裁判官の種類,再任拒否等

第0 目次

第1   裁判官の種類
第2   裁判官人事の辞令書
第3の1 職務代行裁判官
第3の2 裁判官の再任等に関する事務
第4の1 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移
第4の2 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧(平成29年10月1日追加

*0 「弁護士任官」も参照してください平成29年11月5日移転)。
*1 「裁判官の職務に対する苦情申告方法」も参照してください。
*2 東弁リブラ2009年11月号「裁判官になりませんか?-弁護士任官を考える-」が参考になります。
判事再任願
判事任命願
再任(判事任命)希望者に関する報告書

第1 裁判官の種類

1 裁判官の種類は以下のとおりです(裁判所法5条)。
①   最高裁判所長官(1人)
→   内閣の指名に基づき,天皇が任命します(憲法6条2項,裁判所法39条1項)。
②   最高裁判所判事(14人)
→   内閣が任命し,天皇が認証します(憲法79条1項,裁判所法39条2項及び3項)。
③   高等裁判所長官(8人)
→   最高裁判所の指名した者の名簿によって,内閣が任命し,天皇が認証します(憲法80条1項本文前段,裁判所法40条1項及び2項)。
④   判事
→   最高裁判所の指名した者の名簿によって,内閣が任命します(憲法80条1項本文前段,裁判所法40条1項)。
   通常は,判事補を10年経験した者の中から任命されます(裁判所法42条1項1号参照)。
⑤   判事補
→   最高裁判所の指名した者の名簿によって,内閣が任命します(憲法80条1項本文前段,裁判所法40条1項)。
   司法修習生の修習を終えた者の中から任命されます(裁判所法43条)。
⑥   簡易裁判所判事
→   最高裁判所の指名した者の名簿によって,内閣が任命します(憲法80条1項本文前段,裁判所法40条1項)。
   通常は,(a)判事補を3年経験した者,及び(b)簡易裁判所判事選考委員会の選考を経た裁判所書記官(裁判所法45条,簡易裁判所判事選考規則(昭和22年9月19日最高裁判所規則第2号)参照)が任命されます。
 
2   裁判官の具体的な配属先は,最高裁判所によって定められ(裁判所法47条参照),これを「補職」といいます。

第2 裁判官人事の辞令書

1(1) 以下の辞令書には,年月日が記入され,最高裁判所と記載されます(裁判所公文方式規則(昭和22年9月19日最高裁判所規則第1号)5条)。
① 下級裁判所の裁判官の補職
② 支部に勤務する裁判官の指名
③ 簡易裁判所の司法行政事務を掌理する裁判官の指名
④ 特例判事補の指名
⑤ 部総括裁判官の指名
⑥ 下級裁判所の裁判官の報酬
(2) 裁判官人事の辞令書の例として,平成28年3月18日付の辞令書(大阪地裁所長等の玉突き人事)を掲載しています。

2 裁判所における人事の辞令には,「任命する」,「補する」,「充てる」,「命ずる」といった言葉が使用されています。
  しかし,「任命する」,「補する」,「充てる」,「命ずる」の違いが分かる文書は,最高裁判所には存在しません(平成28年度(最情)答申第17号(平成28年6月28日答申))。

大阪地裁所長の辞令書
大阪高裁部総括判事の辞令書
大津地家裁所長の辞令書

第3の1 職務代行裁判官

1 最高裁判所が命ずる職務代行裁判官
(1) 最高裁判所は,高等裁判所レベルでの職務代行裁判官の発令だけでは差し迫った必要を満たすことができない場合,自ら職務代行裁判官を命ずることができます(裁判所法19条2項及び28条2項並びに31条の5)。
(2) 最高裁判所が命ずる職務代行裁判官の詳細については,最高裁判所の命ずる裁判官の職務代行について(昭和25年12月28日付の最高裁判所事務総長依命通達)に書いてあります。

