裁判所の情報公開

第0 目次

第1の1 総論
第1の2 官民データ活用推進基本法は意識されていないと思われること
第2の1 裁判所に対する情報公開請求の実績
第2の2 岡口基一裁判官に対する口頭注意処分に関する司法行政文書は作成されていないこと
第3   最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申
第4   裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと
第5   検察審査会の情報公開
第6   公文書管理法における,参議院内閣委員会の付帯決議
第7   裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決の判示内容は特に考慮されていないこと
第8   裁判所の情報公開に関する統計文書
第9   PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された,行政文書管理及び情報公開業務の改善策
第10    公益通報者保護法と公務員の守秘義務の関係
第11の1  司法に関する情報提供・公開の在り方に関する平成12年6月当時の裁判所の説明
第11の2  司法に関する情報公開の推進(平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書)

*0 公文書等の管理に関する法律1条は,「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」と定めています。
*1 裁判所HPの「裁判所の情報公開・個人情報保護について」には,手続の骨子を定めたが載っています。
*2 以下の文書を掲載しています。
① 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱(平成27年7月1日からの実施分)
② 裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の取扱要綱の実施の細目について(平成27年4月6日付の最高裁判所事務総長通達)
③ 情報公開に関する運用要領(平成27年7月1日版)
④ 司法行政文書開示手続の手引(平成29年3月21日版)第一部・総論編第二部・各論編別紙1~別紙26及び参考資料
⑤ 司法行政文書の開示に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成22年10月19日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会総務部の申合せ)
⑥ 司法行政文書及び保有個人情報の開示の実施に伴う開示文書の謄写の取扱いについて(平成27年3月25日付の,最高裁判所事務総局秘書課と司法協会の申合せ)
*3 以下の記事も参照して下さい。
① 裁判所の文書管理
② 最高裁判所事務総局等の組織
③ 最高裁判所事務総局の事務分掌
④ 行政機関の情報公開
*4 平成30年8月2日付の司法行政文書不開示通知書によれば,会議資料等を事前に準備すると開示対象となるため,当日に作成者(担当部課)から,封筒等に入れ,配付し,開示対象にならないよう (主催の局課は関わっていないよう)にするという取扱いが書いてある文書は存在しません。
*5 平成30年8月2日付の司法行政文書不開示通知書によれば,会議資料等に関するパソコンデータ(ワード,エクセル等)は,会議終了後,直ちに廃棄する方針がとられていることが分かる文書は存在しません。
*6 平成30年8月23日付の司法行政文書不開示通知書によれば,最高裁判所に対する情報公開請求の件数がもっとも多い人の開示請求の状況について取りまとめた文書は存在しません。

第1の1 総論

1 裁判所に対する情報公開請求の一般的な説明
(1) 裁判所に対する情報公開請求の一般的な説明は,裁判所HPの裁判所の情報公開・個人情報保護に掲載されています。
(2)   平成27年7月1日に開始した苦情申立て制度(裁判所の不開示決定又は部分開示決定に対するもの)の一般的な説明は,裁判所HPの情報公開・個人情報保護審査委員会に掲載されています。
(3) 裁判所の情報公開の対象は司法行政文書に限られるのであって,事件記録の閲覧謄写制度がある(民事訴訟法91条)こと等から,裁判事務に関する文書は対象外となっています。

2 裁判事務に関する文書の意義
(2) 裁判事務に関する文書には,事件記録や事件書類(事件に関する書類で記録から分離されたもの)に限られず,専ら裁判事務のために用いるものとして作成し,又は取得した文書で,裁判所の裁判部において管理しているものが含まれます(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申))。
(3) 最高裁判所事務総局の職員が執筆した「裁判所が保管する歴史公文書の移管」によれば,国立公文書館に移管される裁判所の文書には,裁判文書及び司法行政文書しかありません。
   そして,裁判文書とは,裁判事務,すなわち,一切の法律上の争訟及びその他の法律において裁判所が取り扱う事件に関する一切の事務に関して作成するものであり,「事件記録」及び「事件書類」(例えば,民事事件の判決原本)からなるとされています。
   そのため,裁判事務に関する文書のうち,事件記録や事件書類に該当しないものは,司法行政文書にも該当しませんから,国立公文書館に移管されることはないと思われます。

3 情報公開の抜け道が存在すること
   外部HPの「国立公文書館は政府の「紙くず箱」だと言った元館長の勇気-(天木直人氏)」には,以下の記載があります。
   その毎日新聞の記事は、文書管理のずさんさを許す公文書管理法の欠陥より、もっと深刻な文書管理法の本質的欠陥を指摘している。
   すなわち、文書管理法は、官僚たちが都合の悪い文書を隠す事を防げないという。
    公文書を作成しなかったり、ひそかに処分したり、中には「個人メモ」という形で、職務に使っても公文書にあたらないからという理由で隠す「抜け道」まで許しているという。

