裁判所の文書管理

第0 目次

第1の1 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達
第1の2 司法行政文書の文書管理に関する通達
第2の1 裁判文書及び司法行政文書
第2の2 裁判文書及び司法行政文書がA4判・横書きとなった時期
第3の1 民事事件の裁判文書に関する文書管理
第3の2 書記官事務等の査察(平成29年8月12日追加
第4   司法行政文書に関する文書管理
第5   戦前の裁判文書の保存
第6の1 民事事件の判決原本の国立公文書館への移管
第6の2 裁判関連文書は国立公文書館への移管が予定されていないこと
第6の3 司法行政文書の国立公文書館への移管
第7   歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書の類型,及び公文書等移管計画
第8の1 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館
第8の2 公文書管理法の概要

*0 「裁判所の情報公開」「行政機関の情報公開」「最高裁判所事務総局等の組織」「最高裁判所事務総局の事務分掌」及び「裁判所書記官及び家裁調査官の役職」も参照してください。
*1 外部HPの「裁判所における文書管理と官僚制」(千葉大学邦楽論集第26巻1・2号(2011))が参考になります。
*2 公文書管理に関する関係法令,通知・ガイドライン等,行政機関以外の国の機関との申合せについては,内閣府HPの「関係法令・通知等」に載っています。
*3 公文書の移管については,国立公文書館HPの「公文書の管理と移管」が分かりやすいです。
*4 裁判統計報告については,「裁判所の各種事件数等」を参照して下さい。
*5 刑事記録については,「交通事故事件の刑事記録の入手方法」「刑事訴訟記録の編成」「実況見分調書等の刑事記録の保管期間」及び「検察庁関係の法令・書式,法務省の各種事務規程等」も参照してください。

第1の1 裁判文書の文書管理に関する規程及び通達

1 事件の受付段階
① 事件の受付及び分配に関する事務の取扱いについて(平成4年8月21日付の最高裁判所事務総長通達)(平成25年4月現在のもの)
・ 略称は「受付分配通達」です。
・   別表第1が民事事件,別表第2が行政事件,別表第3が刑事事件,別表第4が没収の裁判の取消請求事件及び同控訴事件,別表第5が家事事件及び訴訟等事件,別表第6が少年事件,別表第7が医療観察事件,別表第8が法廷等の秩序維持に関する法律違反事件,別表第9が裁判官の分限事件です。
 
2 事件処理中の段階

(1) 民事・刑事・家事・少年に共通の文書
① 事件記録等の閲覧等に関する事務の取扱いについて(平成9年8月20日付の最高裁判所総務局長通達)
・ 略称は「閲覧等通達」です。
・ 別紙様式第1が民事事件記録等閲覧・謄写票であり,別紙様式第2が刑事事件記録等閲覧・謄写票であり,別紙様式第3が家事事件記録等閲覧・謄写表であり,別紙様式第4が少年事件記録等閲覧・謄写票であり,別紙様式第5が医療観察事件記録等閲覧・謄写票です。
② 事件関係の帳簿諸票の備付け及び保存について(平成4年8月21日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 略称は「帳簿諸票通達」です。
・ 別表第1が簡易裁判所に備え付ける帳簿諸票であり,別表第2が地方裁判所に備え付ける帳簿諸票であり,別表第3が家庭裁判所に備え付ける帳簿諸票であり,別表第4が高等裁判所に備え付ける帳簿諸票であり,別表第5が簡易裁判所に備え付けることができる帳簿諸票であり,別表第6が地方裁判所に備え付けることができる帳簿諸票であり,別表第7が家庭裁判所に備え付けることができる帳簿諸票であり,別表第8が高等裁判所に備え付けることができる帳簿諸票であり,別表第9が他の通達の定めにより備え付けた帳簿諸票です。
③ 帳簿諸票の備付け及び保存に関する事務の取扱いについて(平成4年8月21日付の最高裁判所総務局長通達)
(2) 個別の文書
ア 民事事件
① 民事訴訟記録の編成について(平成9年7月16日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 略称は「民事編成通達」であり,「民事訴訟記録の編成」でhtml化されています。
・ 第1分類が弁論関係書類であり,第2分類が証拠関係書類であり,第3分類がその他の書類です。
② 民事事件の口頭弁論調書等の様式及び記載方法について(平成16年1月23日付けの最高裁判所総務局長,民事局長及び家庭局長通達)
・ 略称は「民事調書通達」です。
・ 第1号様式が口頭弁論調書等であり,第2号様式が弁論準備手続調書合議用及び弁論準備手続調書単独用であり,第3号様式が書証目録であり,第4号様式が証人等目録であり,第5号様式が証人等調書であり,第6号様式が調書合議用及び調書単独用です。
③ 事件記録の保管及び送付に関する事務の取扱いについて(平成7年3月24日付の最高裁判所総務局長通達)
・ 略称は「保管送付通達」です。
④ 少額訴訟における手続教示,録音テープ等への記録の手続及び口頭弁論調書の作成について(平成9年7月16日付の最高裁判所総務局長,民事局長通達)
⑤ 録音反訳方式に関する事務の運用について(平成10年3月20日付の最高裁判所総務局長通達)
イ 刑事事件
① 刑事訴訟記録の編成等について(平成12年10月20日付の最高裁判所事務総長の通達)
・ 略称は「刑事編成通達」です。
・ 第1分類が手続関係書類であり,第2分類が証拠関係書類であり,第3分類が身柄関係書類であり,第4分類がその他の書類であり,第5分類が裁判員等選任手続関係書類です。
② 刑事事件に関する書類の参考書式について(平成18年5月22日付の最高裁判所刑事局長,総務局長及び家庭局長送付)
ウ 家事事件
① 家事事件記録の編成について(平成24年12月11日付の最高裁判所事務総長通達)
・ 略称は「家事編成通達」です。
・ 3分方式による編成方法が採用された場合,第1分類が手続関係書類であり,第2分類が証拠関係書類であり,第3分類がその他の書類です。
   この場合,第1分類は調書群,審判書群及び申立書群からなり,第2分類は事実の調査関係書類群及び証拠調べ関係書類群からなり,第3分類は代理及び資格証明関係書類並びにその他の書類からなります。
・ 2分方式による編成方法が採用された場合,第1分類が手続関係書類及び証拠関係書類であり,第2分類がその他の書類です。
エ 少年事件
① 少年調査記録規程(昭和29年最高裁判所規程第5号)
② 少年調査記録規程の運用について(平成4年8月21日付の最高裁判所家庭局長及び総務局長の通達)
③ 少年調査記録の様式について(平成12年6月30日付の最高裁判所家庭局長の通達)
オ 法廷等の秩序維持に関する法律違反事件
① 法廷等の秩序維持に関する法律違反事件記録の取扱及び保存について(昭和27年10月27日付の最高裁判所事務総長通達)