2 高等裁判所が命ずる職務代行裁判官
(1) 高等裁判所は,管内の地家裁判事に対し,高裁判事の職務代行を命じたり(裁判所法19条1項),他の地家裁判事の職務代行を命じたりできます(裁判所法28条1項・31条の5)。
(2) 高等裁判所が裁判官の職務代行を命じたり,免じたりしたときは,その旨を最高裁判所に報告する必要があります(「高等裁判所が命ずる裁判官の職務代行の報告について」(昭和60年11月27日付の最高裁判所人事局長の通達)参照)。
(3)   実例として,樋口英明名古屋家庭裁判所部総括裁判官は,平成27年4月1日,名古屋高等裁判所から福井地方裁判所判事職務代行を命ぜられた上で,同月14日,高浜原発再稼働差し止めの仮処分決定を出しました。

第3の2 裁判官の再任等に関する事務

1 最高裁判所勤務の裁判官の再任等については,「裁判官の再任等に関する事務について」(平成16年6月17日付の最高裁判所事務総局人事局長の通達)に基づいて運用されています。
 
2 下級裁判所勤務の裁判官の再任等については,「裁判官の再任等に関する事務について」(平成16年6月17日付の最高裁判所事務総局人事局長の通達)に基づいて運用されています。
 
3 二つの通達につき,題名及び日付は同じですが,文書番号が異なります。

4 現職裁判官全員について10年の任期満了日が記載された文書は存在しません(平成29年度(最情)答申第31号(平成29年9月11日答申))。
略歴カード
略歴カード(記載例)
略歴カード(記載要領)

第4の1 下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移

1(1)  下級裁判所裁判官指名諮問委員会は,平成15年5月1日施行の下級裁判所裁判官指名諮問委員会規則に基づき,最高裁判所に設置されている委員会であり,再任を希望する裁判官の再任が適当かどうか等について,最高裁判所に対して答申をしています。
   詳細については,「裁判官の職務に対する苦情申告方法」を参照してください。
(2) 日弁連HPの「裁判官制度改革」に,下級裁判所裁判官指名諮問委員会のことが書いてあります。

2   下級裁判所裁判官指名諮問委員会で再任不適当とされた裁判官の数の推移は,以下のとおりです。
   同委員会で再任不適当とされた裁判官は,再任願いを取り下げたか,又は最高裁判所による再任拒否の対象になったと思われます。
 
(1) 判事再任(任官21年目又は31年目)及び判事新任(任官11年目)の場合(内訳は不明)
ア 平成16年4月における36期等の再任及び46期の新任181人中 6人が不適当(平成15年12月2日の議事要旨3頁)
イ 平成17年4月における37期等の再任及び47期の新任179人中 4人が不適当(平成16年12月3日の議事要旨3頁)
ウ 平成18年4月における38期等の再任及び48期の新任189人中 4人が不適当(平成17年12月9日の議事要旨3頁及び4頁)
→ このとき,48期の井上薫横浜地裁判事が再任拒否されました(外部ブログの「裁判官4人再任拒否」参照)。 
エ 平成19年4月における39期等の再任及び49期の新任193人中 4人が不適当(平成18年12月8日の議事要旨4頁)
オ 平成20年4月における40期等の再任及び50期の新任205人中 3人が不適当(平成19年12月7日の議事要旨3頁)
カ 平成21年4月における41期等の再任及び51期の新任166人中 4人が不適当(平成20年12月5日の議事要旨2頁及び3頁)
キ 平成22年4月における42期等の再任及び52期の新任189人中 3人が不適当(平成21年12月1日の議事要旨3頁)

