判決に基づく強制執行

第0 目次

第1  全く債権の回収をできない場合があること
第2  差押えの対象とならない財産
第3  強制執行の手続に関する留意点
第4  債権差押えの申立て前の留意点
第5  債権差押えの申立て後の留意点
第6  敗訴した相手方が強制執行に対して争う方法
第7  公務の執行を妨害する罪
第8  債権差押えと譲渡禁止特約との関係等
第9  財産開示手続
第10 相手方が自己破産又は個人再生をした場合の取扱い
第11 民事執行手続に関する研究会報告書

*1 「婚姻費用又は養育費の不払いがあった場合の強制執行等」も参照してください。
*2 東京地裁HPの「執行事件記録の閲覧謄写事務に際してのご注意」には,閲覧申請時の持参書類,不動産執行事件関係における利害関係人の代表例等が載っています。
*3 最高裁判所が運営しているBIT(不動産競売物件情報サイト)に,全国の不動産競売物件情報等が載っています。
*4 執行官等に関する事務について(平成6年12月20日付の最高裁判所事務総長通達)を掲載しています。
*5 不動産競売の実情及び執行官については,元執行官曝松公平(されまつこうへい)の以下のHP及びブログが参考になります。
① 不動産競売価格統計
② 不動産競売「戸建て」市場の活性度
③ 曝松公平の執行官ブログ 

第1 全く債権の回収をできない場合があること

1(1)   全部認容判決が下された場合であっても,相手方が任意に支払ってこない場合がありますところ,その場合,預貯金債権等に対して債権執行すること等により債権回収を図ることとなります。
   しかし,以下のような場合,相手方が破産手続又は再生手続に移行しない場合であっても,全く債権の回収をできないことがあります。
①   預貯金
(a)   存在自体が不明である場合
→   ただし,執行実務では,第三債務者である銀行の複数の店舗のうちの一つをその名称により個別具体的に特定して表示すれば足りるという意味で支店名個別特定方式がとられています(東京高裁平成23年10月26日決定参照)。
   そのため,銀行名及び支店名さえ分かれば,預金種類及び口座番号まで知っている必要はないです。
(b)   相手方に銀行等からの借入がある場合
(c)   銀行等に対する権利質(民法362条)の設定がある場合
②   土地建物
(a)   銀行等の抵当権によりオーバーローン(=担保不足)の状態である場合
→   被担保債権の額と,国税庁発表の路線価(毎年22年7月1日に発表されています。)との比較によりおおよその見当は付きます。
(b)   税務署,府税事務所,市税事務所等の滞納処分に基づく差押え又は参加差押えがある場合
→   年14.6%の延滞税(国税通則法60条2項。平成25年分までは年14.6%,平成26年分は年9.2%,平成27年分は年9.1%)又は延滞金(地方税法321条の2第2項等)が発生する税金を滞納しているということは,それだけ資金繰りが苦しいということです。
③   売掛金
(a)   第三債務者となる売掛先が,債務者である相手方に対し,反対債権による相殺を主張できる場合
(b)   相手方が既に,競合債権者のために集合債権譲渡担保を設定している場合(最高裁平成13年11月22日判決参照)
→    債権譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされた時点で対抗要件を具備します(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律4条1項)ものの,通常は相手方が支払不能になる前に登記されています。
④   有価証券
(a)   銀行等に対する権利質(民法362条)の設定がある場合
⑤   登録自動車
(a)   自動車登録番号(=プレートナンバー)が不明である場合
(b)   自動車ローン会社の留保所有権が残っている場合
⑥   家財道具その他の動産類
(a)   日常生活に不必要な高価な品物がない場合
→   家財道具は原則として差押禁止動産に該当します(民事執行法131条1号等参照)。
(b)   セール・アンド・リースバックがなされている場合
→   リース会社にすべての動産を売却した上で,リース会社からリースを受けている状態のことをいいますところ,この場合,動産類の所有権はリース会社にありますから,動産執行の対象とすることはできません。
   この方法は,動産執行に対する有力な妨害手段として利用されています。
(c)   相手方が既に,競合債権者のために在庫商品等について集合動産譲渡担保を設定している場合(最高裁昭和62年11月10日判決参照)
→   動産譲渡登記ファイルに譲渡の登記がされた時点で対抗要件を具備します(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律3条1項)ものの,通常は相手方が支払不能になる前に登記されています。

2(1)   土地建物といった不動産を対象とする不動産執行を申し立てる場合,申立ての際に90万円以上の民事執行予納金(民事執行法14条1項前段参照),及び請求債権の0.4%の登録免許税を納付する必要があります(大阪地裁第14民事部(執行)HPの「不動産執行申立てに必要な書類等」参照)。
   不動産執行における民事執行予納金は,①現況調査報告書を作成する執行官の報酬,②評価書を作成する評価人の報酬,③執行官の売却実施手数料等に使用されます。
(2)   0.4%の登録免許税は収入印紙で納付しますところ,当該収入印紙は,裁判所が法務局に対し差押登記を嘱託する際に使用されます。

