幹部裁判官の後任候補者

第1の1 最高裁長官,最高裁判所判事,高裁長官及び大規模地家裁所長の後任候補者等の一覧表

1(1) 平成29年2月6日時点の最高裁長官,最高裁判事,高裁長官,大規模地家裁所長等の後任候補者等の一覧表を掲載しています。
(2)   裁判官人事の予想として,寺田逸郎最高裁長官,大谷剛彦最高裁判事,山崎敏充最高裁判事並びに高裁長官及び大規模地家裁所長の後任候補者を記載しています。
(3) 幹部裁判官の定年退官発令予定日については「裁判官の定年予定日」を,幹部裁判官の期別名簿については「幹部裁判官の名簿」を,これまでの最高裁裁判官及び高裁長官人事については「幹部裁判官人事の一覧表」を参照してください。 
(4) 幹部裁判官の出世ルートについては,外部HPの「幹部裁判官はどのように昇進するのか」(2010年12月)が非常に参考になります。
(5) 寺田最高裁長官が平成30年1月に定年退官すれば,現在のような法務省出向経験者を優遇する高裁長官人事が終わるかも知れません。 

2 具体的な後任予想
(1) 平成29年4月6日に定年退官する32期の河合健司仙台高裁長官の後任
ア   30期の田村幸一東京家裁所長,30期の菊池洋一東京高裁7民部総括(東京高裁民事部代表常置委員)及び31期の小泉博嗣司法研修所長が有力であると思っています。
  また,32期の大島隆明東京高裁8刑部総括(東京高裁刑事部代表常置委員),33期の青柳勤東京高裁2刑部総括(元 最高裁刑事上席調査官)及び33期の栃木力東京高裁11刑部総括(元 東京地裁刑事部第一所長代行)がこれに続くと思っています。
イ 仙台高裁長官に東北大出身者が就任したことがないところ,田村裁判官は東北大出身者であることから,田村裁判官が次の仙台高裁長官の最有力候補者であると指摘する弁護士もいます。 
(2) 平成29年6月25日に定年退官する30期の並木正男大阪地裁所長の後任
ア 31期の山下郁夫大阪高裁11民部総括であると思っています。
イ 直近の大阪地裁所長は,26期の佐々木茂美,27期の吉野孝義,31期の二本松利忠,30期の小佐田潔及び30期の並木正男でありますところ,これらの裁判官は,大阪高裁事務局長,大阪地裁民事上席判事及び大阪地裁刑事上席判事のいずれかのポストを経験しています。
  そして,これらのポストへの着任順及び現職就任年月との関係でうまく当てはまるのは山下郁夫大阪高裁11民部総括だけです。
ウ 次の候補者としては,34期の中本敏嗣神戸地裁所長及び36期の小野憲一大阪家裁所長であると思っています。いずれも大阪地裁所長代行の経験者です。

3 バックナンバーは以下のとおりです。
① 平成28年8月5日時点
② 平成28年11月22日時点
 
4 以上の後任候補者は,裁判所と全く関係のない大阪の弁護士の勝手な人事予想に過ぎませんから,参考程度にしてください。

第1の2 過去の後任候補者の予想

1 平成29年1月25日に定年退官する荒井勉福岡高裁長官の後任
(1) 予想内容
ア 30期の田村幸一東京家裁所長及び31期の小泉博嗣司法研修所長が有力であると思っています。
   また,30期の菊池洋一東京高裁7民部総括及び33期の青柳勤東京高裁2刑部総括がこれに続くと思っています。
イ 小泉博嗣司法研修所長が異動した場合,その後任は34期の植村稔東京高裁4刑部総括及び35期の安浪亮介東京高裁15民部総括が有力であると思っています。
(2) 人事結果及びコメント
ア 平成29年1月13日の発表によれば,33期の小林昭彦東京高裁19民部総括でした。従来の人事の延長線上でこの人事を当てるのは無理である気がします。
イ   最近の高裁長官人事では,東京地裁所長代行を経験した人が優遇されている気がします。現職裁判官でいえば,菅野博之最高裁判事,荒井勉福岡高裁長官,小林昭彦東京高裁19民部総括は東京地裁民事部所長代行の経験者であり,河合健司仙台高裁長官は東京地裁刑事部所長代行の経験者です。
   となると,東京地裁刑事部所長代行及び水戸地裁所長(歴代所長は,市村陽助→小池裕→菅野博之→栃木力→今崎幸彦→垣内正)を経験した33期の栃木力東京高裁11刑部総括も今後の有力な高裁長官候補になる気がします。