3 事件終了後の段階

① 事件記録等保存規程(昭和39年12月12日最高裁判所規程第8号)
・ 略称は「保存規程」です。
・ 別表第1が第一審裁判所で保存する記録及び事件書類の保存期間であり,別表第2が上訴裁判所で保存する事件書類の保存期間です。
② 事件記録等保存規程の運用について(平成4年2月7日付の最高裁判所事務総長依命通達)
・ 略称は「保存通達」です。
・ 事件記録等保存規程及びその運用通達は,「事件記録等保存規程」でhtml形式になっています。
③ 刑事事件記録等の事件終結後の送付及び保存に関する事務の取扱いについて(平成4年9月4日付の最高裁判所総務局長の通達)
・ 検察庁に刑事記録を送付した後の取扱いについては,「実況見分調書等の刑事記録の保管期間」を参照してください。

4 書記官事務等の査察段階
① 書記官事務等の査察について(昭和61年6月30日付の最高裁判所事務総長通達)
② 最高裁判所による書記官事務等の査察について(平成13年9月4日付の最高裁判所事務総長通達)
・ ②につき,平成22年1月27日付の改正通達を含んでいます。

第1の2 司法行政文書の文書管理に関する通達

1 総論
①   司法行政文書の管理について(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長の通達
②   別表(司法行政文書の保存期間基準)

2 最高裁判所の司法行政文書

③   最高裁判所における司法行政文書の管理の実施等について(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総局秘書課長の通達)
④   別紙様式第1~第6

3 下級裁判所の司法行政文書

⑤   下級裁判所における司法行政文書の管理の実施等について(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総局秘書課長の通達)
⑥   別表第1(標準文書保存期間基準例),別表第2及び別表第3
⑦   別紙様式第1~第11

4   裁判所HPの「裁判所の情報公開・個人情報保護について」に,司法行政文書の文書管理に関する通達が載っています。

第2の1 裁判所の文書管理,並びに裁判文書及び司法行政文書

1 裁判所の文書管理
   裁判所の文書管理に関する最高裁判所事務総局の説明が,平成20年9月25日開催の第11回公文書管理の在り方等に関する有識者会議の配付資料1「裁判所における文書管理」に書いてあります。

2 裁判部門及び司法行政部門

(1) 裁判所は,裁判に関する一切の事務(以下「裁判事務」といいます。)を行う裁判部門と,裁判事務をサポートするための事務(以下「司法行政事務」といいます。)を行う司法行政部門から成り立っています。
(2)   裁判部門は裁判部又は事件部ともいわれ,司法行政部門は事務局又は事務部ともいわれます。

3 裁判文書
(1) 裁判部門は民事部及び刑事部からなり,それぞれの下に裁判所の規模に応じて部が設置されています(下級裁判所の部の数を定める規程参照)。
(2) 民事部は通常部,特殊部及び訟廷事務室に分かれます。
   通常部は通常の民事事件を担当し,特殊部は破産事件,執行事件等を担当しています。
   訟廷事務室のうち,庶務係は司法行政事務を担当し,事件係及び記録係は裁判事務を担当します。
(3) 刑事部は立会部,令状部及び訟廷事務室に分かれます。
   立会部は通常の刑事事件を担当するほか,令状部が設置されていない裁判所では令状事務も担当します。
   令状部は令状事務を担当します。
   訟廷事務室のうち,庶務係は司法行政事務を担当し,事件係及び記録係は裁判事務を担当します。
(4) 訟廷事務室庶務係を除く裁判部門が作成する文書は原則として,裁判文書となります。
(5) 裁判文書には,事件記録や事件書類(事件に関する書類で記録から分離されたもの)に限られず,専ら裁判事務のために用いるものとして作成し,又は取得した文書で,裁判所の裁判部において管理しているものが含まれます(平成27年度(情)答申第5号(平成28年3月8日答申))。
   そして,裁判文書のうち,専ら裁判事務のために用いるものとして作成し,又は取得した文書で,裁判所の裁判部において管理しているものは,事件記録として閲覧の対象になりませんし,司法行政文書開示請求の対象にもなりません。

4 司法行政文書
(1) 司法行政部門として,最高裁判所には事務総局が設置されていて,下級裁判所には事務局が設置されています。
(2) 高等裁判所事務局には総務課,人事課及び会計課が設置され,地方裁判所及び家庭裁判所事務局には総務課及び会計課が設置されることになっています(下級裁判所事務処理規則24条)。
(3) 司法行政部門及び訟廷事務室庶務係が作成する文書は原則として,司法行政文書となります。
裁判所における文書管理別紙1
裁判所における文書管理別紙2
裁判所における文書管理別紙3
裁判所における文書管理別紙4

第2の2 裁判文書及び司法行政文書がA4判・横書きとなった時期

1 裁判文書の場合
(1)   平成13年1月1日からA4判・横書きとなりました(日弁連HPの「裁判文書」参照)。
(2) 平成12年12月31日までは,かつての民事訴訟規則(平成10年1月1日廃止)6条が「訴訟書類には、できる限り、日本工業規格B列四番の用紙を二つに折ったもの又は日本工業規格B列五番の用紙を使用しなければならない。ただし、図面、統計表その他これに準ずるものについては、この限りでない。」と定めていたため,B判・縦書きでした。
(3) 裁判文書の表記方法につき,外部HPの「裁判文書表記法」が参考になります。