(2) 判事新任(任官11年目)の場合
ア 平成22年10月における53期の新任 75人中 0人が不適当(平成22年7月2日の議事要旨3頁)
イ 平成23年10月における54期の新任 97人中 2人が不適当(平成23年7月8日の議事要旨3頁)
ウ 平成24年10月における55期の新任 90人中 2人が不適当(平成24年7月5日の議事要旨3頁)
エ 平成25年10月における56期の新任 94人中 1人が不適当(平成25年7月8日の議事要旨3頁)
オ 平成26年10月における57期の新任102人中 1人が不適当(平成26年6月27日の議事要旨3頁)
カ 平成27年10月における58期の新任107人中 0人が不適当(平成27年7月3日の議事要旨3頁)
キ 平成28年10月における59期の新任104人中 0人が不適当(平成28年7月6日の議事要旨3頁)
ク 平成29年 9月における現行60期(任官時52人)を含む69人中 0人が不適当(平成29年7月7日の議事要旨3頁)
 
(3) 判事再任(任官21年目又は31年目)の場合
ア 平成23年4月における43期等の再任及び判事新任116人中 3人が不適当(平成22年12月3日の議事要旨3頁)
イ 平成24年4月における44期等の再任及び判事新任101人中 2人が不適当(平成23年12月2日の議事要旨3頁)
ウ 平成25年4月における45期等の再任及び判事新任117人中 4人が不適当(平成24年12月10日の議事要旨3頁)
エ 平成26年4月における46期等の再任及び判事新任122人中 2人が不適当(平成25年12月9日の議事要旨2頁及び3頁)
オ 平成27年4月における47期等の再任及び判事新任120人中 2人が不適当(平成26年12月5日の議事要旨3頁)
カ 平成28年4月における48期等の再任及び判事新任121人中 2人が不適当(平成27年12月4日の議事要旨3頁)
ク 平成29年4月における49期等の再任及び判事新任184人中 2人が不適当(平成28年12月2日の議事要旨3頁)

第4の2 平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧

〇平成20年度以降,任期終了により退官した裁判官の一覧は以下のとおりです。
○20期代の任期終了退官の場合,勤続40年となりますから,大学卒業直後に裁判官になっていたとしても,任期更新後,定年までの期間は1年もありません(例えば,10月生まれの場合,定年まで約半年です。)。
   そのため,この場合,実質的には定年退官とほぼ同じです。
「裁判官の年収及び退職手当(推定計算)」も参照してください。

平成20年
4月 7日:30期の小林秀和,30期の畑中芳子
4月11日:27期の木村烈
4月12日:50期の和田はる子,50期の新阜創太郎
 
平成21年
4月 1日:25期の島田清次郎,26期の田中信義,26期の布村重成
4月 9日:31期の荒井九州雄
4月11日:41期の一木泰造,41期の村越啓越,41期の山田徹,41期の伊沢文子
→ 41期の一木泰造 福岡高裁宮崎支部判事につき,平成21年2月8日,福岡発宮崎行きの高速バスの車内で女子短大生に痴漢行為を働き,同月10日に準強制わいせつ罪で逮捕され,同月27日に起訴されて,同年7月7日に懲役2年執行猶予5年の有罪判決を言い渡されました。
   しかし,任期満了が近かった関係で弾劾裁判が実施されることはありませんでした。
 
平成22年
4月10日:42期の尾﨑智子,42期の磯貝祐一,52期の櫛橋明香,52期の高松晃司
 
平成23年
4月 1日:28期の伊藤正高
4月 9日:43期の西田時弘,43期の左近司映子,43期の亀井宏寿,43期の早川真一
10月17日:54期の中野智昭,54期の井原千恵
 
平成24年
4月13日:34期の村田鋭治,34期の河野泰義
10月16日:55期の内藤大作
 
平成25年
4月 9日:45期の山下美和子
4月10日:25期の紙浦健二,25期の有吉一郎
10月1日:43期の大庭和久
 
平成26年
4月 1日:33期の石田裕一,35期の加藤美枝子
4月12日:26期の柴田秀樹
4月13日:46期の河村隆司
10月16日:57期の岸田航
 
平成27年
4月11日:37期の高橋裕,37期の源孝治
 
平成28年
4月 9日:28期の氣賀澤耕一
4月11日:38期の小池一利,48期の堀禎男
 
平成29年
4月10日:39期の植野聡,49期の常盤紀之,49期の佐藤健,49期の新阜真由美
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。