法テラスの民事法律扶助

第0 目次

第1 法テラスの利用基準等
第2 法テラスを利用するのに必要な書類
第3 法テラスを利用する場合の弁護士費用
第4 法テラスの業務内容
第5 その他法テラス関係
第6 法律扶助に関する弁護士職務基本規程等に関する条文

*1 法テラスの民事法律扶助を利用する場合,法テラスに対する申込書等は私の方で準備します。
*2 東弁リブラ2010年2月号に「民事法律扶助を利用する」が載っています。

第1 法テラスの利用基準等

1 法テラスの資力基準
(1) 生活保護1級地に住んでいる人の場合
   以下の資力基準を満たす場合,日本司法支援センター(愛称は法テラス)を利用できます(法テラスHPの「弁護士・司法書士と相談したい」参照)

① 収入基準
   依頼者及びその配偶者の手取り月収額(賞与を含む。)の合計が,20万200円以下(単身者),27万6100円以下(2人家族),29万9200円以下(3人家族),32万8900円以下(4人家族)であること。
   ただし,家賃又は住宅ローンを利用している場合,5万3000円(単身者),6万8000円(2人家族),8万5000円(3人家族),9万2000円(4人家族)を限度に加算されます。
② 資産基準
   依頼者及びその配偶者の現金,預貯金,有価証券,自宅以外の不動産等の時価の合計額が180万円以下(単身者),250万円以下(2人家族),270万円以下(3人家族),300万円以下(4人家族以上)であること。
(2) 生活保護1級地「以外に」住んでいる人の場合
   この場合,②資産基準は変わらないものの,①収入基準は以下のとおりとなります。
   依頼者及びその配偶者の手取り月収額(賞与を含む。)の合計が,18万2000円以下(単身者),25万1000円以下(2人家族),27万2000円以下(3人家族),29万9000円以下(4人家族)であること。
   ただし,家賃又は住宅ローンを利用している場合,4万1000円(単身者),5万3000円(2人家族),6万6000円(3人家族),7万1000円(4人家族)を限度に加算されます。
(3) 配偶者につき,内縁関係にある人を含みます。

2 大阪府内の生活保護1級地は以下のとおりです(法テラスHPの「生活保護の基準に定める一級地」参照)。
   大阪市,堺市,豊中市,池田市,吹田市,高槻市,守口市,枚方市,茨木市,八尾市,寝屋川市,松原市,大東市,箕面市,門真市,摂津市,東大阪市,岸和田市,泉大津市,貝塚市,和泉市,高石市,藤井寺市,四条畷市,交野市,泉北郡忠岡町

3 行政訴訟で法テラスを利用することはできません。
   そのため,例えば,労災保険に関する審査請求及び取消訴訟で法テラスを利用することはできません。

4 法テラスの資力基準(=収入基準及び資産基準)に照らして法テラスを利用できる場合に法テラスを利用するかどうかについては,ご相談内容に応じて個別具体的に決めさせていただいています。  

第2 法テラスを利用するのに必要な書類

1(1)   法テラスを利用する場合,少なくとも以下の書類が必要です(法テラスHPの「審査に必要な書類」参照)

① 住民票(本籍地・筆頭者・続柄の記載があり,世帯全員であることの表示があるもの)
→ マイナンバーは必ず省略して下さい。
②   最近2ヶ月分の給与明細(給与収入がある場合)
→ 配偶者の分を含みます。
③ 年金振込通知書(年金がある場合)
④ 生活保護受給証明書(生活保護受給者である場合)
(2) 給与明細が欠けている月がある場合であっても,事情を説明した弁護士の上申書で代用できることがあります。

2 任意整理事件又は個人再生事件で法テラスを利用する場合,家計収支表も必要になります。

3 法テラスを利用する際の申込書類の書式は,法テラスHPの「民事法律扶助」の「5.各種書式等」に掲載されています。

4(1) 法テラスの代理援助決定が出た場合,法テラスに対して依頼者の署名押印がある以下の書類を提出した時点で,法テラスから弁護士費用が送金されます。
① 個別契約書
② 重要事項説明書
③ 自動口座引落の登録に係る書類(償還猶予決定を受けた場合を除く。)
(2) 平成28年3月31日までは,法テラスに①の書類を提出しただけで弁護士費用が送金されていましたが,同年4月1日以降は,法テラスに①ないし③の書類を提出しないと弁護士費用が送金されないこととなりました。