3(1)    集合債権譲渡担保の有無は,「債権譲渡・質権設定登記の登記事項概要証明書」を法務局で取り寄せない限り,設定されているかどうかは分かりません(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律11条1項)。
(2)    集合動産譲渡担保の有無は,「動産譲渡登記の登記事項概要証明書」を法務局で取り寄せない限り,設定されているかどうかは分かりません(動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律11条1項)。
    集合動産譲渡担保の効力は,目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及びます(最高裁平成22年12月2日決定)。
   そのため,一般の債権者は損害保険金を差し押さえることもできません。

4(1)   相手方が休眠会社である場合,会社からの債権回収は不可能です。
(2)   休眠会社とは,株式会社であって,当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいい(会社法472条1項本文),取締役の任期が最大で10年であること(会社法332条2項)を考慮した定めになっています。

第2 差押えの対象とならない財産

1 給料及び退職金は,債務者の生活権の保護等のため,原則としてその4分の3の部分について,差押えが禁止されています(民事執行法152条1項及び2項)。
   ただし,給料が月額44万円を超える場合,33万円の差押えが禁止されるに過ぎず,33万円を超える全額の差押えが認められています(民事執行法施行令2条)。

2 請求債権が扶養義務等に係る定期金債権(例えば,養育費,婚姻費用)の場合,給料及び退職金の2分の1に限り,差押えが禁止されているにすぎません(民事執行法152条3項)し,確定期限(民事執行法30条1項参照)が到来していなくても強制執行が可能です(民事執行法151条の2)。
   ただし,給料が月額66万円を超える場合,33万円の差押えが禁止されるに過ぎず,33万円を超える全額の差押えが認められています(民事執行法施行令2条)。

3 公的年金については一切,差押えが禁止されています(例えば,国民年金につき国民年金法24条本文)。

4 敗訴した相手方の同居の親族名義の不動産等に対しては,それが敗訴した相手方所有の財産であることを書面等の客観的資料で証明できない限り,強制執行をすることはできません。

第3 強制執行の手続に関する留意点

1 強制執行は依頼した弁護士限りで対応できますから,依頼者が裁判所に出頭する必要が生じることはまずありません。

2 強制執行を申し立てる場合,所定の書式の委任状に改めて署名押印する必要があります。

3(1) 強制執行を申し立てるためには,前提として,執行文の付与を受けた上で(民事執行法26条),判決正本が相手方に送達済であること(民事訴訟法255条)を裁判所において確認する必要があります(民事執行法29条)から,強制執行の申立ては早くとも判決が言い渡されてから1週間程度後になります。
(2) 執行文というのは,強制執行ができるという証明書です。

4 債権者又は債務者について,債務名義上の住所と,現在の住所が異なる場合,現住所とは別に「債務名義上の住所」を併記する必要がありますし,旧住所等と新住所等のつながりを示す証明書(例えば,住民票,履歴事項証明書)の原本を裁判所に提出する必要があります。

5 管理組合が債権者の場合,定款又は管理規約,及び代表者を証する書面(例えば,管理組合の議事録)を提出する必要があります。

6 債権者又は債務者に承継があった場合,承継執行文の付与(民事執行法27条2項),並びに執行文及び承継を証する文書の謄本の送達証明書が必要となります(民事執行法29条後段)。

7   承継を証する文書を提出できない場合,債権者は執行文付与の訴えを提起する必要があります(民事執行法33条1項)。

8 執行文付与の訴えにおいて,債務者は,請求に関する異議の事由を抗弁として主張することはできないのであって,請求異議の訴えを反訴として提起する必要があります(最高裁昭和52年11月24日判決)。

9 執行手続は本案手続とは別個独立の手続ですから,本案における「送達の場所」を前提とした固定的効力の影響は受けません。
  そのため,執行手続において不送達となれば,一から再送達の手順を踏むことになり,改めて切手を納付する必要があります。

10 大阪地裁の取扱い上,判決等が公示送達によって終了した場合,判決言渡し日から1ヶ月以内であれば申し出により第1回目から公示送達が可能です。

11 差押えの申立てをする時点で存在する債権額の全部を請求債権として差押えをした場合,当該差押えを取り下げない限り,後日,債務者に新たな財産が発見されたとしても差押えをすることができなくなります。
  そのため,債権額の一部だけを請求債権として差押えをし,もって,後日,債務者に新たな財産が発見されたときに改めて差押えをできるようにすることがあります。
  この場合,請求債権額は,差押えの申立てをする時点で存在する債権額よりも少ないものとなります。