2 平成29年3月10日に定年退官する24期の大谷剛彦最高裁判事の後任

(1) 予想内容
ア 34期の戸倉三郎東京高裁長官が有力であると思っています。
イ 戸倉三郎東京高裁長官が異動した場合,その後任は,32期の綿引万里子札幌高裁長官が有力であると思っています。
(2) 人事結果及びコメント
ア 平成29年2月17日の発表によれば,次の東京高裁長官深山卓也さいたま地裁所長でした。
   ただし,最高裁裁判官及び高裁長官人事の一覧表(幹部裁判官人事の一覧表に掲載)によれば,高輪1期以降のさいたま地裁所長の次のポストの上限は,広島高裁長官(26期の寺田裁判官),福岡高裁長官(21期の北山裁判官)及び仙台高裁長官(32期の河合)ですから,従前の人事の延長線上でこの人事を当てるのは無理です。
   また,深山卓也裁判官は平成24年9月25日に法務省民事局長に就任したばかりなのに,平成29年3月に東京高裁長官に就任するというのは,えらい早い出世だと思います。
イ(ア)   深山卓也裁判官の前に法務省民事局長をやっていた原優名古屋高裁長官が,平成30年1月9日の寺田逸郎最高裁長官の定年退官のときに最高裁判事に就任する可能性が高まったと思います。
   ちなみに,寺田長官の次に法務省民事局長となった倉吉敬裁判官は東京高裁長官を最後に定年退官しました。

(イ) 原名古屋高裁長官が平成30年1月に最高裁判事に就任するというのであれば,綿引東京高裁長官・深山札幌高裁長官という人事で良かったはずだから,今回の人事は,深山裁判官が平成30年1月に最高裁判事に就任することを示す人事であると指摘する弁護士もいます。

第1の3 最高裁判所事務総局局長等の経験者及び大規模地家裁所長の現状

1 平成28年10月15日現在,定年退官の予定順で並べた,最高裁判所事務総局局長等の経験者及び大規模地家裁所長の修習期,氏名,出身大学,生年月日,年齢,定年退官発令予定日,現職及び前職(括弧内のポスト)は以下のとおりです。
2 現職裁判官の期別名簿については,①現職裁判官の期別名簿1/3(49期以上),②現職裁判官の期別名簿2/3(50期代)及び③現職裁判官の期別名簿3/3(60期代)を参照してください。

