一票の格差に関する最高裁判決の一覧

第0 目次

第1の1 一票の格差(投票価値の平等)
第1の2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧(平成29年8月5日追加
第2の1 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧1/2
第2の2 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧2/2
第3の1 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧1/2
第3の2 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧2/2
第4   一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧(平成29年8月5日追加
第5の1 衆議院議員総選挙当日有権者数の最多選挙区及び最小選挙区
第5の2 参議院議員通常選挙当日有権者数(議員1人当たり)の最多選挙区及び最小選挙区
第6の1 日本国憲法下の衆議院の解散一覧(平成29年9月24日追加
第6の2 一票の格差是正前の解散は可能であることに関する政府答弁
第6の3 閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁(平成29年10月8日更新
第7の1 衆議院議員の選挙制度の推移(平成29年9月28日追加
第7の2 参議院議員の選挙制度の推移(平成29年9月28日追加

*1 「最高裁判所裁判官国民審査」「第24回最高裁判所裁判官国民審査」及び「幹部裁判官の後任候補者」も参照してください。
*2 最高裁の事件処理状況については,「高裁の各種事件数,及び最高裁における民事・行政事件の概況」を参照してください。
*3 一票の格差に関する直近の最高裁判決は,最高裁大法廷平成29年9月27日判決(升永弁護士のグループ)及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決(山口弁護士のグループ)であり,平成28年7月10日の参院選の最大格差3.08倍は合憲であると判示しました。
*4 経済同友会HP「投票価値の平等(「一票の格差」是正)実現Webサイト」What's New!に,一票の格差に関する時系列の経緯が載っています。
*5 投票行動.com HPに,国会議員ごとの投票行動が載っています。
*6 2017年(平成29年)10月22日施行の第24回最高裁判所裁判官国民審査における審査対象裁判官は,大谷直人小池裕,木澤克之(学校法人加計学園の元監事),菅野博之,山口厚,戸倉三郎及び林景一の7人です。
*7 ZDNet Japan HPの「衆議院解散総選挙は日経平均にどう影響するか?」に,2005年,2009年,2012年及び2014年にあった,衆議院の解散総選挙における日経平均の動きが載っています。
*8 レファレンス平成26年6月号の「戦後主要政党の変遷と国会内勢力の推移」を見れば,昭和20年8月から平成25年までの,主要政党の国会内勢力の推移が分かります。
*9 「国会制定法律の一覧へのリンク」には,平成元年以降の衆議院HPの「国会制定法律の一覧」へのリンクが張ってあります。
*10 参議院HPの「参議院関係法規等」「平成25年版参議院先例録」「平成22年版参議院先例諸表」「平成25年版参議院委員会先例録」及び「平成22年版参議院委員会先例諸表」が載っています。
   衆議院についても同種の文書は存在しますが,HPには掲載されていません。

第1の1 一票の格差(投票価値の平等)

0 憲法14条1項の規定は,国会を構成する衆議院及び参議院の議員を選挙する国民固有の権利につき,選挙人資格における差別の禁止にとどまらず(44条ただし書),選挙権の内容の平等,つまり,議員の選出における各選挙人の投票の有する影響力の平等,つまり,投票価値の平等をも要求しています(最高裁大法廷昭和60年7月17日判決参照)。

1 衆議院及び参議院の選挙区別定数は,総務省HPの
「選挙の種類」に書いてあります。

2(1) 一票の格差(投票価値の平等)に関して,どの最高裁判所裁判官がどのような意見を述べているかについては,一人一票実現国民会議HP「「切り抜き」国民審査とは?」を見れば分かります。
(2) 一人一票実現CMアーカイブに,一人一票実現CM第1弾ないし第5弾の動画が載っています。
 
3(1) 「衆議院及び参議院における一票の格差」(平成23年6月9日付の国立国会図書館ISSUE BRIEF714号)では,一票の格差に関する最高裁の判断枠組みの推移が書いてあります。
   「衆議院及び参議院における一票の格差」(平成29年3月28日付の国立国会図書館ISSUE BRIEF953号)では,一票の格差訴訟最高裁判所判決とそれを踏まえた国会による選挙制度の改正について書いてあります。
(2) 外部HPの「過去の議員定数是正訴訟最高裁判決」では,最高裁大法廷昭和39年2月5日判決から最高裁大法廷平成25年11月20日判決までが一覧表としてまとめられています。
(3)   社会実情データ図録HP「国政選挙における一票の格差をめぐる最高裁判決」では,最大格差の推移が図示されています。
   なお,国政選挙は,衆議院議員総選挙及び参議院議員通常選挙のことです(公益財団法人明るい選挙推進協会HP「選挙制度・投票方法」参照)。

4(1) 投票価値の平等に関する裁判は,当時司法修習生であった越山康弁護士(故人)が昭和37年の参議院議員選挙に関して提訴したことから始まりました。
   平成21年8月30日実施の衆議院議員総選挙以降,越山康弁護士のグループとは別に,全国の弁護士有志が投票価値の平等に関する裁判を提訴するようになりました(外部HPの「一人一票裁判とは?」参照)。
(2) 現在,山口邦明弁護士らのグループ(越山康弁護士の系統です。)と,升永英俊弁護士,伊藤真弁護士,久保利英明弁護士らのグループが別々に,投票価値の平等に関する訴訟を行っています。
   例えば,平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙における平成29年7月19日の口頭弁論期日では,午前中に山口邦明弁護士らのグループが弁論を行い,午後に升永英俊弁護士らのグループが弁論を行いました。
(3) 現代ビジネスHPの「「一票の格差」に数億円投入する「最強弁護士」の素顔」が参考になります。ただし,升永英俊弁護士に対するインタビュー記事でありますところ,プレミアム会員にならないと最初の方しか読めません。

5  「投票価値の平等(「一票の格差」是正)実現Webサイト」に,平成19年以降の,投票価値の平等に関する経緯が書いてあります。

6 一票の格差に関する無効訴訟(公職選挙法204条)の対象となっている選挙区については,当該訴訟が係属している限り,補欠選挙ができません(公職選挙法33条の2第7項)。

7 平成6年4月11日に設置された衆議院選挙区画定審議会は,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関して調査審議をし,必要があると認めるときは,その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告を行っています(総務省HPの「衆議院小選挙区画定審議会」参照)。

8(1) 一票の格差是正に否定的な意見として,以下のHPがあります。
① 現代ビジネスHPの「ニッポンの難題「一票の格差」の落とし穴〜是正は本当に必要ですか?」
② ハフポストHPの「一票の格差は本当に問題なのだろうか?」
③ BLOGOSの「「一票の格差」という欺瞞」
(2) 一票の格差是正は「地方切り捨て」につながりかねないといわれることがあります。

9 総務省HPの「平成27年国勢調査人口(確定値)に基づく計算結果の概要」(平成28年10月26日付け)によれば,以下のとおりです。
① 衆議院小選挙区
   衆議院小選挙区で一票の格差が2倍を超えたのは32選挙区で,前回調査時(平成22年)の97選挙区から65区減少しました。
   また,最大格差は北海道1区(58万9501人)と宮城5区(27万871人)の間の2.176倍で,前回調査時の2.524倍から0.348ポイント縮小しました。
   主として,前回調査時以降,衆議院小選挙区の定数について「0増5減」が実施されたことによるものです。
② 参議院選挙区
   参議院選挙区の最大格差は埼玉県(議員1人当たり人口:119万3555人)と福井県(同38万8646人)の間の3.071倍で,前回調査時の5.124倍から2.053ポイント縮小しました。
   主として,前回調査時以降,参議院選挙区の都道府県単位を超えた合区を含む「10増10減」が実施されたことによるものです。

第1の2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決及び違憲判決の一覧

1 総論
(1) 衆議院は参議院と比べて議員の任期が短く(憲法45条本文,46条対照),解散があります(憲法45条ただし書参照)から,参議院よりも一票の格差に関する許容範囲が狭いです。
(2)ア 違憲状態とは,一票の格差が憲法14条1項に違反する状態をいいます。
   違憲とは,一票の格差に関する違憲状態を是正するのに合理的期間を経過した場合をいいます。
イ 弁護士ドットコムニュース「<一票の格差判決>「違憲」と「違憲状態」の違いとは?弁護士がわかりやすく解説」が参考になります。
(3) 最高裁大法廷平成23年3月23日判決以降,一票の格差に関する判断基準が厳しくなりました。
   それ以前は概ね,衆議院の場合は最大格差が3.0倍を超え(最高裁大法廷平成5年1月20日判決参照),参議院の場合は最大格差が6.0倍を超えれば(最高裁大法廷平成8年9月11日判決参照),憲法に違反するといわれていました。

2 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲状態の判決
(1) 衆議院議員総選挙に関するもの
   最高裁大法廷平成 5年 1月20日判決(平成 2年 2月18日の総選挙に関するもの)(最大格差3.18倍)
②   最高裁大法廷平成23年 3月23日判決(平成21年 8月30日の総選挙に関するもの)(最大格差2.304倍)
   最高裁大法廷平成25年11月20日判決(平成24年12月16日の総選挙に関するもの)(最大格差2.43倍)
④   最高裁大法廷平成27年11月25日判決(平成26年12月14日の総選挙に関するもの)(最大格差2.13倍)
(2) 参議院議員通常選挙に関するもの
   最高裁大法廷平成 8年 9月11日判決(平成 4年 7月26日の通常選挙に関するもの)(最大格差6.59倍)
   最高裁大法廷平成24年10月17日判決(平成22年 7月11日の通常選挙に関するもの)(最大格差5.00倍)
   最高裁大法廷平成26年11月26日判決(平成25年 7月21日の通常選挙に関するもの)(最大格差4.77倍)

3 最高裁が出した,一票の格差に関する違憲判決
(1)   ①最高裁大法廷昭和51年4月14日判決(最大格差4.99倍)及び最高裁大法廷昭和60年7月17日判決(最大格差4.40倍)だけであり,いずれも衆議院議員総選挙に関するものです。
(2) 公職選挙法219条1項前段は選挙訴訟への行政事件訴訟法31条1項の適用を排除しています。
   しかし,
衆議院議員選挙が憲法14条1項に違反する議員定数配分規定に基づいて行われたことにより違法な場合であっても,選挙を無効とする結果余儀なくされる不都合を回避することを相当とする判示のような事情があるときは,いわゆる事情判決の制度の基礎に存するものと解すべき一般的な法の基本原則に従い,選挙無効の請求を棄却するとともに主文において当該選挙が違法である旨を宣言すべきであるとされています最高裁大法廷昭和60年7月17日判決。いわゆる「事情判決の法理」です。)。

