・ 昭和27年5月30日から昭和32年1月23日までの間,外務省条約局長(その後,外務事務次官,駐米大使等)
・ 尊属殺について死刑又は無期懲役に処すとしていた刑法200条は憲法14条1項に違反するとした最高裁大法廷昭和48年4月4日判決において唯一,合憲であるとする反対意見を書きました。
   なお,外部ブログの「その時歴史が動いた~昭和48年4月4日、尊属殺人罪が消えた日」には,「昭和27年から昭和44年まで起訴された621件の尊属殺人罪のうち、死刑判決が下されたのは僅かに5件、無期懲役は61件。全体の9割近い残りは、無期懲役でも重いということで情状酌量をつけるなどして刑を下げてきたのだ。」とか,「実際、621件の尊属殺人罪のうち、164件は懲役5年以下になっている。」と書いてあります。

・   罷免を可とする率は15.17%であり,歴代最高記録です。
③ 藤崎萬里最高裁判所判事(昭和52年4月5日~昭和59年12月15日)
・ 昭和39年3月19日から昭和42年12月26日までの間,外務省条約局長(その後,駐タイ国大使等)
④ 高島益郎最高裁判所判事(昭和59年12月17日~昭和63年5月2日死亡退官)
・ 昭和47年1月18日から昭和48年8月7日までの間,外務省条約局長(その後,外務事務次官,駐ソ連大使等)
⑤ 福田博最高裁判所判事(平成7年9月4日~平成17年8月1日)
・ 平成元年1月27日から平成2年8月31日までの間,外務省条約局長(その後,駐マレーシア大使等)
⑥ 竹内行夫最高裁判所判事(平成20年10月21日~平成25年7月19日)
・ 平成9年8月1日から平成10年7月28日までの間,外務省条約局長(その後,外務事務次官等)
⑦ 林景一最高裁判所判事(平成29年4月10日~)
・ 平成14年9月20日から平成17年8月2日までの間,外務省条約局長→外務省国際法局長(その後,駐英大使等)

5(1) 投票行動.comの「林景一」に,関与した裁判例への投票行動が載っています。
(2)   最高裁大法廷平成29年9月27日判決において違憲状態であるという意見を書きました。
   そのため,参議院選挙区における合区を更に推進すべきという立場になります。

(3)ア 公明党は,平成27年6月15日,参議院選挙区における一票の格差を是正するため,隣接する20選挙区を合区して10選挙区に再編し,格差を2倍未満とする案を発表しました(公明党HPの「参院選挙制度で公明が改革案」参照)。
   これによれば,合区とされる選挙区は,秋田・山形(2人),富山・岐阜(4人),石川・福井(2人),山梨・長野(4人),奈良・和歌山(4人),鳥取・島根(2人),徳島・高知(2人),香川・愛媛(4人),佐賀・長崎(2人)、大分・宮崎(4人)です。

イ 鳥取・島根及び徳島・高知については既に合区されています。

6   
平成29年1月13日の,林景一最高裁判所判事任命の閣議書を掲載しています。

7 産経ニュースに「最高裁判事に林景一氏就任 「新たな分野で大きな挑戦」」が載っています。
林景一任命時の閣議書1/2
林景一任命時の閣議書2/2

第8 国民審査の判断材料として参考となる外部HP

1 最高裁判所裁判官国民審査公報
(1)   東京都選挙管理委員会HPの「国民審査の情報」「最高裁判所裁判官国民審査公報」が載っています。
(2) 木澤克之裁判官の経歴につき,学校法人加計学園の監事であったことはなぜか記載されていません。

2 総務省HP
   総務省HPの「第24回最高裁判所裁判官国民審査 審査対象裁判官情報」には,「審査に付される裁判官の氏名」及び都道府県選挙管理委員会HPの広報掲載頁が載っています。

3 中央選挙管理会HP

(1) 中央選挙管理会は,平成29年9月29日,審査対象裁判官の氏名の順序を以下のとおり定めました(最高裁判所裁判官国民審査法4条の2第1項後段及び5条2項のほか,総務省HPの「第2回中央選挙管理会において決定された事項」参照)。