4   裁判官の生年月日は情報公開の対象となること等
(1) 最高裁判所に対して裁判官の略歴等の情報公開請求をしたり,内閣官房内閣総務官に対して裁判官の履歴書等(閣議書添付文書)の情報公開請求をしたりすれば,判事補を含むすべての裁判官の生年月日を開示してもらえます(「裁判官の略歴等の開示について(依頼)」(平成28年6月16日付の最高裁判所事務総局人事局長の文書)のほか,平成28年6月28日付の内閣総理大臣の裁決書参照)。
(2) 裁判所の職員は,文書管理者の指示に従い,裁判所における経緯も含めた意思決定に至る過程及び裁判所の事務の実績を合理的に跡付け,又は検証することができるよう,処理に係る事案が軽微なものである場合を除き,司法行政文書を作成しなければなりません(「司法行政文書の管理について(通達)」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第3.1)。
   しかし,平成29年度(最情)答申第20号(平成29年7月24日答申)
によれば,平成28年6月16日付で,すべての裁判官の生年月日を開示すべきと判断するに至った経緯が分かる文書は存在しないそうです。

5 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の3人の委員の報酬合計
(1)   平成30年9月20日付の開示文書によれば,以下のとおりです。
平成27年度:52万6100円
平成28年度:83万5000円
平成29年度:86万7000円(概数)
(2) 裁判所HPの「過去の開催状況」によれば,平成27年度は9回,平成28年度は14回,平成29年度は15回,委員会が開催されました。

6 その他
(1) 総務省HPに,日弁連人権擁護委員会が作成した「裁判所行政情報開示人権救済申立事件 調査報告書」(平成15年12月)(リンク先の6頁以下)が載っています。
(2) 首相官邸HPに載ってある「国民が利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」について(要旨)(平成12年6月13日付の日弁連文書)平成12年6月13日開催の第22回司法制度改革審議会配付資料)には,「Ⅵ.司法に関する情報公開」として,「全ての判例情報がインターネット・ホームページにおいて公開されるべきである。その他公開の対象となるものとしては、ADRに関する情報、一定の裁判申立等に必要な書式情報などが考えられる。」と書いてあります。

第1の2 官民データ活用推進基本法は意識されていないと思われること

1(1)   官民データ活用推進基本法(平成28年12月14日法律第103号)は例えば,以下のとおり定めています。
2条1項
   この法律において「官民データ」とは、電磁的記録(中略)に記録された情報(中略)であって、国若しくは地方公共団体又は独立行政法人(中略)若しくはその他の事業者により、その事務又は事業の遂行に当たり、管理され、利用され、又は提供されるものをいう。
3条5項
   官民データ活用の推進に当たっては、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化及び効率化に資するよう、国民の利便性の向上に資する分野及び当該分野以外の行政分野において、情報通信の技術の更なる活用の促進が図られなければならない。
3条8項
   官民データ活用の推進に当たっては、官民データの効果的かつ効率的な活用を図るため、人工知能関連技術、インターネット・オブ・シングス活用関連技術、クラウド・コンピューティング・サービス関連技術その他の先端的な技術の活用が促進されなければならない。 
4条
   国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、官民データ活用の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
11条1項
   国及び地方公共団体は、自らが保有する官民データについて、個人及び法人の権利利益、国の安全等が害されることのないようにしつつ、国民がインターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて容易に利用できるよう、必要な措置を講ずるものとする。

(2) 政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)は,世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画(平成29年5月30日閣議決定)(概要につき,「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画 概要」参照)を作成しました(官民データ活用推進基本法8条1項参照)。
 
2   最高裁判所規則は,その主要なものが裁判所HPの「規則集」に掲載されているだけであり,ここに掲載されていない最高裁判所規則の最新版は通常,インターネットでは入手できません。
   しかし,最高裁判所規則は,一般に販売され各地の図書館にも所蔵されている法令集である「現行日本法規」(法務省大臣官房司法法制部編)(税込みで27万円)に掲載されている点で容易に入手可能であることから,溶け込み版も含めて開示請求の対象とする必要はないそうです(平成28年度(最情)答申第39号(平成28年12月2日答申))。
   そのため,このことだけからしても,裁判所の情報公開において,官民データ活用推進基本法は意識されていないと思われます。

第2の1 裁判所に対する情報公開請求の実績

0 この記事ボックスでは,私の開示請求等によって最高裁判所の取扱いが変更されて開示文書が増えたり,開示範囲が拡張されたりした事例を記載しています。
   ちなみに,日弁連会則11条(非違不正の是正)は,「弁護士は、常に法令が適正に運用されているどうかを注意し、いやしくも非違不正を発見したときは、その是正に努めなければならない。」と定めています。

1 平成26年7月28日付の司法行政文書不開示通知書によれば,同日当時は最高裁判所に存在しなかった,平成14年7月1日から平成23年12月1日までの間の「裁判官の号別在職状況」を,平成27年11月26日付の司法行政文書開示通知書により,開示してもらいました。