第2の1 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧1/2

1 昭和47年12月10日実施の第33回衆議院議員総選挙(最大格差4.99倍)
   最高裁大法廷昭和51年4月14日判決は,違憲と判断しました。

2 昭和55年6月22日実施の第36回衆議院議員総選挙衆参同日選)(最大格差3.94倍)
   最高裁大法廷昭和58年11月7日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和58年12月18日実施の第37回衆議院議員総選挙(最大格差4.40倍)
   最高裁大法廷昭和60年7月17日判決は,違憲と判断しました。

4 昭和61年7月6日実施の第38回衆議院議員総選挙衆参同日選)(最大格差2.92倍)
   最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

5 平成2年2月18日実施の第39回衆議院議員総選挙(最大格差3.18倍)
   平成4年11月11日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成5年1月20日判決は,違憲状態と判断しました。

6 平成5年7月18日実施の第40回衆議院議員総選挙(最大格差2.82倍)
   最高裁平成7年6月8日判決は,合憲と判断しました。

7 平成8年10月20日実施の第41回衆議院議員総選挙(最大格差2.309倍)
   平成11年10月6日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成11年11月10日判決は,合憲と判断しました。

8 平成12年6月25日実施の第42回衆議院議員総選挙(最大格差2.471倍)
   最高裁平成13年12月18日判決は,合憲と判断しました。

9 平成15年11月9日実施の第43回衆議院議員総選挙(最大格差2.064倍)
   最高裁平成17年9月27日判決は,衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は衆議院の解散(平成17年8月8日)によって,その訴えの利益を失うと判示しました。

10 平成17年9月11日実施の第44回衆議院議員総選挙(最大格差2.171倍)
   平成19年4月25日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成19年6月13日判決は,合憲と判断しました。

第2の2 衆議院議員総選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧2/2

1 平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙(最大格差2.304倍)
(1) 判決内容
ア   平成23年2月23日の口頭弁論を経て,
最高裁大法廷平成23年3月23日判決は,違憲状態と判断しました。
イ 一人別枠方式は違憲状態であると判示したのは12人,一人別枠方式は違憲であると判示したのは2人,一人別枠方式は合憲であると判示したのは1人でした(外部HPの
「最高裁大法廷平成23年3月23日判決について 速報」参照)。
(2) その後の法改正
ア 平成24年11月26日公布の改正衆議院議員選挙区画定審議会設置法により,小選挙区の一人別枠方式を定めた同法3条2項が削除されました。
   なお,改正前の同法3条2項は,「前項の改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、一に、公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第四条第一項 に規定する衆議院小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とする。」と定めていました。 
イ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成25年3月28日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。 
ウ(ア) 平成25年6月28日公布の改正公職選挙法により,17都県42選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,5県(山梨,福井,徳島,高知及び佐賀)の定数を3人から2人に減らす0増5減が規定された結果,衆議院の定数が480人(小選挙区300人+比例代表180人)が475人(小選挙区295人+比例代表180人)となりました。
そして,平成25年7月28日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第22回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成25年7月29日開催)に書いてあります。

2 平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙(最大格差2.43倍)
(1) 平成25年10月23日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成25年11月20日判決は,違憲状態と判断しました。
(2) 最大格差2.304倍であった平成21年8月30日実施の第45回衆議院議員総選挙が最高裁大法廷平成23年3月23日判決によって違憲状態であると判断されていました。
   そのため,最大格差2.43倍となった平成24年12月16日実施の第46回衆議院議員総選挙が違憲状態であると判断されることは容易に予想されることでした。
(3)   
「選挙無効訴訟と国会の裁量-衆議院の選挙区割りをめぐる最高裁平成25年11月20日大法廷判決を素材として-」(レファレンス平成26年11月号)で解説されています。
(4) 日弁連は,平成25年11月20日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。

3 平成26年12月14日実施の第47回
衆議院議員総選挙(最大格差2.13倍)

(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
・ 平成27年3月26日までに17件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が1件,違憲状態が12件,合憲が4件でした。

イ 最高裁判決の内容
(ア)   平成27年10月28日の口頭弁論を経て,
最高裁大法廷平成27年11月25日判決は,違憲状態と判断しました。
(イ) 千葉勝美裁判官は,補足意見を付けました。
・   櫻井龍子裁判官及び池上政幸裁判官は,定数配分は合憲であるという趣旨の意見を付けました。
・   大橋正春裁判官は,定数配分は違憲であり,判決確定後6ヶ月経過の後に無効とすべきという反対意見を付けました。
・   鬼丸かおる裁判官は,定数配分は違憲であるという反対意見を付けました。
・   木内道祥裁判官が,定数配分は違憲であり,12の選挙区については無効とすべきという反対意見を付けました。
(2) その後の法改正
ア 平成26年6月19日に設置された衆議院選挙制度に関する調査会は,平成28年1月14日,定数10減及びアダムズ方式導入を柱とする答申を出しました(衆議院HPの
「衆議院選挙制度に関する調査会」参照)。
イ 平成28年5月27日公布の改正公職選挙法により,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となることとなりました。
ウ 総務省の衆議院議員選挙区画定審議会は,内閣総理大臣に対し,平成29年4月19日,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行いました(総務省HPの「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の画定案・改定案の勧告」参照)。 
   最大較差が平成27年国勢調査による日本国民の人口で1.956倍(平成32年見込人口で1.999倍)となる19都道府県97選挙区の改定案でした(総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」参照)。
エ(ア) 平成29年6月16日公布の改正公職選挙法により,19都道府県97選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,小選挙区が6人(青森,岩手,三重,奈良,熊本及び鹿児島から各1人),比例代表が4人(東北,北陸信越,近畿及び九州の各ブロックから1人)削減されて,衆議院の定数は465人(小選挙区289人+比例代表176人)となりました。
   そして,平成29年7月16日施行の衆議院議員小選挙区の区割りが,総務省HPの「衆議院小選挙区の区割りの改定等について」に掲載されています。
(イ) このときの法改正に至るまでの詳細な経緯は,総務省HPの「第36回衆議院議員選挙区画定審議会」(平成29年8月3日開催)に書いてあります。
オ 公示日前日である平成29年10月9日現在,一票の格差は最大で1.98倍です(中日新聞HPの「1票の格差1・98倍 区割り変更で2倍以上解消」参照)。
(3) その他
ア 日弁連は,平成27年11月25日,「衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
イ   
NHK解説委員室HP「時論公論 「1票の格差はどこまで許されるのか」」(平成27年11月26日)で解説されています。
平成25年7月28日施行の,衆議院小選挙区の区割り変更のポスター(総務省HPより)
平成29年7月16日施行の,衆議院小選挙区の区割り変更のポスター1/2(総務省HPより)
平成29年7月16日施行の,衆議院小選挙区の区割り変更のポスター2/2(総務省HPより)

第3の1 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧1/2

1 昭和37年7月1日実施の第6回参議院議員通常選挙(最大格差4.09倍)
(1)    最高裁大法廷昭和39年2月5日判決は,合憲と判断しました。
(2) 「議員定数、選挙区および各選挙区に対する議員数の配分の決定に関し立法府である国会が裁量的権限を有する以上、選挙区の議員数について、選挙人の選挙権の享有に極端な不平等を生じさせるような場合は格別、各選挙区に如何なる割合で議員数を配分するかは、立法府である国会の権限に属する立法政策の問題であつて、議員数の配分が選挙人の人口に比例していないという一事だけで、憲法14条1項に反し無効であると断ずることはできない。」と判示しました。

2 昭和46年6月27日実施の第9回参議院議員通常選挙(最大格差は5.08倍)
   最高裁昭和49年4月25日判決は,合憲と判断しました。

3 昭和52年7月10日実施の第11回参議院議員通常選挙(最大格差は5.26倍)
   最高裁大法廷昭和58年4月27日判決は,合憲と判断しました。

4 昭和55年6月22日実施の第12回参議院議員通常選挙(最大格差は5.37倍)
   最高裁昭和61年3月27日判決は,合憲と判断しました。

5 昭和58年6月26日実施の第13回参議院議員通常選挙(最大格差は5.56倍)
   最高裁昭和62年9月24日判決は,合憲と判断しました。

6 昭和61年7月6日実施の第14回参議院議員通常選挙(最大格差は5.85倍)
   最高裁昭和63年10月21日判決は,合憲と判断しました。

7 平成4年7月26日実施の第16回参議院議員通常選挙(最大格差6.59倍)
   平成8年6月26日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成8年9月11日判決は,違憲状態と判断しました。

8 平成7年7月23日実施の第17回参議院議員通常選挙(最大格差4.97倍)
   平成10年6月3日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成10年9月2日判決は,合憲と判断しました。

9 平成10年7月12日実施の第18回参議院議員通常選挙(最大格差4.98倍)
   平成12年7月5日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成12年9月6日判決は,合憲と判断しました。

10 平成13年7月29日実施の第19回参議院議員通常選挙(最大格差5.06倍)
(1)   平成15年12月10日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成16年1月14日判決は,合憲と判断しました。
(2) 最高裁大法廷平成16年1月14日判決の多数意見は5行だけであって(判決文4頁参照),残りは以下のとおりでした。
① 補足意見1(裁判官5人)
② 補足意見1の追加補足意見(裁判官島田仁郎)
③ 補足意見2(裁判官4人)
④ 補足意見2の追加補足意見(裁判官亀山継夫)
⑤ 補足意見2の追加補足意見(裁判官横尾和子)
⑥ 反対意見(裁判官6人)
⑦ 追加反対意見(裁判官福田博)
⑧ 追加反対意見(裁判官梶谷玄)
⑨ 追加反対意見(裁判官深澤武久)
⑩ 追加反対意見(裁判官濱田邦夫)
⑪ 追加反対意見(裁判官滝井繁男)
⑫ 追加反対意見(裁判官泉徳治)


11 平成16年7月11日実施の第20回参議院議員通常選挙(最大格差5.13倍)
   平成18年7月12日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成18年10月4日判決は,合憲と判断しました。

12 平成19年7月29日実施の第21回参議院議員通常選挙(最大格差4.86倍)
   平成21年7月8日の口頭弁論を経て,最高裁大法廷平成21年9月30日判決は,合憲と判断しました。

