弁護士の懲戒

第0 目次

第1   総論
第2の1 市民窓口及び紛議調停
第2の2 弁護士に対する懲戒請求をした場合の受け止め方等
第3   弁護士は単位弁護士会及び日弁連の会則等を守る必要があること
第4の1 弁護士の懲戒事由
第4の2 弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文
第4の3 弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例
第4の4 弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義
第5   弁護士が他の弁護士に懲戒請求をする場合の取扱い等
第6   非弁護士との提携の禁止
第7   弁護士会の弁護士に対する指導監督権の内容
第8の1 弁護士会の懲戒手続
第8の2 弁護士会の綱紀委員会及び懲戒委員会の記録の閲覧
第9   日弁連の懲戒手続
第10の1 弁護士の懲戒処分と取消訴訟
第10の2 弁護士法に基づかない弁護士会の処分を弁護士が争うのは極めて難しいこと
第11の1  弁護士に対する不当な懲戒請求をした場合の責任
第11の2  弁護士について期待権侵害のみを理由とする不法行為責任が発生する場合
第12    懲戒手続の除斥期間
第13    各弁護士会の懲戒請求の出し方
第14    弁護士の懲戒制度の問題点に関する弁護士の声

*1 以下の記事も参照してください。
① 弁護士の守秘義務,弁護士職務基本規程等
② 受任できない事件,事件処理の方針等
③ 弁護士の懲戒請求事案集計(平成5年以降の分)
④ 平成29年5月開始の大量懲戒請求事案
⑤ 会務活動に関する弁護士の守秘義務
⑥ 弁護士以外の士業の懲戒制度
⑦ 弁護士法人アディーレ法律事務所に対する懲戒処分等
⑧ 弁護士法人の懲戒事例
*2 最高裁平成19年12月18日決定における裁判官田原睦夫の補足意見に以下の記載があります。
   殊に弁護士が自ら懲戒請求者となり,あるいは請求者の代理人等として関与する場合にあっては,根拠のない懲戒請求は,被請求者たる弁護士に多大な負担を課することになることにつき十分な思いを馳せるとともに,弁護士会に認められた懲戒制度は,弁護士自治の根幹を形成するものであって,懲戒請求の濫用は,現在の司法制度の重要な基盤をなす弁護士自治という,個々の弁護士自らの拠って立つ基盤そのものを傷つけることとなりかねないものであることにつき自覚すべきであって,慎重な対応が求められるものというべきである。
*3   相手方の代理人弁護士,又はかつて依頼していた弁護士に対する懲戒請求又は損害賠償請求については,①懲戒事由を確実に立証できる物証があり,②相手の弁護士の言い分を全部確認できた上で,その内容が一見して明らかに不当であり,③私と依頼者との間に特に高度の信頼関係がある場合でない限り,受任しないこととしています。
   また,相手の弁護士が大阪弁護士会所属の弁護士である場合,①ないし③の場合であっても,ほぼ例外なく受任しないこととしています(大阪弁護士会の懲戒基準が他の弁護士会と異なるという意味ではなく,完全に私個人の事情によるものです。)。
*4 遺言執行者をした後に特定の相続人の代理人をすれば原則として懲戒されますが,私が代理人として関与した懲戒請求の場合,破産管財人をした後に非免責債権に関して破産者の訴訟代理人をした兵庫県弁護士会副会長経験者は日弁連懲戒委員会の全員一致で懲戒されませんでした「弁護士会副会長経験者に対する懲戒請求事件について,日弁連懲戒委員会に定型文で棄却された体験談(私が情報公開請求を開始した経緯も記載しています。)」参照)。

第1 総論

1 懲戒手続の流れ
   日弁連HPの「懲戒制度」にある「弁護士の懲戒手続の流れ」を見れば,懲戒手続の流れが分かります。

2   懲戒の種類
(1) 弁護士に対する懲戒は,戒告,2年以内の業務停止,退会命令及び除名の4種類です(弁護士法57条1項)。
(2)ア 弁護士法人に対する懲戒は,戒告,2年以内の業務停止,退会命令及び除名の4種類です(弁護士法57条2項)。
イ   業務停止については,①主たる法律事務所が所在する弁護士会が行う「弁護士法人の業務停止」,及び②従たる法律事務所が所在する弁護士会が行う「弁護士法人の法律事務所の業務停止」の2種類があります。
ウ 従たる法律事務所が所在する弁護士会は退会命令は出せますが,除名できませんのに対し,主たる法律事務所が所在する弁護士会は退会命令は出せませんが,除名できます(弁護士法57条2項3号及び4号)。