12 債権者が,債務名義の成立後に,弁済を受け,又は弁済の猶予を承諾した旨を記載した文書が執行裁判所に提出された場合,強制執行が停止されます(民事執行法39条1項8号,2項及び3項)。
   そのため,相手方に対し,依頼した弁護士に相談することなく,文書なりメールなりを送付することは止めた方がいいです。

第4 債権差押えの申立て前の留意点

1 総論
(1) 債権差押命令の申立ては債務者の住所地を管轄する地方裁判所の専属管轄です(民事執行法19条,144条)。
    例えば,債務者が2名で管轄が異なる場合,それぞれの管轄裁判所に別々に申立てをする必要があります。
(2) 相手方が居住している区又は市町村にある日本銀行歳入代理店である金融機関の預金口座全部を差し押さえることで,預貯金の有無を探す場合があります。
    なお,日本銀行「歳入」代理店(日本銀行法45条及び日本銀行法施行令12条に基づく日本銀行業務方法書28条参照)は,国債の元利金の支払等まで行う日本銀行「一般」代理店と異なり,国庫金の受入(=国税,国民年金保険料,交通反則金等の受領)のみを専門的に行う日本銀行の代理店であり,郵便局及び民間金融機関のほぼすべてがこれに該当します。
(3) インターネット上のみで営業しているネットバンクの場合,一般の金融機関で想定される現実の支店が存在しないことから,支店を特定せずに債権差押命令が発令されます。
  ただし,ネットバンクであるということは裁判所にとって明らかでない場合もあるため,申立てにあたっては,ネットバンクであることを資料等で明らかにする必要があります。
(4) 給料なり賃金なり家賃なりといった継続的給付の差押えの場合,差押命令送達後に発生する債権も差押えができます(民事執行法151条)。
  しかし,大阪地裁の取扱い上,継続的給付と認められない売掛代金,請負代金等の将来分については,6ヶ月分しか認めてもらえません。
(5) 債権差押え(本差押え)に先行して仮差押命令を取得している場合,その旨を差押債権目録の末尾に記載する必要があります。
  なぜなら,この記載がないと,仮差押えと本差押えが競合したものとして取り扱われ(民事執行法165条参照),配当手続に移行することがあるからです。
(6) 債権者が差押え後,別の債権者が同じ債権を差し押さえると,差押えが競合することとなります。
  それを避けるために,申立てにより支払に代えて差押債権を券面額で転付する命令の発令を求めることもでき(転付命令。民事執行法159条),転付命令が確定すると,請求債権は差押債権の券面額で弁済されたものとみなされます(民事執行法160条)。
  ただし,被転付債権(差押債権)が存在しなかったときは,請求債権は消滅しなかったことになります(民事執行法160条参照)ところ,再度,債権差押えを申し立てる場合,第三債務者作成の差押債権が存在しない旨の証明書が必要となる点で非常にリスクを伴いますから,転付命令を利用しない弁護士もいます。
(7) 判決書の主文,和解調書の和解条項等に表示されていない場合,年5%の法定利息による遅延損害金を請求債権に含めることはできません。

2 関連判例
(1) 保険医療機関,指定医療機関等の指定を受けた病院又は診療所が社会保険診療報酬支払基金に対して取得する診療報酬債権は,基本となる同一の法律関係に基づき継続的に発生するものであり,民事執行法151条の2第2項に規定する「継続的給付に係る債権」に当たります(最高裁平成17年12月6日決定)。
(2) 差押債権の不存在又は消滅は,債権差押命令及び転付命令に対する執行抗告の理由とはなりません(東京高裁平成21年8月19日決定。なお,先例として,最高裁平成14年6月13日決定)。
(3) 差押債権を表示するに当たり,各第三債務者の全ての店舗を対象として順位付けをし(=全店一括順位付け方式),その上で,同一の店舗の預貯金債権については,先行の差押え又は仮差押えの有無,預貯金の種類等による順位付けをした申立ては,差押債権の特定を欠いて不適法となります(最高裁平成23年9月20日決定,及び同決定の裁判官田原睦夫の補足意見)。
(4) 債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものでなりません(最高裁平成24年7月24日決定。なお,先例として,最高裁昭和23年9月20日決定参照)。
   その関係で,普通預金債権のうち差押命令送達時後同送達の日から起算して1年が経過するまでの入金によって生ずることとなる部分を差押債権として表示した債権差押命令の申立てが,差押債権の特定を欠き不適法となります(最高裁平成24年7月24日決定)。