第3の2 参議院議員通常選挙における,一票の格差に関する最高裁判決の一覧2/2

1 平成22年7月11日実施の第22回参議院議員通常選挙(最大格差5.00倍)
(1) 判決内容
ア 高裁判決の内容
   平成23年2月28日までに那覇支部を除く15件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件,違憲状態が12件,合憲が0件でした(外部HPの
「一人一票(参院選)全国の判決日/判決文マップ」参照)。
イ 最高裁判決の内容
   平成24年9月12日の口頭弁論を経て,
最高裁大法廷平成24年10月17日判決は,違憲状態と判断しました。
違憲状態であると判断したのが12人,違憲であると判断したのが3人,合憲であると判断したのは0人でした(外部HPの「最高裁大法廷平成24年10月17日判決について」参照)。
(2) その後の法改正
・ 平成24年11月26日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「4増4減」(福島県及び岐阜県の議員数をそれぞれ4人から2人に減らし,神奈川県及び大阪府の議員数を6人から8人に増やすというもの)が規定されました。
   そして,同日施行の参議院選挙区選出議員の定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区の定数の改正」に掲載されています。
・ 公職選挙法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第94号)附則3項は,「平成二十八年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、結論を得るものとする。」と定めています。
(3) その他
・ 第22回参議院議員通常選挙に関して,Chikirinの日記ブログ「格差問題@一票の価値」に,「もしも選挙区割りがなく、得票数の多い順に当選していたらどうなっていたのか」が書いてあります。

2 平成25年7月21日実施の第23回参議院議員通常選挙(最大格差4.77倍)
(1) 判決内容等
ア 高裁判決の内容
・   平成25年12月26日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が3件(うち,違憲無効が1件(広島高裁岡山支部平成25年11月28日判決(裁判長は30期の片野悟好裁判官))),違憲状態が13件,合憲が0件でした(外部HPの
「昨夏の参院選は「違憲状態」最高裁が判決」及び「一人一票(2013参院)裁判~1人1票判決へ~」参照)。
・   国政選挙を違憲無効とした判決は,鹿児島2区選挙無効事件に関する大審院昭和20年3月1日判決(平成21年8月16日放送の,NHKスペシャル終戦ドラマ「気骨の判決」で取り上げられました。)以来です。
イ 最高裁判決の内容
・  
最高裁大法廷平成26年11月26日判決は,違憲状態と判断しました。
・ 山本庸幸裁判官(元 内閣法制局長官)の反対意見は,違憲無効を主張しました。
ウ 判決の解説
・    
「参議院議員定数配分をめぐる近時の最高裁判例-最高裁平成26年11月26日大法廷判決を中心として-」(レファレンス平成27年7月号)で解説されています。
(2) その後の法改正
・ 公明党は,平成27年6月15日,参議院選挙区における一票の格差を是正するため,隣接する20選挙区を合区して10選挙区に再編し,格差を2倍未満とする案を発表しました(公明党HPの「参院選挙制度で公明が改革案」参照)。
   これによれば,合区とされる選挙区は,秋田・山形(2人),富山・岐阜(4人),石川・福井(2人),山梨・長野(4人),奈良・和歌山(4人),鳥取・島根(2人),徳島・高知(2人),香川・愛媛(4人),佐賀・長崎(2人),大分・宮崎(4人)です。
・   平成27年8月5日公布の公職選挙法改正において,参議院(選挙区)定数に関する「10増10減」,鳥取・島根及び徳島・高知の合区等が規定されました。
   そして,平成27年11月5日施行の参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の変更が,総務省HPの「参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の改正等について」に掲載されています。
(3) その他
・   日弁連は,平成26年11月26日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
・ 全国知事会は,平成28年7月29日,参議院選挙における合区の解消に関する決議を出しました(全国知事会HPの「平成28年8月25日「参議院選挙における合区の解消に関する決議」に係る要請活動について」参照)。

3 平成28年7月24日実施の第24回参議院議員通常選挙(最大格差3.08倍)
(1) 高裁判決の内容等
・   一人一票実現国民会議HPの
「一人一票(2016参院)裁判始まりました!」に,高裁判決の全文,最高裁の弁論期日における弁論要旨等が載っています。
・ 平成28年11月8日までに16件の高裁本庁及び高裁支部の判決が出そろい,違憲が0件,違憲状態が10件,合憲が6件でした(外部HPの「合憲?違憲状態?判断分かれる「一票の格差」特集」参照)。
(2) 最高裁判決の内容等
・ 平成29年7月19日に口頭弁論期日があり(裁判所HPの「最高裁判所開廷期日情報」参照),「傍聴人の皆様へ 選挙無効請求事件(参議院議員定数訴訟)について」と題する説明資料が配布されました(Youtube動画につき「最高裁で弁論 「一票の格差」巡り参院選無効の訴え(2017/7/19)」参照)。
・ 最高裁大法廷平成29年9月27日判決(升永弁護士のグループ)及び最高裁大法廷平成29年9月27日判決(山口弁護士のグループ)は,合憲と判断しました(Youtube動画につき「「一票の格差」最高裁は「合憲」 去年の参院選」参照)。
(3) その他
   日弁連は,平成29年9月28日,「参議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明」を出しました。
平成27年11月5日施行の,参議院選挙区選出議員の選挙区及び定数の改正等に関するポスター(総務省HPより)
平成29年7月19日の口頭弁論期日で配布された,傍聴人の皆様へ 選挙無効請求事件(参議院議員定数訴訟)について

第4 一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧

最高裁大法廷平成23年3月23日判決が出た後の,一票の格差是正に関する公職選挙法の一部を改正する法律等の一覧は以下のとおりです。
1 衆議院に関するもの(議員定数は480人→475人→465人)
① 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第95号)
→ 野田首相が党首討論で衆議院の解散を表明した平成24年11月14日の翌日に衆議院で可決し,翌々日(解散日)に参議院で可決・成立した法律です。
   小選挙区の一人別枠方式の規定が削除されたほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増5減」が実施されることとなりました。
② 衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成25年6月28日法律第68号)(改正後の議員定数は475人)
→ 17都県42選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増5減」が実施された結果,小選挙区選出議員の定数が300人から295人となりました。
③ 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律(平成28年5月27日法律第49号)
→ 衆議院小選挙区定数に関する「0増6減」及び比例代表定数の4人削減が実施されることとなりました。
④ 衆議院議員選挙区画定審議会設置法及び公職選挙法の一部を改正する法律の一部を改正する法律(平成29年6月16日法律第58号)(改正後の議員定数は465人)
→ 19都道府県97選挙区で選挙区の区割りが変わったほか,衆議院小選挙区定数に関する「0増6減」が実施された結果,小選挙区選出議員の定数が295人から289人となりました。
   また,比例代表選出議員の定数が180人から176人となりました。

2 参議院に関するもの(議員定数は242人)
①   公職選挙法の一部を改正する法律(平成24年11月26日法律第94号)
→ 参議院(選挙区)定数に関する「4増4減」が実施されました。
② 公職選挙法の一部を改正する法律(平成27年 8月5日法律第60号)
→ 参議院(選挙区)定数に関する「10増10減」,鳥取・島根及び徳島・高知の合区等が実施されました。

第5の1 衆議院議員総選挙当日有権者数の最多選挙区及び最小選挙区

1 平成 8年10月20日執行の第41回衆議院議員総選挙
最多選挙区:神奈川県第14区(44万6970人)
最小選挙区:島根県第3区(19万2999人)
2倍超区数:62選挙区
最大 格差:2.316倍

2 平成12年6月25日執行の第42回衆議院議員総選挙
最多選挙区:神奈川県第14区(47万1445人)
最小選挙区:島根県第3区(19万1241人)
2倍超区数:87選挙区
最大 格差:2.465倍

3 平成15年11月9日執行の第43回衆議院議員総選挙
最多選挙区:千葉県第4区(45万9501人)
最小選挙区:徳島県第1区(21万3689人)
2倍超区数:27選挙区
最大 格差:2.150倍

4 平成17年9月11日執行の第44回衆議院議員総選挙
最多選挙区:東京都第6区(46万5181人)
最小選挙区:徳島県第1区(21万4235人)
2倍超区数:33選挙区
最大 格差:2.171倍

5 平成21年8月30日執行の第45回衆議院議員総選挙
最多選挙区:千葉県第4区(48万7837人)
最小選挙区:高知県第3区(21万1750人)
2倍超区数:45選挙区
最大 格差:2.304倍

6 平成24年12月16日執行の第46回衆議院議員総選挙
最多選挙区:千葉県第4区(49万5212人)
最小選挙区:高知県第3区(20万4196人)
2倍超区数:72選挙区
最大 格差:2.425倍

7 平成26年12月14日執行の第47回衆議院議員総選挙
最多選挙区:東京都第1区(49万2025人)
最小選挙区:宮城県第5区(23万1081人)
2倍超区数:13選挙区
最大 格差:2.129倍

第5の2 参議院議員通常選挙当日有権者数(議員1人当たり)の最多選挙区及び最小選挙区

1 昭和52年7月10日執行の第11回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(111万3463人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(21万1507人)
格差:5.264倍

2 昭和55年6月22日執行の第12回参議院議員通常選挙(衆参同日選挙)
最多選挙区:神奈川県選挙区(117万1382人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(21万7992人)
格差:5.374倍

3 昭和58年6月26日執行の第13回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(123万8208人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(22万2848人)
格差:5.556倍

4 昭和61年7月6日執行の第14回参議院議員通常選挙(衆参同日選挙)
最多選挙区:神奈川県選挙区(132万491人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(22万5601人)
格差:5.853倍

5 平成元年7月23日執行の第15回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(143万1227人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(22万9034人)
格差:6.249倍

6 平成4年7月26日執行の第16回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(152万7439人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(23万1933人)
格差:6.586倍

7 平成7年7月23日執行の第17回参議院議員通常選挙
最多選挙区:東京都選挙区(117万7394人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(23万6919人)
格差:4.970倍

8 平成10年7月12日執行の第18回参議院議員通常選挙
最多選挙区:東京都選挙区(119万7651人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万722人)
格差:4.975倍

9 平成13年7月29日執行の第19回参議院議員通常選挙
最多選挙区:東京都選挙区(123万3477人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万4913人)
格差:5.036倍

10 平成16年7月11日執行の第20回参議院議員通常選挙
最多選挙区:東京都選挙区(126万4178人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万6218人)
格差:5.134倍

11 平成19年7月29日執行の第21回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(119万7275人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万6434人)
格差:4.858倍

12 平成22年7月11日執行の第22回参議院議員通常選挙
最多選挙区:神奈川県選挙区(121万5760人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万2956人)
格差:5.004倍