第3 法テラスを利用する場合の弁護士費用

1 金銭事件の場合
   法テラスの業務方法書の別表3「1.代理援助立替基準」によれば,以下のとおりです。
(1) 着手金及び概算実費
請求額が  50万円未満の場合,6万4800円の着手金及び2万5000円の概算実費(合計8万9800円)
請求額が  50万円以上 100万円未満の場合,9万7200円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計13万2200円)
請求額が 100万円以上 200万円未満の場合,12万9600円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計16万4600円)
請求額が 200万円以上 300万円未満の場合,16万2000円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計19万7000円)
請求額が 300万円以上 500万円未満の場合,18万3600円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計21万8600円)
請求額が 500万円以上1000万円未満の場合,21万6000円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計25万1000円)
請求額が1000万円以上の場合,23万7600円の着手金及び3万5000円の概算実費(合計27万2600円)
(2) 成功報酬金
ア 原則として,支払を受けた金額の10.8%
   ただし,支払を受けた額が3000万円を超える場合,超えた部分は6.48%
イ 勝訴的な判決や和解を受けたが回収できない場合,6万4800円~12万9600円(標準額は8万6400円)
ウ 被告事件で請求を排除した場合,着手金の7割相当額及び出廷1回当たり1万800円
   ただし,出廷回数による加算額は請求排除額の10%を上限とする。

2 債務整理事件の場合
債務整理の費用(任意整理,自己破産又は個人再生となることにつき「債務整理の種類」参照)については,外部HPの「債務整理の費用額・費用を抑える方法・法テラスの利用」が参考になります。

3 同時廃止事件の場合
   債権者10人以下の自己破産の場合,着手金が12万9600円,概算実費が2万3000円の合計15万2600円が依頼した弁護士に支払う費用であり(法テラスが立替払いをしてくれます。),これとは別に破産予納金1万584円を自分で準備する必要があります。
   そのため,依頼者の総負担額は,破産予納金を含めると,16万3184円となります。

4 管財事件の場合
   債権者10人以下の自己破産において破産管財人が選任される場合,着手金が16万2000円,概算実費が2万3000円の合計18万5000円が依頼した弁護士に支払う費用であり(法テラスが立替払いしてくれます。),これとは別に破産予納金21万8834円を自分で準備する必要があります「管財事件における破産予納金」参照)。
   そのため,破産管財人(「破産管財人」参照)が選任される場合,依頼者の総負担額は,破産予納金を含めると,38万834円となります。

5 個人再生の場合
(1)   債権者10人以下の個人再生の場合,着手金が16万2000円,概算実費が3万5000円の合計19万7000円が依頼した弁護士に支払う費用であり(法テラスが立替払いをしてくれます。),これとは別に再生予納金1万2268円を自分で準備する必要があります。
(2) 住宅資金特別条項が付いている場合(「住宅資金特別条項」参照)であっても,弁護士費用は変わりません。

6 法テラスに対する弁護士費用の返還
(1)   法テラスに弁護士費用を立て替えてもらった場合,法テラスに対し,原則として,毎月5000円又は1万円ずつ弁護士費用を償還する必要があります。
(2) 生活保護受給中であるような場合,弁護士費用の償還を猶予してもらえます。

7 訴訟提起する場合の切手代及び印紙代
(1) 法テラスを利用した場合,訴訟提起する場合の切手代は法テラスが立て替えた概算実費に含まれています。
(2)ア 訴訟提起する場合の印紙代については,裁判所に対して訴訟救助の申立て(民事訴訟法82条)をすることで支払の猶予(民事訴訟法83条1項1号「裁判費用(中略)の支払の猶予」参照)を受ける必要があります。
イ 訴訟救助決定を受けられなかった場合,法テラスが訴訟提起する場合の印紙代を立て替えてくれます。
(3) 損害賠償金を回収した等により裁判所が訴訟救助決定を取り消した場合,支払の猶予を受けていた印紙代を支払う必要があります(民事訴訟法84条)。

8 参考HP
(1)   伊藤良徳弁護士HP「法テラスの代理援助を使う場合」
(2) いがらし司法書士事務所HP「法テラスの報酬基準~項目別 着手金・報酬金等の一覧表~」   