第5 債権差押えの申立て後の留意点

1 債権差押命令の発令と取立手続
(1) 大阪地裁の取扱い上,差押命令正本は,原則として発令日に第三債務者に発送され,その2日後ぐらいに債務者に発送されます。
    そして,第三債務者に差押命令が発令されると差押えの効力が生じ(民事執行法145条4項),債務者に送達されて1週間が経過すると取立権が発生します(民事執行法155条1項)。
    なお,取立権は取立債務ですから,第三債務者に対して取立訴訟(民事執行法157条)を提起する場合,第三債務者の住所地を管轄する裁判所に提起する必要があります。
(2) 債権差押命令の送達ができなかった場合,裁判所書記官から,送達すべき場所について必要な調査を求められることがあります(民事執行規則10条の3)。
(3) 債務者及び第三債務者に差押命令が送達されたのが裁判所で確認できた後,債権者に対し,裁判所から差押命令正本及び送達通知書(民事執行規則134条)が送付されます。
    それが届いたことを前提として,債務者に差押命令が送達されてから1週間が経過すると,第三債務者に対し,支払を求めることができるようになります(民事執行法155条1項)。
(4)   第三債務者から支払を受けた場合,直ちにその旨を裁判所に届ける必要があります(民事執行法155条3項,民事執行規則137条)。
(5) 債権執行の対象となった預金が存在するかどうかは,債権差押命令の発令(申立てをしてから1週間後ぐらいに出ます。)から2週間以内に提出される,金融機関の陳述書を見れば分かります(民事執行法147条,民事執行規則135条参照)。
(6) 金融機関の陳述書は事実の報告たる性質を有するにすぎないものであり,当該陳述において第三債務者が被差押債権の存在を認めて支払の意思を表明し,将来において相殺する意思がある旨を表明しなかったとしても,これによって債務の承認又は抗弁権の喪失というような実体上の効果を生ずることはありません(旧法時代の仮差押命令における陳述書に関する最高裁昭和55年5月12日判決参照)。
    つまり,事実上の報告に過ぎないということです。
(7) 債務者が個人の場合,預金口座の名義人に該当するかどうかが厳格に問われますから,本人確認書類として事前に住民票を取り寄せることで,正確な生年月日及び住所を確認することがあります。
(8) 強制執行の記録は,当事者を含む利害関係人の閲覧・謄写の対象となります(民事執行法17条)。
    そのため,競合する債権執行事件の記録を取り寄せることで,債務者が他に預貯金口座を持っていないかどうかを調査することはできます。
(9) 生命保険契約の解約返戻金請求権を差し押さえた債権者は,これを取り立てるため,民事執行法155条1項所定の取立権に基づき,債務者の有する解約権を行使することができます(最高裁平成11年9月9日判決)。
(10) 債権差押えが競合していない場合,一応は任意に支払ってくれますものの,金融機関(特に,株式会社ゆうちょ銀行)に対する取立ての手続は,依頼者本人の実印が押印されている委任状,及び印鑑登録証明書が必要になる関係で非常に面倒な手続が必要となります。
    また,金融機関は通常,窓口扱いの振込手数料を控除した金額しか振り込んでくれません。
(11) 三菱東京UFJ銀行の場合,東京都世田谷区にある差押えセンターが全国の支店の預金差押えに関する対応窓口になっていますところ,不備のない請求書類が届いてから1週間程度後に,依頼した弁護士の指定口座に振込みをしてくれます。
    これに対してその他の金融機関の場合,不備のない請求書類が届いてから翌営業日ぐらいまでに,依頼した弁護士の指定口座に振込みをしてくれます。