1  小池 裕  (こいけ ひろし)
2  戸倉 三郎 (とくら さぶろう)
3  山口 厚  (やまぐち あつし)
4  菅野 博之 (かんの ひろゆき) ※「菅」の字は、くさかんむりの間を空ける
5  大谷 直人 (おおたに なおと)
6  木澤 克之 (きざわ かつゆき) ※「幸」の部分、一番下の横線が長い
7  林  景一 (はやし けいいち) 
(2) 中央選挙管理会は,衆議院比例代表選挙と参議院比例代表選挙に関する事務,最高裁判所裁判官の国民審査に関する事務(最高裁判所裁判官国民審査法9条)等を管理しています(総務省HPの「選挙管理機関」参照)。

4 参考となる外部HP(団体)
(1) 大手マスコミ
産経ニュース
   「国民審査が告示 最高裁の7裁判官対象」
→ 審査対象裁判官の顔写真が告示順に並んでいます。
② 朝日新聞デジタル
   
「国民審査を受ける最高裁裁判官7人のアンケート回答全文」
→ 18個の質問に対する7人の審査対象裁判官の回答及び顔写真が,告示順に載っています。
   ただし,平成29年11月14日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「最高裁が,朝日新聞社等の報道各社からの依頼に基づき,第24回国民審査を受ける最高裁判所裁判官のアンケート回答を送付した際に作成し,又は受領した文書」は存在しません。
③ Newsweek日本版
・ 「国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・前編)」
・ 「国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・中編)」
・ 「国民審査を受ける裁判官はどんな人物か(判断材料まとめ・後編)」
④ ヤフージャパンニュース
・ 「最高裁国民審査の”傾向と対策”~「これだけ棄権」もできます」
→ 衆議院議員総選挙は投票するけれど,よく分からない国民審査については棄権するということも可能です。
・ 「【国民審査】投票前に確認「罷免したい裁判官とそうでない裁判官」元最高裁判事が語る舞台裏とは?」
・ 「最高裁国民審査の結果が出ました」
⑤ ヤフージャパンみんなの政治
・ 「国民審査とは?(最高裁判所裁判官 国民審査)」
(2) その他
① NAVERまとめ

・   「次の衆院選までに知っておきたい「最高裁判所裁判官国民審査」のこと2017版」
・ 「2017 良くわからない選挙の時の【最高裁判所裁判官の国民審査制度】??裁判官さんをおまとめ」
② BLOGOS

・   「総選挙といえば,最高裁裁判官の国民審査も忘れずに」
・ 「「任命されたら生活変わった」元最高裁裁判官を直撃!わかりにくい「国民審査」の問題点」
③ togetter

・   「第48回衆院選公示と同時に,最高裁裁判官の国民審査が告示に」
・ 「平成29年 最高裁判所裁判官国民審査」
④ ポリタスHP
・ 「衆院選と同時に行われる最高裁判所裁判官国民審査とは」
⑤   
投票行動.com HP
・   「最高裁判所」に,最高裁判所裁判官の投票行動が載っています。
⑥ 弁護士ドットコムニュース
・   「<国民審査>旧国鉄の鉄オタ,自称SFマニアも…最高裁「裁判官」経歴が意外と面白い」
→ 旧国鉄の鉄オタは戸倉三郎裁判官であり,自称SFマニアは菅野博之裁判官です。
⑦ 沖縄タイムス+プラスHP
・ 「木村草太の憲法の新手(67)衆院選・国民審査を振り返る 議会の正統性損なう与党」
→ 「最高裁判事の国民審査について。全国総計では、罷免投票の率は、どの裁判官も約8%だったが、沖縄県では約15%に上った。さらに、辺野古訴訟で翁長知事の埋立承認取消処分を違法とした菅野博之裁判官の県内の罷免投票の率は17%で、審査対象の裁判官の中でワーストだった。他の都道府県では、菅野裁判官の罷免投票率は他の裁判官に比べ高いわけではないから、沖縄での辺野古埋立への反対の声の根深さが示されたと言えるだろう。」と書いてあります。

4 参考となる外部HP(個人)
(1) アメーバブログの「安倍内閣による司法介入にNO!!加計のオトモダチ裁判官を罷免しよう!」
→ 学校法人加計学園の元監事である木澤克之裁判官のほか,日弁連推薦を受けていない弁護士出身裁判官である山口厚裁判官に関する記載があります。
(2) グーブログの「2017年衆議院選挙時に国民審査対象となる裁判官」
→ 戸倉三郎裁判官の判決はまともであるなどと書いてあります。
(3) ライブドアブログの「2017年最高裁判所裁判官国民審査」
→ 最高裁判所裁判官国民審査の解説動画(1分45秒)が載っているほか,7人の裁判官に関する個別の記載があります。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。