2 司法行政文書の場合
   昭和61年1月から横書きとされ,平成7年1月からA判の用紙が使用されるようになりました(外部HPの「裁判所提出文書書式変更について」参照)。
  そのため,例えば,最高裁判所裁判官会議議事録に「部の事務を総括する裁判官の名簿」についていえば,昭和62年度分(昭和61年12月作成)からB判・横書きとなり,平成8年度分(平成7年12月作成)からA4判・横書きとなりました。

第3の1 民事事件の裁判文書に関する文書管理

1(1) 民事事件の裁判文書の作成は,民事部訟廷事務室事件係の受付から開始しますところ,同係の受付は以下のような流れとなります。
① 閲読
・ 受領した訴状等の書類について不備がある場合,受付日付の表示をする前に,提出者に書類を返却し,補正した後に書類を再提出するように指示してくることがあります。
② 受付日付の表示
・ 受付日付印を書類の第1頁の余白の見やすい場所に押します。
③ 帳簿への搭載
④ 符号及び番号の記載
・ 民事事件については,民事事件記録符号規程,行政事件記録符号規程,刑事事件記録符号規程,家庭事件記録符号規程等に基づき,事件番号を付けます。
・ 例えば,地方裁判所における民事通常訴訟事件の符号は「ワ」であり,簡易裁判所における民事通常訴訟事件の符号は「ハ」です。
・   外部HPの「事件記録符号」に,それぞれの事件の記録符号が書いてあります。
⑤ 収入印紙の消印等
(2) 受付手続を終えた書類のうち事件簿に搭載した書類については,表紙を付し,必要な用紙を加えて,記録を編成します。
(3)ア 記録の編成を終えた場合(記録を編成しない書類にあっては,受付手続を終えた場合),裁判事務の分配の定めにしたが,速やかにこれを民事部に配布します。
   民事事件の分配の具体的方法は,下級裁判所事務処理規則6条に基づき,それぞれの裁判所の事務分配で定められています。
イ 全国の高等裁判所,地方裁判所及び家庭裁判所の事務分配については,「現職裁判官の分布表,全国の地裁の本庁及び支部ごとの裁判官数」を参照して下さい。
(4) 受付及び分配については,事件の受付及び分配に関する事務の取扱いについて(平成4年8月21日付の最高裁判所事務総長通達)(受付分配通達)で定められています。

2(1) 事件処理は民事部の裁判官の下で行われますところ,その過程で代理人弁護士等から準備書面,書証等の書類が提出され,裁判所では口頭弁論調書,判決書等の書類が作成されます。
   これらの書類は,当該事件を担当する裁判所書記官によって編成され,事件記録としてまとめられてきます。
(2)ア 民事事件記録の具体的な編成方法は,民事訴訟記録の編成について(平成9年7月16日付の最高裁判所事務総長通達)(民事編成通達)に書いてあります。
   これによれば,弁論関係書類(第一分類),証拠関係書類(第二分類)及びその他の書類(第三分類)に分けて編成され(いわゆる「三分方式」),それぞれについてつづりこむ順序と書類が定められています。
イ 刑事事件記録では,五分方式が採用されています。
(3) 口頭弁論調書等の作成方法については,民事事件の口頭弁論調書等の様式及び記載方法について(平成16年1月23日付けの最高裁判所総務局長,民事局長及び家庭局長通達)(民事調書通達)に書いてあります。
(4) 事件係属中に裁判所で保存されている事件記録及び事件書類は,当事者のほか,第三者による閲覧の対象となります(民事訴訟法91条1項)。
   具体的な手続は,事件記録等の閲覧等に関する事務の取扱いについて(平成9年8月20日付の最高裁判所総務局長通達)(閲覧等通達)に書いてあります。
(5) 事件記録は,訴訟が終わるまでの間,「事件記録の保管及び送付に関する事務の取扱いについて」(平成7年3月24日付の最高裁判所総務局長通達)(保管送付通達)に基づき,その事件を担当する裁判所書記官によって執務室内のキャビネットやロッカーで保管されます。

3(1)ア 保管者である裁判所書記官が訴訟関係人,他の裁判所等に事件記録を貸し出す場合,事件記録出納簿に所要の記載をし,その「受領印」に事件記録の受領者の認印を受けます。
イ   訴訟関係人,他の裁判所等に事件記録を郵送し,又は使走して貸し出す場合,事件記録出納簿の「備考」にその旨を記載します。
   この場合いのいては,事件記録の受領者から事件記録の預かり証等を提出させることによって,「受領印」への認め印に代えるものとされています。
(2) 保管者である裁判所書記官が,特定の事件を担当する裁判官,民事調停官,家事調停官,精神保健審判員,労働審判員,裁判所調査官,家庭裁判所調査官,家庭裁判所調査官補,裁判所速記官,参与員,司法委員,専門委員又は精神保健参与員に当該事件の記録を貸し出す場合,貸出カード等に貸出日,借受日,返還日等を記載して,その出納を明らかにします。
   ただし,即日に返還される場合,適宜の方法により,その出納を把握すれば足ります。
(3)ア 移送決定の確定,上訴の提起,上訴判決等の確定,上訴の取下げ等によりほかの裁判所に事件記録を送付する場合,裁判所書記官は記録送付書を作成し,事件記録とともに送付します。
イ 移送決定の確定又は上訴判決等の確定により他の裁判所に事件記録を送付する場合,当該裁判の原本を分離し,その正本を作成して記録に添付します。
ウ 民事又は行政の上告提起事件及び上告受理申立て事件の表紙には,上告等事件記録の表紙を用い,これを上告状又は上告受理申立書がつづられている事件記録の表紙の上につづります。
(4) 事件記録の貸出及び送付については,「事件記録の保管及び送付に関する事務の取扱いについて」(平成7年3月24日付の最高裁判所総務局長通達)(保管送付通達)で定められています。