2 供託及び配当手続
(1) 債権差押えが競合した場合,債権差押えの対象となった口座を管理する金融機関の支店は,法務局に対し,差し押さえられた預金を供託し(民事執行法156条2項参照),裁判所に対し,事情届(民事執行規則138条)を提出します(民事執行法156条3項)。
   そのため,裁判所の配当手続(民事執行法166条1項1号参照)を通じて,差し押さえた預金を法務局まで取りに行くこととなります。
(2) 裁判所からの配当期日呼出状(民事執行法166条2項・85条3項)の記載にかかわらず,裁判所の配当期日には通常,誰も来ません。
  そのため,債権計算書(民事執行規則145条・60条)等を郵送したり,配当表(民事執行法166条2項・85条)及び払渡証明書(民事執行法166条2項・91条2項参照)を裁判所から郵送してもらったりするだけであり,その関係で1,000円程度の切手代がかかります。
(3) 配当手続は,差し押えた口座を管理する金融機関の支店単位で行われます。
(4) 債権差押えをしてから法務局でお金を回収するまでに,3ヶ月から半年ぐらいかかるのが通常です。
(5)ア 裁判所の配当手続では,債権差押命令の請求債権目録に記載された合計金額(=請求債権)に加えて,配当期日までの利息・損害金を請求することができます(民事執行法166条2項・85条1項及び2項,最高裁平成21年7月14日判決参照)。
   しかし,配当期日までの利息・損害金を請求する場合,請求債権の管理事務に膨大な手間が発生しますし,請求債権のせいぜい1%から3%までの金額に過ぎません。
  そのため,依頼した弁護士によっては,「債権計算書で請求債権中の遅延損害金を申立日までの確定金額として配当を受けることを求める意思」(最高裁平成21年7月14日判決参照)を明らかにすることで,配当期日までの利息・損害金は請求しない人もいます。
イ 債権差押命令の申立書には請求債権中の遅延損害金につき申立日までの確定金額を記載させる執行裁判所の取扱いに従って債権差押命令の申立てをした債権者が差押債権の取立てとして金員の支払を受けた場合,申立日の翌日以降の遅延損害金も上記金員の充当の対象となります(最高裁平成29年10月10日決定)。
(6) すべての差押債権について配当手続が終了した場合,債権差押命令の申立てを取り下げることとなります。
   この場合,裁判所書記官が,差押命令の送達を受けた債務者及び第三債務者に対し,取下げを通知することとなります(債務者につき民事執行規則14条,第三債務者につき民事執行規則136条1項)。
  そのため,債務者及び第三債務者の数だけ80円切手が必要となります。
(7) 債権差押命令が債務者及び第三債務者に送達されたものの,被差押債権が不存在のため,債権者が債権差押命令の取下げをした場合,債権差押えによる時効中断の効力は失効しないと解されています(京都地裁昭和38年12月19日判決。なお,先例として,大審院大正15年3月25日判決参照)。

第6 敗訴した相手方が強制執行に対して争う場合

1 執行抗告
(1) 敗訴した相手方が,強制執行に対し,法令の違反又は事実の誤認があることを理由に(民事執行規則6条2項参照),強制執行の告知を受けた日から1週間以内に(民事執行法10条2項),執行抗告(債権差押えの場合につき民事執行法145条5項)により争ってくることがごくごく稀にあります。
    ただし,この場合,原則として強制執行は停止しません(民事執行法10条6項参照)。
(2) 抗告裁判所は,抗告状又は執行抗告の理由書に記載された理由に限り,調査します(民事執行法10条7項本文)。
    ただし,原裁判に影響を及ぼすべき法令の違反又は事実の誤認の有無については,職権で調査することができます(民事執行法10条7項ただし書)。
(3) 執行抗告の場合,民事訴訟法54条1項の規定により訴訟代理人となることができる者でない限り,代理人となることはできません(民事執行法13条1項参照)。

2 請求異議の訴え及び執行停止の申立て
(1) 総論
ア 敗訴した相手方が,確定判決に基づく強制執行に対し,口頭弁論の終結後(=裁判の審理期日の後)に生じた事由に基づき,請求異議の訴え(民事執行法35条)を提起し,あわせて,担保の提供(民事執行法15条)をした上で,執行停止の申立て(民事執行法36条1項)をしてくることがごくごく稀にあります。
イ   請求異議の訴え及び執行停止の申立ては,判決を出した第一審裁判所が管轄裁判所となります(民事執行法35条3項・33条2項1号)。
ウ 民事執行法36条1項は,執行停止のほか,執行処分の取消しまで認めている点で,民事調停法又は特定調停法に基づく民事執行手続停止命令とは異なります。
   ただし,執行処分の取消しまで認められるのは請求原因について自白が成立したような場合に限られています。
エ 請求異議の訴えは,債務名義に確定されている請求それ自体につき,事後の変動があったことを事由としてその債務名義の執行力の排除を求める訴えです(最高裁昭和30年12月1日判決)。
オ 請求異議の訴えは,債務名義の存在を前提とし,その執行力の排除を目的とする訴えです(最高裁昭和40年7月8日判決)。
  そのため,債務名義が作成されれば訴えを提起することができるのであって,執行文が付与されたこと,又は執行が開始されたことは,請求異議の訴えの要件ではありません。
カ 強制執行停止の申立てをした申立人主張の権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,申立人が,そのことを知り又は通常人であれば容易にそのことを知り得たのに,敢えて強制執行停止の申立てをしたなど,強制執行停止の申立てが,制度の趣旨目的に照らして,著しく相当性を欠くと認められるときに限って,不当な訴訟行為による損害として,弁護士費用の賠償が求められるものと解されています(大阪高裁平成4年1月28日判決)。
キ 給付訴訟の訴訟物は,直接的には,給付請求権の存在及びその範囲であるから,右請求権につき強制執行をしない旨の合意(以下「不執行の合意」といいます。)があって強制執行をすることができないものであるかどうかの点は,その審判の対象にならないというべきであり,債務者は,強制執行の段階において不執行の合意を主張して強制執行の可否を争うことができます(最高裁平成5年11月11日判決)。

