裁判所の情報公開

第0 目次

第1の1 総論
第1の2 司法行政文書及び裁判文書がA4判・横書きとなった時期
第1の3 裁判所における文書管理(平成29年6月14日追加
第2の1 裁判所に対する情報公開請求の実績
第2の2 岡口基一裁判官に対する口頭注意処分に関する司法行政文書は作成されていないこと
第2の3 裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと
第3の1 最高裁判所が作成又は取得していないとされた文書
第3の2 最高裁判所が直ちに廃棄しているとされた文書
第3の3 不開示事由に該当するとされた最高裁判所の文書
第3の4 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた最高裁判所の文書
第4の1 下級裁判所が作成又は取得していないとされた文書
第4の2 下級裁判所が直ちに廃棄しているとされた文書
第4の3 不開示事由に該当するとされた下級裁判所の文書
第4の4 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた下級裁判所の文書
第5   検察審査会の情報公開
第6   公文書管理法における,参議院内閣委員会の付帯決議
第7   裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決の判示内容は特に考慮されていないこと
第8   裁判所の情報公開に関する統計文書(平成29年5月29日追加

*1 「行政機関の情報公開」も参照してください。
*2 裁判所の情報公開制度を運営している最高裁判所事務総局秘書課については,「最高裁判所事務総局等の組織」及び「最高裁判所事務総局の事務分掌」を参照して下さい。

第1の1 総論

1 裁判所に対する情報公開請求の一般的な説明
(1) 裁判所に対する情報公開請求の一般的な説明は,裁判所HPの裁判所の情報公開・個人情報保護に掲載されています。
(2)   平成27年7月1日に開始した苦情申立て制度(裁判所の不開示決定又は部分開示決定に対するもの)の一般的な説明は,裁判所HPの情報公開・個人情報保護審査委員会に掲載されています。
 
2 裁判所内部の手続の詳細
(1) 裁判所内部における手続の詳細は,最高裁判所事務総局秘書課が作成した「情報公開に関する運用要領(平成27年7月1日版)」に書いてあります。
(2) 裁判所の情報公開の対象は司法行政文書に限られるのであって,事件記録の閲覧謄写制度がある(民事訴訟法91条)こと等から,裁判事務に関する文書は対象外となっています。

3 裁判に関する文書の意義
(2) 裁判事務に関する文書には,事件記録や事件書類(事件に関する書類で記録から分離されたもの)に限られず,専ら裁判事務のために用いるものとして作成し,又は取得した文書で,裁判所の裁判部において管理しているものが含まれます(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申))。
(3) 最高裁判所事務総局の職員が執筆した「裁判所が保管する歴史公文書の移管」によれば,国立公文書館に移管される裁判所の文書には,裁判文書及び司法行政文書しかありません。
   そして,裁判文書とは,裁判事務,すなわち,一切の法律上の争訟及びその他の法律において裁判所が取り扱う事件に関する一切の事務に関して作成するものであり,「事件記録」及び「事件書類」(例えば,民事事件の判決原本)からなるとされています。
   そのため,裁判事務に関する文書のうち,事件記録や事件書類に該当しないものは,司法行政文書にも該当しませんから,国立公文書館に移管されることはないと思われます。

4 情報公開の抜け道が存在すること
   外部HPの「国立公文書館は政府の「紙くず箱」だと言った元館長の勇気-(天木直人氏)」には,以下の記載があります。
   その毎日新聞の記事は、文書管理のずさんさを許す公文書管理法の欠陥より、もっと深刻な文書管理法の本質的欠陥を指摘している。
   すなわち、文書管理法は、官僚たちが都合の悪い文書を隠す事を防げないという。
    公文書を作成しなかったり、ひそかに処分したり、中には「個人メモ」という形で、職務に使っても公文書にあたらないからという理由で隠す「抜け道」まで許しているという。

5   裁判官の生年月日は情報公開の対象となること等
(1) 最高裁判所に対して裁判官の略歴等の情報公開請求をしたり,内閣官房内閣総務官に対して裁判官の履歴書等(閣議書添付文書)の情報公開請求をしたりすれば,判事補を含むすべての裁判官の生年月日を開示してもらえます(「裁判官の略歴等の開示について(依頼)」(平成28年6月16日付の最高裁判所事務総局人事局長の文書)のほか,平成28年6月28日付の内閣総理大臣の裁決書参照)。
(2) 裁判所の職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければなりません(「司法行政文書の管理について(通達)」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第3.1)。
   しかし,平成29年1月6日付の司法行政文書不開示通知書
によれば,平成28年6月16日付で,すべての裁判官の生年月日を開示すべきと判断するに至った経緯が分かる文書は存在しないそうです。

第1の2 司法行政文書及び裁判文書がA4判・横書きとなった時期

1 司法行政文書の場合
   昭和61年1月から横書きとされ,平成7年1月からA判の用紙が使用されるようになりました(外部HPの
「裁判所提出文書書式変更について」参照)。
  そのため,例えば,最高裁判所裁判官会議議事録に「部の事務を総括する裁判官の名簿」についていえば,昭和62年度分(昭和61年12月作成)からB判・横書きとなり,平成8年度分(平成7年12月作成)からA4判・横書きとなりました。

2 裁判文書の場合
(1)   平成13年1月1日からA4判・横書きとなりました(日弁連HPの
「裁判文書」参照)。
(2) 平成12年12月31日までは,かつての民事訴訟規則(平成10年1月1日廃止)6条が「訴訟書類には、できる限り、日本工業規格B列四番の用紙を二つに折ったもの又は日本工業規格B列五番の用紙を使用しなければならない。ただし、図面、統計表その他これに準ずるものについては、この限りでない。」と定めていたため,B判・縦書きでした。

第1の3 裁判所における文書管理

1 裁判所における文書管理に関する最高裁判所事務総局の説明が,平成20年9月25日開催の第11回公文書管理の在り方等に関する有識者会議の配付資料1「裁判所における文書管理」に書いてあります。
   リンク先の別紙1「司法行政文書のライフサイクル」,別紙2「裁判所における文書管理体制」,別紙3「司法行政文書管理システム」,別紙4「裁判文書のライフサイクル」及び別紙5「裁判文書(判決原本等)の保存について」が図解等されていて分かりやすいです。

2 専ら裁判事務のために用いるものとして作成し,又は取得した文書で,裁判所の裁判部において管理しているもの(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申)参照)に関する管理方法は記載されていません。

3(1) 「司法行政文書の保存期間基準」には,様々な司法行政文書の保存期間が書いてあります。
   ただし,後述するとおり,裁判所の場合,直ちに廃棄される司法行政文書がたくさんあります。
(2) 「司法行政文書の保存期間基準」は,公文書等の管理に関する法律施行令8条及び別表とかなり似ています。

4 公文書等の管理に関する法律1条は,「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 」と定めています。

第2の1 裁判所に対する情報公開請求の実績

0 この記事ボックスでは,私の開示請求等によって最高裁判所の取扱いが変更されて開示文書が増えたり,開示範囲が拡張されたりした事例を記載しています。
   ちなみに,日弁連会則11条(非違不正の是正)は,「弁護士は、常に法令が適正に運用されているどうかを注意し、いやしくも非違不正を発見したときは、その是正に努めなければならない。」と定めています。

1 平成26年7月28日付の司法行政文書不開示通知書によれば,同日当時は最高裁判所に存在しなかった,平成14年7月1日から平成23年12月1日までの間の「裁判官の号別在職状況」を,平成27年11月26日付の司法行政文書開示通知書により,開示してもらいました。