13 平成25年7月21日執行の第23回参議院議員通常選挙
最多選挙区:北海道選挙区(114万9739人)
最小選挙区:鳥取県選挙区(24万1096人)
格差:4.769倍

14 平成28年7月10日執行の第24回参議院議員通常選挙
最多選挙区:埼玉県選挙区(101万1503人)
最小選挙区:福井県選挙区(32万8722人)
格差:3.077倍

第6の1 日本国憲法下の衆議院の解散一覧

○日本国憲法下の衆議院の解散一覧は以下のとおりであり,任期満了に伴う衆議院議員総選挙は昭和51年12月5日の第34回衆議院議員総選挙(通称は「ロッキード選挙」)だけでした(衆議院HP「衆議院議員総選挙一覧表」参照)。
○召集時解散は①昭和41年12月27日の解散(第1次佐藤内閣),②昭和61年6月2日の解散(第2次中曽根内閣),③平成8年9月27日の解散(第1次橋本内閣)及び④平成29年9月27日の解散(第3次安部内閣)の3回です。
○本会議が開いていない時点での解散は①昭和27年8月28日の解散(第3次吉田内閣),②昭和55年5月19日の解散(第2次大平内閣)及び③昭和61年6月2日の解散(第2次中曽根内閣)であり,これらの場合,議長応接室で解散詔書が読み上げられました。
○国会閉会中に衆議院が解散されたことはありません。
○統治行為論に基づき,衆議院解散の効力は,訴訟の前提問題としても,裁判所の審査権限の対象外です(最高裁大法廷昭和35年6月8日判決(苫米地事件上告審判決)参照)。
○衆議院HPに「国会会期一覧」が載っています。召集時解散があった場合,会期は1日だけになります。

1 昭和23年12月23日の解散(主な通称は「馴れ合い解散」
・   第2次吉田内閣が第4回国会(常会)で行ったものです。
・ 同日の内閣不信任決議の可決(1回目)を受けて行われたものです。
・ GHQは,衆議院の解散は憲法69条所定の場合に限られるという解釈を採っていましたから,与野党が内閣不信任決議案に賛成して可決させた上で,衆議院を解散するという方法が取られました。
   そのため,このときの解散詔書には,「衆議院において内閣不信任の決議案を可決した。よって内閣の助言と承認により、日本国憲法第六十九条及び第七条により、衆議院を解散する。」と記載されました。
・   同日,極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)で死刑判決を受けた東条英機元首相らA級戦犯7人の絞首刑が執行されました。
・ 昭和24年1月23日に第24回衆議院議員総選挙(議員定数は466人)が行われました。
   その結果,民主自由党が264議席(以上が与党です。),民主党が69議席,日本社会党が48議席,日本共産党が35議席,日本協同党が14議席,労働者農民党が7議席,農民新党が6議席,社会革新党が5議席,諸派が6議席,無所属が12議席を獲得しました。

2 昭和27年8月28日の解散(主な通称は「抜き打ち解散」
・   第3次吉田内閣が第14回国会(常会)の3日目に突然,行ったものですから,「抜き打ち解散」といわれています。
・ 昭和27年10月1日に第25回衆議院議員総選挙(議員定数は466人)が行われました。
   その結果,自由党が240議席(以上が与党です。),改進党が85議席,社会党(右派)が57議席,社会党(左派)が54議席,労働者農民党が4議席,諸派が7議席,無所属が19議席を獲得しました。
・ 昭和20年代後半,日本共産党は全国的に騒擾事件や警察に対する襲撃事件等の暴力的破壊活動を繰り広げたこともあり(ただし,現在の日本共産党は,当時の暴力的破壊活動は「分裂した一方が行ったことで,党としての活動ではない」と主張しています。),日本共産党の議席数は改選前の22議席から0議席になりました(警察庁HPの「警備警察50年」「第2章 警備情勢の推移」参照)。
・ 最高裁大法廷昭和35年6月8日判決(苫米地事件上告審判決)は,このときの解散に関する判決です。

3 昭和28年3月14日の解散(主な通称は「バカヤロー解散」
・   第4次吉田内閣が第15回国会(特別会)で行ったものです。
・ 同日の内閣不信任決議の可決(2回目)を受けて行われたものです。
・ 昭和28年4月19日に第26回衆議院議員総選挙(議員定数は466人)が行われました。
   その結果,自由党(吉田派)が199議席,自由党(鳩山派)が35議席(以上が与党です。),改進党が76議席,社会党(左派)が72議席,社会党(右派)が66議席,労働者農民党が5議席,日本共産党が1議席,日本人民党が1議席,無所属が11議席を獲得しました。

4 昭和30年1月24日の解散(主な通称は「天の声解散」
・   第1次鳩山内閣が第21回国会(常会)で行ったものです。
・ 政府三演説に対する代表質問中に行われました。
・ 昭和30年2月27日に第27回衆議院議員総選挙(議員定数は467人)が行われました。
   その結果,日本民主党が185議席(以上が与党です。),自由党が112議席,社会党(左派)が89議席,社会党(右派)が67議席,労働者農民党が4議席,日本共産党が2議席,諸派が2議席,無所属が6議席を獲得しました。

5 昭和33年4月25日の解散(主な通称は「話し合い解散」
・   第1次岸内閣が第28回国会(常会)で行ったものです。
・ 昭和33年5月22日に第28回衆議院議員総選挙(議員定数は467人)が行われました。
   その結果,自由民主党が287議席(以上が与党です。),日本社会党が166議席,日本共産党が1議席,諸派が1議席,無所属が12議席を獲得しました。

6 昭和35年10月24日の解散(主な通称は「安保解散」)
・   第1次池田内閣が第36回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 昭和35年11月20日に第29回衆議院議員総選挙(議員定数は467人)が行われました。
   その結果,自由民主党が296議席(以上が与党です。),日本社会党が145議席,民主社会党が17議席,日本共産党が3議席,全国農政連盟が1議席,無所属が5議席を獲得しました。
・ 自由民主党の獲得議席率(約63.4%)はこのときの選挙が過去最高でした。

7 昭和38年10月23日の解散(主な通称は「所得倍増解散」,「ムード解散」,「予告解散」)
・   第2次池田内閣が第44回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 昭和38年11月21日に第30回衆議院議員総選挙(議員定数は467人)が行われました。
   その結果,自由民主党が283議席(以上が与党です。),日本社会党が144議席,民主社会党が23議席,日本共産党が5議席,無所属が12議席を獲得しました。

8 昭和41年12月27日の解散(主な通称は「黒い霧解散」
・   第1次佐藤第3次改造内閣が第54回国会(常会)で行ったものです。
・ 1回目の召集時解散です。
・ 昭和42年1月29日に第31回衆議院議員総選挙(議員定数は486人)が行われました。
   その結果,自由民主党が277議席(以上が与党です。),日本社会党が140議席,民主社会党が30議席,公明党が25議席,日本共産党が5議席,無所属が9議席を獲得しました。

9 昭和44年12月2日の解散(主な通称は「沖縄解散」)
・   第2次佐藤内閣が第62回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 昭和44年12月27日に第32回衆議院議員総選挙(議員定数は486人)が行われました。
   その結果,自由民主党が288議席(以上が与党です。),日本社会党が90議席,公明党が47議席,民主社会党が31議席,日本共産党が14議席,無所属が16議席を獲得しました。

10 昭和47年11月13日の解散(主な通称は「日中解散」)
・   第1次田中内閣が第70回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 昭和47年12月10日に第33回衆議院議員総選挙(議員定数は491人)が行われました。
   その結果,自由民主党が271議席(以上が与党です。),日本社会党が118議席,日本共産党が38議席,公明党が29議席,民社党が19議席,沖縄社会大衆党が1議席,沖縄人民党が1議席,無所属が14議席を獲得しました。

11 昭和54年9月7日の解散(主な通称は「増税解散」,「一般消費税解散」)
・   第1次大平内閣が第88回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 昭和54年10月7日に第35回衆議院議員総選挙(議員定数は511人)が行われました。
   その結果,自由民主党が248議席(以上が与党です。),日本社会党が107議席,公明党が57議席,日本共産党が39議席,民社党が35議席,新自由クラブが4議席,社会民主連合が2議席,無所属が19議席を獲得しました。
・ 日本共産党の獲得議席数はこのときの総選挙で獲得した39議席が過去最高です。

12 昭和55年5月19日の解散(主な通称は「ハプニング解散」
・   第2次大平内閣が第91回国会(常会)で行ったものです。
・ 同月16日の内閣不信任決議の可決(3回目)を受けて行われたものです。
・ 大平正芳首相は総選挙期間中の6月12日,心筋梗塞による心不全で死亡しました。戦後の首相が在職中に死亡したのは大平正芳首相だけです。
   小渕恵三首相(いわゆる「平成おじさん」です。)は在職中の平成12年4月2日に脳梗塞を発症したものの,同月5日に小渕内閣が総辞職した後の同年5月14日に死亡しましたから,在職中の死亡ではありません。
・ 昭和55年6月22日に第36回衆議院議員総選挙(議員定数は511人)(1回目の衆参同日選挙)が行われました。
   その結果,自由民主党が284議席(以上が与党です。),日本社会党が107議席,公明党が33議席,民社党が32議席,日本共産党が29議席,新自由クラブが12議席,社会民主連合が3議席,無所属が11議席を獲得しました。

13 昭和58年11月28日の解散(主な通称は「田中判決解散」
・ 第1次中曽根内閣が第100回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 田中判決解散でいうところの「田中判決」は,ロッキード事件において田中角栄元首相に対し,懲役4年,追徴金5億円の実刑判決を言い渡した,東京地裁昭和58年10月12日判決のことです。
・ 昭和58年12月18日に第37回衆議院議員総選挙(議員定数は511人)が行われました。
   その結果,自由民主党が250議席(以上が与党です。),日本社会党が112議席,公明党が58議席,民社党が38議席,日本共産党が26議席,新自由クラブが8議席,社会民主連合が3議席,無所属が16議席を獲得しました。
・ 解散から衆議院議員総選挙の投票日までの期間は史上最短の20日間でした。

14 昭和61年6月2日の解散(主な通称は「死んだふり解散」,「寝たふり解散」)
・ 第2次中曽根第2次内閣が第105回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 2回目の召集時解散です。
・ 昭和61年7月6日に第38回衆議院議員総選挙(議員定数は512人)(2回目の衆参同日選挙)が行われました。
   その結果,自由民主党が300議席(以上が与党です。),日本社会党が85議席,公明党が56議席,民社党が26議席,日本共産党が26議席,新自由クラブが6議席,社会民主連合が4議席,無所属が9議席を獲得しました。
・ 自由民主党の300議席は,平成21年8月30日の第45回衆議院議員総選挙において,民主党が単独で308議席を獲得するまで,一つの政党が保有する議席数としては戦後最高でした。