(2) 相殺禁止
ア 相殺の意思表示がなされたことによる債務の消滅を主張することは,請求異議の訴えにおいても認められていることです(最高裁昭和40年4月2日判決参照。なお,先例として,大審院連合部明治43年11月26日判決参照)。
   ただし,以下の相殺は禁止されています。
① 不法行為により生じた債権(例えば,交通事故に基づく損害賠償請求権)を受働債権とする相殺(民法509条)
→ 不法行為の加害者が相殺を主張することは許されないということであり,同一の交通事故によって生じた物的損害に基づく損害賠償債権相互間の相殺も許されません(最高裁昭和49年6月28日判決)。
   ただし,不法行為の被害者が相殺を主張することは許されます(最高裁昭和42年11月30日判決)。
② 差押禁止債権(例えば,未払の婚姻費用又は養育費の4分の3)を受働債権とする相殺(民法510条)
イ 不法行為の被害者が使用者であり,不法行為の加害者が労働者である場合,賃金の全額払いを定める労働基準法24条1項との関係で,使用者による相殺は許されません(最高裁大法廷昭和36年5月31日判決)。
   ちなみに,賃金の過払を原因とする相殺は,過払のあった時期から見て,これと賃金の清算調整の実を失わない程度に合理的に接着した時期においてなされる場合であり,しかも,その金額,方法等においても,労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれのない場合に限り許されます(最高裁昭和45年10月30日判決。なお,先例として,最高裁昭和44年12月18日判決参照)。

3 差押禁止債権の範囲変更の申立て
(1) 総論
ア 敗訴した相手方の給料又は退職金を差し押さえた場合,差押禁止債権の範囲変更の申立て(民事執行法153条)により争ってくることがごくごく稀にあります。
   この場合,支払禁止命令(民事執行法153条3項)を取得されると,一定の期間,給料又は退職金の取立てができなくなります。
イ 国民年金等が年金受給者の銀行口座に振り込まれて預金債権となった場合,その法的性質は年金受給者の預金債権に変わり,執行裁判所は,申立てにより,その原資の属性を考慮することなく,当該預金債権について差押命令を発することができます(東京高裁平成22年4月19日決定)。
   この場合において民事執行法153条に基づき差押禁止債権の範囲の変更の申立てがあったときは,執行裁判所は,当該預金債権の原資となった国民年金等の債権の額,当該差押えに係る債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して,差押命令の全部又は一部の取消しの裁判をすることができます(東京高裁平成22年4月19日決定)。
(2) 災害弔慰金等の取扱い
東京高裁平成22年4月19日決定の論理によれば,以下の金銭であっても,受給者の預金口座に振り込まれた時点で,差押禁止財産ではなくなると思われます(差押禁止動産としての「金銭」は現金に限られることにつき民事執行法131条3号及び破産法34条3項1号参照)。
   つまり,以下の法律の定めは,災害弔慰金等として支給された,66万円(民事執行法施行令1条参照)を超える「現金」が差押禁止財産となることを意味するにとどまります。
① 災害弔慰金(災害弔慰金の支給等に関する法律第5条の2)
→ 災害により死亡した方の御遺族に対して支給される金銭です。
② 災害障害見舞金(災害弔慰金の支給等に関する法律9条・5条の2)
→ 災害により精神又は身体に著しい障害を受けた方に対して支給される金銭です。
③ 被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法20条の2)
→ 自然災害により住宅が全壊するなど生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して支給される金銭です。
④ 東日本大震災関連義援金(東日本大震災関連義援金に係る差押禁止等に関する法律)
→ 東日本大震災の被災者又はその御遺族の生活支援等のため自発的に拠出された金銭を原資として,都道府県又は市町村が一定の配分基準に従って被災者又はその御遺族に支給する金銭です。

4 民事調停法又は特定調停法に基づく民事執行手続停止命令
(1) 執行証書(=強制執行受諾文言付の公正証書。民事執行法22条5号)に基づく強制執行の場合,相手方が民事調停の申立てをした上で,民事執行手続停止命令(民事調停規則6条1項)を得た場合(民事調停法12条の「調停前の措置」とは別の制度です。),民事調停が終了するまでの間,強制執行が停止します(民事執行法39条1項7号)。
  この場合において,裁判所が担保の提供を命じているかどうかは,ケースバイケースですが,債権者は,続行命令(民事調停規則6条2項)を得られる余地はあります。
(2) 相手方が特定調停の申立てをした上で,民事執行手続停止命令(特定調停法7条1項)を得た場合,特定調停が終了するまでの間,強制執行が停止します(民事執行法39条1項7号)。
  この場合において,裁判所が担保の提供を命じているかどうかは,ケースバイケースですが,債権者は,続行命令(特定調停法7条2項)を得られる余地はあります。
(3) 特定調停の申立てに伴う民事執行手続停止命令は,民事調停の申立てに伴う民事執行手続停止命令と異なり,確定判決又は仮執行宣言付の判決に基づく強制執行の場合でも利用することができます。