2 平成27年10月19日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,最高裁判所でされた民事の破棄判決及び破棄決定の裁判年月日及び事件番号は,慣行として公にされている情報(情報公開法5条1号ただし書イ)に該当することを認めてもらいました。

3 平成27年12月1日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,51期から60期までの①司法修習生考試結果集計表及び②司法修習生成績集計表を最高裁判所に発見してもらいました。
   なお,司法修習生考試というのは,いわゆる二回試験のことです。

4(1) ①平成28年4月6日付の補充理由説明書及び②平成28年7月28日付の苦情の申し出に係る対応について(通知)により,平成28年3月に廃棄することが予定されていた56期から68期までの実務修習希望地調査表を最高裁判所に開示してもらえました(平成28年度(最情)答申第15号(平成28年6月28日答申)参照)。
→ この件については,平成28年9月23日の産経ニュース「裁判所の情報公開不服審査1年 39件の答申で1件を「裁判所の不開示決定は不当」と苦言」で報道されました。
(2)   平成27年2月12日付の司法行政文書不開示通知書によれば,同日時点では,68期司法修習生の修習希望地を集計した一覧表は,作成又は取得していないことになっていました。

5(1) 平成28年度(最情)答申第40号(平成28年12月21日答申)により,司法大観が司法行政文書開示手続の対象となることを認めてもらいました。
  なお,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会が,最高裁判所事務総長の対応について是正すべきという答申を出したのはこれがはじめてです。
(2) 最高裁判所事務総長から,平成29年1月20日付の苦情の申し出に係る対応について(通知)をいただきました。
(3) 平成29年3月17日付の司法行政文書不開示通知書により,司法大観は不開示情報に該当するとされました。 
   平成28年(行情)答申第753号(平成29年2月27日答申)により,司法大観は全部不開示となったことを踏まえたものと思われます。

6 平成29年5月11日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,平成3年10月31日付の「税務官署から事件記録等の閲覧謄写の要請があった場合の取扱いについて」を開示してもらいました。

第2の2 岡口基一裁判官に対する口頭注意処分に関する司法行政文書は作成されていないこと

1(1) 戸倉三郎東京高裁長官は,平成28年6月21日,ツイッターに不適切なつぶやきをしたり,縄で縛られた上半身裸の男性の画像を投稿したりした岡口基一東京高裁第22民事部判事について,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意処分をしました。
  しかし,平成28年8月2日付の,東京高裁の司法行政文書不開示通知書によれば,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」について,東京高裁は,作成又は取得していないことになっています。
(2) ツイッター等のSNSを国家公務員が私的利用する際の注意点については,総務省人事・恩給局の「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」(平成25年6月付)に書いてあります。

2(1) 平成28年9月23日の岡口基一裁判官のツイッターには,「俺の処分の時に作成された膨大な資料は,公文書だから,安易に破棄されていなければ,今後も保管され続けます。過去の俺のつぶやきが全てプリントアウトされ,マーカー引き,付箋,注意書きなどがされ,白ブリーフ画像などは拡大コピーされています。」とか,「俺の処分の時に作られた膨大な資料は廃棄されずに保存されているだろうか・。ダビデエプロン画像の拡大コピーなど」と書いてあります。
  そのため,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」自体が存在することは間違いないのであって,それが「司法行政文書」に該当するかどうかなのかもしれません。
(2) 平成28年8月2日付の,東京高裁の司法行政文書不開示通知書については,平成28年9月23日付で苦情の申出を出しました。
(3) 「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」は存在しないとする,平成28年12月14日付の最高裁判所事務総長の理由説明書を掲載しています。
(4) 平成29年度(情)答申第1号(平成29年4月28日答申)では,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」は,「本件注意のとき又は本件注意に供するために作成した文書」と読み替えられた上で,文書自体が作成されてないとされました。

3(1) 平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によれば,東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書は,裁判所HPに掲載されている文書(該当する文書は特に見当たりませんが。)を除き,存在しません。
(2) 平成29年度(情)答申第2号(平成29年4月28日答申)には,司法行政手続の中で,下級裁判所事務処理規則21条に基づく裁判官に対する注意の運用において,「どのような手続がとられるのか,文書が作成されるのか,作成されるとしてどのような文書が作成,管理,保存されるのかなどについて,本来,これを公にすると,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意という人事管理に係る事務に関与する判断権者及び職員に対し,文書の作成,管理,保存について好ましくない影響が生ずる等,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」と書いてあります。
   しかし,東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書が存在しないことは,平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によって明らかにされています。

4 平成29年6月16日付の司法行政文書不開示通知書によれば,東京高裁が作成した,岡口基一裁判官のtwitterでの発言内容を印刷した文書は存在しません。


司法行政文書不開示通知書(岡口裁判官の口頭注意)
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)1/3
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)2/3
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)3/3

第2の3 裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと

1(1) 抗告訴訟の対象となる「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(行政事件訴訟法2条2項参照)から,裁判所の司法行政処分も「処分」に該当することがあります。
   しかし,裁判所の不開示決定は,情報公開法その他の法律に基づくものではありません(東京地裁平成22年12月10日判決)から,「処分」ではないのであって,抗告訴訟の対象とはなりません。
(2) 東京地裁平成22年12月10日判決は以下のとおり判示しています。
   行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)において,裁判所は,その対象となる「行政機関」に含まれておらず(情報公開法2条),裁判所の保有する情報の公開については,最高裁判所の保有する司法行政文書に関する要綱である本件要綱,及び下級裁判所が保有する司法行政文書に関する通達である「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の基本的取扱いについて(依命通達)」(以下「本件通達」という。)が定められているにすぎない。
   そして,本件要綱及び本件通達は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律案の審議経過を踏まえたものであり,その規定の文言等において情報公開法と類似する部分はあるものの,飽くまでも司法行政上の便宜供与の一環として司法行政文書の開示を行うために,その運用に関する事務処理準則として定められた内部規範であって,情報公開法その他の法律に基づくものではない。
   そうすると,本件要綱に基づいてされた司法行政文書の開示の求めに対し,これを開示しないこととする行為は,情報公開法その他の法律を根拠とするものではないから,これによって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず,行訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」には当たらないというべきである。

2(1) 不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えについて,口頭弁論を経ずに,訴えを却下する判決又は却下判決に対する控訴を棄却する判決を下す場合には,訴状において被告とされている者に対し訴状,控訴状又は判決正本を送達することを要しません(最高裁平成8年5月28日判決参照)。
   そのため,裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を経ずに却下判決を下されることがあります。
(2)ア 裁判所の不開示決定に対する取消訴訟において口頭弁論を経る場合,訴状等が法務大臣に送達されますし,処分行政庁とされた最高裁判所事務総長,高裁長官及び地家裁所長において調査回報書を作成する必要があるため,法務省及び裁判所の内部で結構な手間が発生します。
   そのため,そのような手間を裁判所及び法務省にかけさせたくない裁判官に当たった場合,口頭弁論を経ずに却下判決が下ることとなります。
イ 東京地裁平成22年12月10日判決の事案では,東京地裁本庁の平成22年の行ウ号の事件数が762件であるにもかかわらず,事件番号が平成22年(行ウ)第32号であることからすれば,口頭弁論を経た上で却下判決が下されたことが分かります。

3 口頭弁論を経ないで不適法な控訴を却下する判決を言い渡す場合,控訴審はその判決言渡期日につき当事者の呼出手続をなすことを要しません(最高裁昭和33年5月16日判決参照)。
   また,口頭弁論を経ないで不適法な上告を却下する判決を言い渡す場合,判決言渡期日を指定し,指定した期日に公開の法廷において判決を言い渡せば足り,当事者に対し当該言渡期日の呼出状を送達することを要しません(最高裁昭和44年2月27日判決参照)。
   そのため,裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,判決言渡期日を事前に告知すらしてもらえずに却下判決を下されることがあります。