第4 法テラスの業務内容

日本司法支援センター(愛称は法テラス)の平成28年度業務実績報告書3頁及び4頁によれば,法テラスの業務内容は以下のとおりです。

1 本来業務(総合法律支援法第30条第1項)
(1)   情報提供業務
   利用者からの問合せに応じて、法制度に関する情報と、相談機関・団体等(弁護士会、司法書士会、地方公共団体等の相談窓口等)に関する情報を無料で提供する業務。
(2)   民事法律扶助業務
   経済的にお困りの方が法的トラブルに遭ったときに、無料で法律相談を行い(法律相談援助)、必要な場合、民事裁判等手続に係る弁護士又は司法書士の費用等の立替え等を行う(代理援助、書類作成援助)業務。
(3)   国選弁護等関連業務
ア 国選弁護人及び国選付添人になろうとする弁護士との契約締結、国選弁護人候補及び国選付添人候補の指名並びに裁判所への通知、国選弁護人及び国選付添人に対する報酬・費用の支払等を行う業務。
イ 国選被害者参加弁護士になろうとする弁護士との契約締結、国選被害者参加弁護士候補の指名及び裁判所への通知、国選被害者参加弁護士に対する報酬・費用の支払等を行う業務。
(4)   司法過疎対策業務
   身近に法律家がいない、法律サービスへのアクセスが容易でない司法過疎地域の解消のため、支援センターに勤務する弁護士が常駐する「地域事務所」を設置し、法律サービス全般の提供等を行う業務。
(5)   犯罪被害者支援業務
   犯罪の被害に遭われた方やご家族の方などが、そのとき最も必要な支援が受けられるよう、被害の回復・軽減を図るための法制度に関する情報を提供するとともに、犯罪被害者支援を行っている機関・団体と連携しての適切な相談窓口の紹介や取次ぎを行い、必要に応じて、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介する業務。
(6)   被害者参加旅費等支給業務
   犯罪の被害に遭われた方やご家族の方などが、適切に刑事裁判に参加することができるよう、被害者参加人として公判期日(又は公判準備)に出席した際の旅費、日当及び宿泊料を支給し、経済的な側面から犯罪被害者等を支援する業務。

2 受託業務(総合法律支援法第30条第2項)
   支援センターの本来業務の遂行に支障のない範囲で、国、地方自治体、非営利法人等から委託を受けて、委託に係る法律事務を契約弁護士等に取り扱わせる業務。

3 東日本大震災法律援助事業(震災特例法第3条第1項)
   東日本大震災について災害救助法が適用された市町村(東京都を除く。)に平成23 年3月11 日時点で住所等を有していた方を対象に、資力の状況にかかわらず、無料で法律相談を行い(震災法律相談援助)、震災に起因する紛争について、裁判外紛争解決手続を含む従来の民事法律扶助制度より広い範囲の法的手続に係る弁護士又は司法書士の費用等の立替え等を行う(震災代理援助、震災書類作成援助)業務。

第5 その他法テラス関係

1(1) 法テラスのリーフレット・パンフレット,法テラス白書等は,法テラスHPの「刊行物」に掲載されています。
(2) 「民事法律扶助のしおり」は,法テラスの代理援助決定が出た時点で,依頼した弁護士を通じて交付されます。

2   法テラス大阪の電話番号は050-3383-5425であり,法テラス堺の電話番号は050-3383-5430です(法テラス大阪HPの「法律相談をご希望の方へ」参照)。

3  法テラスの業務方法書等は,法テラスHPの「関連法令・各種規程」に掲載されています。

4 法テラスの業務実績報告書は,法テラスHPの「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づく公表事項」に掲載されています。

5(1) 法テラスHPの「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律に基づく公表事項」に,設立初年度である平成18年度以降の,法テラスの業務実績報告書が載っています。
(2) 法テラスの情報公開手続については,法テラスHPの「開示請求の手引き」に載っています。

6 法務省の法曹養成制度改革連絡協議会の第8回協議会(平成29年10月11日開催)資料1-10「法律相談援助件数等の推移」には,平成23年度ないし平成27年度の法律相談援助件数の推移及び援助開始決定件数の推移が載っています。

第6 法律扶助に関する弁護士職務基本規程等に関する条文

1 弁護士職務基本規程(平成16年11月10日会規第70号)33条(法律扶助制度等の説明)
   弁護士は、依頼者に対し、事案に応じ、法律扶助制度、訴訟救助制度
その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、裁判を受ける権利が保障されるように努める。

2 債務整理事件処理の規律を定める規程(平成23年2月9日会規第93号)6条(民事法律扶助制度の説明)
   弁護士は、債務整理事件を受任するに際しては、事案に応じ、当該債務者の経済生活の再生の観点から必要かつ相当と認められる場合には、法律扶助制度その他の資力の乏しい者の権利保護のための制度を説明し、当該債務者が当該制度の利用を希望するときは、その利用が可能となるように努める。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。