2 平成27年10月19日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,最高裁判所でされた民事の破棄判決及び破棄決定の裁判年月日及び事件番号は,慣行として公にされている情報(情報公開法5条1号ただし書イ)に該当することを認めてもらいました。

3(1) 平成27年12月1日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,51期から60期までの①司法修習生考試結果集計表及び②司法修習生成績集計表を最高裁判所に発見してもらいました。
(2) 司法修習生考試というのは,いわゆる二回試験のことです。

4(1) ①平成28年4月6日付の補充理由説明書及び②平成28年7月28日付の苦情の申し出に係る対応について(通知)により,平成28年3月に廃棄することが予定されていた56期から68期までの実務修習希望地調査表を最高裁判所に開示してもらえました(平成28年度(最情)答申第15号(平成28年6月28日答申)参照)。
→ この件については,平成28年9月23日の産経ニュース「裁判所の情報公開不服審査1年 39件の答申で1件を「裁判所の不開示決定は不当」と苦言」で報道されました。
(2)   平成27年2月12日付の司法行政文書不開示通知書によれば,同日時点では,68期司法修習生の修習希望地を集計した一覧表は,作成又は取得していないことになっていました。

5(1) 平成28年度(最情)答申第40号(平成28年12月21日答申)により,司法大観が司法行政文書開示手続の対象となることを認めてもらいました。
  なお,最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会が,最高裁判所事務総長の対応について是正すべきという答申を出したのはこれがはじめてです。
(2) 最高裁判所事務総長から,平成29年1月20日付の苦情の申し出に係る対応について(通知)をいただきました。
(3) 平成29年3月17日付の司法行政文書不開示通知書により,司法大観は不開示情報に該当するとされました。 
   平成28年(行情)答申第753号(平成29年2月27日答申)により,司法大観は全部不開示となったことを踏まえたものと思われます。

6 平成29年5月11日付の「苦情の申出に係る対応について(通知)」により,平成3年10月31日付の「税務官署から事件記録等の閲覧謄写の要請があった場合の取扱いについて」を開示してもらいました。

第2の2 岡口基一裁判官に対する口頭注意処分に関する司法行政文書は作成されていないこと

1(1)ア 戸倉三郎東京高裁長官は,平成28年6月21日,ツイッターに不適切なつぶやきをしたり,縄で縛られた上半身裸の男性の画像を投稿したりした岡口基一東京高裁第22民事部判事について,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意処分をしました。
  しかし,平成28年8月2日付の,東京高裁の司法行政文書不開示通知書によれば,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」について,東京高裁は,作成又は取得していないことになっています。
イ togetterまとめに「岡口基一さんokaguchik 国民の皆様へさて,私こと,本日,ツイッターに不適切なつぶやきをしたということで,所属庁の長官から正式な口頭注意処分を受けました。 」が載っています。
(2) ツイッター等のSNSを国家公務員が私的利用する際の注意点については,総務省人事・恩給局の「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」(平成25年6月付)に書いてあります。

2(1) 平成28年9月23日の岡口基一裁判官のツイッターには,「俺の処分の時に作成された膨大な資料は,公文書だから,安易に破棄されていなければ,今後も保管され続けます。過去の俺のつぶやきが全てプリントアウトされ,マーカー引き,付箋,注意書きなどがされ,白ブリーフ画像などは拡大コピーされています。」とか,「俺の処分の時に作られた膨大な資料は廃棄されずに保存されているだろうか・。ダビデエプロン画像の拡大コピーなど」と書いてあります。
  そのため,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」自体が存在することは間違いないのであって,それが「司法行政文書」に該当するかどうかなのかもしれません。
(2) 平成28年8月2日付の,東京高裁の司法行政文書不開示通知書については,平成28年9月23日付で苦情の申出を出しました。
(3) 「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」は存在しないとする,平成28年12月14日付の最高裁判所事務総長の理由説明書を掲載しています。
(4) 平成29年度(情)答申第1号(平成29年4月28日答申)では,「東京高裁が平成28年6月21日付で岡口基一裁判官を口頭注意処分した際に作成した文書」は,「本件注意のとき又は本件注意に供するために作成した文書」と読み替えられた上で,文書自体が作成されてないとされました。

3(1) 平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によれば,東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書は,裁判所HPに掲載されている文書(該当する文書は特に見当たりませんが。)を除き,存在しません。
(2) 平成29年度(情)答申第2号(平成29年4月28日答申)には,司法行政手続の中で,下級裁判所事務処理規則21条に基づく裁判官に対する注意の運用において,「どのような手続がとられるのか,文書が作成されるのか,作成されるとしてどのような文書が作成,管理,保存されるのかなどについて,本来,これを公にすると,下級裁判所事務処理規則21条に基づく注意という人事管理に係る事務に関与する判断権者及び職員に対し,文書の作成,管理,保存について好ましくない影響が生ずる等,公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがあると認められる。」と書いてあります。
   しかし,東京高裁長官が下級裁判所事務処理規則21条に基づき注意を与える際の事務手続が分かる文書が存在しないことは,平成29年3月23日付の司法行政文書不開示通知書によって明らかにされています。