第3の1 最高裁判所が作成又は取得していないとされた文書

○裁判所の職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければなりません(「司法行政文書の管理について(通達)」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第3.1。なお,公文書等の管理に関する法律4条参照)。
○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の文書は最高裁判所が作成又は取得していないそうです。

1 最高裁秘書課が視察基本日程(案)を作成する際に使用している事務処理要領その他これに類する文書(平成27年度(最情)答申第7号(平成28年2月23日答申)
→ 最高裁判所判事の視察日程を作成するためのマニュアル等は存在しないそうです。
 
2 平成27年4月の人事異動に際して,全国の裁判官(簡裁判事は除く。)の希望勤務地を取りまとめた文書(平成27年度(最情)答申第8号(平成28年2月23日答申)
→ 人事局が人事異動計画の原案の立案等をする際には,各裁判官が任地希望等を記載したカードを個別に確認すれば足り,その記載内容を集計する必要はなく,現にその集計は行っていないそうです。
 
3 下級裁判所裁判官指名諮問委員会における,年度ごとの重点審議者の数が分かる文書(平成15年度以降の分)(平成27年度(最情)答申第10号(平成28年3月23日答申)
→ その後の事務を遂行する上で必要なものではないため,特に集計していないそうです。
 
4 ①平成26年中に終結した,民事事件及び行政事件の上告事件及び上告受理申立事件について,小法廷ごとに,持ち回り審議事件と審議室審議事件の事件数が分かる文書,及び②平成26年中に終結した,民事事件及び行政事件の上告事件及び上告受理申立事件について,小法廷ごとに,調書決定(民事訴訟規則50条の2)で終結した事件数が分かる文書(平成28年度(最情)答申第2号(平成28年4月14日答申)
→ 最高裁判所の事件管理システムに入力項目がなく,統計報告の対象ともされていないそうです。
 
5 ①司法修習生の兼業許可の具体的基準を定めた文書,及び②司法修習生の実務修習庁会を決定する基準が書いてある文書(平成28年度(最情)答申第3号(平成28年4月14日答申)
→ ①につき,詳細な具体的な基準を作成することは,兼業許可の制度の運用を硬直化することになりかねないそうです。
   また,②につき,司法修習生の実務修習庁会の決定事務が,基準を定めなければできない性質のものであるとは認められないそうです。
 
6 ①平成27年度予算における,裁判官の号別定数が分かる文書,②下級裁判所における指定職相当の裁判官2567人の内訳が分かる文書及び③下級裁判所におけるその他の裁判官1160人の内訳が分かる文書(平成28年度(最情)答申第4号(平成28年4月14日答申)
→ ①はそもそも存在せず,②及び③につき,財務省作成の文書以外には存在しないそうです。
 
7 最高裁判所が日本弁護士連合会等に対し,新任の最高裁判所判事の推薦を依頼する際,どのような文書を授受することになっているかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第10号(平成28年4月27日答申)
→ 内閣に対してどのような意見を述べるか,推薦依頼をするかなどについては,最高裁判所長官がその都度決めることであり,これらをどのような方法によって行うかを含め一切の事柄が,そのときどきの最高裁判所長官の判断に委ねられているから,最高裁判所事務総局としては,その立場上どのような文書を授受するかを定めた文書は作成していないそうです。
 
8 最高裁判所常置委員会の議事録及び配付資料(平成28年度(最情)答申第11号(平成28年6月3日答申)
→ 昭和38年頃からはほとんど開催されなくなったそうです。
 
9 裁判官の転出に関する約束を書面でする扱いの詳細を定めた文書等(平成28年度(最情)答申第12号(平成28年6月3日答申)
→ 異動条件の内容は,異動対象となる裁判官ごとに,その固有の諸事情に応じて定められた個別的な性格のものであって一般性がない等の事情から,作成していないそうです。
 
10 最高裁判所事務総局情報政策課長の事務引継書(平成28年度(最情)答申第14号(平成28年6月3日答申)
→ 前任者から口頭で引継ぎを受けたそうです。
 
11 司法試験受験資格による司法修習生採用者数の内訳が分かる文書等(69期関係)(平成28年度(最情)答申第20号(平成28年6月28日答申)
→ 68期については法曹養成制度改革顧問会議の資料とするために作成したに過ぎず,69期については作成していないそうです。
 
12 司法行政文書及び裁判文書に該当しない,裁判所で開示の対象にしていない文書についての管理の取扱方法を定めた通達その他の文書(平成28年度(最情)答申第21号(平成28年7月15日答申)
→ 裁判所の裁判部において管理されているところ,その作成,保存等の管理の在り方について司法行政作用である通達等で一律に規律することは相当でないから,作成していないそうです。
 
13 山口地裁所長が山口家裁所長を兼任するようになった経緯が分かる文書(平成28年度(最情)答申第22号(平成28年7月15日答申)
→ 最高裁判所裁判官会議において,人事局長が説明しているものの,通常は文書を作成するものではないから存在しないそうです。
 
14 裁判に密接に関連する文書の内閣総理大臣への移管方法について,最高裁判所が内閣府との間で取り交わした文書(平成28年度(最情)答申第24号(平成28年7月15日答申)
→ 事件記録に該当しないものの裁判に密接に関連する文書は,司法行政事務に関する文書ではないそうですから,国立公文書館に移管する必要はないみたいです。
  
15 修習資金貸与要綱第31条の住所等届出書の提出状況が分かる文書等(平成28年度(最情)答申第32号(平成28年10月24日答申)
→ ①年度ごとに,住所等届出書の提出状況が分かる文書,②年度ごとに,住所等届出書の提出を怠った結果,期限の利益を喪失した人の数が分かる文書,③年度ごとに,変更事項届出書の提出状況が分かる文書,④年度ごとに,繰上返還申請をした人の数が分かる文書,⑤年度ごとに,返還期限の猶予を受けた人の数が分かる文書,⑥年度ごとに,返還免除を受けた人の数が分かる文書,及び⑦年度ごとに,修習資金貸与金の回収状況が分かる文書は,そもそも作成していないそうです。

16 新任の最高裁判所判事が着任したときの事務手続について書いてある文書(平成28年度(最情)答申第38号(平成28年9月6日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の説明によれば,認証式については,それを実施する宮内庁から取得した文書も,最高裁判所事務総局が作成した文書もないとのことである。また,就任行事の実施に係る内容やスケジュールの確定は,担当部署の職員が口頭での確認により行っており,他の部署との連絡も口頭又は電話で行っていて,就任行事に関する事務手続について,担当係員が個人的にメモを作ることはあっても,司法行政文書は作成していないとのことである。最高裁判所判事についての認証式及び就任行事に関する事務手続は,これらの行事が滞りなく行われることを目的とするものであると考えられることからすると,事務手続に関して司法行政文書を作成していなかったとしても不合理とはいえず,これらを作成していたことをうかがわせる事情は見当たらない。」から,存在しないそうです。
 
17 平成28年9月29日に死亡した花村良一裁判官の同月1日から同月29日までの出勤状況が分かる文書(平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)
→ 「裁判官については,勤務時間法や給与法の適用がなく,勤務時間を把握するための文書の作成を義務付けた法令等の定めはない。また,裁判官の報酬は,裁判官の報酬等に関する法律に基づき支給されているから,報酬の支給に関して裁判官の出勤状況が分かる文書の作成の必要もない」から,存在しないそうです。
   最高裁の場合,司法研修所民事裁判上席教官が急逝しても,公務災害に該当するかどうかに関する調査報告書は作成しないみたいです。