15 平成2年1月24日の解散(主な通称は「消費税解散」)
・ 第1次海部内閣が第117回国会(常会)で行ったものです。
・ 施政方針演説をする前の解散でした。
・ 平成2年2月18日に第39回衆議院議員総選挙(議員定数は512人)が行われました。
   その結果,自由民主党が275議席(以上が与党です。),日本社会党が136議席,公明党が45議席,日本共産党が16議席,民社党が14議席,社会民主連合が4議席,進歩党が1議席,無所属が21議席を獲得しました。

16 平成5年6月18日の解散(主な通称は「嘘つき解散」,「政治改革解散」)
・ 宮澤改造内閣が第126回国会(常会)で行ったものです。
・ 同日の内閣不信任決議の可決(4回目)を受けて行われたものです。
・ 平成5年7月18日に第40回衆議院議員総選挙(議員定数は511人)(中選挙区制における最後の総選挙)が行われました。
   その結果,自由民主党が223議席(以上が与党です。),日本社会党が70議席,新政党が55議席,公明党が51議席,日本新党が35議席,民社党が15議席,新党さきがけが13議席,社会民主連合が4議席,日本共産党が15議席,無所属が30議席を獲得しました。

17 平成8年9月27日の解散(主な通称は「小選挙区解散」)
・ 第1次橋本内閣が第137回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 3回目の召集時解散です。
・ 平成8年10月20日に第41回衆議院議員総選挙(議員定数は500人)(小選挙区比例代表並立制における最初の総選挙)が行われました。
   その結果,自由民主党が239議席,社会民主党が15議席,新党さきがけが2議席(以上が与党です。),新進党が156議席,民主党が52議席,日本共産党が26議席,民主改革連合が1議席,無所属が9議席を獲得しました。

18 平成12年6月2日の解散(主な通称は「神の国解散」,「ミレニアム解散」)
・ 第1次森内閣が第147回国会(常会)で行ったものです。
・ 平成12年6月25日に第42回衆議院議員総選挙(議員定数は480人)が行われました。
   その結果,自由民主党が233議席,公明党が31議席,保守党が7議席(以上が与党です。),民主党が127議席,自由党が22議席,日本共産党が20議席,社会民主党が19議席,無所属の会が5議席,自由連合が1議席,無所属が15議席を獲得しました。

19 平成15年10月10日の解散(主な通称は「マニフェスト解散」,「構造改革解散」)
・ 第1次小泉第2次改造内閣が第157回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 平成15年11月9日に第43回衆議院議員総選挙(議員定数は480人)が行われました。
   その結果,自由民主党が237議席,公明党が34議席,保守新党が4議席(以上が与党です。),民主党が177議席,日本共産党が9議席,社会民主党が6議席,無所属の会が1議席,自由連合が1議席,無所属が11議席を獲得しました。

20 平成17年8月8日の解散(主な通称は「郵政解散」)
・ 第2次小泉改造内閣が第162回国会(常会)で行ったものです。
・ 参議院で同日,郵政民営化関連6法案(第162回国会閣法第84号ないし第89号)の否決(衆議院HPの「第162回国会 議案の一覧」参照)に伴って行われたものです。
・ 民主党から小泉内閣不信任決議案(第162回国会決議第7号)が提出された直後の午後7時4分頃,河野洋平衆議院議長が解散詔書を朗読しました(Youtube動画「【2005年小泉純一郎内閣】衆議院解散(郵政解散)」参照)。
・ 平成17年9月11日に第44回衆議院議員総選挙(議員定数は480人)が行われました。
   その結果,自由民主党が296議席,公明党が31議席(以上が与党です。),民主党が113議席,日本共産党が9議席,社会民主党が7議席,国民新党が4議席,新党日本が1議席,新党大地が1議席,無所属が18議席を獲得しました。
・ 郵政民営化関連6法案(第163回国会閣法第1号ないし第6号)は平成17年10月14日に参議院で可決・成立し,同月21日に平成17年法律第97号ないし第102号として公布されました(内閣官房郵政民営化事務局HP「郵政民営化関連法など」参照)。

21 平成21年7月21日の解散(主な通称は「政権選択解散」)
・ 麻生内閣第171回国会(常会)で行ったものです。
・ 午後1時に衆議院本会議が開会した直後に,河野洋平衆議院議長が解散詔書を朗読しました(Youtube動画「衆議院解散2009」参照)。
・ 平成21年8月30日に第45回衆議院議員総選挙(議員定数は480人)が行われました。
   その結果,自由民主党が119議席,公明党が21議席(以上が与党です。),民主党が308議席,日本共産党が9議席,社会民主党が7議席,みんなの党が5議席,国民新党が3議席,新党日本が1議席,新党大地が1議席,無所属が6議席を獲得しました。
・ 民主党の308議席は,一つの政党が保有する議席数としては戦後最高です。
・ 衆議院の解散から衆議院議員総選挙の投票日までの期間は史上最長の40日間でした(憲法54条1項参照)。

22 平成24年11月16日の解散(主な通称は「近いうち解散」
・ 野田第3次改造内閣第181回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 野田首相が平成24年11月14日の党首討論で突然,衆議院の解散を表明しました。
・ 横路孝弘衆議院議長が解散した解散詔書の文言は以下のとおりでした(Youtube動画「衆議院解散2012」の1分41秒参照)。
   日本国憲法第七条により、衆議院を解散する。
   御 名 御 璽
   平成二十四年十一月十六日
   内閣総理大臣 野 田 佳 彦
・ 最高裁大法廷平成23年3月23日判決によって違憲状態であると判断された一票の格差が是正されていないにもかかわらず,衆議院の解散が行われました。
・ 平成24年12月16日に第46回衆議院議員総選挙(議員定数は480人)が行われました。
   その結果,民主党が57議席,国民新党が1議席(以上が与党です。),自由民主党が294議席,日本維新の会が54議席,公明党が31議席,みんなの党が18議席,日本未来の党が9議席,日本共産党が8議席,社会民主党が2議席,新党大地が1議席,無所属が5議席を獲得しました。

23 平成26年11月21日の解散(主な通称は「アベノミクス解散」)
・ 第2次安倍改造内閣第187回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 安倍首相が平成26年11月18日の記者会見で衆議院の解散を表明しました(Youtube動画「安倍晋三総理大臣 記者会見 2014-11-18 フルバージョン」参照)。
・ 伊吹文明衆議院議長が衆議院本会議において,「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」とまで解散詔書を朗読した直後に万歳三唱が起こりましたものの,その後,「御名御璽 平成26年11月21日 内閣総理大臣安倍晋三」とまで朗読しました。
   ただし,「御名御璽」以下の文言が朗読されたのはこのときだけです(ハフィントンポストHPの「衆院解散,「フライング万歳」はなぜ起こった?検証してみた【動画】」参照)。
・ 平成26年12月14日に第47回衆議院議員総選挙(議員定数は475人)が行われました。
   その結果,自由民主党が291議席,公明党が35議席(以上が与党です。),民主党が73議席,維新の党が41議席,日本共産党が21議席,次世代の党が2議席,社会民主党が2議席,生活の党が2議席,無所属が8議席を獲得しました。

24 平成29年9月28日の解散
・ 第3次安倍第3次改造内閣第194回国会(臨時会)で行ったものです。
・ 平成29年9月16日(土)から衆議院の早期解散が報道されるようになりました。
・ 安倍首相が平成29年9月25日(月)の記者会見で衆議院の解散を表明し,今回の解散は「国難突破解散」であると説明しました(Youtube動画「安倍首相,衆院解散を表明【記者会見ノーカット】」参照)。
・ 9月28日午後0時2分に衆議院本会議が開会し,約1分後の午後0時3分,大島理森衆議院議長が「日本国憲法第7条により衆議院を解散する」と書いてある解散詔書を朗読しました(Youtube動画「2017年9月28日 衆議院解散」参照)。
・ 内閣は,平成29年9月28日付の「政府声明」を発表しました。
・ 民進党は,解散日に行った両院議員総会において,10月22日の衆議院議員総選挙において候補者を擁立せず,民進党から立候補を予定していた候補者は「希望の党」(平成27年9月25日設立)に公認申請を行うことを決定しました(民進党HPの「党員・サポーター,そして国民の皆様へ」参照)。
・ 4回目の召集時解散となりました。
・ NHK解説委員室HP「衆議院解散 総選挙の焦点」で解説されています。
・ 平成29年10月22日に第48回衆議院議員総選挙(議員定数は465人)が行われます。

第6の2 一票の格差是正前の解散は可能であることに関する政府答弁

○茂串俊内閣法制局長官は,昭和60年12月11日の衆議院公職選挙法改正に関する調査特別委員会において以下の答弁をしています。
1 最高裁判決で違憲とされた議員定数配分規定につきまして是正措置が講じられないうちに衆議院の解散権の行使ができるかという問題につきましては、純粋の法律論としては、そのような解散権の行使が否定されることにはならないというふうに考えておるわけでございます。
2(1) その理由といたしましては、まず衆議院の解散制度は、立法府と行政府の意見が対立するとか国政上の重大な局面が生じまして主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えてその判定を求めるということを主たるねらいといたしまして、憲法に明定されておる基本的に重要な制度でございまして、この解散権の制度は、同時にまた権力分立制のもとで立法府と行政府との権力の均衡を保つという機能を果たすものであるというふうに言われております。
   そして、このように基本的に重要な機能である解散権につきまして、憲法上これを制約する明文の規定はございません。また、衆議院で不信任決議案が可決されたような場合におきましても解散権の行使が許されないということになりますと、内閣としては総辞職の道しかないことになりまして、憲法69条の趣旨が全うされないということにもなるわけでございます。
(2) さらにまた、解散がございますとそれに伴って総選挙が施行されることになりますけれども、解散は議員の身分を任期満了前に失わせる行為でございます。
   一方、総選挙は解散あるいは任期満了に伴って国民が新たに議員を選任する行為でございまして、それぞれ別々の規定に従って行われる別個のものであるということは明らかでございます。
3 こういったことを総合勘案いたしますと、純粋の法律論として言えば、定数配分規定の改正前における衆議院解散権の行使が否定されることにはならないというふうに考えておる次第でございます。