4 平成29年6月16日付の司法行政文書不開示通知書によれば,東京高裁が作成した,岡口基一裁判官のtwitterでの発言内容を印刷した文書は存在しません。

5 デジタル鹿砦社(ろくさいしゃ)通信「司法当局は今なお隠ぺい中 岡口基一裁判官「半裸写真投稿問題」の関係文書」に一連の経緯が書いてあります。

司法行政文書不開示通知書(岡口裁判官の口頭注意)
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)1/3
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)2/3
理由説明書(岡口裁判官の口頭注意)3/3

第3 最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申

最高裁判所情報公開・個人情報保護審査委員会の答申につき,以下のとおり分類して私のブログで紹介しています。

1 最高裁判所の司法行政文書
(1) 最高裁判所が作成又は取得していないとされた司法行政文書
(2) 最高裁判所が直ちに廃棄しているとされた司法行政文書
(3) 不開示事由に該当するとされた最高裁判所の司法行政文書
(4) 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた最高裁判所の文書

2 下級裁判所の司法行政文書
(1) 下級裁判所が作成又は取得していないとされた司法行政文書
(2) 下級裁判所が直ちに廃棄しているとされた司法行政文書
(3) 不開示事由に該当するとされた下級裁判所の司法行政文書
(4) 司法行政文書開示請求の対象とならないとされた下級裁判所の司法行政文書

第4 裁判所の不開示決定は司法審査の対象とならないこと

1(1) 抗告訴訟の対象となる「処分」とは,行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいいます(行政事件訴訟法2条2項参照)から,裁判所の司法行政処分も「処分」に該当することがあります。
   しかし,裁判所の不開示決定は,情報公開法その他の法律に基づくものではありません(東京地裁平成22年12月10日判決)から,「処分」ではないのであって,抗告訴訟の対象とはなりません。
(2) 東京地裁平成22年12月10日判決は以下のとおり判示しています。
   行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)において,裁判所は,その対象となる「行政機関」に含まれておらず(情報公開法2条),裁判所の保有する情報の公開については,最高裁判所の保有する司法行政文書に関する要綱である本件要綱,及び下級裁判所が保有する司法行政文書に関する通達である「裁判所の保有する司法行政文書の開示に関する事務の基本的取扱いについて(依命通達)」(以下「本件通達」という。)が定められているにすぎない。
   そして,本件要綱及び本件通達は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律案の審議経過を踏まえたものであり,その規定の文言等において情報公開法と類似する部分はあるものの,飽くまでも司法行政上の便宜供与の一環として司法行政文書の開示を行うために,その運用に関する事務処理準則として定められた内部規範であって,情報公開法その他の法律に基づくものではない。
   そうすると,本件要綱に基づいてされた司法行政文書の開示の求めに対し,これを開示しないこととする行為は,情報公開法その他の法律を根拠とするものではないから,これによって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものとはいえず,行訴法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」には当たらないというべきである。

2(1) 不適法なことが明らかであって当事者の訴訟活動により適法とすることが全く期待できない訴えについて,口頭弁論を経ずに,訴えを却下する判決又は却下判決に対する控訴を棄却する判決を下す場合には,訴状において被告とされている者に対し訴状,控訴状又は判決正本を送達することを要しません(最高裁平成8年5月28日判決参照)。
   そのため,裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,民事訴訟法140条に基づき,口頭弁論を経ずに却下判決を下されることがあります。
(2)ア 裁判所の不開示決定に対する取消訴訟において口頭弁論を経る場合,訴状等が法務大臣に送達されますし,処分行政庁とされた最高裁判所事務総長,高裁長官及び地家裁所長において調査回報書を作成する必要があるため,法務省及び裁判所の内部で結構な手間が発生します。
   そのため,そのような手間を裁判所及び法務省にかけさせたくない裁判官に当たった場合,口頭弁論を経ずに却下判決が下ることとなります。
イ 東京地裁平成22年12月10日判決の事案では,東京地裁本庁の平成22年の行ウ号の事件数が762件であるにもかかわらず,事件番号が平成22年(行ウ)第32号であることからすれば,口頭弁論を経た上で却下判決が下されたことが分かります(口頭弁論期日につき,暗川ブログ「最高裁裏金裁判 杉原則彦裁判長の暴言」参照)。

3(1) 裁判所の不開示決定に対する取消訴訟を提起した場合,判決言渡期日を事前に告知すらしてもらえずに却下判決を下されることがあります(民事訴訟規則156条ただし書)。
(2) 口頭弁論を経ないで不適法な控訴を却下する判決を言い渡す場合,控訴審はその判決言渡期日につき当事者の呼出手続をなすことを要しません(最高裁昭和33年5月16日判決参照)。
   また,口頭弁論を経ないで不適法な上告を却下する判決を言い渡す場合,判決言渡期日を指定し,指定した期日に公開の法廷において判決を言い渡せば足り,当事者に対し当該言渡期日の呼出状を送達することを要しません(最高裁昭和44年2月27日判決参照)。