3 懲戒請求は誰でもできること等
(1)ア 何人も,弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由(過去3年以内のものに限られることにつき弁護士法63条)があると思料するときは,その事由の説明を添えて,その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会(例えば,大阪弁護士会)にこれを懲戒することを求めることができます(弁護士法58条1項)。
イ 日弁連に対して直接,懲戒請求をすることはできないのであって,最初は所属弁護士会に対して懲戒請求をする必要があります。
(2)   懲戒請求者は,弁護士会の綱紀委員会又は懲戒委員会の決定に対して日弁連綱紀委員会に対して異議の申出をしたり(弁護士法64条),日弁連綱紀委員会の決定に対して日弁連綱紀審査会に対して綱紀審査の申出をしたりすることはできます(弁護士法64条の3)。
   ただし,懲戒請求者は,日弁連懲戒委員会の決定に対して不服申立てをすることはできません。
(3) 弁護士自治を考える会HP「弁護士懲戒請求の書き方」が載っています。
(4) 弁護士会に対して懲戒請求をする場合,印紙代等の費用は不要です。

4 明文化された弁護士会の懲戒処分基準は存在しないかもしれないこと
(1) 行政機関の場合,不利益処分に関する処分基準を定め,かつ,これを公にしておくように努めなければなりませんし(行政手続法12条1項),不利益処分に関する処分基準を定めるに当たっては,不利益処分の性質に照らしてできる限り具体的なものとしなければなりません(行政手続法12条2項)。
(2) 私は,明文化された弁護士会の懲戒処分基準を見たことがありませんから,そのような基準は存在しないかもしれません。

5 相続により懲戒請求人の地位は承継されないこと等
(1) 懲戒請求は弁護士会に懲戒権の発動を促すにすぎず,懲戒請求人はその後の手続に当事者として関与するものではないので,相続により懲戒請求人の地位は承継されません(平成16年6月14日付の日弁連懲戒委員会の議決(弁護士懲戒事件議決例集(第8集)173頁))。
(2) 懲戒請求人は関係者として陳述,説明又は資料の提出を求められることがあるに過ぎません(懲戒委員会につき弁護士法67条3項,綱紀審査会につき弁護士法70条の7)。

6 その他
(1) 個別の弁護士の懲戒情報については以下のHPに載っています。
① 弁護士懲戒処分検索センターHPの「弁護士懲戒情報」
② 弁護士自治を考える会HPの「弁護士懲戒処分の要旨」「弁護士懲戒処分・(官報)掲載分」
③ 「東弁会報「LIBRA」」
・ 東弁会員に対する懲戒処分に限りますし,懲戒処分の公告を除いた状態で東弁HPに掲載されています。
(2) 日弁連HPの「弁護士の懲戒制度とその運用状況」が参考になります。
(3) 弁護士ドットコムHP「「弁護士 懲戒事例」の法律相談」が載っています。
   また,弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版),弁護士懲戒事件議決例集(毎年発行)等は日弁連に問い合わせれば購入することができます日弁連HP「出版物 分類:業務-相談・倫理・研修・事故」参照)。
(4) 弁護士費用.com「懲戒処分された弁護士|注意」が載っています。
(5) 平成14年4月当時の弁護士の懲戒手続については,首相官邸HPの「弁護士の綱紀・懲戒制度の概要と日弁連の改革の基本方針について」(2002年4月16日付の日弁連文書)が参考になります。
(6)ア 平成29年4月1日以降,弁護士又は弁護士法人の業務上の横領によって30万円を超える財産を失った依頼者及びこれに準じる人は,弁護士会に申請することにより,500万円を上限とした見舞金を支給してもらうことができます(日弁連HPの「依頼者見舞金制度について」参照)。
イ   日弁連HPに「依頼者見舞金支給申請に関する公告」が載っています。
(7)  長友国際法律事務所HP「弁護士長友隆典に対する懲戒処分について」に,戒告処分(中身につき,弁護士自治を考える会ブログ「長友隆典弁護士(札幌)懲戒処分の要旨」参照)を受けた弁護士の反論が載っています。
(8) 裁判所職員の懲戒処分の場合,原則として被懲戒者の氏名は公表されません(裁判所HPの「懲戒処分の公表指針」,及び平成28年度(情)答申第6号(平成28年9月1日答申)参照)。
(9) リーガルネットHP「弁護士会から懲戒処分を受けた弁護士は、もはや転職できないのか?【コラム】」が載っています。
(10) 首相官邸HPに「「弁護士の在り方」に関する裁判所の意見」第28回司法制度改革審議会配布資料別紙4)が載っています。