18 最高裁が,平成27年8月末の概算要求に向け,全国の裁判所の職員給与の状況を分析し,将来予測などを行い,どのような要求を立てるべきか検討し,関係部署と調整した上で,案をまとめ,予算要求を行った際に作成した文書(平成28年度(最情)答申第44号(平成29年2月24日答申)
→ 「口頭説明の結果によれば,本件資料の作成に当たっては,最高裁判所事務総局人事局の担当者において最高裁判所内部の関係部局との調整を行うが,その過程で,最高裁判所事務総局人事局において組織的に保有すべき文書を作成することはないとのことである。級別定数改定業務が予算の範囲内で各種の調整を重ねながら行うものであることからすると,本件資料を作成するまでの間に,担当者間でさまざまな案がやりとりされることはあると考えられるが,本件資料のみならず,その段階の案が記載されたものを組織的に保有していなければ,級別定数改定業務やそれに関連する業務に支障を来すとまでは考えられず,そのような文書を組織的に用いるものとして保有していることをうかがわせる事情も見当たらない。」から,存在しないそうです。

19 新任判事補を採用する際の内部手続が分かる文書(平成28年度(最情)答申第45号(平成29年2月24日答申)
→ 平成15年7月1日開催の下級裁判所裁判官指名諮問委員会(第2回)議事要旨以外に存在しないそうです。

20 最高裁判所裁判官の出勤簿(平成28年度(最情)答申第47号(平成29年2月24日答申)
→ 平成28年度(最情)答申第42号(平成29年1月26日答申)と同じ理由により存在しないそうです。

21 選択型実務修習の実施通知(平成28年度(最情)答申第49号(平成29年3月17日答申)
→ 司法研修所は,選択型実務修習の実施者ではないし,配属庁会から取得するなどして保有していることもないそうです。

22  最高裁法廷(大・小)の過去10年間程度の開廷状況の資料(開廷回数が分かるもの)(平成28年度(最情)答申第50号(平成29年3月17日答申)
→  過去の開廷状況とは,最高裁判所に係属した事件について弁論期日や公判期日等が開かれた場合に関する具体的な回数や日時等をいうものと考えられるところ,最高裁判所の司法行政事務において,そのような過去の開廷状況に関して統計をとるなどの必要性があるとする具体的な事情はうかがわれないから,存在しないそうです。

23 第70期司法修習予定者の実務修習希望地調査表(平成29年度(最情)答申第1号(平成29年4月28日答申)
→ 第69期司法修習予定者までと異なり,事務の合理化の観点から作成するのを止めたそうです。 

24 第69期司法修習生組別志望等調査表(平成29年度(最情)答申第3号(平成29年4月28日答申) 
→ 第68期司法修習生までと異なり,事務の合理化の観点から作成するのを止めたそうです。

25 「裁判所が,市民後見人に対し,民法714条1項に基づく監督義務者の損害賠償責任をどのように説明することになっているかが分かる文書」及び「裁判所が,市民後見人に対し,後見業務に関する損害賠償責任保険への加入を勧奨するために使用している文書」(平成29年度(最情)答申第9号(平成29年6月9日答申)
→ 「市民後見人を含む成年後見人の民法714条1項に基づく損害賠償責任に関する説明について,最高裁判所において統一的な運用を定めなければならない必要性があるとは認められず,最高裁判所においてこれを定めていることをうかがわせる事情も認められないことからすれば,最高裁判所において統一的な運用を定めたことはなく,これに関連した文書を作成し,又は取得していないという上記説明の内容が不合理とはいえない。」とか,「家庭裁判所が市民後見人を含む成年後見人を選任し,監督する権限を有するからといって,家庭裁判所において,市民後見人に対し,後見業務に関する損害賠償責任保険への加入を勧奨すべき立場にあるということはできないし,そのほかに家庭裁判所がこれを勧奨していることをうかがわせる事情も認められないことからすれば,最高裁判所においてこれを勧奨するための文書を作成し,又は取得していないという上記説明の内容は,不合理とはいえない。」そうです。

第3の2 最高裁判所が直ちに廃棄しているとされた文書

○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の文書は最高裁判所が直ちに廃棄しているそうです。

1 ①最高裁判所が平成27年1月1日以降,報道機関に対して提供したプレスリリースペーパーのうち,人事の報道発表及び死亡の報道発表,及び②最高裁判所が平成27年1月1日以降,報道機関に対して提供した最高裁判所の判決要旨・骨子(平成27年度(最情)答申第4号(平成28年2月18日答申)
→ 報道機関に提供した直後に廃棄しているそうです。
 
2 女性裁判官(簡裁判事は除く。)の人数が分かる文書(全国の合計人数の他,最高裁判所及び全国の下級裁判所ごとの人数が分かる文書(平成28年度(最情)答申第23号(平成28年7月15日答申)
→ 最高裁判所が内閣府男女共同参画局に対してデータを提供するために作成した文書については,提供後すぐに廃棄したそうです。
 
3 憲法週間における最高裁判所判事の視察に関する文書等(平成28年度(最情)答申第31号(平成28年10月24日答申)
→ 岡部喜代子最高裁判所判事の視察に関する視察基本日程,視察詳細日程,座談会の出席者名簿及び座談会席図,庁内巡視の順番が分かる文書,懇親会の出席者名簿は,視察終了直後に廃棄されたそうです。
 
4 平成28年4月25日のハンセン病患者の裁判に関する謝罪の記者会見に際して作成し,又は取得した文書(HPに掲載されている文書は除く。)(平成28年度(最情)答申第33号(平成28年10月24日答申)
→ 最高裁判所事務総長の記者会見(Youtube動画「ハンセン病隔離法廷「違法」と謝罪 最高裁、憲法判断は示さず」参照)が終了してから2日以内に廃棄されたそうです。
→ 裁判所HPの「ハンセン病を理由とする開廷場所指定に関する調査報告書及び最高裁判所裁判官会議談話について」に調査報告書及び最高裁判所裁判官会議談話が載っています。
 
5 高等裁判所長官事務打ち合わせに関する配付資料(平成28年度(最情)答申第34号(平成28年12月2日答申)
→ 事務打合せ終了後速やかに廃棄されているそうです。
 
6 最高裁判所調査官室が判例時報へ投稿するに当たり作成した文書(平成28年度(最情)答申第37号(平成28年12月2日答申)
→ 最高裁調査官室が,判例時報に対し,「最高裁民事破棄判決等の実情」及び「許可抗告事件の実情」を投稿するに当たり,①民事の上告事件,上告受理申立て事件及び許可抗告事件の新受件数・既済件数,②破棄判決・破棄決定の件数を把握するために作成した文書は,執筆者に交付後直ちに廃棄されたそうです。

7 「第70期司法修習生の導入修習の週間日程表」(平成29年度(最情)答申第7号(平成29年6月9日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の説明によれば,内容が軽微かつ簡易な司法行政文書であって,その保存期間を1年以上とする必要のないものについては,通達上,短期保有文書として事務処理上必要な期間が満了したときに廃棄するものとされているところ,週間日程表は講義等の日程等を週ごとに司法修習生に周知するために作成されるものであり,当該週が経過すれば保有しておく必要がなくなるものであるから,平成28年12月11日以前の分の週間日程表についても,当該週が経過した後,その事務処理に必要な期間が過ぎたため廃棄したとのことである。
  上記の説明につき検討すると,本件開示申出文書が講義等の日程等を司法修習生に周知するために作成されるものであり,その内容も司法研修所で行われる講義の日程等を週ごとの一覧表にしたものであることからすれば,当該週が経過した後に保有する必要がなくなったとして廃棄したという上記説明の内容は,不合理とはいえない。」そうです。