4(1) 事件記録は,訴訟が終結した後,訟廷事務室記録係で保管されます。
   その際,事件記録から,事件書類(例えば,判決原本及び和解調書)が分離されます。
   そのため,民事事件の裁判文書には,民事事件記録及び事件書類があることとなります。
(2) 事件記録等保存規程によれば,和解事件の事件記録は3年,和解調書は30年,保存されます。
   また,和解事件以外の事件記録は5年,判決原本は50年,保存されます。
(3) 事件終了後に裁判所で保存されている事件記録及び事件書類は,当事者のほか,第三者による閲覧の対象となります(民事訴訟法91条1項)。
   具体的な手続は,事件記録等の閲覧等に関する事務の取扱いについて(平成9年8月20日付の最高裁判所総務局長通達)(閲覧等通達)に書いてあります。
(4) 事件記録については,事件記録等保存規程(昭和39年12月12日最高裁判所規程第8号)(保存規程)9条に基づく特別保存の対象とならない限り,保存期間が満了した次の年度で廃棄されます。
(5) 記録の廃棄は,訟廷管理官(訟廷管理官の置かれていない裁判所にあっては訟廷事務をつかさどる主任書記官,主任書記官の置かれていない裁判所にあっては上席の裁判所書記官)が立ち会った上,焼却,細断又は消磁の方法により行い,細断をしたものについては,物品管理官又は分任物品管理官に引き継がれます(保存通達第5.3)。
(6) 昭和30年までに完結した民事事件の判決原本,及び最高裁判所において特別保存の対象となっていた事件記録については,国立公文書館に移管されました。

5 民事事件の裁判文書については,受付から廃棄又は移管に至る過程を単一のルール(例えば,文書管理規則)で定められているわけではなく,執務ごとにそれぞれ別個の規程や通達で定められています。
   そのため,裁判所書記官は人事異動のたびに規程や通達をはじめから勉強する必要があることとなります。

6 訟廷事務とは,①訟廷事務室事件係で行われる受付から分配までの過程,及び②訟廷事務室記録係で行われる訴訟完結後の事件記録の保存・廃棄等の過程をいいます。

第3の2 書記官事務等の査察

1(1) 裁判所は毎年,以下の事務について査察を行っています(書記官事務等の査察について(昭和61年6月30日付の最高裁判所事務総長通達))。
① 書記官事務
② 速記官事務
③ 訟廷事務
④ 書記官事務に関連する会計事務
⑤ 訟廷事務に関連する会計事務
(2) 書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察の場合,査察事務担当者は,高裁及び地裁の民事首席書記官及び刑事首席書記官,並びに家裁の首席書記官です。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察の場合,査察事務担当者は,高裁の事務局次長,並びに地裁及び家裁の事務局長です。
(3) 書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察の場合,査察実施事務代理者は,高裁及び地裁の民事次席書記官及び刑事次席書記官,並びに家裁の次席書記官です。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察の場合,査察実施事務代理者は,高裁の会計課長等,並びに地裁及び家裁の事務局次長等です。
(4) 査察事務担当者及び査察実施事務代理者は,査察実施事務を行うにあたり,被査察庁の全体的な事務処理の状況を把握し,是正又は改善を要する事務の発見及びその事務が執られていた原因の究明に努めるとともに,従前の査察において是正又は改善を要すると指摘された事務について,その後適正な措置が執られているかどうかを調査します。
(5) 査察事務担当者は,査察実施事務が終了した時は,所属の裁判所に対し,速やかに被査察庁ごとに査察の結果を書面により報告します。
(6) 査察庁は,管内の査察実施事務の終了した後2か月以内に,書記官事務,速記官事務及び訟廷事務の査察については総務局長あてに,書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務の査察については経理局長あてに,それぞれ査察の結果を被査察庁ごとに取りまとめた上,これに対する所見を付して,書面により報告します。

2(1) 最高裁判所は毎年,高等裁判所の以下の事務について査察を行っています(最高裁判所による書記官事務等の査察について(平成13年9月4日付の最高裁判所事務総長通達))。
① 書記官事務
② 速記官事務
③ 訟廷事務
④ 書記官事務に関連する会計事務
⑤ 訟廷事務に関連する会計事務
(2) 査察事務担当者は,大法廷首席書記官,小法廷首席書記官及び訟廷首席書記官であり,大法廷首席書記官が査察事務を統括します。
   書記官事務及び訟廷事務に関連する会計事務についての査察事務担当者は,経理局長です。
(3) 査察事務担当者及び査察実施事務代理者は,査察実施事務を行うにあたり,被査察庁の全体的な事務処理の状況を把握し,是正又は改善を要する事務の発見及びその事務が執られていた原因の究明に努めるとともに,従前の査察において是正又は改善を要すると指摘された事務について,その後適正な措置が執られているかどうかを調査します。
(4) 査察事務担当者は,最高裁判所に対し,査察の結果を速やかに報告します。

第4 司法行政文書に関する文書管理

1(1) 司法行政文書とは,裁判所の職員が職務上作成し,又は取得した司法行政事務に関する文書,図画及び電磁的記録(電子的方式,磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)であって,裁判所の職員が組織的に用いるものとして,裁判所が保有しているものをいいます(「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第1.2(1))。
(2) 司法行政文書の定義は,行政機関情報公開法2条2項の行政文書の定義と同じです。

2(1) 「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)第2が司法行政文書の管理体制について定めています。
(2) 最高裁判所事務総局秘書課長,高等裁判所事務局長,地方裁判所事務局長及び家庭裁判所事務局長は,総括文書管理者となります。
   最高裁判所事務総局秘書課長が指名する者(司法行政文書の管理に関する事務を所管する秘書課参事官),高等裁判所事務局総務課長,地方裁判所事務局総務課長及び家庭裁判所事務局総務課長は,副総括文書管理者となります。
(3)   最高裁判所の事務総局等の課の文書については最高裁判所の事務総局等の課の長が,最高裁判所の裁判部の文書については訟廷首席書記官及び最高裁判所事務総局総務局第一課長が,下級裁判所の課の文書については下級裁判所の課の課長が,下級裁判所の裁判部の文書については主席書記官及び首席家庭裁判所調査官が文書管理者となります。
   また,最高裁判所の事務総局等の課については,審査官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となり,最高裁判所の裁判部については訟廷首席書記官が文書管理担当者となり,下級裁判所の課については企画官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となり,下級裁判所の裁判部については訟廷管理官,主任書記官,主任家庭裁判所調査官等のうち文書管理者が指名する者が文書管理担当者となります。