第2の1 市民窓口及び紛議調停

0 総論
   弁護士に対して懲戒請求をする前に,市民窓口又は紛議調停を利用した方が無難です(日弁連HPの「弁護士とトラブルになったら」参照)。

1 市民窓口
(1) 依頼した弁護士又は相手方の弁護士の業務遂行の方法等に疑問や不満がある場合,弁護士会の市民窓口を利用した方がいいです。
(2) 大阪弁護士会の市民は土口は原則として,月曜から木曜の午前10時から午前12時まで,及び午後1時から午後3時までやっているところ,予約制ですから事前に電話をする必要があります(予約受付時間は月曜から金曜の午前9時から午後5時までです。)(大阪弁護士会HPの「市民窓口」参照)。
(3) 弁護士懲戒処分検索センターHP「各弁護士会の市民相談窓口リンク」が載っています。

2 紛議調停
(1) 弁護士は,依頼者との信頼関係を保持し紛議が生じないように努め,紛議が生じたときは,所属弁護士会の紛議調停で解決するように努めます(弁護士職務基本規程26条)。
   また,弁護士は,他の弁護士等との間の紛議については,協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努めるものとされています(弁護士職務基本規程73条)。
(2)   紛議調停は,弁護士と依頼者の紛争を弁護士会の調停を通じて解決する手続です。
(3) 東京弁護士会HPに「紛議調停手続きの流れ」が載っています。
(4) 懲戒手続は,対象弁護士を懲戒するかどうかを審査する手続であって,懲戒請求人と弁護士との間の争いを解決したり,懲戒請求人や関係者に対する金銭の支払等を対象弁護士に命じたりすることなどを目的とするものではありません(第二東京弁護士会の「懲戒の請求と紛議調停の請求について」参照)。
   そのため,弁護士との間の争いを解決したいのであれば紛議調停を利用した方がいいです。

第2の2 弁護士に対する懲戒請求をした場合の受け止め方等

1 以前に依頼した弁護士に対する懲戒請求をした場合の受け止め方
(1) 以前に依頼した弁護士に対する懲戒請求をした人の相談を受ける場合,弁護士としては,かなりの警戒感をもって接することが通常であると思います。
   特に,懲戒請求された弁護士がそれほど悪いとは思えないような事案で懲戒請求をした人の相談を受ける場合,弁護士としては,自分が将来,同じように何らかのミスをした場合に懲戒請求される可能性が高いと考えることから,相談対応だけにとどめて,受任しない可能性が高くなります(懲戒請求された弁護士から事情を聞くことができないため,弁護士としては,相談者の話をかなり割り引いて判断するのが普通であると思います。)。
(2) 業務上横領その他,懲戒請求された弁護士に業務停止以上の懲戒事由があることが明らかな事案で懲戒請求をした人については,個人的には受任を躊躇する理由にはなりません。
   これに対して,懲戒請求された弁護士に戒告相当の懲戒事由があるにすぎない事案で懲戒請求をした人については,懲戒事由が故意によるもの,又は依頼者に対する不誠実の現れによるものであればそれほど気にならないものの,懲戒事由が過失によるものであれば,個人的には受任を躊躇する理由になります。