8 「第69期司法修習生のB班週間日程表」(平成29年度(最情)答申第8号(平成29年6月9日答申)
→ 「最高裁判所事務総長の説明によれば,内容が軽微かつ簡易な司法行政文書であって,その保存期間を1年以上とする必要のないものについては,通達上,短期保有文書として事務処理上必要な期間が満了したときに廃棄するものとされているところ,週間日程表は講義等の日程等を週ごとに司法修習生に周知するために作成されるものであり,当該週が経過すれば保有しておく必要がなくなるものであるから,平成28年11月13日以前の分の週間日程表についても,当該週が経過した後,その事務処理に必要な期間が過ぎたため廃棄したとのことである。
   上記の説明につき検討すると,本件開示申出文書が講義等の日程等を司法修習生に周知するために作成されるものであり,その内容も司法研修所で行われる講義の日程等を週ごとの一覧表にしたものであることからすれば,当該週が経過した後に保有する必要がなくなったとして廃棄したという上記説明の内容は,不合理とはいえない。」そうです。

第3の3 不開示事由に該当するとされた最高裁判所の文書

1 高等裁判所長官,地方裁判所長及び家庭裁判所長会同に関する文書のうち,特定の団体の立場姿勢に対する忌憚のない評価等(平成27年度(最情)答申第1号(平成27年12月25日答申)
→ 裁判所の事務に関連する裁判所と外部との間の意見交換の現状について,所長の認識等が記載されていることが認められ,これを公にすると,外部との信頼関係が損なわれるなどし,その結果,裁判所の事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。

2 裁判官の転勤の内示時期の目安が分かる文書(平成27年度(最情)答申第5号(平成28年2月22日答申)
→ 裁判官の異動時期の目安を含めた人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,それを知った裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者などから不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められることから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等も含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する情報に当たると認められるそうです。

3 「これからの後見監督の在り方について(参考資料)」と題する文書のうち,監督区分等(平成27年度(最情)答申第6号(平成28年2月23日答申)
→ 監督対象事件を分類した監督区分に関し,各区分に分類される事案の具体的内容や,区分ごとの監督方法などが記載されていることが認められるところ,これらの具体的内容が公になると,各区分の事案の内容や監督方法等の分析を行って,監督強化のための措置を免れたりする者が出現する可能性や,自己の監督の内容を知って,不正行為やその隠蔽を行う者が出現する可能性があるといえ,その結果,家庭裁判所による不正の兆候等の把握に支障が生じて,後見監督事務の性質上,その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるそうです。

4 司法修習生考試結果集計表のうち,各科目における「(うち予備試験資格者)」及び「(うち予備試験資格者以外)」の「優」,「良」,「可」及び「不可」の「人員」及び「割合」を示す部分(平成28年度(最情)答申第5号(平成28年4月14日答申)
→ 不開示部分に記載されている情報は,一体として,予備試験資格者で特定の科目で「不可」となった者を特定することができる情報として,法5条1号に相当する情報であるということができ,同号ただし書イからハまでに相当する事情は認められないそうです。

5 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリスト(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申)
→ 近時の官公庁や民間企業に対するサイバー攻撃が多発している現状に照らすと,国の機関であり,多数の個人情報を取り扱う裁判所の情報セキュリティは,厳しく守られるべき状況にあるといえ,情報セキュリティに関連する情報は十分に秘匿すべき情報であるということができるところ,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,本件存否情報は,裁判所の情報ネットワークの仕組みやサイバー攻撃のきっかけ等を推測させる情報であると認められるそうです。
→ 平成27年11月の「全司法新聞2229号」には,「接続制限の代替方策として、別回線でのインターネット接続を可能とする端末の増設と、業務に必要なサイトのホワイトリストへの追加を要求していくことをあわせて確認しました。」と書いてあります。
   そのため,裁判所にホワイトリストが存在することは,全司法労働組合によって公表されています。

6 裁判官昇給候補者名簿の氏名,期別,昇給号報,官職名等(平成28年度(最情)答申第13号(平成28年6月3日答申)
→ 具体的に昇給する者の期別や昇給号報,その人数等の情報が含まれていることが認められるところ,そのような情報は,最高裁判所事務総長が説明するとおり,人事事務担当者等の一部の関係職員以外には知られることのない性質のものであると推測される。

7 司法修習生組別一覧表のうち,司法修習生の氏名が記載されている部分(平成28年度(最情)答申第26号(平成28年9月1日答申)
→ 司法修習生は,法5条1号ただし書ハの「公務員等」に相当する者には該当しないそうです。

8 具体的な職名,級についてどのような考え方に基づいて定数配付を行っているのかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第30号(平成28年10月24日答申)
→ 最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,具体的な手法の内容は,ごく一部の職員にしか知られることのない極めて機密性の高い性質のものであり,たとえ標題だけが知られることになったとしても,裁判所の人事管理に関して無用の憶測を呼ぶなどするおそれがあるそうです。

9 最高裁判所裁判官会議議事録の本文部分の署名及び印影(平成28年度(最情)答申第36号(平成28年12月2日答申)
→ 裁判官会議の議事録の署名及び印影は,職務の遂行に係る情報であるというべきであるが,その固有の形状が文書の真正を示す認証的機能を有しており,そのような署名や印影を公にすれば,これを偽造され悪用されるなどして,個人の権利利益を害するおそれがあるそうです。

10 最高裁判所の庁舎平面図のうち,傍聴人や裁判所見学者が立ち入る場所を除く場所に係る部分(平成28年度(最情)答申第48号(平成29年3月17日答申)
→ 最高裁判所の庁舎は,その多くの部分が一般の来庁者の出入りが想定されていない建物であり,入構するには原則として許可が必要であることや,内部に最高裁判所判事室や事務総局の中枢部分などがあることからすると,全体として高度なセキュリティの確保が要請されており,庁舎の部屋の配置等を公にすることにより,全体として警備事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるそうです。
→ 最高裁判所には,大法廷棟,小法廷棟,図書館棟,裁判官棟,裁判部棟,事務北棟及び事務西棟の7つの建物があります(裁判所HPの「裁判所施設の耐震性に係るリスト(平成22年7月)」参照)ところ,その位置関係も不開示情報だそうです。
   なお,裁判官棟のIs値は0.27となっていますところ,外部HPの「耐震性能とIs値(耐震指標)について」によれば,Is値が0.6以下の建物については耐震補強の必要性があると判断されます。また,一般財団法人日本耐震診断協会HPの「耐震診断の基準(is値)」のほか,「建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な指針」(平成18年1月26日国土交通省告示第184号)別表第六(リンク先のPDF28頁)によれば,Isが0.3未満の場合,「地震の震動及び衝撃に対して倒壊し,又は崩壊する危険が高い。」と書いてあります。

11 平成27年度裁判官異動計画(平成29年度(最情)答申第4号(平成29年5月25日答申)
→ 「裁判官は,憲法上,その職務の独立性が保障されるとともに,身分が保障されている(憲法76条3項,78条)。また,その身分保障の現れとして,裁判官がその意思に反して転官や転所をされることはない(裁判所法48条)。これらの規定の趣旨に照らすと,裁判官の人事管理に係る情報については,裁判官の独立を確保するため,非常に高い機密性が求められる機微な情報であるということができ,本件対象文書に記録されている上記のような情報を公にすると,裁判官の異動を望み,あるいは望まない関係者等から不当な働き掛け等がされるなどして,今後の裁判官の人事管理に係る事務に関し,適正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められるから,本件対象文書に記録された情報は,その文書の標題部分や発出者名等を含め,全体として法5条6号ニに規定する不開示情報に相当する。」そうです。