  
31期 木村元昭 東大 1951年11月13日 64歳 2016年11月13日 福岡地裁所長 福岡家裁所長
29期 荒井勉 東大 1952年1月25日 64歳 2017年1月25日 福岡高裁長官 東京地裁所長
29期 設樂隆一 東大 1952年1月27日 64歳 2017年1月27日 知財高裁所長 知財高裁第2部部総括
24期 大谷剛彦 東大 1947年3月10日 69歳 2017年3月10日 最高裁判事・三小 大阪高裁長官
32期 河合健司 早稲田大 1952年4月6日 64歳 2017年4月6日 仙台高裁長官 さいたま地裁所長
30期 並木正男 一橋大 1952年6月25日 64歳 2017年6月25日 大阪地裁所長 大阪高裁5刑部総括
33期 小久保孝雄 広島大院 1952年9月1日 64歳 2017年9月1日 高松高裁長官 京都地裁所長
29期 川合昌幸 東大 1952年10月23日 63歳 2017年10月23日 広島高裁長官 大阪家裁所長
29期 富田善範 東大 1952年12月22日 63歳 2017年12月22日 横浜地裁所長 東京高裁14民部総括
26期 寺田逸郎 東大 1948年1月9日 68歳 2018年1月9日 最高裁長官(18) 最高裁判事・三小
29期 井上弘通 九州大 1953年1月24日 63歳 2018年1月24日 大阪高裁長官 東京高裁12刑部総括
31期 伊藤納 東大 1953年7月10日 63歳 2018年7月10日 名古屋地裁所長 岐阜地家裁所長
30期 田村幸一 東北大 1953年8月26日 63歳 2018年8月26日 東京家裁所長 東京高裁4民部総括
30期 菊池洋一 東大 1953年8月27日 63歳 2018年8月27日 東京高裁7民部総括 京都地裁所長
31期 原優 東大 1953年9月4日 63歳 2018年9月4日 名古屋高裁長官 千葉地裁所長
31期 小泉博嗣 京大 1953年12月16日 62歳 2018年12月16日 司研所長 さいたま地裁所長
32期 大島隆明 東大 1954年7月28日 62歳 2019年7月28日 東京高裁8刑部総括 金沢地裁所長
34期 戸倉三郎 一橋大 1954年8月11日 62歳 2019年8月11日 東京高裁長官 最高裁事務総長
27期 山崎敏充 東大 1949年8月31日 67歳 2019年8月31日 最高裁判事・三小 東京高裁長官
34期 深山卓也 東大 1954年9月2日 62歳 2019年9月2日 さいたま地裁所長 東京高裁15民部総括
33期 小林昭彦 東北大 1955年2月5日 61歳 2020年2月5日 東京高裁19民部総括 仙台地裁所長
37期 都築政則 東大 1955年2月28日 61歳 2020年2月28日 新潟地裁所長 東京高裁判事
32期 綿引万里子 中央大 1955年5月2日 61歳 2020年5月2日 札幌高裁長官 東京高裁4民部総括
34期 植村稔 東大 1955年7月20日 61歳 2020年7月20日 東京高裁4刑部総括 甲府地家裁所長
34期 大門匡 京大 1955年10月19日 60歳 2020年10月19日 横浜家裁所長 千葉家裁所長
34期 青野洋士 京大 1955年10月23日 60歳 2020年10月23日 東京高裁16民部総括 新潟地裁所長
34期 石井寛明 大阪大 1955年12月7日 60歳 2020年12月7日 京都地裁所長 大阪高裁13民部総括
34期 川神裕 東大 1955年12月18日 60歳 2020年12月18日 東京高裁17民部総括 大津地家裁所長
38期 垣内正 大阪大 1956年1月11日 60歳 2021年1月11日 水戸地裁所長 甲府地家裁所長
33期 栃木力 東大 1956年2月27日 60歳 2021年2月27日 東京高裁11刑部総括 水戸地裁所長
35期 永野厚郎 京大 1956年4月8日 60歳 2021年4月8日 東京高裁5民部総括 前橋地裁所長
33期 青柳勤 東大 1956年5月6日 60歳 2021年5月6日 東京高裁2刑部総括 新潟地裁所長
29期 小池裕 東大 1951年7月3日 65歳 2021年7月3日 最高裁判事・一小 東京高裁長官
34期 合田悦三 中央大 1956年8月2日 60歳 2021年8月2日 東京高裁12刑部総括 前橋地裁所長
36期 小野憲一 東大 1956年10月7日 60歳 2021年10月7日 大阪家裁所長 大阪地裁所長代行者
33期 杉原則彦 東大 1956年11月13日 59歳 2021年11月13日 東京高裁12民部総括 金沢地裁所長
34期 中本敏嗣 早稲田大 1957年1月17日 59歳 2022年1月17日 神戸地裁所長 広島地裁所長
35期 安浪亮介 東大 1957年4月19日 59歳 2022年4月19日 東京高裁15民部総括 静岡地裁所長
36期 白井幸夫 東大 1957年4月25日 59歳 2022年4月25日 総研所長 長野地家裁所長
29期 大谷直人 東大 1952年6月23日 64歳 2022年6月23日 最高裁判事・一小 大阪高裁長官
32期 菅野博之 東北大 1952年7月3日 64歳 2022年7月3日 最高裁判事・二小 大阪高裁長官
35期 萩原秀紀 明治大 1957年8月27日 59歳 2022年8月27日 名古屋家裁所長 金沢地裁所長
34期 林道晴 東大 1957年8月31日 59歳 2022年8月31日 最高裁首席調査官 東京高裁12民部総括
35期 今崎幸彦 京大 1957年11月10日 58歳 2022年11月10日 最高裁事務総長 水戸地裁所長
38期 竹田光広 早稲田大 1958年2月12日 58歳 2023年2月12日 札幌家裁所長 東京地裁民事部所長代行者(21民部総括)(執行部)
36期 若園敦雄 大阪大 1958年6月29日 58歳 2023年6月29日 長野地家裁所長 東京地裁刑事部所長代行者1位(9刑部総括)