○茂串俊内閣法制局長官は,昭和61年4月23日の衆議院法務委員会において以下の答弁をしています。
1(1) ただいまの御質問には二つの意味があると思うのでございます。
一つは、仮に定数是正が行われなかった場合、実現できなかった場合に、それを理由として解散権の行使ができるかという問題、それから、もしそういうことであれば定数是正が行われる前に選挙が行われることにならざるを得ない、そうなれば違憲の判決がおりているところの定数配分規定によって選挙をすることになるがそれでよいのかという二つの問題があろうかと思うのでございます。
(2) そのうち、第一の問題については、解散権の行使というのは高度な政治的な判断を要する問題でございまして、これは法律的な見地からどうこうという問題ではないと思うのでございます。
   そういう意味で、私からこれこれというふうに直接的な御答弁をいたしますのは差し控えたいと思います。
(3)ア それから、二つ目の問題については、前々から申し上げておりますように、違憲とされる定数配分規定が是正されないままで、すなわち憲法に違反する状態のままで残っていること自体がそもそも法的に言ってあってはならないと申しますか予想されていない異例の事態でございまして、そのような特殊、異例な事態を前提としての処理ということになるわけでございますから、どうしてもそのことが法理論の展開面に反映されるということにならざるを得ないわけでございます。
   その意味におきまして、ただいま国会におかれまして与野党こぞって定数是正の実現にいろいろ御努力されておるということでございますので、このような違憲とされた定数配分規定が一日も早く是正されることを我々としても強く希望しておるところでございます。
イ ところで、任期満了に伴う総選挙でも解散に伴う総選挙でも同じでございますけれども、総選挙しなければ衆議院が組織できないわけでございまして、衆議院が不存在になってしまうということでございます。
   これは憲法に規定する前提から考えて到底放置できない事態であることは当然でございます。
   そこで総選挙をやらざるを得ないといたしまして、その選挙を執行する手続を定めておるものとしては、違憲とされた定数配分規定を含む公職選挙法しかない、ほかに準拠すべき法律がないわけでございますから、政府といたしましては、これに基づいて総選挙を行うほかはないわけであって、それによって憲法全体の秩序を全うすることができると考えておるわけでございまして、この点については過去においても何遍か御答弁申し上げているところでございます。
2 私の立場はあくまでも法律のいわば専門家と申しますか、そういう立場からの御答弁にならざるを得ないわけでございますが、一般的に申しまして衆議院の解散権というのは、言うまでもないことでございますけれども、国政の重大な局面において民意を問う手段として憲法上内閣に与えられた重要な機能でありまして、いかなる場合に衆議院を解散するかについては憲法上これを制約する明文の規定はないわけでございまして、内閣はその政治的責任で決すべきものである旨を述べているわけでございます。
   そういった法律論を私は前々から述べておるわけでございますが、しからばいかなる場合に解散するのが適当かどうかということになりますと、先ほども申し上げましたように内閣の高度の政治的判断に基づいて決定される筋合いのものでございまして、純粋に法律的な立場からとやかく御答弁申し上げることは差し控えたい、かように考えております。

最高裁大法廷平成23年3月23日判決において一票の格差は違憲状態であると判示されました。
   このことと関連して,
平成23年5月17日付の,衆議院議員柿澤未途君提出内閣総理大臣の衆議院解散権に関する質問に対する答弁書(内閣衆質177第164号)には以下の記載があります。
一について
お尋ねの衆議院解散権は、内閣が、国政上の重大な局面等において主権者たる国民の意思を確かめる必要があるというような場合に、国民に訴えて、その判定を求めることを狙いとし、また、立法府と行政府の均衡を保つ見地から、憲法が行政府に与えた国政上の重要な権能であり、現行の公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)等の規定の下で内閣が衆議院の解散を決定することは否定されるものではないと考える。
二について
憲法第五十四条の規定により、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行うこととなる。なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はない。
三について
憲法第五十四条の規定により、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行うこととされていること等から、選挙期日の特例や任期の特例を規定した御指摘の平成二十三年東北地方太平洋沖地震に伴う地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律(平成二十三年法律第二号)と同様の対応をとることはできないものと考える。
四について
仮定の御質問にお答えすることは差し控えたい。なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はない。

第6の3 閉会中解散は可能であることに関する内閣法制局長官の答弁

○真田秀夫内閣法制局長官は,昭和54年3月19日の衆議院決算委員会において以下の答弁をしています(ナンバリング及び改行を行っています。)。
1(1) 衆議院を解散するという、これは厳密に言えば天皇の国事行為でございまして、御承知のとおり、内閣の助言と承認によって天皇の名前で衆議院の解散が行われるわけでございまするが、その解散の時期については憲法上どこにもその制約がございません。
   もともと衆議院の解散という行為は、それは時の政府が国民に向かって自分の政策あるいは自分のその内閣の存続についての国民の意思を問いかけるという非常に政治的な行為でございますが、そういう性格から見まして、憲法上どこにもその制約がない、時期について制約がないということは、もっぱら政府の政治的な判断に基づいてやるべきものであるというふうに理解されるわけでございます。
   この点につきましては、いろいろ学説を調べてみましたけれども、もうほとんど全部と言っていいくらい、理論上は国会の閉会中でも衆議院の解散は可能であるというふうに書いてございます。ただ、明治憲法以来現在まで国会――まあ昔は帝国議会でございますが、議会なり国会の閉会中に現実に衆議院の解散が行われたという事例はございません。
(2) なお、念のために申し上げますと、現在の憲法が審議されましたいわゆる制憲議会、その制憲議会におきまして、やはり閉会中のもちろん新憲法による衆議院の解散というのがあり得るのかという御質問がございまして、当時金森国務大臣が、それは非常に慎重にやらなきゃいかぬことは当然であるけれども、理論的に所見を言えということを申されますならば、もちろん解散はできるものと思っておりますという明確な御答弁がございます。
御参考までに申し上げました。
2 いまだかつて〔閉会中解散の〕前例がないわけでございますので、その前例をもとにして御説明するわけにはいかないわけでございます。
   ただ理屈上は、国会の本会議が開会されている時期に、例の紫色のふくさを持って議長にお届けする、議長が、ただいま解散の詔書が出ましたという朗読をされまして、そうして各衆議院議員の方が、どういう意味合いか知りませんが、万歳を唱えてそこで無事解散ということになるわけなんですが、ただ、いままでに、本会議が開かれておらない時点で解散が行われたこと〔山中注:昭和27年8月28日に第14回国会が解散されたことを指していると思います。その後、昭和55年5月19日に第91回国会が、昭和61年6月2日に第105回国会が、本会議が開いていない時点で解散されました。〕はあるんです。
   その場合には、本会議が開かれておらないわけですから、ただいま申しましたような万歳の機会が実はなかったわけですが、その場合はどうしたかといいますと、議長に――もちろん事務総長を通してでございますが、議長に内閣の方から解散の詔書をお届けして、そして議長が各会派の代表者を議長室にお招きになってそして解散の旨をお伝えになる、そういうことが行われたようでございます。
   したがいまして、それがやや似ていると言えば似ている先例ということになりますので、もし閉会中に解散が行われると、それはただいま申しました本会議が開かれておらない時点において行われた解散の場合の手続に準じて、議長室に議長はいらっしゃいますから、議長のところへお届けして、議長がしかるべき手順を踏んで各会派の方にお伝えになると、こういう御手続を踏まれることになるだろうと思います。
3 なおついでに申し上げますと、もし閉会中は国会解散ができないのだという解釈をとりますと、たとえば国会の会期の最終日なり、あるいは非常に会期の終了間近に衆議院において内閣の不信任案が可決され、または信任案が否決されるというようなことがあった場合に、憲法69条は、そういう場合には10日間、つまり内閣は10日間、総辞職をするか解散をするかどちらかの選択をしなさいという選択権を与えているわけなんで、いま申しましたように、会期の終了間近、つまり10日以内の間近に衆議院において内閣の不信任案が可決されたような場合にはもうその選択ができないというような不都合なことになりますので、それでやはり閉会中においても解散ができるのだという解釈の趣旨は、憲法69条から見てもやはり是認されてしかるべきであろうというふうに考えるわけでございます。

第7の1 衆議院議員の選挙制度の推移

最高裁大法廷平成27年11月25日判決は,衆議院議員の選挙制度の推移について以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
 