12 ①第68期導入司法修習生名簿(和光寮50音順)及び②第69期導入司法修習生名簿(和光寮50音順)(平成29年度(最情)答申第10号(平成29年6月9日答申)
→ 「司法修習生は,司法修習生間のやり取り等を通じて各司法修習生の修習地及び組についての情報を得ていることが少なくないという最高裁判所事務総長の説明は不合理とはいえないこと,本件対象文書には,司法修習生の氏名が50音順に記載されており,音によっては一人又は少数の氏名しか記載されていない部分もあることからすれば,修習地及び組の情報と照らし合わせることにより,入寮者の特定が可能となる場合があると考えられる。」から,修習地及び組は不開示情報に該当するそうです。

第3の4 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた最高裁判所の文書

○行政機関の場合,行政文書該当性については,対象となる文書に係る具体的・客観的状況に基づいて判断すべきものであり,行政機関内部における一般的な取扱いや,行政機関の職員の主観的な認識といった事情により,その判断が左右されるものではありません(内閣法制局長官の国会答弁資料に関する平成28年度(行情)答申第646号(平成29年1月17日答申)9頁)。
   これに対して司法行政文書の場合,裁判所内部における一般的な取扱いや,裁判所職員の主観的な認識といった事情により,司法行政文書に該当するかどうかの判断が左右されている気がします。
〇刑事裁判における公判前整理手続の場合,警察官が私費で購入したノートに記載し,一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについても証拠開示を命じられることがあります(最高裁平成20年9月30日決定参照)。
○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,最高裁判所の以下の文書は司法行政文書開示請求の対象とならないそうです。
 
1 憲法週間における最高裁判所判事の視察に際して受領した各高等裁判所及びその管内に関する概況説明資料(平成28年度(最情)答申第19号(平成28年6月28日答申)
→ 最高裁判所判事の手持ち資料に過ぎず,最高裁判所が取得したものではないそうです。
 
2 ①最高裁判所事務総長の事務引継書,及び②最高裁判所事務総長が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(最情)答申第27号(平成28年9月1日答申)
→ ①につき,前任者個人の判断で作成されて直接後任者に交付され,あくまで個人の手持ち資料として後任者限りで使用及び保管がされているそうです。
   ②につき,一般的にその役職に応じた挨拶回り先として想定されるところがあったとしても,実際にどこに挨拶に行くかについては,個々の事務総長の意向によるそうです。
 
3 新任の最高裁判所判事が着任したときの事務手続について書いてある文書(平成28年度(最情)答申第38号(平成28年12月2日答申)
→ 認証式については,それを実施する宮内庁から取得した文書も,最高裁判所事務総局が作成した文書もないそうです。
   また,就任行事の実施に係る内容やスケジュールの確定は, 担当部署の職員が口頭での確認により行っており,他の部署との連絡も口頭又は電話で行っていて,就任行事に関する事務手続について,担当係員が個人的にメモを作ることはあっても,司法行政文書は作成していないそうです。
   そのため,最高裁判所判事の認証式及び就任行事に関する事務手続を記載した文書は存在しないそうです。

4 最高裁判所規則(平成28年度(最情)答申第39号(平成28年12月2日答申)
→  最高裁判所規則は,一般に販売され各地の図書館にも所蔵されている法令集である「現行日本法規」(法務省大臣官房司法法制部編)に掲載されている点で容易に入手可能であることから,溶け込み版も含めて開示請求の対象とする必要はないそうです。
   なお,現行日本法規は税込みで27万円します(ぎょうせいオンラインの「現行日本法規」参照)し,大阪弁護士会の図書室には置いてありません。
→ 法務年鑑(平成27年)81頁によれば,現行日本法規の編成は, 本文50編100巻(125冊),索引3巻,旧法令改廃経過1巻,主要旧法令5巻,参照条文索引3巻及び法定刑一覧一覧の刑113巻(138冊)となっています。
   平成27年中に発行した追録は,第10592号から第10891号までの300追録107,622頁です。

第4の1 下級裁判所が作成又は取得していないとされた文書

○裁判所の職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければなりません(「司法行政文書の管理について(通達)」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第3.1。なお,公文書等の管理に関する法律4条参照)。
○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の文書は下級裁判所が作成又は取得していないそうです。
 
1 ①広島高等裁判所長官の事務引継書,及び②広島高等裁判所長官が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(情)答申第8号(平成28年10月11日答申)
→ ①につき,高裁長官の交代に当たり,事務引継書を組織的に作成することを予 定するような定めはなく,どのような引継ぎを行うかは,引き継ぐべき事項の内容,性質等を勘案して前任者が決めており,引継ぎのためにそもそも文書を作成するか否か,仮に作成するとしてどのような文書を作成するかについても,あげて前任者個人の判断に委ねられているそうです。
   ②につき,広島高裁長官交代時の挨拶回り先については,長官の意向や挨拶回り先等の事情を考慮して,個別に検討する必要があり,画一的な処理にはなじまないものだそうです。
 
2 ①東京高等裁判所長官の事務引継書,及び②東京高等裁判所長官が交代した場合,どこに挨拶回りをすることになっているかが分かる文書(平成28年度(情)答申第9号(平成28年10月11日答申)
→ ①につき,高裁長官の交代に当たり,事務引継書を組織的に作成することを予 定するような定めはなく,どのような引継ぎを行うかは,引き継ぐべき事項の内容,性質等を勘案して前任者が決めており,引継ぎのためにそもそも文書を作成するか否か,仮に作成するとしてどのような文書を作成するかについても,あげて前任者個人の判断に委ねられているそうです。
   ②につき,東京高裁長官交代時の挨拶回り先については,長官の希望を踏まえ,異動の都度,適宜行われており,決まった訪問先は存在しないそうです。
 
3 東京高等裁判所管内の裁判官の期別名簿(平成28年度(情)答申第10号(平成28年10月11日答申)
→ 司法行政事務を処理するに際し,裁判官の修習期を認識する必要がある場面はあるものの,通常,個々の裁判官の履歴書を確認すれば足り,期別名簿又は裁判官の修習期を記載した名簿を作成しておく必要はないそうです。
 
4 交通の分野において,大阪地裁を中心とし,京都,神戸等の裁判所の専門部が平成27年度に集まり,情報交換を行った際に,神戸地裁が作成し,又は取得した文書(情報交換に際しての配付資料を含む。)(平成28年度(情)答申第16号(平成28年12月2日答申)
→ これらの会合の配布資料については,主催する大阪地方裁判所の裁判官から,他の裁判所の出席裁判官に宛てて直接送付されたため,神戸地裁事務局は取得していないそうです。

5 東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書(平成29年度(情)答申第1号(平成29年4月28日答申)
→  本件注意は,憲法及び裁判所法により身分が保障された裁判官に対するものであることや,当該裁判官の特定の行状に関してその改善を求める内容のものであって,当該裁判官個人の私的な事柄に関するものであること等を考慮すると,本件注意の意思決定の過程において文書が作成されなかったとしても,不合理とはいえないそうです。

第4の2 下級裁判所が直ちに廃棄しているとされた文書

○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,以下の文書は下級裁判所が直ちに廃棄しているそうです。
 
