司法修習生の修習専念義務,兼業・兼職の禁止及び守秘義務

第0 目次

第1   司法修習生の修習専念義務
第2の1 司法修習生の兼業・兼職の禁止
第2の2 第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼業禁止の緩和)
第2の3 司法修習生の兼業に関する事務連絡
第2の4 兼業許可の具体的基準を定めた文書は存在しないこと
第2の5 司法修習生の兼業の状況
第2の6 修習専念義務に関する最高裁判所人事局長の答弁
第2の7 行政官国内研究員制度(司法修習コース)
第3の1 司法修習生の守秘義務に関する,「修習生活へのオリエンテーション」の記載
第3の2 司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例等
第3の3 司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策等
第3の4 70期司法修習生のツイッターの内容は開示されないこと
第4   司法修習生と民間労働者との比較

*1 弁護士の守秘義務については,「弁護士の守秘義務,弁護士職務基本規程等」を参照して下さい。
   また,裁判官の兼職については,「裁判所の司法行政」を参照してください。
*2 「司法修習生の兼業について(事務連絡)」(平成30年10月19日付の司法研修所事務局長事務連絡)を掲載しています。
*3 裁判所HPの「司法修習の特徴と司法修習生」には以下の記載があります。
   司法修習生に採用されると,修習に専念すべき義務(修習専念義務),秘密を保持する法的義務(秘密保持義務)を負います。修習専念義務は,修習期間中,司法修習生が,全力を修習のために用いてこれに専念すべきであることを課されるものです。秘密保持義務は,具体的な事件について修習することから,法曹が守秘義務を負うのと同様に,法的な義務として司法修習生に課されるものです。
*4 法と経済ジャーナルHP「インターネットで訴訟記録を閲覧できる米国に見るサービスの進歩」によれば,アメリカの場合,PACERというサイトを利用すれば,インターネット上で訴訟記録を閲覧できるみたいです。
*5 司法修習生の兼業届出の取扱いについて(平成19年12月6日付の司法研修所事務局長の事務連絡)を掲載しています。
*6 大阪府堺市は,元職員(懲戒免職)が平成23年の選挙の全有権者情報約68万件などの業務情報を無断で持ち帰り,民間のレンタルサーバーに閲覧可能な状態で保存したという不祥事(平成27年12月に調査結果発表)を受けて,平成28年2月,住民情報を扱うパソコン約1000台に対し,USB接続口を物理的に塞ぎ,鍵をかける措置を行ったことを公表しました(ヤフーニュースの「堺市が情報漏洩対策で「USBの穴ふさぐ」 効果はあるの?」(平成28年2月22日配信)参照)。
兼業許可申請書

第1 司法修習生の修習専念義務

1   平成24年11月当時の,「修習生活へのオリエンテーション」には,以下の記載があります。
 
   司法修習生は,修習期間中,その全力を修習のために用いて,これに専念すべき義務があります(裁判所法67条2項)。
   これは,司法修習が,法曹養成に必須の課程として,国が多大な人的,物的資源を投入して運営しているものであることや,法律実務についての基本的な知識と技法や法曹としての職業意識と倫理観を定められた期間内に修得するためには,これに全力を投入してもらう必要があることなどから導かれるものです。このような観点から,司法修習生は,国民に対し,法の支配の立派な担い手となるよう修習に専念すべき義務を負うことになります。
 
2 その余の詳細は「司法修習生の修習専念義務」を参照してください。

第2の1 司法修習生の兼業・兼職の禁止

1(1) 司法修習生は,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことはできません(司法修習生に関する規則2条)。
(2) 司法修習生の兼業届出の取扱いについて(平成19年12月6日付の司法研修所事務局長の事務連絡)を掲載しています。

2 その余の詳細は「司法修習生の兼業・兼職の禁止」を参照してください。

第2の2 第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼業禁止の緩和)

   平成26年1月31日現在の状況を記載した「第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼職禁止の緩和)について」の内容は,以下のとおりです。