第2の1 最高裁判所裁判官の任命に関する内閣の説明

平成14年7月5日の司法制度改革推進本部顧問会議(第5回)の資料4「最高裁裁判官の任命について」には,以下の記載があります。
 
◎最高裁裁判官の任命について
 
○ 最高裁裁判官の任命は、最高裁長官の意見を聞いたうえで、内閣として閣議決定する。
○ 最高裁長官に意見を聞くのは、最高裁の運営の実情を踏まえたものとなるよう人事の万全を期すため慣例として行っている。
○ 最高裁長官の意見は、一般的には、出身分野、候補者複数名と最適任候補者に関するものである。
○ 候補者については、(ア)主として裁判官、弁護士、検察官の場合は、最高裁長官から複数候補者について提示を受け、(イ)行政、外交を含む学識経験者については、原則内閣官房で候補者を選考し、いずれの場合も内閣総理大臣の判断を仰いだうえで閣議決定する。
○ その際、最高裁裁判官は国民審査をうける重い地位であることに鑑み、極力客観的かつ公正な見地から人選している。
○ 現在の最高裁裁判官の出身分野は、最高裁の使命、扱っている事件の内容などを総合的に勘案した結果のもの。
※ 現在の最高裁裁判官の15 人の出身分野
裁判官6(民事5、刑事1)、弁護士4、学識者5(大学教授1、検察官2、行政官1、外交官1
※最高裁裁判官の法律上の任命資格〔裁判所法 41 条〕
・ 識見の高い、法律の素養のある40 歳以上の者。15 人のうち少なくとも10 人は、
① 高裁長官又は判事を10 年以上
② 高裁長官、判事、簡裁判事、検察官、弁護士、法律学の教授等で、通算20 年以上
※ 最高裁の使命→憲法判断、法令解釈の統一
※ 平成12 年度;新規受理件数 約6,400 件(うち民事事件 約4,500 件。刑事事件 約1,900 件。)、大法廷事件(憲法判断・判例変更)8 件。
○ 以上について、内定後官房長官記者会見で、可能な範囲で選考過程、選考理由を明らかにする。
なお、候補者を含め具体的な人選の過程は公表しない。

第2の2 最高裁判所判事の任命に関する元最高裁判所人事局長の説明

   「一歩前へ出る司法」(著者は泉徳治 元最高裁判所人事局長・元最高裁判所判事)157頁ないし159頁に以下の記載がありますから,引用します。

渡辺 最高裁判事を経験された先生方の回想録などを読みますと,最高裁判事への就任の打診はいろいろな形で行われるようですが,先生の場合はどのように打診されたのですか。
 
泉 最高裁判事は内閣が任命します。内閣は,最高裁判事の任命にあたっては,最高裁長官の意見を聴くという慣行があります。首相が最高裁長官に直に会って意見を聴きます。ただし,任命権はあくまでも内閣にありますから,最高裁長官としても複数の候補者を挙げて,優先順位を付けて意見を述べるということをしております。そして,歴代内閣は,最高裁長官の意見を尊重してきたと思います。内閣の任命権と司法の独立を調和させるという考えから,こういう慣行ができてきたのだと思います。新聞の「首相の動静」欄に,首相が最高裁長官に会ったということが書かれていれば,だいたいがこの意見具申です。そこで,首相からこの候補者を任命しようという意向が示されると,最高裁長官が候補者に内定を伝えるという運びになります。人事局長が長官に代わって内定を伝えることもあります。私の場合,山口繁長官が官邸から戻られてから私に電話で内定を伝えてこられました。それまでは,意向打診等の話は何もありませんでした。
 
山元 先生が電話をしてお願いできませんか,と候補者の方にいわれたこともあったのですね。
 
泉 人事局長のときに,長官の指示で電話をしたことが何度かありました。長官が官邸から帰ってきてから電話をしておりました。相手が内部の裁判官だと,長官が直々に電話をするということもあります。
 