1(1) 昭和25年に制定された公職選挙法は,衆議院議員の選挙制度につき,中選挙区単記投票制を採用していたが,平成6年1月に公職選挙法の一部を改正する法律(平成6年法律第2号)が成立し,その後,平成6年法律第10号及び同第104号によりその一部が改正され,これらにより,衆議院議員の選挙制度は,従来の中選挙区単記投票制から小選挙区比例代表並立制に改められた(以下,上記改正後の当該選挙制度を「本件選挙制度」という。)。
(2)   本件選挙施行当時の本件選挙制度によれば,衆議院議員の定数は475人とされ,そのうち295人が小選挙区選出議員,180人が比例代表選出議員とされ(公職選挙法4条1項),小選挙区選挙については,全国に295の選挙区を設け,各選挙区において1人の議員を選出するものとされ(同法13条1項,別表第1。以下,後記の改正の前後を通じてこれらの規定を併せて「区割規定」という。),比例代表選出議員の選挙(以下「比例代表選挙」という。)については,全国に11の選挙区を設け,各選挙区において所定数の議員を選出するものとされている(同法13条2項,別表第2)。総選挙においては,小選挙区選挙と比例代表選挙とを同時に行い,投票は小選挙区選挙及び比例代表選挙ごとに1人1票とされている(同法31条,36条)。
2(1) 平成6年1月に上記の公職選挙法の一部を改正する法律と同時に成立した衆議院議員選挙区画定審議会設置法(以下,後記の改正の前後を通じて「区画審設置法」という。)によれば,衆議院議員選挙区画定審議会(以下「区画審」という。)は,衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し,調査審議し,必要があると認めるときは,その改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとされている(同法2条)。
(2)   平成24年法律第95号による改正前の区画審設置法3条(以下「旧区画審設置法3条」という。)は,上記の選挙区の区割りの基準(以下,後記の改正の前後を通じて「区割基準」という。)につき,①1項において,上記の改定案を作成するに当たっては,各選挙区の人口の均衡を図り,各選挙区の人口のうち,その最も多いものを最も少ないもので除して得た数が2以上とならないようにすることを基本とし,行政区画,地勢,交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないものと定めるとともに,②2項において,各都道府県の区域内の選挙区の数は,各都道府県にあらかじめ1を配当することとし(以下,このことを「1人別枠方式」という。),この1に,小選挙区選出議員の定数に相当する数から都道府県の数を控除した数を人口に比例して各都道府県に配当した数を加えた数とすると定めていた(以下,この区割基準を「旧区割基準」といい,この規定を「旧区割基準規定」ともいう。)。
(3)   本件選挙制度の導入の際に上記の1人別枠方式を含む旧区画審設置法3条2項所定の定数配分の方式を定めることについて,区画審設置法の法案の国会での審議においては,法案提出者である政府側から,各都道府県への選挙区の数すなわち議員の定数の配分については,投票価値の平等の確保の必要性がある一方で,過疎地域に対する配慮,具体的には人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮等の視点も重要であることから定数配分上配慮したものである旨の説明がされていた。
(4) 選挙区の改定に関する区画審の勧告は,統計法5条2項本文(平成19年法律第53号による改正前は4条2項本文)の規定により10年ごとに行われる国勢調査の結果による人口が最初に官報で公示された日から1年以内に行うものとされ(区画審設置法4条1項),さらに,区画審は,各選挙区の人口の著しい不均衡その他特別の事情があると認めるときは,勧告を行うことができるものとされている(同条2項)。
3(1) 区画審は,平成12年10月に実施された国勢調査(以下「平成12年国勢調査」という。)の結果に基づき,平成13年12月,衆議院小選挙区選出議員の選挙区に関し,旧区画審設置法3条2項に従って各都道府県の議員の定数につきいわゆる5増5減を行った上で,同条1項に従って各都道府県内における選挙区割りを策定した改定案を作成して内閣総理大臣に勧告し,これを受けて,同14年7月,その勧告どおり選挙区割りの改定を行うことなどを内容とする公職選挙法の一部を改正する法律(平成14年法律第95号)が成立した。
(2)   平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙(以下「平成21年選挙」という。)の小選挙区選挙は,同法により改定された選挙区割り(以下「旧選挙区割り」という。)の下で施行されたものである(以下,平成21年選挙に係る衆議院小選挙区選出議員の選挙区を定めた上記改正後(平成24年法律第95号による改正前)の公職選挙法13条1項及び別表第1を併せて「旧区割規定」という。)。
4(1) 平成14年の上記改正の基礎とされた平成12年国勢調査の結果による人口を基に,旧区割規定の下における選挙区間の人口の較差を見ると,最大較差は人口が最も少ない高知県第1区と人口が最も多い兵庫県第6区との間で1対2.064(以下,較差に関する数値は,全て概数である。)であり,高知県第1区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は9選挙区であった。
   また,平成21年選挙当日における選挙区間の選挙人数の最大較差は,選挙人数が最も少ない高知県第3区と選挙人数が最も多い千葉県第4区との間で1対2.304であり,高知県第3区と比べて較差が2倍以上となっている選挙区は45選挙区であった。
(2) このような状況の下で旧選挙区割りに基づいて施行された平成21年選挙について,最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁(以下「平成23年大法廷判決」という。)は,選挙区の改定案の作成に当たり,選挙区間の人口の最大較差が2倍未満になるように区割りをすることを基本とすべきものとする旧区画審設置法3条1項の定めは,投票価値の平等の要請に配慮した合理的な基準を定めたものであると評価する一方,平成21年選挙時において,選挙区間の投票価値の較差が上記のとおり拡大していたのは,各都道府県にあらかじめ1の選挙区数を割り当てる同条2項の1人別枠方式がその主要な要因となっていたことが明らかであり,かつ,人口の少ない地方における定数の急激な減少への配慮等の視点から導入された1人別枠方式は既に立法時の合理性が失われていたものというべきであるから,旧区割基準のうち1人別枠方式に係る部分及び旧区割基準に従って改定された旧区割規定の定める旧選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていたと判示した。
   そして,同判決は,これらの状態につき憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,旧区割基準規定及び旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で,事柄の性質上必要とされる是正のための合理的期間内に上記の状態を解消するために,できるだけ速やかに旧区割基準中の1人別枠方式を廃止し,旧区画審設置法3条1項の趣旨に沿って旧区割規定を改正するなど,投票価値の平等の要請にかなう立法的措置を講ずる必要があると判示した。
5(1) その後,平成23年大法廷判決を受けて行われた各政党による検討及び協議を経て,平成24年6月及び7月に複数の政党の提案に係る改正法案がそれぞれ国会に提出され,これらの改正法案のうち,旧区画審設置法3条2項の削除及びいわゆる0増5減(各都道府県の選挙区数を増やすことなく議員1人当たりの人口の少ない5県の各選挙区数をそれぞれ1減ずることをいう。以下同じ。)を内容とする改正法案が,同年11月16日に平成24年法律第95号(以下「平成24年改正法」という。)として成立した。
   平成24年改正法は,附則において,旧区画審設置法3条2項を削除する改正規定は公布日から施行するものとする一方で,各都道府県の選挙区数の0増5減を内容とする改正後の公職選挙法の規定は次回の総選挙から適用する(公職選挙法の改正規定は別に法律で定める日から施行する)ものとし,上記0増5減を前提に,区画審が選挙区間の人口の較差が2倍未満となるように選挙区割りを改める改定案の勧告を公布日から6月以内に行い,政府がその勧告に基づいて速やかに法制上の措置を講ずべき旨を定めた。
   上記の改正により,旧区画審設置法3条1項が同改正後の区画審設置法3条(以下「新区画審設置法3条」という。)となり,同条においては前記2①の基準のみが区割基準として定められている(以下,この区割基準を「新区割基準」という。)。
(2)   平成24年改正法の成立と同日に衆議院が解散され,その1か月後の平成24年12月16日に衆議院議員総選挙(以下「平成24年選挙」という。)が施行されたが,同選挙までに新たな選挙区割りを定めることは時間的に不可能であったため,同選挙は平成21年選挙と同様に旧区割規定及びこれに基づく旧選挙区割りの下で施行されることとなった。
6(1) 平成24年改正法の成立後,同法の附則の規定に従って区画審による審議が行われ,平成25年3月28日,区画審は,内閣総理大臣に対し,選挙区割りの改定案の勧告を行った。この改定案は,平成24年改正法の附則の規定に基づき,各都道府県の選挙区数の0増5減を前提に,選挙区間の人口の較差が2倍未満となるように17都県の42選挙区において区割りを改めることを内容とするものであった。
(2)   上記勧告を受けて,平成25年4月12日,内閣は,平成24年改正法に基づき,同法のうち上記0増5減を内容とする公職選挙法の改正規定の施行期日を定めるとともに,上記改定案に基づく選挙区割りの改定を内容とする公職選挙法の改正事項(旧区割規定の改正規定及びその施行期日)を定める法制上の措置として,平成24年改正法の一部を改正する法律案を国会に提出し,平成25年6月24日,この改正法案が平成25年法律第68号(以下「平成25年改正法」という。)として成立した。
   平成25年改正法は同月28日に公布されて施行され,同法による改正後の平成24年改正法中の上記0増5減及びこれを踏まえた区画審の上記改定案に基づく選挙区割りの改定を内容とする公職選挙法の改正規定はその1か月後の平成25年7月28日から施行されており,この改正により,各都道府県の選挙区数の0増5減とともに上記改定案のとおりの選挙区割りの改定が行われた(以下,上記改正後の公職選挙法13条1項及び別表第1を併せて「本件区割規定」といい,本件区割規定に基づく上記改定後の選挙区割りを「本件選挙区割り」という。)。
(3)   上記改定の結果,本件選挙区割りの下において,平成22年10月1日を調査時とする国勢調査(以下「平成22年国勢調査」という。)の結果によれば選挙区間の人口の最大較差は1対1.998となるものとされたが,平成25年3月31日現在及び同26年1月1日現在の各住民基本台帳に基づいて総務省が試算した選挙区間の人口の最大較差はそれぞれ1対2.097及び1対2.109であり,上記試算において較差が2倍以上となっている選挙区はそれぞれ9選挙区及び14選挙区であった。
(4)   平成24年改正法が成立した日の衆議院解散により施行された平成24年選挙につき,最高裁平成25年(行ツ)第209号,第210号,第211号同年11月20日大法廷判決・民集67巻8号1503頁(以下「平成25年大法廷判決」という。)は,同選挙時において旧区割規定の定める旧選挙区割りは平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものではあるが,前記5のような平成24年選挙までの間の国会における是正の実現に向けた取組が平成23年大法廷判決の趣旨を踏まえた立法裁量権の行使として相当なものでなかったとはいえないから,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,旧区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできないとした上で,国会においては今後も新区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続けられていく必要があると判示した。
7(1) 平成26年11月21日の衆議院解散に伴い,同年12月14日,前記0増5減の措置による改定を経た本件選挙区割りの下において本件選挙が施行された。本件選挙当日における選挙区間の選挙人数の較差を見ると,選挙人数が最も少ない選挙区(宮城県第5区)と比べて,選挙人数が最も多い選挙区(東京都第1区)との間で1対2.129であり,その他12の選挙区との間で較差が2倍以上となっていた(なお,本件選挙当日において,東京都第1区の選挙人数は,宮城県第5区,福島県第4区,鳥取県第1区,同第2区,長崎県第3区,同第4区,鹿児島県第5区,三重県第4区,青森県第3区,長野県第4区,栃木県第3区及び香川県第3区の12選挙区の各選挙人数のそれぞれ2倍以上となっていた。)。
(2)   このような状況において本件選挙区割りの下で施行された本件選挙について,本件区割規定が憲法に違反するとして各選挙区における選挙を無効とすることを求める選挙無効訴訟が8高等裁判所及び6高等裁判所支部に提起され,平成27年3月から同年4月までの間に,本件の原判決を含む各判決が言い渡された。
   上記各判決のうち,4件の判決においては,前記0増5減の措置による改定を経た本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったとはいえないとされ,13件の判決においては,上記改定後も本件選挙区割りは憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったとされ,後者のうち,12件の判決においては,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規定は憲法の規定に違反するに至っているとはいえないとされ,1件の判決においては,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとして,本件区割規定は憲法の規定に違反するに至っており,本件選挙の違法を宣言すべきであるとされた。
8 平成25年改正法の成立の前後を通じて,国会においては,今後の人口異動によっても憲法の投票価値の平等の要求に反する状態とならないようにするための制度の見直しについて,総定数の削減の要否等を含め,引き続き検討が続けられ,平成26年6月には,衆議院に,有識者により構成される検討機関として衆議院選挙制度に関する調査会が設置され,同調査会において衆議院議員選挙の制度の在り方の見直し等が進められており,衆議院議院運営委員会において同調査会の設置の議決がされた際に,同調査会の答申を各会派において尊重するものとする旨の議決も併せてされている。
   同調査会においては,同年9月以降,本件選挙の前後を通じて,定期的な会合が開かれ,投票価値の較差の更なる縮小を可能にする定数配分等の制度の見直しを内容とする具体的な改正案などの検討が行われている。