第7 公務の執行を妨害する罪

1 平成23年6月24日法律第74号(平成23年7月14日施行)による改正後の刑法は,公務の執行を妨害する罪として以下のものを定めています。
① 公務執行妨害罪(刑法95条1項)
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。
② 職務強要罪(刑法95条2項)
公務員に,ある処分をさせ,若しくはさせないため,又はその職を辞させるために,暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処せられます。
③ 封印等破棄罪(刑法96条)
公務員が施した封印若しくは差押えの表示を損壊し,又はその他の方法によりその封印若しくは差押えの表示に係る命令若しくは処分を無効にした者は,3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処せられ,併科されることがあります。
④ 強制執行妨害目的財産損壊等の罪(刑法96条の2)
強制執行を妨害する目的で,以下のいずれかに該当する行為をした者は,3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処せられ,併科されることがありますし,情を知って,(c)に規定する譲渡又は権利の設定の相手方となった者も,同様です。
(a) 強制執行を受け,若しくは受けるべき財産を隠匿し,損壊し,若しくはその譲渡を仮装し,又は債務の負担を仮装する行為
(b) 強制執行を受け,又は受けるべき財産について,その現状を改変して,価格を減損し,又は強制執行の費用を増大させる行為
(c) 金銭執行(=金銭の支払を目的とする債権についての強制執行)を受けるべき財産について,無償その他の不利益な条件で,譲渡をし,又は権利の設定をする行為
⑤ 強制執行行為妨害等の罪(刑法96条の3)
(a)偽計又は威力を用いて,立入り,占有者の確認その他の強制執行の行為を妨害した者,及び(b)強制執行の申立てをさせず又はその申立てを取り下げさせる目的で,申立権者又はその代理人に対して暴行又は脅迫を加えた者は,3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処せられ,併科されることがあります。
⑥ 強制執行関係売却妨害罪(刑法96条の4)
偽計又は威力を用いて,強制執行において行われ,又は行われるべき売却の公正を害すべき行為をした者は,3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処せられ,併科されることがあります。
→ 例えば,不動産の競売における入札により最高価買受申出人となった者に対し,威力を用いてその入札に基づく不動産の取得を断念するよう要求する場合があります(最高裁平成10年11月4日決定参照)。
⑦ 加重封印等破棄等の罪(刑法96条の5)
報酬を得,又は得させる目的で,人の債務に関して,②ないし⑥の罪を犯した者は,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処せられ,併科されることがありあす。
⑧ 公契約関係競売等妨害罪(刑法96条の6)
(a)偽計又は威力を用いて,公の競売又は入札で契約を締結するためのものの公正を害すべき行為をした者,及び(b) 公正な価格を害し又は不正な利益を得る目的で,談合した者は,3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金に処せられ,併科されることがあります。

2(1) 平成18年5月8日法律第36号(平成18年5月28日施行)による刑法改正により,公務執行妨害罪及び窃盗罪の法定刑に罰金が追加されました。
(2) 平成23年6月24日法律第74号による改正後の刑法では,以下の強制執行妨害行為が新たな処罰対象となりました。
① 封印等が除去された後に行われる妨害行為(刑法96条)
② 目的建物への廃棄物の搬入等による価格減損行為(刑法96条の2第2号)
③ 目的財産の無償譲渡(刑法96条の2第3号)
④ 執行官の執行行為に対する偽計・威力による妨害行為(刑法96条の3第1項)
⑤ 強制執行の申立てをさせない目的等による暴行・脅迫(刑法96条の3第2項)

3 刑法96条の2ないし4の「強制執行」には,民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」が含まれます(最高裁平成21年7月14日決定)。

4(1) 弁護士が,会社経営者らに対し,強制執行を免れるための仮装の手段による財産隠匿行為として,別の会社に賃貸人を変更したように装い,テナントをして,その会社の口座に賃料を振り込ませる方策を助言した場合,強制執行妨害幇助罪が成立します(最高裁平成23年12月6日決定参照)。
(2) 最高裁平成23年12月6日決定は上告棄却決定でしたが,裁判官田原睦夫が詳細な反対意見を書いています。

第8 債権差押えと譲渡禁止特約との関係等

1 債権の譲渡性を否定する意思を表示した譲渡禁止特約が付いている場合,善意無重過失の譲受人でない限り保護されません(最高裁昭和48年7月19日判決)。
    そして,銀行預金の場合,常に譲渡禁止特約が付いています(最高裁昭和48年7月19日判決参照)ものの,債権差押えの場合,譲渡禁止特約は適用されません(最高裁昭和45年4月10日判決)から,問題なく差押えが可能です。