山元 受けられた方のリアクションも千差万別だったのでしょうか。
 
泉 最高裁から内定を伝えるのは裁判官と弁護士です。大体は,ありがたくお受けしますということだったと思います。検察官の場合は,法務省が候補者を最高裁に推薦してきますし,本人への内定の通知も法務省がしております。行政官と学者の場合は,内閣が直接人選しますので,最高裁は関与しません。ただし,行政官と学者の場合も,最高裁長官が首相に会って,内閣の人選に最高裁として異存がないということを伝えます。また,学者については,内閣の意向で,人選の段階から最高裁が意見を述べたり,本人への内示も最高裁が行うということはあります。ケース・バイ・ケースです。
弁護士の場合は,日弁連が最高裁長官に複数の候補者を推薦してきます。最高裁長官は,その中からある程度人数を絞って内閣に推薦しております。日弁連には最高裁判所裁判官推薦諮問委員会があります。以前は,委員会が自ら候補者を選んでいたようです。そのため,東京の三弁護士会と大阪弁護士会から選ばれる,例外的に神戸,名古屋の弁護士会から選ばれる,これらの弁護士会の幹部の意向が反映させることがあったようです。また,最高裁長官が日弁連の推薦にない弁護士を内閣に推薦するということもあったと,野村二郎「最高裁全裁判官」(三省堂,1986年)などに書かれております。ところが,中坊公平さんが1990年に日弁連会長になってから,広く全国から候補者を募集するというようになりました。現在では,弁護士会および会員が候補者を推薦できる,会員が推薦するときは50人以上の推薦人を要するとなっております。その中から委員会が面接などで日弁連として推薦する候補者とその順位を決めて日弁連会長に答申する。日弁連会長は,委員会の答申に基づいて候補者を最高裁長官に推薦するという手順になっております。
本人への内定の連絡が終わってから,閣議決定があり,内閣から報道発表されます。内閣の任命ですから,最高裁が報道機関に話すということは一切ありません。

第2の3 新任の最高裁判所判事の選任方法に関する最高裁の説明

   平成28年度(最情)答申第10号(平成28年4月27日答申)には以下の記載があります。
  なお,本件各開示申出対象文書は,①最高裁が日弁連に対し,新任の最高裁判事の推薦を依頼する際,どのような文書を授受することになっているかが分かる文書,及び②最高裁が法務省又は検察庁に対し,新任の最高裁判事の推薦を依頼する際,どのような文書を授受することになっているかが分かる文書です。
 
   最高裁判所裁判官のうち,最高裁判所長官は,内閣の指名に基づき天皇が任命し(憲法6条2項),その他の裁判官である最高裁判所判事は,内閣が任命する(憲法79条1項)とされているところ,法律上,内閣において最高裁判所や最高裁判所長官の意見を聴くこととはされておらず,また,最高裁判所において日本弁護士連合会,法務省等に推薦を依頼することともされていない。したがって,本件各開示申出文書の存在が法律上推認されるということはできない。
  しかし,最高裁判所の職員の説明によれば,内閣は,最高裁判所裁判官を任命等するに際し,慣例として最高裁判所長官の意見を聴くこととなっている。また,当委員会庶務に調査させたところ,このような慣行の存在については首相官邸のホームページにおいても公表されていることが確認された。したがって,最高裁判所裁判官の任命等について,最高裁判所長官は,意見を述べることになっており,その際に何らかの書面が作成される可能性は否定できない。
   もっとも,このことについて,最高裁判所の職員は,内閣に対してどのような意見を述べるか,推薦依頼をするかなどについては,最高裁判所長官がその都度決めることであり,これらをどのような方法によって行うかを含め一切の事柄が,そのときどきの最高裁判所長官の判断に委ねられているから,最高裁判所事務総局としては,その立場上どのような文書を授受するかを定めた文書は作成していない旨を説明する。最高裁判所長官が内閣に対して述べる意見が,最高裁判所裁判官の任命等という高度な人事に関する事柄を対象としていることや,その意見が慣例として述べられているにすぎないことからすると,意見を述べるための準備行為等について,最高裁判所事務総局が組織として何らの定めも設けていないことは,不自然なこととはいえない。
   また,日本弁護士連合会は,「日本弁護士連合会が推薦する最高裁判所裁判官候補者の選考に関する運用基準」を定め,同会が推薦する最高裁判所裁判官候補者の選考のために最高裁判所裁判官推薦諮問委員会を設置しているが,上記運用基準にも,誰に対して推薦をするのか,推薦に当たってどのような書面を作成するのかなどについての定めはなく,同基準の存在をもって,本件各開示申出文書の存在を推認することもできない。
   そうすると,他に本件各開示申出文書の存在をうかがわせる事情が見当たらないことからしても,本件各開示申出文書は作成し,又は取得していないとする最高裁判所事務総長の説明は合理的であるといえ,最高裁判所において,本件各開示申出文書は保有していないと認められる。