4 訴え却下の第一審判決を是認して口頭弁論を経ないで控訴棄却の判決を言い渡す場合,当事者に対し判決言渡期日の告知及び呼出手続をすることを要しません(最高裁昭和62年10月1日判決。なお,先例として,最高裁昭和57年10月19日判決参照)。
   そのため,地裁の却下判決に対して控訴した場合,判決言渡期日を事前に告知すらしてもらえずに控訴棄却判決を下されることがあります。

第5 検察審査会の情報公開

1 検察審査会の情報公開は,検察審査会の保有する検察審査会行政文書の開示に関する事務の基本的取扱について(平成13年3月29日付の最高裁判所刑事局長通達)に書いてあります。
 
2 検察審査会の情報公開の対象は検察審査会行政文書に限られるのであって,個別の審査事件に関する審査事件記録(審査事件会議録,供述調書,実地見分調書等)は対象外です。
 
3 検察審査会については,「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」及び「検察審査会の事件の処理状況」を参照して下さい。

第6 公文書管理法における,参議院内閣委員会の付帯決議

○司法行政文書の管理について公文書等の管理に関する法律(公文書管理法)が適用されるわけではありません(公文書管理法2条8項参照)が,裁判所は,公文書管理法の趣旨,裁判所の地位及び権能等を踏まえ,検討が行われるものとされています(公文書管理法附則13条2項)。
   そして,平成23年4月1日施行の公文書管理法における,平成21年6月23日付けの参議院内閣委員会の付帯決議は以下のとおりです。
 
公文書等の管理に関する法律案に対する附帯決議
政府は、公文書等が、国民共有の知的資源であり、その適切な管理、体系的な保存及び利用制度の整備が、国の基本的な責務・機能であるとともに、将来の発展への基盤であることを深く認識して、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一、公文書管理の改革は究極の行政改革であるとの認識のもと、公文書管理の適正な運用を着実に実施していくこと。
二、国民に対する説明責任を果たすため、行政の文書主義の徹底を図るという本法の趣旨にかんがみ、外交・安全保障分野も含む各般の政策形成過程の各段階における意思決定に関わる記録を作成し、その透明化を図ること。また、軽微性を理由とした文書の不作成が恣意的に行われないようにするとともに、文書の組織共用性の解釈を柔軟なものとし、作成後、時間を経過した文書が不必要に廃棄されないようにすること。
三、行政機関の政策決定並びに事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにするため、行政機関による委託事業に係る元データが確実に取得される仕組みを検討すること。
四、行政文書の管理が適正に行われることを確保するため、作成から一定期間が経過した行政文書をその保存期間満了前に一括して保管等の管理を行う制度( いわゆる中間書庫の制度) の各行政機関への導入について検討を行うこと。
五、保存期間の満了により廃棄される行政文書の量が膨大なものであることを踏まえ、廃棄に係る行政文書の内容の審査等に要する内閣総理大臣の補佐体制を強化すること。
六、公文書の管理・利活用に関する情報を十分に公開し、その在り方について多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
七、特定歴史公文書等の適切なデジタルアーカイブ化を推進し、一般の利用を促進すること。
八、公文書の電子化の在り方を含め、セキュリティーのガイドラインの策定、フォーマットの標準化及び原本性確保等の技術的研究を推進し、電子公文書の長期保存のための十分な検討を行うこと。
九、国立公文書館等へ移管された特定歴史公文書等に対する利用制限については、利用制限は原則として三十年を超えないものとすべきとする「三十年原則」等の国際的動向・慣行を踏まえ、必要最小限のものとすること。
十、特定歴史公文書等の利用請求及びその取扱いにおける除外規定である本法第十六条に規定する「行政機関の長が認めることにつき相当の理由」の有無の判断に関しては、恣意性を排し、客観性と透明性を担保する方策を検討すること。
十一、宮内庁書陵部及び外務省外交史料館においても、公文書等について国立公文書館と共通のルールで適切な保存、利活用が行われるよう本法の趣旨を徹底すること。
十二、本法に基づく政令等の制定・改廃に際しては、十分に情報を公開し、多角的な専門的知見及び幅広い国民の意見が取り入れられる機会を設けること。
十三、公文書の適正な管理が、国民主権の観点から極めて重要であることにかんがみ、職員の公文書管理に関する意識改革及び能力向上のための研修並びに専門職員の育成を計画的に実施するとともに、専門職員の資格制度の確立について検討を行うこと。また、諸外国における公文書管理体制の在り方を踏まえ、必要な人員、施設及び予算を適正に確保すること。
十四、既に民営化された行政機関や独立行政法人等が保有する歴史資料として重要な文書について、適切に国立公文書館等に移管されるよう積極的に対応すること。また、国民共有の知的資源を永く後世に伝えるため、特定歴史公文書等の保存・修復に万全を期することができる体制を整備すること。
十五、本法の趣旨を踏まえて地方公共団体における公文書管理の在り方の見直しを支援し、また、国立公文書館と地方公文書館との連携強化を図ること。
十六、一部の地方公共団体において公文書館と公立図書館との併設を行っていることを考慮しつつ、より多くの公文書館が設置されることを可能とする環境の整備について検討すること。
十七、刑事訴訟に関する書類については、本法の規定の適用の在り方を引き続き検討すること。
十八、附則第十三条第一項に基づく検討については、行政文書の範囲をより広げる方向で行うとともに、各行政機関における公文書管理の状況を踏まえ、統一的な公文書管理がなされるよう、公文書管理法制における内閣総理大臣の権限及び公文書管理委員会の在り方についても十分検討すること。
十九、公文書等の管理に関する施策を総合的かつ一体的に推進するための司令塔として公文書管理に係る政策の企画・立案及び実施を担当する部局及び機構の在り方について検討を行うこと。
二十、行政機関のみならず三権の歴史公文書等の総合的かつ一体的な管理を推進するため、国立公文書館の組織の在り方について、独立行政法人組織であることの適否を含めて、検討を行うこと。
二十一、公文書管理と情報公開が車の両輪関係にあるものであることを踏まえ、両者が適正かつ円滑に実施されるよう万全を期すること。
右決議する。