第7の2 参議院議員の選挙制度の推移

最高裁大法廷平成29年9月27日判決は,参議院議員の選挙制度の推移について以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
 
1 参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)は,参議院議員の選挙について,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分し,全国選出議員については,全都道府県の区域を通じて選出されるものとする一方,地方選出議員については,その選挙区及び各選挙区における議員定数を別表で定め,都道府県を単位とする選挙区において選出されるものとした。
   そして,選挙区ごとの議員定数については,憲法が参議院議員につき3年ごとにその半数を改選すると定めていることに応じて,各選挙区を通じその選出議員の半数が改選されることとなるように配慮し,定数を偶数として最小2人を配分する方針の下に,各選挙区の人口に比例する形で,2人ないし8人の偶数の議員定数を配分した。昭和25年に制定された公職選挙法の定数配分規定は,上記の参議院議員選挙法の議員定数配分規定をそのまま引き継いだものであり,その後に沖縄県選挙区の議員定数2人が付加されたほかは,平成6年法律第47号による公職選挙法の改正(以下「平成6年改正」という。)まで,上記定数配分規定に変更はなかった。
   なお,昭和57年法律第81号による公職選挙法の改正(以下「昭和57年改正」という。)により,参議院議員252人は各政党等の得票に比例して選出される比例代表選出議員100人と都道府県を単位とする選挙区ごとに選出される選挙区選出議員152人とに区分されることになったが,この選挙区選出議員は,従来の地方選出議員の名称が変更されたものにすぎない。
   その後,平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)により,参議院議員の総定数が242人とされ,比例代表選出議員96人及び選挙区選出議員146人とされた。
2(1) 参議院議員選挙法制定当時,選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差(以下,各立法当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この人口の最大較差をいう。)は2.62倍(以下,較差に関する数値は,全て概数である。)であったが,人口変動により次第に拡大を続け,平成4年に施行された参議院議員通常選挙(以下,単に「通常選挙」といい,この通常選挙を「平成4年選挙」という。)当時,選挙区間における議員1人当たりの選挙人数の最大較差(以下,各選挙当時の「選挙区間の最大較差」というときは,この選挙人数の最大較差をいう。)が6.59倍に達した後,平成6年改正における7選挙区の定数を8増8減する措置により,平成2年10月実施の国勢調査結果による人口に基づく選挙区間の最大較差は4.81倍に縮小した。
   その後,平成12年改正における3選挙区の定数を6減する措置及び平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18年改正」という。)における4選挙区の定数を4増4減する措置の前後を通じて,平成7年から同19年までに施行された各通常選挙当時の選挙区間の最大較差は5倍前後で推移した。
(2)   しかるところ,当裁判所大法廷は,定数配分規定の合憲性に関し,最高裁昭和54年(行ツ)第65号同58年4月27日大法廷判決・民集37巻3号345頁(以下「昭和58年大法廷判決」という。)において後記3(1)の基本的な判断枠組みを示した後,平成4年選挙について,違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていた旨判示したが(最高裁平成6年(行ツ)第59号同8年9月11日大法廷判決・民集50巻8号2283頁),平成6年改正後の定数配分規定の下で施行された2回の通常選挙については,上記の状態に至っていたとはいえない旨判示した(最高裁平成9年(行ツ)第104号同10年9月2日大法廷判決・民集52巻6号1373頁,最高裁平成11年(行ツ)第241号同12年9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁)。
   その後,平成12年改正後の定数配分規定の下で施行された2回の通常選挙及び平成18年改正後の定数配分規定の下で平成19年に施行された通常選挙のいずれについても,当裁判所大法廷は,上記の状態に至っていたか否かにつき明示的に判示することなく,結論において当該各定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨の判断を示した(最高裁平成15年(行ツ)第24号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号56頁,最高裁平成17年(行ツ)第247号同18年10月4日大法廷判決・民集60巻8号2696頁,最高裁平成20年(行ツ)第209号同21年9月30日大法廷判決・民集63巻7号1520頁)。
   もっとも,上掲最高裁平成18年10月4日大法廷判決においては,投票価値の平等の重要性を考慮すると投票価値の不平等の是正について国会における不断の努力が望まれる旨の,上掲最高裁平成21年9月30日大法廷判決においては,当時の較差が投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,選挙区間における投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる旨の指摘がそれぞれされるなど,選挙区間の最大較差が5倍前後で常態化する中で,較差の状況について投票価値の平等の観点から実質的にはより厳格な評価がされるようになっていた。
3 平成22年7月11日,選挙区間の最大較差が5.00倍の状況において施行された通常選挙(以下「平成22年選挙」という。)につき,最高裁平成23年(行ツ)第51号同24年10月17日大法廷判決・民集66巻10号3357頁(以下「平成24年大法廷判決」という。)は,結論において同選挙当時の定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,長年にわたる制度及び社会状況の変化を踏まえ,参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難く,都道府県が政治的に一つのまとまりを有する単位として捉え得ること等の事情は数十年間にもわ
たり投票価値の大きな較差が継続することを正当化する理由としては十分なものとはいえなくなっており,都道府県間の人口較差の拡大が続き,総定数を増やす方法を採ることにも制約がある中で,都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の要求に応えていくことはもはや著しく困難な状況に至っているなどとし,それにもかかわらず平成18年改正後は投票価値の大きな不平等がある状態の解消に向けた法改正が行われることのないまま平成22年選挙に至ったことなどの事情を総合考慮すると,同選挙当時の最大較差が示す選挙区間における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなど,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を講じ,できるだけ速やかに違憲の問題が生ずる上記の不平等状態を解消する必要がある旨を指摘した。
4(1) 平成24年大法廷判決の言渡し後,平成24年11月16日に公職選挙法の一部を改正する法律案が成立し(平成24年法律第94号。以下「平成24年改正法」という。),同月26日に施行された(以下,同法による改正後,平成27年法律第60号による改正前の定数配分規定を「本件旧定数配分規定」という。)。
   平成24年改正法の内容は,平成25年7月に施行される通常選挙に向けた改正として選挙区選出議員について4選挙区で定数を4増4減するものであり,その附則には,同28年に施行される通常選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする旨の規定が置かれていた。
(2)   平成25年7月21日,本件旧定数配分規定の下での初めての通常選挙が施行された(以下「平成25年選挙」という。)。同選挙当時の選挙区間の最大較差は4.77倍であった。
5 平成25年9月,参議院において同28年に施行される通常選挙に向けた参議院選挙制度改革について協議を行うため,選挙制度の改革に関する検討会の下に選挙制度協議会が設置された。同協議会においては,平成26年4月に選挙制度の仕組みの見直しを内容とする具体的な改正案として座長案が示され,その後に同案の見直し案も示された。
   これらの案は,基本的には,議員1人当たりの人口の少ない一定数の選挙区を隣接区と合区してその定数を削減し,人口の多い一定数の選挙区の定数を増やして選挙区間の最大較差を大幅に縮小するというものであるところ,同協議会において,同年5月以降,上記の案や参議院の各会派の提案等をめぐり検討と協議が行われた(上記各会派の提案の中には,上記の案を基礎として合区の範囲等に修正を加える提案のほか,都道府県に代えてより広域の選挙区の単位を新たに創設する提案等が含まれていた。)。
   そして,同協議会において,更に同年11月以降,意見集約に向けて協議が行われたが,各会派の意見が一致しなかったことから,同年12月26日,各会派から示された提案等を併記した報告書が参議院議長に提出された。
6 このような協議が行われている状況の中で,平成25年選挙につき,最高裁平成26年(行ツ)第155号,第156号同年11月26日大法廷判決・民集68巻9号1363頁(以下「平成26年大法廷判決」という。)は,平成24年大法廷判決の判断に沿って,平成24年改正法による前記4増4減の措置は,都道府県を各選挙区の単位とする選挙制度の仕組みを維持して一部の選挙区の定数を増減するにとどまり,現に選挙区間の最大較差については上記改正の前後を通じてなお5倍前後の水準が続いていたのであるから,投票価値の不均衡について違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態を解消するには足りないものであったといわざるを得ず,したがって,平成24年改正法による上記の措置を経た後も,選挙区間における投票価値の不均衡は違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあった旨判示するとともに,都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する現行の方式をしかるべき形で改めるなどの具体的な改正案の検討と集約が着実に進められ,できるだけ速やかに,現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置によって上記の不平等状態が解消される必要がある旨を指摘した。
7(1) 選挙制度の改革に関する検討会は,前記(5)の報告書の提出を受けて協議を行ったが,各会派が一致する結論を得られなかったことから,平成27年5月29日,各会派において法案化作業を行うこととされた。
   そして,各会派における検討が進められた結果,各会派の見解は,人口の少ない選挙区について合区を導入することを内容とする①「4県2合区を含む10増10減」の改正案と②「20県10合区による12増12減」の改正案とにおおむね集約され,同年7月23日,上記各案を内容とする公職選挙法の一部を改正する法律案がそれぞれ国会に提出された。
   上記①の改正案に係る法律案は,選挙区選出議員の選挙区及び定数について,鳥取県及び島根県,徳島県及び高知県をそれぞれ合区して定数2人の選挙区とするとともに,3選挙区の定数を2人ずつ減員し,5選挙区の定数を2人ずつ増員することなどを内容とするものであり,その附則7条には,平成31年に行われる通常選挙に向けて,参議院の在り方を踏まえて,選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,必ず結論を得るものとするとの規定が置かれていた。
(2)   平成27年7月28日,上記①の改正案に係る公職選挙法の一部を改正する法律案が成立し(平成27年法律第60号。以下「平成27年改正法」という。),同年11月5日に施行された(以下,同法による改正後の定数配分規定を「本件定数配分規定」という。)。
   同法による公職選挙法の改正(以下「平成27年改正」という。)の結果,平成22年10月実施の国勢調査結果による人口に基づく選挙区間の最大較差は2.97倍となった。
8 平成28年7月10日,本件定数配分規定の下での初めての通常選挙として,本件選挙が施行された。
   本件選挙当時の選挙区間の最大較差は3.08倍であった。
1(1) 交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。