3(1) 下級裁判所事務局の場合,事務局長はすべての「課」「係」の文書へのアクセス権を持ちます。
   しかし,課長は自分の属する「課」の「係」の文書にしかアクセス権がありませんし,係長は自分の「係」の文書にしかアクセス権がありません。
   そのため,事務局職員が他の課又は係の文書を利用したい場合,司法行政文書の閲覧又は借り出しの手続(「下級裁判所における司法行政文書の管理の実施等について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総局秘書課長通達)第6)をとる必要があります。
(2) 裁判所事務官から見れば,同じ課に属していても,それぞれの係で実際,何がなされているかを知ることは難しいのであって,ピラミッド構造の底辺部に行くほど,横の連絡が取れなくなっているといわれます。
   つまり,隣の「シマ」のことはなかなか分からないといわれています。
(3) 平成26年2月17日,裁判所職員用ポータルサイト(J・NETポータル)における,本庁,支部,簡裁等の間の情報共有を目的とした新規コンテンツ「高地家簡裁掲示板」が利用できることとなりました(「「高地家簡裁掲示板」の運用開始について」(平成26年2月3日付の最高裁判所事務総局情報政策課参事官の事務連絡)参照)。
   そのため,隣の「シマ」のことが以前よりは分かるようになっているのかもしれません。

4(1)ア 「司法行政文書の管理について」(平成24年12月6日付の最高裁判所事務総長通達)は,別表「司法行政文書の保存期間基準」において,司法行政文書の保存期間(1年間から30年間)を定めています。
イ 「司法行政文書の保存期間基準」は,公文書等の管理に関する法律施行令8条及び別表とかなり似ています。
(2) 最高裁判所の司法行政文書について保存期間が到来した場合において保存期間が延長されなかった場合,歴史資料として重要な司法行政文書は国立公文書館に移管され,それ以外の司法行政文書は廃棄されます。
(3) 下級裁判所の司法行政文書について保存期間が到来した場合において保存期間が延長されなかった場合,国立公文書館への移管手続が存在しないことから,すべて廃棄されます。

5 裁判所の場合,直ちに廃棄される司法行政文書がたくさんあります(「裁判所の情報公開」参照)。

第5 戦前の裁判文書の保存

1(1) 大審院並裁判所書類保存規程(明治18年10月24日司法省丁第21号達)により,裁判記録が他の政府の記録と別の法制度の下で保存されるようになりました(「司法資料の保存と現代的課題」74頁等参照)。
   これにより大審院については明治8年創設の時からの書類,控訴裁判所については明治8年の上等裁判所設置の時からの書類,始審裁判所については明治9年の地方裁判所に改称された時からの書類が保存されることとなりました。
(2) 大審院並裁判所書類保存規程では,事件記録については有期保存とし,それぞれの保存期間が定められたほか,民事及び刑事の判決原本については永久保存とされました。
(3) 司法省の文書の保存については,司法省文書保存規程(明治18年12月28日司法省第6195号達)で定められました。

2 民刑訴訟記録保存規程(大正7年6月3日司法省法務局庶第7号訓令)により,民事及び刑事の判決原本は永久保存となり,民事記録及び刑事記録は有期保存となりました。

3(1) 戦前の裁判文書については,民事記録及び刑事記録の両方が裁判所で保管されていました。
(2) 明治15年1月1日施行の治罪法(明治13年7月17日太政官布告第37号),及び明治23年11月1日施行の刑事訴訟法(明治23年10月7日法律第96号)には,刑事記録の保存に関する規定がありました。
   しかし,大正13年1月1日施行の刑事訴訟法(大正11年5月5日法律第75号)には,刑事記録の保存に関する規定はありませんでした。

第6の1 民事事件の判決原本の国立公文書館への移管

1(1) 最高裁判所は,昭和29年1月1日,事件記録等保存規程(昭和28年12月5日最高裁判所規程第9号)を施行しました。
(2)   民事事件の判決原本は引き続き永久保存とされました。

2(1) 最高裁判所は,昭和40年1月1日,事件記録等保存規程(昭和39年12月12日最高裁判所規程第8号)を施行しました。
   民事事件の判決原本は引き続き永久保存とされました。
(2) 事件記録等保存規程9条2項は,「記録又は事件書類で史料又は参考記録となるべきものは,保存期間満了の後も保存しなければならない」として,史料等としての特別保存義務を特に定めたにもかかわらず,ほとんど適用されませんでした。

3(1) 最高裁判所は,平成4年1月23日,事件記録等保存規程を改正し,平成6年1月1日以降,判決確定から50年を経過した判決原本(=昭和18年12月31日までに確定した判決原本)を随時,廃棄することを決定しました。
   しかし,判決原本の廃棄を憂慮する国立大学法学部教授等による「判決原本の会」等から最高裁判所に対して廃棄見直しの要望が行われました。
   その結果,平成6年から平成7年にかけて高等裁判所所在地の10の国立大学法学部に移管作業が実施され,そこで一時保管されることとなりました(国立公文書館HPの「24.司法文書の移管(1)-民事判決原本(国立大学より)」参照)。
(2) 判決原本を一時保管した国立大学は,北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,大阪大学,岡山大学,広島大学,香川大学,九州大学及び熊本大学でした。

4(1) 国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号)の成立を契機として,国立公文書館への移管を念頭に置いて,国立公文書館,国立大学及び日弁連の関係三者間で協議が行われました。
   その結果,平成12年5月31日,段階的に総理府の国立公文書館へ移管することについて三者間での合意が成立しました。
(2)   この合意を受けて,内閣総理大臣官房審議官と文部省高等教育局長とが共同で,平成12年9月26日,「国立大学が保管する民事判決原本の総理府(国立公文書館)への移管及び受入れに関する取扱方針」を定めました。
   この取扱方針では,平成12年度から12か年計画で民事判決原本の移管を行うというスケジュールが定められました。
(3) 国立公文書館は,平成23年3月4日までに3万6624冊の民事判決原本を受け入れたことにより,当該文書の移管は完了しました(国立公文書館HPの「国立大学からの民事判決原本の移管完了について-民事判決原本利用のための手引-」参照)。
(4)   国立公文書館は,平成23年7月8日,昭和18年までの民事判決原本の目録を公開し,国立公文書館デジタルアーカイブからの検索が可能となりました(国立公文書館HPの「国立大学から民事判決原本の移管がすべて完了。目録公開される。」参照)。