1 神戸地裁における,①視察の日時時刻,発着地,事項,配車,乗員,随行の秘書官等の詳細が記載されている基本日程及び詳細日程,②最高裁判所判事との座談会の出席者名簿及び座談会席図,③庁内巡視の順序が分かる文書並びに④最高裁判所判事との懇親会の出席者名簿(平成27年度(情)答申第2号(平成28年2月18日答申)
→  視察日から2ヶ月以内に廃棄されるそうです。
 
2  平成28年1月1日の神戸地裁所長交代時の引継書(添付書類を含む。)(平成28年度(情)答申第4号(平成28年7月15日答申)
→ メモ程度のものは作成されたが,1週間程度で廃棄されたそうです。
 
3 直近に開催された,首席家庭裁判所調査官協議会及び家事事件担当裁判官等協議会に関する配付資料(平成28年度(情)答申第5号(平成28年7月15日答申)
→ 開催日から10ヶ月以内に廃棄されたそうです。
 
4 東京地裁立川支部長が東京地裁本庁に定期的に送付している,支部の状況報告に関する書面(平成28年度(情)答申第12号(平成28年10月24日答申)
→ ①幹部連絡会の報告資料(月に一度行われる幹部連絡会において,支部長が所長に対して支部の状況を口頭報告する際に使用する補助資料)及び②裁判官会議終了後に行われる概況説明の資料(所長や支部長らが出席する裁判官会議終了後,出席者らが参加し,各部署から口頭で行われる概況説明の際に使用する補助資料)は,会議又は説明終了後に廃棄されているそうです。

第4の3 不開示事由に該当するとされた下級裁判所の文書

1 「東京地裁が,平成28年1月までに,60代の女性書記官を1ヶ月の停職処分にした際に作成し,又は取得した文書」のうち,被処分者の氏名等(平成28年度(情)答申第6号(平成28年9月1日答申)
→ 文書1及び文書2には,被処分者の処分の内容等が当該被処分者の氏名及び官職等とともに記載されていることから,文書1及び文書2に記載された情報は,それぞれ全体として被処分者に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別することができるものに相当すると認められる」そうです。

2 平成28年5月27日の,小池裕最高裁判所判事の水戸地方裁判所視察に関する視察日程案,視察日程細目(平成28年度(情)答申第14号(平成28年10月24日答申)
→ 「最高裁判所は,司法権及び司法行政権の最高機関であるから,最高裁判所判事が要人として犯罪行為等の標的となることは否定できない。そして,憲法週間における最高裁判所判事による下級裁判所の視察が毎年行われるものであることも考慮すると,視察の際の日程等の詳細が公になると,それを蓄積して移動手段や日程等の傾向を分析され,今後の視察の行動を予測されるなどして,犯罪行為等の実行に利用されるおそれがある」そうです。

3 特定の裁判官の退官願のうち,作成年月日,当該裁判官の署名及び押印並びに退官願の理由を記載した部分(平成28年度(情)答申第20号(平成29年2月24日答申)
→ 「本件対象文書を作成した年月日及び退官を願い出る理由については,官報等により公表されているものではないから,法5条1号ただし書イに相当するものではない」そうです。

4 特定裁判官が有報酬兼業として自分名義の著作を販売することを許可してもらうために,東京高等裁判所との間で授受した文書(平成28年度(情)答申第24号(平成29年3月17日答申)
→  特定の裁判官が報酬のある他の職務に従事し,又は従事しようとしているか否かという情報は,当該裁判官の個人に関する情報であって,当該情報に含まれる氏名等により当該裁判官という特定の個人を識別することができるものに当たるそうです。
   また,苦情申出人は,当該裁判官が,自分名義の著作を販売していることを自身のツイッターで宣伝していることをもって,慣行として公にされている情報であると主張するが,苦情申出人が主張するような事実をもって当該裁判官が申出に係る許可を受けたか否かに係る情報が,慣行として公にされているとは認められないそうです。

5 岡口喜一裁判官に対する厳重注意に関する文書(平成29年度(情)答申第2号(平成29年4月28日答申)
→ 厳重注意に関する文書の存否を答えるだけで,人事管理に係る事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を開示することになるからだそうです。
   しかし,東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書が存在しないことは,平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によって明らかにされています。

6 名古屋高裁がマスコミに提供した,名古屋高裁平成28年11月28日判決(被告人は藤井浩人美濃加茂市長)の判決要旨(平成29年度(情)答申第4号(平成29年5月25日答申)
→ 「判決要旨の作成は,報道機関からの申請を受けて対応するのが一般的であるところ,この判決要旨の交付申請は,報道機関の取材活動そのものである。当該申請が個別の記者の独自の取材活動の一環として行われた場合はもとより,幹事社を経由しての司法記者クラブ全体からの申請で行われた場合であっても,判決要旨が作成されたことが公開され,報道機関の取材活動の存在,内容が推知されてしまうことは,取材源の秘匿を基本原則とする報道機関と裁判所との信頼関係を大きく損なうおそれがあり,ひいては,裁判報道に係る広報事務の遂行を困難にする可能性が高い。」そうです。

7 文書管理簿(投書等)のうち,内容,提出方法及び備考の各欄(平成29年度(情)答申第5号(平成29年6月9日答申)
→ 「宛先欄の不開示部分のうち個人名以外が記載されている部分には,東京高等裁判所の特定部署等の名称が記載されており,これらの記載部分は,投書等の内容を推測させるものであるから,公にしたときには投書等を行った個人の権利利益を害するおそれがあるものと認められる。
   また,内容欄には,投書等の概要として個人の氏名,投書等を行った者の意見や信条等が記載されており,このうち個人の氏名は,個人識別部分である。その他の記載部分については,意見や信条等が記載されていることからすれば,公にしたときには個人の権利利益を害するおそれがあるものと認められる。
   さらに,提出方法等欄には,東京高等裁判所の特定部署等に関する記載及び投書等が郵送で提出された場合の消印が押された郵便局名の記載があり,このうち特定部署等に関する記載については,宛先欄と同様に判断すべきである。また,郵便局名の記載については,投書等を行った者の最寄りの郵便局である蓋然性があると考えられるところ,当委員会庶務に調査させた結果によれば,人口の少ない地域に複数の郵便局が存在する例もあることから,投書等を行った者の住居を推測することが可能である。よって,この記載も,個人識別部分に該当すると判断すべきである。
   さらに,備考2欄の不開示部分には,東京高等裁判所を含む複数の裁判所の特定部署に関する記載や,投書等を行った者に関する情報等の記載があり,これらの記載については,宛先欄及び内容欄と同様に判断すべきである。」そうです。

第4の4 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた下級裁判所の文書

○司法行政文書には,裁判事務に関する文書は含まれず,裁判事務に関する文書には,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書が含まれます。
   ただし,下級裁判所事務局が司法行政事務を処理する目的で取得した場合,司法行政文書開示請求の対象になるみたいです(平成28年度(情)答申第7号(平成28年9月1日答申)等参照)。
○行政機関の場合,行政文書該当性については,対象となる文書に係る具体的・客観的状況に基づいて判断すべきものであり,行政機関内部における一般的な取扱いや,行政機関の職員の主観的な認識といった事情により,その判断が左右されるものではありません(内閣法制局長官の国会答弁資料に関する平成28年度(行情)答申第646号(平成29年1月17日答申)9頁)。
   これに対して司法行政文書の場合,裁判所内部における一般的な取扱いや,裁判所職員の主観的な認識といった事情により,司法行政文書に該当するかどうかの判断が左右されている気がします。
〇刑事裁判における公判前整理手続の場合,警察官が私費で購入したノートに記載し,一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについても証拠開示を命じられることがあります(最高裁平成20年9月30日決定参照)。
○最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会によれば,下級裁判所の以下の文書は司法行政文書開示請求の対象とならないそうです。
 