2 相手方の弁護士に対する懲戒請求をした場合の受け止め方
(1) 相手方の弁護士に対する懲戒請求をした人の相談を受ける場合,弁護士としては,多少の警戒感をもって接することが通常であると思います。
   しかし,自分が相談者との関係で相手方の弁護士と同じ立場になることはないわけですから,そこまでの警戒感は出てこないと思います。
(2)   合理的理由なく相手方の弁護士に対する懲戒請求をしている人の相談を受ける場合,自分が将来,以下のような懲戒請求を受けかねない事項を依頼される可能性が高いと考えることから,相談対応だけにとどめて受任しない可能性が高くなります。
(相手方との関係)
① 相手方に対する過度に攻撃的な表現を準備書面等に記載すること
・ このような表現は紛争を余計にこじられる可能性が高いですから,書きたくありません。
   また,過度に攻撃的な表現を準備書面等で使用した場合,懲戒請求を受ける原因となります(弁護士自治を考える会HPの「【暴言・心ない言葉】懲戒処分例」参照)。
・ 平成28年6月3日,本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(平成28年6月3日法律第68号)が施行されました(法務省HPの「ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動」参照)から,より一層,表現に留意する必要があります。
② 建物明渡事件等における自力救済(例えば,賃料滞納中の賃借人に無断でカギを交換して追い出すこと。)
・ 緊急やむを得ない事由がない限り,自力救済(何らかの権利を侵害された者が,司法手続きによらず実力をもって権利回復を果たすこと)は認められません(最高裁昭和40年12月7日判決参照)。
・ 日弁連は,自力救済禁止の原則に対する例外の要件として「①国家権力による救済をまついとまがないこと。②ただちに私力を行使しないと,訴訟等の法的手段を通じての権利実現が全く不可能となり,または著しく困難となるおそれのあること。③緊急な危険を防止するに必要な限度をこえないこと」(弁護士資格・懲戒事件議決例集第7集648頁)という厳しい判断基準を示しています(東弁リブラ2010年7月号の「綱紀・懲戒」10頁参照)。
③ 住民基本台帳法12条の3第2項に基づく住民票,又は住民基本台帳法20条4項に基づく戸籍の付票の職務上請求に関する不適切な依頼
・ 氏名,性別,生年月日及び住所はプライバシーに係る情報として法的保護の対象となります(最高裁平成29年10月23日判決)から,合理的理由なく世帯全員の住民票を取得することは許されません。
・ 適法に取得した住民票であっても,裁判外において相手方のプライバシー,生活の平穏等を侵害することは許されません。
④ 戸籍法10条の2第2項に基づく戸籍謄本の職務上請求に関する不適切な依頼
・ 戸籍には住民票以上にプライバシー情報(例えば,離婚)が書いてありますから,高度の合理的理由なく他人の戸籍を取得することは許されないのであって,住民票以上に慎重に取り扱う必要があります。
・ 自由と正義2018年5月号106頁に,「弁護士は,戸籍全部事項証明書の職務上請求が認められた趣旨に鑑み,取り寄せた同証明書については,受任事件の業務に必要な範囲内で利用し,みだりに戸籍に記載された者のプライバシーを侵害することのないように慎重に取り扱うべきことは当然である」と書いてあります。
⑤ 違法に収集した証拠(例えば,盗撮した動画)の訴訟での使用
・ 弁護士職務基本規程14条は,「弁護士は、詐欺的取引、暴力その他違法若しくは不正な行為を助長し、又はこれらの行為を利用してはならない。」と定めています。
・ 弁護士職務基本規程74条は,「弁護士は、裁判の公正及び適正手続の実現に努める。」と定めています。
⑥ 虚偽の証拠等の訴訟での使用
・ 弁護士職務基本規程75条は,「弁護士は、偽証若しくは虚偽の陳述をそそのかし、又は虚偽と知りながらその証拠を提出してはならない。」と定めています。
⑦ 相手方の勤務先等への連絡
・ 例えば,不倫相手に対する慰謝料請求の書面を相手の勤務先に郵送したり,離婚請求事件の相手方に子供の面会交流に関する行き過ぎを控えてほしいという連絡文書を相手方の職場にファックスで送信したりした場合,非行であるとして懲戒請求されることがあります(東弁リブラ2010年7月号の「綱紀・懲戒」9頁参照)。
(相手方の弁護士との関係)
⑧ 相手方の弁護士に対する攻撃的な表現を準備書面等に記載すること
・ 一般的に,相手の弁護士に対する攻撃にまで及んだ場合,訴訟上の和解又は調停が余計に成立しにくくなりますから,紛争の解決が遠のくことになりますし,代理人同士の喧嘩に発展する可能性もあります。
⑨ 相手方の弁護士に対する懲戒請求
・ 後述するとおり,弁護士に対する懲戒請求を受任する弁護士は少ないですから,懲戒請求を依頼される可能性があること自体,受任を躊躇する理由になります。