第7 裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決の判示内容は特に考慮されていないこと

1(1) 最高裁平成26年7月14日判決は以下のとおり判示しています。
   情報公開法において,行政文書とは,行政機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画及び電磁的記録であって,当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして,当該行政機関が保有しているものをいうところ(2条2項本文),行政文書の開示を請求する権利の内容は同法によって具体的に定められたものであり,行政機関の長に対する開示請求は当該行政機関が保有する行政文書をその対象とするものとされ(3条),当該行政機関が当該行政文書を保有していることがその開示請求権の成立要件とされていることからすれば,開示請求の対象とされた行政文書を行政機関が保有していないことを理由とする不開示決定の取消訴訟においては,その取消しを求める者が,当該不開示決定時に当該行政機関が当該行政文書を保有していたことについて主張立証責任を負うものと解するのが相当である。
   そして,ある時点において当該行政機関の職員が当該行政文書を作成し,又は取得したことが立証された場合において,不開示決定時においても当該行政機関が当該行政文書を保有していたことを直接立証することができないときに,これを推認することができるか否かについては,当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等に応じて,その可否を個別具体的に検討すべきものであり,特に,他国との外交交渉の過程で作成される行政文書に関しては,公にすることにより他国との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国との交渉上不利益を被るおそれがあるもの(情報公開法5条3号参照)等につき,その保管の体制や状況等が通常と異なる場合も想定されることを踏まえて,その可否の検討をすべきものというべきである。
(2) 最高裁平成26年7月14日判決は,昭和47年の沖縄返還時に日米両政府が交わしたとされる密約文書をめぐり,元新聞記者らが国に対して情報公開法に基づく開示などを求めた訴訟の上告審判決です。 
 
2 裁判所の情報公開の場合,最高裁平成26年7月14日判決が判示するところの「当該行政文書の内容や性質,その作成又は取得の経緯や上記決定時までの期間,その保管の体制や状況等」といった事情は特に考慮されることなく,高等裁判所長官事務打ち合わせに関する配付資料といった短期保有文書は直ちに廃棄されたことになっていることが多いです。

第8 裁判所の情報公開に関する統計文書

「裁判所の情報公開に関する統計文書」に移転させました。

第9 PKO日報問題に関する特別防衛監察結果報告で示された,行政文書管理及び情報公開業務の改善策

〇南スーダン派遣施設隊が作成した日報に対する行政文書開示請求について,防衛大臣が平成28年12月2日付で不開示決定を出した問題(いわゆる「PKO日報問題」です。)については,平成29年3月17日から特別防衛監察が実施され,同年7月28日に特別防衛監察結果が公表されました(防衛省防衛監察本部HPの「防衛監察」参照)し,以下のとおり懲戒処分が実施されました。
① 黒江哲郎 事務次官:停職4日
② 岡部俊哉 陸上幕僚長:減給1か月(10分の1)
③ 堀切光彦 前陸上自衛隊中央即応集団副司令官:停職5日
④ 牛嶋 築 前陸上幕僚監部運用支援・情報部長:停職3日
⑤ 辰己昌良 統合幕僚監部総括官:停職2日