1 弁護士が後見人として一定以上の財産を預かる場合,不正をチェックするために別の弁護士を「後見監督人」として付ける運用の基準を定めた文書(平成27年度(情)答申第3号(平成28年3月8日答申)
 
2 ①破産管財人の報酬を決定する基準が書いてある文書,及び②破産管財人の報酬の目安が分かる文書(平成27年度(情)答申第4号(平成28年3月8日答申)
 
3  成年後見人の選任に関して,東京家庭裁判所が特定の団体らとの間で取り交わしている文書(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申)

4 東京地裁民事21部の事務処理要領(平成28年度(情)答申第7号(平成28年9月1日答申)

第5 検察審査会の情報公開

1 検察審査会の情報公開は,検察審査会の保有する検察審査会行政文書の開示に関する事務の基本的取扱について(平成13年3月29日付の最高裁判所刑事局長通達)に書いてあります。
 
2 検察審査会の情報公開の対象は検察審査会行政文書に限られるのであって,個別の審査事件に関する審査事件記録(審査事件会議録,供述調書,実地見分調書等)は対象外です。
 
3 検察審査会については,「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」及び「検察審査会の事件の処理状況」を参照して下さい。

第6 公文書管理法における,参議院内閣委員会の付帯決議

○司法行政文書の管理について公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)が適用されるわけではありません(公文書管理法2条8項参照)が,裁判所は,公文書管理法の趣旨,裁判所の地位及び権能等を踏まえ,検討が行われるものとされています(公文書管理法附則13条2項)。
   そして,平成23年4月1日施行の公文書管理法における,平成21年6月23日付けの参議院内閣委員会の付帯決議は以下のとおりです。
 
公文書等の管理に関する法律案に対する附帯決議
政府は、公文書等が、国民共有の知的資源であり、その適切な管理、体系的な保存及び利用制度の整備が、国の基本的な責務・機能であるとともに、将来の発展への基盤であることを深く認識して、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、公文書管理の改革は究極の行政改革であるとの認識のもと、公文書管理の適正な運用を着実に実施していくこと。
二、国民に対する説明責任を果たすため、行政の文書主義の徹底を図るという本法の趣旨にかんがみ、外交・安全保障分野も含む各般の政策形成過程の各段階における意思決定に関わる記録を作成し、その透明化を図ること。また、軽微性を理由とした文書の不作成が恣意的に行われないようにするとともに、文書の組織共用性の解釈を柔軟なものとし、作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにすること。
三、行政機関の政策決定並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにするため、行政機関による委託事業に係る元データが確実に取得される仕組みを検討すること。
四、行政文書の管理が適正に行われることを確保するため、作成から一定期間が経過した行政文書をその保存期間満了前に一括して保管等の管理を行う制度( いわゆる中間書庫の制度) の各行政機関への導入について検討を行うこと。
五、保存期間の満了により廃棄される行政文書の量が膨大なものであることを踏まえ、廃棄に係る行政文書の内容の審査等に要する内閣総理大臣の補佐体制を強化すること。
六、公文書の管理・利活用に関する情報を十分に公開し、その在り方について多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
七、特定歴史公文書等の適切なデジタルアーカイブ化を推進し、一般の利用を促進すること。
八、公文書の電子化の在り方を含め、セキュリティーのガイドラインの策定、フォーマットの標準化及び原本性確保等の技術的研究を推進し、電子公文書の長期保存のための十分な検討を行うこと。
九、国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等に対する利用制限については、利用制限は原則として三十年を超えないものとすべきとする「三十年原則」等の国際的動向・慣行を踏まえ、必要最小限のものとすること。
十、特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱いにおける除外規定である本法第十六条に規定する「行政機関の長が認めることにつき相当の理由」の有無の判断に関しては、恣意性を排し、客観性と透明性を担保する方策を検討すること。
十一、宮内庁書陵部及び外務省外交史料館においても、公文書等について国立公文書館と共通のルールで適切な保存、利活用が行われるよう本法の趣旨を徹底すること。
十二、本法に基づく政令等の制定・改廃に際しては、十分に情報を公開し、多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
十三、公文書の適正な管理が、国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ、職員の公文書管理に関する意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施するとともに、専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと。また、諸外国における公文書管理体制の在り方を踏まえ、必要な人員、施設及び予算を適正に確保すること。
十四、既に民営化された行政機関や独立行政法人等が保有する歴史資料として重要な文書について、適切に国立公文書館等に移管されるよう積極的に対応すること。また、国民共有の知的資源を永く後世に伝えるため、特定歴史公文書等の保存・修復に万全を期することができる体制を整備すること。
十五、本法の趣旨を踏まえて地方公共団体における公文書管理の在り方の見直しを支援し、また、国立公文書館と地方公文書館との連携強化を図ること。
十六、一部の地方公共団体において公文書館と公立図書館との併設を行っていることを考慮しつつ、より多くの公文書館が設置されることを可能とする環境の整備について検討すること。
十七、刑事訴訟に関する書類については、本法の規定の適用の在り方を引き続き検討すること。
十八、附則第十三条第一項に基づく検討については、行政文書の範囲をより広げる方向で行うとともに、各行政機関における公文書管理の状況を踏まえ、統一的な公文書管理がなされるよう、公文書管理法制における内閣総理大臣の権限及び公文書管理委員会の在り方についても十分検討すること。
十九、公文書等の管理に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための司令塔として公文書管理に係る政策の企画・立案及び実施を担当する部局及び機構の在り方について検討を行うこと。
二十、行政機関のみならず三権の歴史公文書等の総合的かつ一体的な管理を推進するため、国立公文書館の組織の在り方について、独立行政法人組織であることの適否を含めて、検討を行うこと。
二十一、公文書管理と情報公開が車の両輪関係にあるものであることを踏まえ、両者が適正かつ円滑に実施されるよう万全を期すること。
右決議する。

第7 裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決の判示内容は特に考慮されていないこと

1(1) 最高裁平成26年7月14日判決は以下のとおり判示しています。
   情報公開法において,行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているものをいうところ(2条2項本文),行政文書の開示を請求する権利の内容は同法によって具体的に定められたものであり,行政機関の長に対する開示請求は当該行政機関が保有する行政文書をその対象とするものとされ(3条),当該行政機関が当該行政文書を保有していることがその開示請求権の成立要件とされていることからすれば,開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負うものと解するのが相当である。
   そして,ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を個別具体的に検討すべきものであり,特に,他国との外交交渉の過程で作成される行政文書に関しては,公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国との交渉上不利益を被るおそれがあるもの(情報公開法5条3号参照)等につき,その保管の体制や状況等が通常と異なる場合も想定されることを踏まえて,その可否の検討をすべきものというべきである。
(2) 最高裁平成26年7月14日判決は,昭和47年の沖縄返還時に日米両政府が交わしたとされる密約文書をめぐり,元新聞記者らが国に対して情報公開法に基づく開示などを求めた訴訟の上告審判決です。 
 
2 裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決が判示するところの「当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等」といった事情は特に考慮されることなく,高等裁判所長官事務打ち合わせに関する配付資料といった短期保有文書は直ちに廃棄されたことになっていることが多いです。

第8 裁判所の情報公開に関する統計文書

1 「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱等に基づく事務の実施状況について」を掲載しています。
① 平成27年7月1日から平成28年3月31日まで

2 ①開示申出等に関する事務の実施状況,及び②苦情申出に関する事務の実施状況について記載されています。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。