第3 親任式及び認証官任命式等

1 総論
(1) 皇居での親任式及び認証官任命式は発令日に行われます。
   詳細については,親任式及び認証官任命式次第(昭和22年5月3日付の宮内府長官通知)に書いてあります。
(2) 皇室制度については,平成28年10月17日の第1回天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議の資料3「皇室制度関係資料」がわかりやすいです。 
 
2 親任式
(1)   内閣総理大臣及び最高裁判所長官は,皇居での親任式によって任命されます。
   なお,内閣総理大臣は国会の指名に基づいて任命され(憲法6条1項),最高裁判所長官は内閣の指名に基づいて任命されます(憲法6条2項)。
(2) 最高裁判所長官に関する親任式の場合,天皇から任命する旨のお言葉があった後,内閣総理大臣から官記(任命書)が伝達されます(宮内庁HPの「親任式」参照)。
 
3 認証官任命式
(1)   最高裁判所判事及び高等裁判所長官は,任免につき天皇の認証(憲法7条5号)を必要とする点で「認証官」といわれ,皇居での認証官任命式によって任命されます。
(2) 認証官任官者は,内閣総理大臣から辞令書を受け,その際,天皇からお言葉があるのが慣例です(宮内庁HPの「認証官任命式」参照)。
(3) 平成27年10月7日の認証官任命式(国務大臣)の様子が,衆議院議員河野太郎のHPの「国務大臣認証式」に書いてあります。
(4) 認証官は以下のとおりです。
① 一般の行政機関
   国務大臣,副大臣,内閣官房副長官,人事官,検査官,公正取引委員会委員長,原子力規制委員会委員長
② 宮内庁
   宮内庁長官,侍従長
③ 外務省
   特命全権大使,特命全権公使
④ 裁判所
   最高裁判所判事,高等裁判所長官
⑤ 検察庁
   検事総長,次長検事,検事長
(5) 平成28年2月22日就任の広島高裁長官及び仙台高裁長官の場合,同年1月末のフィリピン訪問など多忙な天皇の予定の調整が付かなかったため,前任者の退任から約1ヶ月間,認証式が実施されませんでした(産経ニュースの「1ヶ月の空席…認証式経て,仙台・広島両高裁長官の人事発令」参照)。
(6)ア 山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官の人事は当初,平成29年1月27日に発令される予定でしたが,同日に認証式が実施できなかったため,発令が2月6日となりました。 
イ 平成29年1月13日付の,山口厚最高裁判所判事及び小林昭彦福岡高裁長官任命の閣議書を掲載しています。
   山口厚最高裁判事は東大法学部3年生で司法試験に合格したことが分かります。 
ウ 山口厚最高裁判事は,日弁連が最高裁判事として推薦した候補者ではないという意味で,最高裁判事の任命に関する従来の慣例を逸脱したものになっています(外部ブログの「安倍内閣が最高裁人事に介入か 山口厚最高裁判事」参照)。 

第4 明治憲法時代の親任官,勅任官,控訴院及び検事局

1 親任官
□ 明治憲法時代の親任官は大体,現在の認証官に相当します。
    ただし,司法関係の親任官ポストは,司法大臣,大審院長及び検事総長だけでした。
□ 大審院長及び検事総長の定年は65歳でしたが,判事の場合,控訴院又は大審院の総会決議により,検事の場合,司法大臣の決定により,さらに3年間在職することができました(裁判所構成法74条の及び80条の2)。
 
2 勅任官
□ 司法関係の勅任官ポストは,司法省の次官及び局長,大審院部長判事,控訴院長及び地裁所長,並びに控訴院検事長及び地裁検事正だけでした(外部HPの「主要戦前官吏官僚ポスト表」参照)。
   それぞれのポストの序列は,外部HPの「大正・昭和戦前期における幹部裁判官のキャリアパス分析」が分かりやすいです。
□ 大審院長以外の裁判官,及び検事総長以外の検事の定年は63歳でしたが,判事の場合,控訴院又は大審院の総会決議により,検事の場合,司法大臣の決定により,さらに3年間在職することができました(裁判所構成法74条の及び80条の2)。
 