5(1) 最高裁判所長官及び内閣総理大臣は,平成21年8月5日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」という申合せをしました(改正前の国立公文書館法15条1項参照)。
   これにより,歴史資料として重要な判決書等の裁判文書について保存期間が満了した場合,国立公文書館に移管されることとなりました(国立公文書館HPの「司法府から国立公文書館への公文書の移管について」参照)。
(2) 「歴史資料として重要な公文書等(裁判文書)移管計画について」(平成22年2月1日付の内閣総理大臣通知)に基づき,最高裁判所全国の下級裁判所は,国立公文書館に対し,平成21年度において,明治8年から昭和30年12月31日までに完結した最高裁判所所蔵の民事判決原本及び事件記録等保存規程9条2項に基づき「特別保存」とされていた事件記録を移管しました(国立公文書館HPの「24.司法文書の移管(2)-裁判文書(司法府より)」参照)。
(3) 「歴史資料として重要な公文書等(裁判文書)移管計画について」(平成25年6月26日付の内閣総理大臣通知)に基づき,最高裁判所及び全国の下級裁判所は,国立公文書館に対し,平成25年度から平成29年度にかけて,昭和37年12月31日までに完結した民事判決原本及び事件記録等保存規程9条2項に基づき「特別保存」とされていた事件記録を移管する予定です。

6(1)ア 内閣府大臣官房長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」という申合せをしました(公文書管理法14条1項参照)。
イ 当該申合せでは,保存期間が満了した以下の裁判文書が原則として国立公文書館に移管されることとなりました。
① 民事事件の判決の原本及びその附属書類であって,保存規程第4条に規定する保存期間が満了したもの
② 民事事件の事件記録及び事件書類(判決の原本及びその附属書類を除く。)であって,保存規程第4条に規定する保存期間が満了し,かつ,保存期間の満了の後も保存規程第9条第2項の規定に基づき史料又は参考資料となるべきものとして保存されているもの
③ 裁判所法(昭和22年法律第59号)の施行の日(昭和22年5月3日)前に備え付けられた裁判所の事件に関する事項を登載する帳簿及び諸票であって,裁判所の定める保存期間が満了したもの
(2) 内閣府大臣官房公文書管理課長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局第一課長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の内閣総理大臣への移管手続
について」という申合せをしました。

第6の2 裁判関連文書は国立公文書館への移管が予定されていないこと

平成28年度(最情)答申第24号(平成28年7月15日答申)における最高裁判所事務総長の理由説明書には以下の記載があります(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
 
1 裁判所は,公文書等の管理に関する法律附則4条の規定による改正前の国立公文書館法15条1項の規定に基づき,内閣総理大臣と協議して定めるところにより,裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講じ,その措置として,内閣総理大臣に対して裁判所の保管に係る歴史資料として重要な公文書等を移管している。
2 上記「歴史資料として重要な公文書等」については,平成21年8月5日付け内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」及び平成25年6月14日付け内閣府大臣官房長・最高裁判所事務総局秘書課長・同総務局長申合せ「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」(以下「本件各申合せ」という。)によって申合せがされ,最高裁判所は,本件各申合せに係る文書を保有している。
   裁判所から内閣総理大臣に移管する「歴史資料として重要な公文書等」の範囲は,本件各申合せにより,歴史資料として重要な判決書等の裁判文書並びに裁判所の過去の主要な活動を跡づけるために必要な,司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定及びその意思決定に至るまでの審議,検討又は協議の過程及びその決定に基づく施策の遂行過程が記録された司法行政文書であるとされている。
3 本件開示申出書記載の「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」とは,裁判に密接に関連する事項について,裁判官等が申合せを行った結果を記載し,裁判所の裁判部において管理している文書等を意味するものと理解されるが,そのような文書は,上記記載の「歴史資料として重要な公文書等」に当たらないので,本件各申合せは本件開示申出文書ではない。
   また,その他の文書の移管方法について,最高裁判所と内閣府との間で取り交わした文書は存在せず,したがって,「事件記録に該当しないものの,裁判に密接に関連する文書」の移管方法に係る文書も存在しない。

第6の3 司法行政文書の国立公文書館への移管

1 裁判所及び国会は,内閣総理大臣と協議して定めることにより,歴史公文書の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとされています(公文書管理法14条1項)。
   内閣総理大臣は,裁判所及び国会との合意により,歴史公文書の移管を受けることができます(公文書管理法14条2項)ところ,あらかじめ国立公文書館の意見を聴くことができます(公文書管理法14条3項)。

2 内閣総理大臣及び最高裁判所長官は,平成21年8月5日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について」という申合せをしました(改正前の国立公文書館法15条1項参照)。
   これにより, 裁判所の過去の主要な活動を跡づけるために必要な,司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定等が記録された司法行政文書について保存期間が満了した場合,国立公文書館に移管されることとなりました(国立公文書館HPの「司法府から国立公文書館への公文書の移管について」参照)。

3(1) 内閣府大臣官房長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置について(平成21年8月5日内閣総理大臣・最高裁判所長官申合せ)の実施について」という申合せをしました(公文書管理法14条1項参照)。
(2) 当該申合せでは,保存期間が満了した以下の司法行政文書が国立公文書館に移管されることとなりました。
ア   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定を行うための決裁文書(当該決裁文書と一体不可分の記録であって,当該決裁文書の内容又は当該意思決定に至るまでの審議,検討若しくは協議の過程が記録されたものを含む。)
イ   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事項に係る意思決定に基づく裁判所の事務の実績が記録されたもの
ウ   次のいずれかに該当するもの
①   保存されている期間が30年以上である文書(保存期間が30年未満であっても,当該文書の保存期間及び保存期間の満了する日を延長した結果として30年以上となるものを含む。)
②   最高裁判所がその施策等を一般に周知させることを目的として作成した広報誌,パンフレット,ポスター,ビデオ等の広報資料
③   予算,決算に関する送付文書等の毎年又は隔年等に定期的に作成される文書のうち,(2)エの規定により,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,包括的な合意に達したもの
④   (2)オの規定により,合意した特定の国政上の重要事項等に関連して作成された文書であって,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,合意に達したもの
エ   裁判所の保有する司法行政文書であって,アからウまでのいずれにも該当しないもののうち,結果として司法制度上多大な影響を及ぼすこととなった事項について記録されたものその他内閣総理大臣が国立公文書館において保存することが適当であると認めるものであって,内閣総理大臣が最高裁判所長官と移管について協議し,合意に達したもの