2 譲渡禁止特約は,債務者の利益を保護するために付されるものですから,譲渡禁止特約に反して債権を譲渡した債権者は,同特約の存在を理由に譲渡の無効を主張する独自の利益を有しないのであって,債務者に譲渡の無効を主張する意思があることが明らかであるなどの特段の事情がない限り,その無効を主張することは許されません(最高裁平成21年3月27日判決)。
    そのため,例えば,譲渡禁止特約に違反して譲渡された売掛金について,債務者が,債権者不確知を理由として売掛金に相当する金員を供託している場合,債権者が債権譲渡の無効を主張することは許されません。

3 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律(平成10年6月12日法律第104号。平成10年10月1日施行)所定の債権譲渡登記は,法人がする債権譲渡の対抗要件に関し民法の特例を定めたものにすぎず,譲渡禁止特約がある場合の債権譲渡の効力について特則を定めたものではありません(大阪高裁平成16年2月6日判決。なお,最高裁平成16年6月24日決定は定型文で上告を棄却し,上告を受理していません。)。

4 「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」は,平成16年12月1日法律第148号(平成17年10月3日施行)による改正前は,「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」という名称でした。

第9 財産開示手続

1 財産開示手続(民事執行法196条ないし203条)は,過料の制裁を背景として,債務者のプライバシーに属する情報である財産に関する情報の開示を強制するものでありますから,この手続を実施するのは,債権者が強制執行等の申立てを行うためにこの手続を利用する必要性がある場合に限られています。
   そして,その必要性がある場合として,①民事執行法197条1項1号で「強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より6月以上前に終了したものを除く。)において,申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得ることができなかつたとき。」,②同項2号で「知れている財産に対する強制執行を実施しても,申立人が当該金銭債権の完全な弁済を得られないことの疎明があったとき。」と規定しています。
   このような財産開示の必要性について,①同項1号は,これに該当する事実があれば,それだけで当該必要性があるとみなされる形式的な要件であり,②同項2号は,具体的事案に応じて必要性の疎明が要求されることを示す実質的な要件です。

2 1号の要件を満たすためには,現実に債権差押えの申立て等をして,配当期日又は弁済金交付期日において請求債権の全額を回収できなかった必要があるのであって,単に債権差押えの申立てをしただけでは足りません(東京高裁平成21年3月31日決定参照)。
    また,2号の要件を満たすためには,申立人が現実に知っている債務者の財産を申告すれば足りるというわけではないのであって,最低限,①債務者の住所地の土地建物の不動産登記簿謄本,及び②住所地の地番及び住所地の住居表示の対応関係を説明する資料(例えば,(株)ゼンリンのブルーマップ(=住居表示地番対照住宅地図))を提出する必要があります。

3 ①財産開示の申立てを行う場合,及び②他の財産開示事件の記録を閲覧又は謄写をする場合,執行文の付与を受けた確定判決の正本を裁判所に提出する必要があります(①につき民事執行法197条1項,②につき民事執行法201条2号)。

4   財産開示事件の記録は,自分が有する債権を行使する目的以外の目的のために利用したり,提供したりできません(民事執行法202条)。

5 判決確定証明書は,原則として,第一審裁判所の裁判所書記官が訴訟記録に基づいて交付します(民事訴訟規則48条1項)。

6 財産開示決定が出たとしても,債務者が財産開示期日に出頭するとは限りませんし,出頭しないことに対しては30万円以下の過料の制裁しかありません(民事執行法206条1項)ため,実効性は極めて低いです。

7 大阪地裁第14民事部の場合,過料の制裁の上申がなされた件数は,平成21年が8件,平成22年が17件,平成23年1月~10月末日までが18件であり,うち処罰された件数は,平成21年が8件,平成22年が12件,平成23年が6件であり,過料の該当事由はいずれも期日不出頭だけです。
    ただし,平成23年に過料制裁を上申された事件のうち,平成23年10月末日現在,7件が未済です(月刊大阪弁護士会24年4月号46頁)。

第10 相手方が自己破産又は個人再生をした場合の取扱い

「破産手続開始決定と強制執行手続等との関係」及び「再生手続開始決定と訴訟手続及び強制執行手続との関係」を参照して下さい。
 


第11 民事執行手続に関する研究会報告書

1 一般社団法人金融財政事情研究会HPに掲載されている,平成28年6月作成の「民事執行手続に関する研究会報告書」は,民事執行手続の当面する課題について,立法に向けた本格的な検討に先立って,関係する様々な論点を整理し,規律の在り方等を研究したものです。
 
2 債務者財産の開示制度の実効性の向上,不動産の競売における暴力団員の買受け防止の方策,子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化,債権執行事件の終了をめぐる規律の見直し等について書いてあります。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。