3 控訴院
□ 控訴院は,現在の高等裁判所に相当する裁判所です。
   ただし,大正10年12月に函館控訴院が札幌控訴院となり,昭和20年8月1日に長崎控訴院が福岡控訴院となり,昭和20年8月15日に高松控訴院(昭和21年1月10日廃止)が設置されました(高松控訴院につき,高松高検HPの「高松高等検察庁の沿革」参照)。
 
4 検事局
□ 明治憲法時代は大審院以下の各裁判所に対応して,大審院検事局,控訴院検事局,地方裁判所検事局及び区裁判所検事局が付置されていました(裁判所構成法6条参照)。
   また,裁判所と検事局が分化していませんでしたから,戦後でいう判検交流は普通に行われていた人事でした。

第5 寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領

   平成26年3月20日付の最高裁判所事務総局広報課の文書によれば,寺田逸郎最高裁判所長官の就任に伴う写真取材の要領は以下のとおりでした。
  なお,文中の図面は省略しています。
 
1 日時
   4月1日(火)午後8時00分
 
2 場所
   最高裁判所大応接室
 
3 取材方法
(1) カメラは1社につき1台です。
(2) 撮影は,スチルカメラ及びビデオカメラともに,長官の着席後1分間,談話発表の間及び記者会見の第1問の部分に限り行うことができます。
(3) 録音は,談話発表の間及び記者会見の第1問の部分に限り行うことができます。
(4) 撮影位置は,別紙図面に表示したとおりです。
  なお,長官の着席後1分間は,スチルカメラに限り記者席前部(別紙図面に網線で表示した部分)から撮影することができますが,1分間経過後はその場から退出し,以後は記者席の両側又は後部から撮影してください。
(5) 大応接室以外での撮影は,一切できません。
(6) 三脚を使用することはできますが,脚立は使用しないでください。
(7) 取材中及び取材後に退室する際は,静粛かつ円滑に行われるよう広報課員の指示に従ってください。
(8) 取材に当たっては広報課員の指示に従ってください。
 
4 集合時刻等
(1) 取材カメラマンは,午後7時30分までに記者会室(1階)にお集まりください。広報課員が記者会見場に案内します。
(2) ビデオカメラは,午後7時55分までにセットアップしてください。
(3) カメラマン及びその補助者等は,必ず自社腕章を着用してください。
(4) 当日は,新最高裁長官,新最高裁判事の順で記者会見が行われる予定ですので,長官の記者会見における撮影が終了した後は,カメラ,マイク等を会見場に残したままいったん記者会見場から退出し,広報課員の指示に従って待機してください。

5 その他
   車両は必ず社旗を付け,当庁東門から出入りし,駐車は北玄関広場を使用してください。

第6 寺田逸郎 第18代最高裁判所長官の経歴

1 寺田逸郎最高裁判所長官を任命した,平成26年3月7日の閣議書を掲載しています。
2   寺田逸郎 第18代最高裁判所長官の経歴は以下のとおりです。

 

平成26年4月1日~ 最高裁長官(第18代)

平成22年12月27日~ 最高裁判事(第三小法廷)

平成22年2月24日~ 広島高裁長官

平成20年9月5日~ さいたま地裁所長

平成19年7月10日~ 東京高裁第2民事部部総括判事

平成17年1月16日~ 法務省民事局長

平成13年12月1日~ 法務省大臣官房司法法制部長

平成10年6月23日~ 法務省大臣官房秘書課長

平成8年4月5日~ 法務省民事局第一課長

平成5年7月2日~ 法務省民事局第三課長

平成4年4月1日~ 法務省民事局第四課長

昭和63年4月1日~ 法務省民事局参事官

昭和60年2月15日~ 在オランダ日本国大使館一等書記官

昭和56年4月4日~ 法務省民事局付

昭和56年4月1日~ 東京地裁判事補

昭和55年4月1日~ 大阪地裁判事補

昭和52年7月1日~ 札幌地家裁判事補

昭和49年4月12日~ 東京地裁判事補

1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
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3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。