〇平成29年7月28日公表の「特別防衛監察結果報告」15頁及び16頁には,「第7 改善策」として以下の記載があります。
   防衛省・自衛隊として行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について努めているところであるが、これらについて十分に実施されていない状況が確認されたことから、改めて、以下の事項について徹底を図る必要がある。
1   適正な情報公開業務の実施
(1)   関係職員の意識向上を図るための教育等の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、指導的立場となる管理者を含め、情報公開業務を適正に実施するという意識が低かったことから、情報公開業務に対する意識を高めるような教育や研修を徹底する必要がある。
(2)   行政文書の不存在の際の入念な確認の徹底
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報が存在しつつも、これを十分に確認せず不存在としている状況や該当文書を個人資料と説明している状況が確認されたことから、過去に保有していたことが明らかな行政文書を不存在とする場合には、情報公開担当部署は、文書管理者等に対し、複数回の探索や探索範囲の拡大を実施させるとともに、文書の管理状況についても実際に確認するなど、「行政文書管理及び情報公開業務の適正な実施について(通達)」(防官文第11870号。24.9.6)に基づき、行政文書の確実な探索及び特定業務を徹底する必要がある。
(3)   情報公開業務に対するチェック機能の強化
   情報公開法に基づく開示請求に対し、行政文書としての日報の不存在や廃棄などの誤った判断や行為について、開示請求に係る手続の過程において是正することができなかったことから、特に不存在とした開示請求について、開示請求手続と関係のない立場の組織により、情報公開業務の検査等を実施するなど、チェック機能の強化を図る必要がある。
   なお、防衛監察本部においても、定期防衛監察を活用し、特に開示請求において不存在としている場合の手続の適正性を確認することなどにより、チェック機能の強化に努めるものとする。
2   適正な文書管理等の実施
(1)   文書管理情報等の適切な表示等
   日報が「用済み後破棄」として取り扱われていることについて、文書管理情報が表示されていないため取扱者に周知されていない状況、また、「用済み後破棄」という曖昧な保存期間満了日の設定により、日報の実態が把握されていない状況が確認されたことから、行政文書の状況が明確に把握できるよう措置する必要がある。
   また、日報が「注意文書」として取り扱われていることについて、「注意」の標記が表示されず、また、業務に関係のない多数の職員が閲覧及び取得できる状況であったことから、取扱区分を表示するとともに、配布に当たっては配布先を必要最小限にとどめるよう措置する必要がある。
(2)   複数部署において管理されている行政文書の管理要領の見直し
   日報は指揮システムの掲示板により、統幕、陸幕、陸自各部隊等の多数の部署により共有されているものの、各文書管理者により日報の管理状況が様々であり、日報の保有状況が不明確となっていることから、同一の行政文書を複数の文書管理者が保有する場合における責任を明確にするなど、行政文書の管理要領について見直す必要がある。

第10 公益通報者保護法と公務員の守秘義務の関係

1 公益通報者保護法7条(一般職の国家公務員等に対する取扱い)は以下のとおりです。
   第三条各号に定める公益通報をしたことを理由とする一般職の国家公務員、裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)の適用を受ける裁判所職員、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)の適用を受ける国会職員、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員及び一般職の地方公務員(以下この条において「一般職の国家公務員等」という。)に対する免職その他不利益な取扱いの禁止については、第三条から第五条までの規定にかかわらず、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号。裁判所職員臨時措置法において準用する場合を含む。)、国会職員法、自衛隊法及び地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の定めるところによる。この場合において、一般職の国家公務員等の任命権者その他の第二条第一項第一号に掲げる事業者は、第三条各号に定める公益通報をしたことを理由として一般職の国家公務員等に対して免職その他不利益な取扱いがされることのないよう、これらの法律の規定を適用しなければならない。

2(1) 消費者庁HPに「公益通報者保護法と制度の概要」が載っています。
(2) 通報先は原則として事業者内部又は権限を有する行政機関であり,一定の場合に限り,事業者外部となります(公益通報者保護法3条各号)。

3(1) 平成30年3月30日付の内閣答弁書には以下の記載があります。
   公益通報者保護法は、国家公務員法第百条第一項の規定により課される守秘義務を解除するものではないが、公益通報者保護法第二条第三項に規定する通報対象事実(以下「通報対象事実」という。)は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為の事実であり、国家公務員法第百条第一項に規定する「秘密」として保護するに値しないと考えられるため、そもそも、通報対象事実について、一般職の国家公務員が公益通報をしたとしても、同項の規定に違反するものではないと考えられる。
(2) 仮に最高裁が「不存在」と説明している司法行政文書が存在していた場合,そのことを公益通報することは守秘義務違反にはならないのかも知れません。

第11の1 司法に関する情報提供・公開の在り方に関する平成12年6月当時の裁判所の説明

○最高裁判所が平成12年6月13日開催の第22回司法制度改革審議会配付資料として提出した,「国民がより利用しやすい司法の実現」及び「国民の期待に応える民事司法の在り方」に関する裁判所の意見8頁及び9頁には,以下の記載があります。
   判決データを全てデータベースに保存して,外部からの閲覧・謄写の請求にも迅速に対応できるようにするという話はどうなったのかしら?という気がします。