第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼職禁止の緩和)について

   法曹養成制度検討会議や法曹養成制度関係閣僚会議から,法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動について兼業を認めるべきとの提言をいただいたことを受けて,最高裁判所において兼業許可の在り方について検討した結果,修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で,兼業許可の運用を緩和することとした。
  今回の兼業の緩和に当たっては,修習専念義務が定められた趣旨からみて不相当かどうかという観点から判断している。許否の判断に当たっては,申請書に記載された兼業先,業務内容,業務従事時間等の事情を確認した上で判断している。

1 第67期司法修習生における兼業許可の申請数,許可数及びそれらの全司法修習生に対する割合(上記緩和型に関するもののみ)
(申請人数)
  142人(平成26年1月31日現在)
(許可人数等)
  許可人数   142人
  司法修習生  1972人
  司法修習生に占める割合  7.2パーセント
  (いずれも平成26年1月31日現在)

2 許可された業務内容及び勤務先等の詳細
○ 法科大学院における講義・ゼミの講師,学修相談,教材作成,答案添削・採点等
○ 司法試験等受験予備校における講義・ゼミの講師,個別指導,教材作成,答案添削・採点等
○ 学修・進学塾の講師,家庭教師等

3 許可されなかった業務内容及び勤務先等の詳細
   不許可としたものはない。

4 兼業許可基準の具体的内容
   具体的な許可基準は定めておらず,兼業の許否の判断に当たっては,業務内容や業務量,業務従事時間等からみて,精神的・身体的負担が重いため司法修習への専念を困難にするかどうか,中立公正性の要請や守秘義務との関係で問題がないかどうかといった観点から,事例ごとに個別具体的な事情を確認している。

5 兼業によって得られる収入の最高額及び最低額並びにその確認方法
   兼業の内容として,時給や日給及び答案添削業務における答案1通あたりの報酬単価等を確認しているが,実際に得られる収入金額については把握していない。

6 兼業に従事している時間の最高時間及び最低時間並びにその確認方法
   許否の判断に当たっては,申請書及び勤務先の募集案内等の資料により兼業に従事する時間を確認しているところ,兼業に係る業務内容,従事時間,契約内容等により兼業従事時間は様々であり,一概には説明することは困難である。
    ただし,許可となった事例についてはいずれも,基本的には休日等の司法修習に支障のない時間帯を利用して行う業務となっており,問題があるものは見当たらなかった。

第2の3 司法修習生の兼業に関する事務連絡

1 「司法修習生の兼業について(事務連絡)」(平成27年10月16日付の司法研修所事務局長事務連絡)を掲載しています。
 
2  本文は以下のとおりです。
 
   司法修習生は,修習期間中,修習に専念すべき義務を負っており,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことができないとされ,兼職・兼業が原則として禁止されています(裁判所法67条2項,司法修習生に関する規則2条)。
   この点,司法修習生の兼業の許可について,平成25年6月26日,政府に設置された法曹養成制度検討会議の最終取りまとめにおいて,法の定める修習専念義務を前提に,その趣旨や司法修習の現状を踏まえ,司法修習生の中立公正性や品位を損なわないなど司法修習に支障を生じない範囲において従来の運用を緩和し,司法修習生が休日等を用いて行う法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動により収入を得ること(以下「対象業務」という。)を認めるべきとの提言がされ,同年7月1 6日に開催された法曹養成制度関係閣僚会議において,上記最終取りまとめを是認する内容の決定がされました。
   そこで,最高裁判所において,こうした状況等も踏まえて兼業許可の在り方について検討した結果,対象業務については,事例ごとに個別具体的な事情を確認する必要があるものの,その業務内容に照らし,休日等に行う限りにおいては,許可しても差し支えない場合が多いと考えられることから,この点に関するこれまでの取扱いを緩和しています。
   ついては,司法修習中に対象業務を行おうとする場合には,別添の申請書式を利用するなどして,兼業許可申請書を司法研修所事務局企画第二課調査係宛てに提出する方法(ただし,配属庁会における実務修習中はその配属庁会の司法修習事務担当者宛てに提出する方法)により,最高裁判所に許可の申請をしてください。
   なお,許否の判断にはある程度の期間を要するため,兼業の許可が必要な場合には,十分な余裕を持って申請してください。