3 弁護士に対する懲戒請求を受任する弁護士は少ないこと等
(1) 弁護士に対する懲戒請求をした場合,弁護士会の会務その他何らかの理由で接触する可能性がある弁護士を不倶戴天の敵にしてしまいますから,色々な手段で嫌がらせを受ける可能性があります。
   そのため,弁護士に対する懲戒請求を受任する弁護士は少ないです。
(2)ア 中小規模の弁護士会に所属している場合,同じ弁護士会に所属する弁護士に対する懲戒請求を受任する人はまずいないと思います。
イ 大阪弁護士会の場合,同じ会派に所属する弁護士に対する懲戒請求を受任する人はまずいないと思います。
(3) 弁護士職務基本規程は「第9章 他の弁護士との関係における規律」として以下のとおり定めています。
(名誉の尊重)
第七十条 弁護士は他の弁護士、弁護士法人及び外国法事務弁護士(以下弁護士等という)との関係において、相互に名誉と信義を重んじる。
(弁護士に対する不利益行為)
第七十一条 弁護士は、信義に反して他の弁護士等を不利益に陥れてはならない。
(他の事件への不当介入)
第七十二条 弁護士は、他の弁護士等が受任している事件に不当に介入してはならない。
(弁護士間の紛議)
第七十三条 弁護士は、他の弁護士等との間の紛議については、協議又は弁護士会の紛議調停による円満な解決に努める。

4 まとめ
   合理的理由なく弁護士に対する懲戒請求を出した場合,将来,他の弁護士に依頼することが困難になる可能性があるといったデメリットがありますから,弁護士に対する懲戒請求を出すことは慎重に考えた方がいいと思います。

第3 弁護士は単位弁護士会及び日弁連の会則等を守る必要があること

1(1) すべての弁護士及び弁護士法人は,いずれかの弁護士会及び日弁連に所属する必要がある(弁護士法36条1項,47条)ため,弁護士会及び日弁連はいわゆる強制加入団体であります。
(2)   弁護士会及び日弁連が強制加入団体であることは,憲法22条に違反しません(最高裁平成4年7月9日判決)。

2 弁護士は,所属弁護士会及び日弁連の会則,会規及び規則を守る必要があります(弁護士法22条,日弁連会則29条1項,弁護士職務基本規程78条)。

3 弁護士法人は,平成13年6月8日法律第41号(平成14年4月1日施行)による改正後の弁護士法30条の2以下に基づき設立されるようになったものです。
   ちなみに,弁護士法人は,破産手続開始の原因との関係では合名会社としての取扱いを受けます(弁護士法30条の30第4項)から,債務超過は破産手続開始の原因とはなりません(破産法16条2項)。

4 弁護士会及び日弁連の会則というのは,社団法人にとっての定款みたいなものです(弁護士法33条,46条参照)。

5(1) ①所属弁護士会の会則及び会規は総会の決議により(会則につき弁護士法39条,会規につき大阪弁護士会会則6条2項及び34条1号),②所属弁護士会の規則は常議員会の決議により定められ,又は変更されます(大阪弁護士会会則6条3項及び57条1号)。
(2) ①日弁連の会則及び会規は総会の決議により(会則につき弁護士法50条・39条,会規につき日弁連会則6条2項及び34条2号),②日弁連の規則は理事会の決議により定められ,又は変更されます(日弁連会則6条2項及び59条3号)。

第4の1 弁護士の懲戒事由

1 弁護士の懲戒事由は以下のとおりです(弁護士法56条1項)。
① 弁護士法に違反したとき
② 所属弁護士会又は日弁連の会則に違反したとき
③ 所属弁護士会の秩序又は信用を害したとき
④ その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったとき

2 「この規程〔注:弁護士職務基本規程のこと。〕は,弁護士の職務の多様性と個別性にかんがみ,その自由と独立を不当に侵すことのないよう,実質的に解釈し適用しなければならない。」(弁護士職務基本規程82条1項前段)とされています。
   そのため,弁護士職務基本規程の条項に形式的に違反する行為のすべてが直ちに懲戒の事由と判断されるのではなく,「品位を失うべき非行」(弁護士法56条1項)と同等の評価を受けるなどの視点から,事案に即した実質的な判断がなされることとなります。

3 「自由と独立」には,①権力からの自由と独立,②依頼者からの自由と独立,及び③他の弁護士との関係における自由と独立の三つの要素を含みます(弁護士職務基本規程2条参照)。

4(1) 弁護士職務基本規程には,倫理規定・努力義務の規定と,行為規範・義務規定とが混在しており,その区別が必ずしも判然としません。
   そのため,弁護士職務基本規程82条2項で,倫理規定・努力義務の規定に当たる条文が個別に列挙されています。
(2) 弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければなりません(弁護士法2条)し,弁護士は,教養を深め,法令及び法律事務に精通するため,研鑽に努めます(弁護士職務基本規程7条)。
   そして,「弁護士は、事件の処理に当たり、必要な法令の調査を怠ってはならない。」と定める弁護士法37条1項は義務規定です(弁護士職務基本規程82条2項参照)から,必要な法令の調査を怠った場合,直ちに懲戒事由となります。