3 司法に関する情報提供・公開の在り方
   先例的価値のある判例情報を積極的に公開していくことは紛争防止や解決にとって重要であると考えている。従来,先例的価値のある判例情報について,最高裁判所及び高等裁判所の判例集のほか,下級裁判所については,知的財産権などの特定の分野についての判例集の編集刊行を行ってきたが,国民のニーズに応え,迅速かつ容易な判例情報へのアクセスを可能にするため,平成9年にホームページをインターネット上に開設して,①最近の主要な最高裁の判決全文,②東京高地裁及び大阪高地裁を中心とした下級裁判所の知的財産権訴訟の判決全文を速報している(最高裁のホームページにはこれまで70万件近いアクセスがある。)。さらに,裁判所は,民間の判例雑誌社やマスコミからの依頼に対し,広く判例情報を提供しており,民間の判例雑誌という媒体で下級裁判所を含めた判例情報の提供がされているところ(判例時報,判例タイムズがそれぞれ年間700件から800件)であり,また,民間においても,各種のデータベース(判例マスター,判例体系データベース)が開発,販売されているところである。
   また,事件情報として,個々の事件の判決へのアクセスについては,民事訴訟法でだれでも閲覧が可能であり,利害関係人であれば謄写も可能である。
   裁判所としては,判例情報に対する国民のニーズの高まりに対応して,インターネットを活用するなど,今後とも,先例的価値のある判例情報について即時的確に公開していきたい。具体的には,最高裁及び高裁の判例について,過去に判例集に登載されたもののデータベースを構築し,これを公開していく準備を進めているところである。さらに,下級裁判所の判例情報の公開については,地裁の民事事件だけでも年間10数万件に及ぶ多数の下級裁判所の判決の中から,先例的価値のある重要なものをいかにして選別していくか,民間の判例雑誌等との役割分担をどう考えるのかという問題はあるが,少なくとも,国民のニーズが大きいと思われる一定の分野の下級裁判所の判決については,データベースを構築し,順次ホームページ上で公開していくことが必要ではないかと考えている。さらに,裁判所内部におけるOA化を推進することにより,将来的には,各庁ごとに判決データをすべてデータベースに保存していくことを考えており,これにより,検索等が容易化することから,外部からの閲覧,謄写の請求にも迅速に対応できることとなる。更に進んで,このデータベースへのアクセスを広く許すことについては,プライバシー(例えば,人事訴訟事件)や営業秘密を侵害しないか,謄写を利害関係人に限る現行法に抵触しないか,多数の判決を重要なものとそうでないものを未選別のままに公開することが利用者にとってかえって不便ではないかなどの検討すべき問題があると考え
ている。

第11の2 司法に関する情報公開の推進(平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書)

平成13年6月12日付の司法制度改革審議会意見書「Ⅳ 国民的基盤の確立」には以下の記載があります。
3. 司法に関する情報公開の推進
裁判所、検察庁、弁護士会における情報公開・提供を推進すべきである。
最高裁判所、法務省及び弁護士会(日本弁護士連合会、単位弁護士会)においては、従前から、それぞれホームページを開設するなどして、各種情報を提供しているところである。さらに、本年4月1日、行政庁(検察庁を含む。)の情報公開制度が発足したことに伴い、裁判所においても、その保有する司法行政文書について、内部規定を定め、これに準じた情報の公開を行うこととした。また、日本弁護士連合会においても、業務、財務、懲戒手続、専門分野その他弁護士に関わる情報等に関する情報公開・提供の拡充について検討しているところである。
既述のように、司法の様々な場面において国民の参加を拡充する前提としても、司法の国民に対する透明性を向上させ、説明責任を明確化することが不可欠である。このような見地から、裁判所、検察庁、弁護士会においては、情報公開・提供を引き続き推進すべきである。
判例情報をプライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開し提供すべきである。
裁判所においては、従来、先例的価値のある判例情報については、最高裁判所及び高等裁判所の判例集のほか、知的財産権などの特定の分野についての判例集の編集刊行を行ってきた。また、民間の判例雑誌、データベース等によっても、判例情報の提供がなされている。個々の事件の判決については、民事訴訟法上誰でも閲覧が可能であり、利害関係人については謄写も可能である。
さらに、判例情報への国民の迅速かつ容易なアクセスを可能にするため、最高裁判所では、平成9年にホームページを開設し、現在、(i)最近の主要な最高裁判所の判決全文、(ii)東京高等・地方裁判所及び大阪高等・地方裁判所を中心とした下級裁判所の知的財産権関係訴訟の判決全文を速報していることに加え、(iii)過去の下級裁判所の知的財産権関係訴訟に関する裁判例をデータベースにより公開している。
判例情報の提供により、裁判所による紛争解決の先例・基準を広く国民に示すことは、司法の国民に対する透明性を向上させ、説明責任を明確化するというにとどまらず、紛争の予防・早期解決にも資するものである。
裁判所は、判例情報、訴訟の進行に関する情報を含む司法全般に関する情報の公開を推進していく一環として、特に判例情報については、先例的価値の乏しいものを除き、プライバシー等へ配慮しつつインターネット・ホームページ等を活用して全面的に公開し提供していくべきである。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。