4 内閣府大臣官房公文書管理課長及び最高裁判所事務総局秘書課長及び総務局第一課長は,平成25年6月14日,「歴史資料として重要な公文書等の内閣総理大臣への移管手続
について」という申合せをしました。

第7 歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書,及び公文書等移管計画

1 「内閣総理大臣への司法行政文書の移管に関する事務の取扱いについて」(平成22年3月30日付の最高裁判所事務総長依命通達)別表によれば,歴史資料として重要な公文書等として内閣総理大臣に移管すべき司法行政文書の類型は以下のとおりです。
① 規則,規程等関係
(1) 最高裁判所規則及び最高裁判所規程の制定及び改廃に関する文書
(2) 通達及び通知のうち重要なもの
(3) 規定の解釈及び運用基準に関する文書
(4) (1)に掲げる文書に係る各府省庁との申合せに関する文書
② 裁判官会議等関係
(1) 裁判官会議に関する文書
(2) 常置委員会に関する文書
③ 予算,決算関係
(1) 予算書及び予算参考書に関する文書
(2) 予算要求に関する文書
(3) 決算書及び決算参照書に関する文書
(4) 決算の説明に関する文書
(5) 歳入主計簿及び歳出主計簿に関する文書
(6) 国有財産に関する文書
④ 基本計画等関係
   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な事務の方針及び計画に関する文書
⑤ 国際条約等関係
(1) 条約その他の国際約束の署名及び締結に関する文書
(2) 国際会議の取決めに係る記録のうち重要なもの
⑥ 組織,定員関係
(1) 組織の設立,変更及び廃止に関する文書
(2) 定員の変更及び廃止に関する文書
⑦ 審議会等関係
(1) 規則制定諮問委員会の諮問,答申,建議,意見及び議事録のうち重要なもの
(2) その他委員会,研究会等の報告書及び議事録のうち重要なもの
⑧ 事務総局会議関係
   事務総局会議に関する文書のうち重要なもの
⑨ 国会関係
(1) 国会答弁に関する文書
(2) 国会提出に関する文書
⑩ 争訟関係
   行政不服審査に関する文書
⑪ 統計関係
(1) 統計の企画及び公表資料の作成に関する文書
(2) 統計を作成するための調査に関する文書
⑫ 人事関係
(1) 職員の任免,身分,賞罰,恩給及び給与その他の人事に関する内規を定めた文書のうち特に重要なもの
(2) 審議会等の委員の任免関係に関する文書
⑬ 栄転,表彰関係
   叙位,叙勲,褒章及び各種表彰に関する文書のうち重要なもの
⑭ 事故等関係
   震災等自然災害関係等に関する文書のうち重要なもの
⑮ 調査,研究関係
(1) 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定又はその遂行に反映させるために実施した調査又は研究の経緯に関する文書
(2) 司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定又はその遂行に反映させるために実施した調査又は研究の結果報告書
⑯ 司法行政に係る重要な政策関係
   司法行政に係る重要な政策等裁判所の運営上の重要な意思決定及び当該意思決定に基づく司法行政事務の実績が記録されたもの
⑰ その他
・   最高裁判所長官と内閣総理大臣が合意して移管の対象と認める国政上重要なもの又はそれに準じるもの

2(1) 内閣総理大臣が最高裁判所長官に通知した,司法行政文書に関する公文書等移管計画を以下の通り掲載しています。
① 平成23年度分(平成24年3月22日付)
② 平成24年度分(平成25年3月28日付)
③ 平成25年度分(平成26年3月31日付)
④ 平成26年度分(平成27年3月30日付)
⑤ 平成27年度分(平成28年3月22日付)
⑥ 平成28年度分(平成29年3月30日付)
(2) 公文書等移管計画は,歴史資料として重要な公文書等を移管する計画を年度ごとに定めた文書です。

第8の1 公文書管理に関する経緯,公文書館に関連する法律及び国立公文書館

1 公文書管理に関する経緯
(1) 昭和46年7月1日,国立公文書館が総理府の付属機関として,東京都千代田区北の丸公園で開館しました。
(2) 平成10年7月1日,国立公文書館つくば分館が茨城県つくば市の筑波研究学園都市内に設置されました。
(3)   平成12年10月,国立公文書館法が施行されました。
(4)   平成13年4月1日,国立公文書館が独立行政法人となりました。
(5) 平成13年11月30日,国立公文書館アジア歴史資料センター(略称は「アジ歴」です。)が開設されました。
   同センターはデジタルアーカイブとしてインターネットなどを通じてアジア歴史資料を提供することを目的としていますから,閲覧室は設置していません。
(6) 平成15年12月5日,内閣官房長官決定に基づき,公文書等の適切な管理、保存及び利用に関する懇談会が内閣府に設置されました。
   平成16年6月28日,第一次報告書を提出し,平成18年6月22日,第二次報告書を提出しました。
(7) 平成20年2月29日,内閣官房長官決裁に基づき,公文書管理の在り方等に関する有識者会議が内閣官房で開催されるようになりました。
   平成20年11月4日,「時を貫く記録としての公文書管理の在り方」~今、国家事業として取り組む~(平成20年11月4日付の公文書管理の在り方等に関する有識者会議最終報告)が出されました。
平成23年4月1日,公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(略称は「公文書管理法」です。)が施行されました。
(8) 平成26年5月13日,内閣府特命担当大臣決定に基づき,国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議が内閣府で開催されるようになりました。
(9) 平成28年3月23日,内閣府公文書管理委員会は,「公文書管理法施行5年後見直しに関する検討報告書」(公文書管理法付則13条1項参照)を提出しました。
(10) 平成28年5月26日,衆議院議院運営委員会の小委員会が,政府建て替えを目指す国立公文書館の建設地を,国会に隣接する憲政記念館の敷地内とすることを決めました。