第2の4 兼業許可の具体的基準を定めた文書は存在しないこと

「司法修習生の兼業許可の具体的基準を定めた文書は存在しないこと」に移転させました。

第2の5 司法修習生の兼業の状況

「司法修習生の兼業の状況」に移転させました。

第2の6 修習専念義務に関する最高裁判所人事局長の答弁

「司法修習生の兼業の状況」に移転させました。

第2の7 行政官国内研究員制度(司法修習コース)

「行政官国内研究員制度(司法修習コース)」に移転させました。

第3の1 司法修習生の守秘義務に関する,「修習生活へのオリエンテーション」の記載

○平成24年11月当時の,「修習生活へのオリエンテーション」には,以下の記載があります。

  司法修習生は,修習に当たって知り得た秘密を漏らしてはいけません(司法修習生に関する規則3条)。
  司法修習生は,個人のプライバシーに深くかかわる具体的な事件等を素材として,法律実務を学ぶことから,裁判官,検察官又は弁護士が守秘義務を負うのと同様に,当然に秘密を守らなければなりません。
  特に,実務修習においては,実務修習地の裁判所,検察庁及び弁護士会でそれぞれ実際に具体的な事件を素材として修習しますから,当該事件等に関する秘密の保持には十分注意する必要があります。事件記録そのものについてはもちろんですが,事件に関する電子データについても,外部に流出しないようルールにのっとって厳重に管理しなければなりません(「司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策について」(注記載の「司法修習生が取り扱う集合修習関連の情報のセキュリティ対策について」を含む。)参照)。とりわけ,いわゆるファイル共有ソフトの利用,コンピュータ・ウィルスの感染やUSBメモリ等の紛失・盗難による情報の流出には,それ自体社会から厳しい目を向けられています。絶対にこのようなことがないようにしなければなりません。
  また,司法修習生ではない一般の人はもちろんのこと,たとえ他の修習生(メーリングリスト等への投稿なども含む。)と話す場合であっても,常に自分の話そうとすることが守秘義務に反するものでないかを意識する必要があります。特に,一般の人に聞かれるような場所(例えば,エレベータや電車やバスの中など)で,事件関係のことを不用意に話すことがないように十分注意しなければなりません。
(中略)
  なお,修習について外部に表現(雑誌投稿やウェブサイト,ブログへの掲載等)する場合は,具体的な事件等に関する秘密の保持を十全なものとすべきことはもとより,司法研修所教官や配属庁会の指導担当者は,実務の実際を修習するという教育上の配慮から,公にすることを前提としないで司法修習生に対して各種の指導をすることも多くあることも踏まえ,守秘義務に反するものでないかを十分に確認するとともに,前記の配慮を無にすることのないよう,表現には十分に注意を払って下さい。

第3の2 司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例等

1 平成20年6月20日付の「「前科43犯ぜひ45目指してほしい」司法修習生軽率ブログ閉鎖」によれば,同月12日に最高裁が長崎地裁に連絡して,同月14日に「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログが閉鎖されたそうです。
  また,企業法務戦士の雑感ブログ「「法曹」「守秘義務」とは何ぞや?」(平成20年6月19日付)によれば,検察修習のほか,刑裁修習に関して,色々と感想を書いていたみたいです。

2 その余の詳細は「司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例」を参照してください。

第3の3 司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策等

「司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策」に移転させました。

第3の4 70期司法修習生のツイッターの内容は開示されないこと

平成29年5月29日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「司法研修所が作成又は取得した,70期司法修習生のツイッターの内容」には,個人識別情報及び公にすると個人の権利利益を害するおそれがある情報が記載されている点で情報公開法5条1号に該当するから,開示してもらえません。

第4 司法修習生と民間労働者との比較

1 司法修習生の欠席,罷免及び逮捕並びに民間労働者との比較を参照して下さい。

2 民間労働者との比較でいえば,司法修習生の労働者性は否定されていることが当然の前提となっています。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。