2 公文書館に関連する法律
   公文書館に関連する法律として主なものは以下の三つです。
① 公文書館法(昭和62年12月15日法律第115号)(議員立法)
   国又は地方公共団体が設置する公文書館に関する法律を定めています。
② 国立公文書館法(平成11年6月23日法律第79号)(議員立法)
   独立行政法人国立公文書館の名称,目的,業務の範囲等に関する事項を定めています。
③ 公文書等の管理に関する法律(平成21年7月1日法律第66号)(閣法)
   公文書等の管理に関する基本的事項(行政文書等の作成・整理,歴史公文書等の移管,適切な保存・利用等)を定めています。

3 国立公文書館
(1) 国立公文書館の概要が分かる資料が,平成26年5月16日開催の第1回国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議資料3として内閣府HPに掲載されています。
(2)ア 内閣府HPの「(参考)諸外国の国立公文書館の比較」によれば,
職員数は以下のとおりです。
日本:47人(定員数),アメリカ(NARA):2720人
イギリス(TNA):600人,フランス:570人
ドイツ:790人,韓国:340人
イ 所蔵量は以下のとおりです。
日本:59km,アメリカ(NARA):1400km
イギリス(TNA):200km,フランス:380km
ドイツ:300km,韓国:177km
ウ 内閣府HPの「諸外国の公文書館概要(国別概要)」が詳しいです。
(3) 内閣府HPの「国立公文書館の機能・施設の在り方に関する提言(平成26年度調査報告)」(平成27年3月)に,新たな国立公文書館に関する基本的な論点と方向性等が書いてあります。

第8の2 公文書管理法の概要

0 公文書管理法(平成21年7月1日法律第66号)1条
   この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。

1 公文書管理法の概要は以下のとおりです。
(1) 行政文書の管理
ア 行政機関の長又は職員が行うべき事項
① 作成:経緯も含めた意思決定に至る過程及び事務事業の実績が把握できる文書の作成(公文書管理法4条)
② 整理:行政文書の分類,名称付与,保存期間が満了する日等の設定,行政文書ファイル化,保存期間が満了した時の措置(移管又は廃棄)の設定(レコードスケジュール)(公文書管理法5条及び7条)
③ 保存:保存期間が満了する日まで,適切に保存(公文書管理法6条)
④ 移管又は廃棄:保存期間満了後,レコードスケジュールに従って移管又は廃棄する。廃棄する場合,内閣総理大臣の同意が必要となる(公文書管理法8条)。
イ 行政機関の長は,行政文書の管理状況について,毎年度,内閣総理大臣に報告する(公文書管理法9条)。
ウ 行政機関の長は,公文書管理委員会の調査審議,内閣総理大臣の同意を得て行政文書管理規則を策定する(公文書管理法10条)。
エ 公文書管理に問題がある場合,内閣総理大臣は報告・資料提出要求,実地調査,勧告等ができる(公文書管理法9条及び31条)。
(2) 法人文書の管理
   独立行政法人等の文書について,行政機関に準じて適正に管理する(公文書管理法11条ないし13条参照)。
(3) 国立公文書館等における特定歴史公文書等の保存・利用等
ア 特定歴史公文書は原則,永久保存(廃棄には公文書管理委員会の審議、内閣総理大臣の同意が必要)(公文書管理法15条1項)
イ 個人情報の漏えい防止などの適切な保存,目録の公表(公文書管理法15条2項ないし4項及び16条)
ウ 国民は,情報公開法類似の利用請求が可能(公文書管理法16条)。国立公文書館等には,利用促進の努力義務がある(公文書管理法23条)。
エ 保存及び利用状況を毎年度内閣総理大臣に報告する(公文書管理法26条)。
(4) 公文書管理委員会
   内閣総理大臣任命により内閣府に設置され,各行政機関の行政文書管理規則,勧告等について調査審議する(公文書管理法28条ないし30条)。

2(1) 公文書管理法では,公文書等は,現用段階の行政文書及び法人文書のほか,非現用となって国立公文書館等に移管された後の特定歴史公文書等を包摂した概念となっています。
(2) 公文書等には,立法機関の文書及び司法機関の文書が含まれていませんから,国の機関におけるすべての公文書を含んだものにはなっていません。

3 公文書管理法は,行政文書が作成又は取得され,それが整理され,保存され,保存期間が満了した時に移管又は廃棄されるという,現用文書の管理全般について定めています。
   そして,行政機関情報公開法及び独立行政法人情報公開法が定めている情報開示請求制度,情報提供制度は現用文書の利用の一部と見ることができます。
   そのため,公文書管理法は一般法であり,情報公開法は公文書管理法が定めている現用文書である行政文書及び法人文書の利用の一形態を定める特別法としての位置づけとなります(国立公文書館HPの「日本における公文書管理法の制定と今後の課題」参照)。

4(1) 内閣府HPの「公文書管理法の概要」が参考になります。
(2) 公文書管理制度の全体像が,国立公文書館の概要(その2)4頁「公文書管理の全体像」に載っています。
(3) 内閣府HPの「公文書等の管理等の状況」において,平成23年度以降の公文書管理法の運用状況が公表されています。

5 保存期間が満了した行政文書ファイル等は,宮内庁にあっては宮内庁書陵部図書課宮内公文書館に,外務省にあっては外務省大臣官房総務課外交史料館に,その他の行政機関にあっては国立公文書館に移管されます。

6 日弁連は,「公文書管理法案の修正と情報公開法の改正を求める意見書」(平成21年4月24日付の意見書)において,「国会や裁判所の公文書についても、行政文書と同様の管理ができるよう、国会や裁判所の公文書管理法を、この法律の制定後1年以内に別途制定することを義務付けるべきである。」などと主張しました。
   しかし,現在でも,国会及び裁判所は公文書管理法の適用対象になっていません。

7 公文書管理法付則13条2項は,「国会及び裁判所の文書の管理の在り方については、この法律の趣旨、国会及び裁判所の地位及び権能等を踏まえ、検討が行われるものとする。」と定めています。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。