5 日弁連HPの「弁護士に対する懲戒」には,懲戒事由の例として以下のものが書いてあります。
① 依頼者からの預り金を横領するなどの犯罪行為がなされた場合
② 自分の事務所で資格のない者に法律事務を取り扱わせた場合
③ 依頼者の利益となるように内容が虚偽の書類を裁判所に提出した場合
④ 弁護士会の会費を正当な理由なく長期にわたって滞納した場合

6(1) 弁護士は,法令により官公署から委嘱された事項について,職務の公正を保ち得ない事由があるときは,その委嘱を受けてはなりません(弁護士職務基本規程81条)。
(2)   破産管財人の場合,個別の破産債権者との間で何らかの利害関係がある場合は就任を辞退することがありますし,成年後見人の場合,推定相続人との間で何らかの利害関係がある場合は就任を辞退することがあります。
   例えば,特定の破産債権者が自分の顧問先であるような場合,破産管財人には就任しませんし,推定相続人間で深刻な対立が発生している事案で特定の推定相続人と親しい関係にある場合,成年後見人には就任しません。

7 その余の詳細については「弁護士の懲戒事由」を参照してください。

第4の2 弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文

「弁護士の職務の行動指針又は努力目標を定めた弁護士職務基本規程の条文」に移転させました。

第4の3 弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例

「弁護士法56条1項の「品位を失うべき非行」の具体例」に移転させました。

第4の4 弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義

「弁護士の懲戒請求権が何人にも認められていることの意義」に移転させました。

第5 弁護士が他の弁護士に懲戒請求をする場合の取扱い等

1 合理的理由がある場合,弁護士に対する懲戒請求を出すこと自体は問題ないこと等
(1)   依頼者の相手方が,弁護士として依頼者の権利,信用等を不当に侵害する行為をなし,それが弁護士としての品位を害する行為であるという理由で,依頼者が相手方に対する弁護士会懲戒の申立をしたいとして,同手続代理を対象弁護士に依頼してきた場合に,依頼者の主張どおりであれば相手方の当該行為は弁護士としての品位を害する行為として弁護士懲戒の対象になりうると判断されうる場合に,これを受任してその代理人として懲戒申立手続に関与することも,特に問題とされることではありません(平成23年10月18日付の日弁連綱紀審査会の議決が是認するところの,宮崎県弁護士会綱紀委員会の議決参照)。
   そのため,合理的理由がある場合,弁護士に対する懲戒請求を出すこと自体は問題ありません。
(2) 合理的理由がある場合に弁護士に対する懲戒請求を出すことに関する,それぞれの弁護士の事実上の受け止め方には大きな幅がある気がしています。

2 弁護士が作成した懲戒請求書の記載が弁護士としての品位を失うべき非行に当たる場合
   平成24年10月9日付の日弁連懲戒委員会の議決には以下の記載があります(弁護士懲戒事件議決例集(第15集)91頁のほか,自由と正義2012年12月号111頁参照))(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
(1)   弁護士法58条1項は,「何人も,弁護士又は弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは,その事由の説明を添えて,その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる。」と定めている。「懲戒の事由」とは,弁護士法又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し,所属弁護士会の秩序又は信用を害し,その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行(同法56条1項)であるから,懲戒請求書には,弁護士としての品位を失うべき非行等があったことを具体的に記載しなければならない。
   したがって,その記載は,対象弁護士の名誉を毀損するおそれを有するものであるところ,懲戒請求書は,公開が予定されていないのであるから,その記載自体をもって対象弁護士に対する名誉毀損の成否を論じるのは相当ではない。
   この点で,懲戒請求書は,公開の法廷で陳述される民事訴訟の訴状や準備書面とは異なるものである。
(2)   しかし,弁護士が懲戒請求書を作成した場合,その記載内容がいかなる場合であっても,弁護士としての品位を失うべき非行に当たらないとは解されないのであって,弁護士職務基本規程70条において,他の弁護士等との関係において,相互に名誉と信義を重んじることとされていることから,対象弁護士を侮辱する表現やその人格に対する誹謗中傷等については,弁護士としての品位を失うべき非行にあたる場合があるものと解すべきである。

3 弁護士に対する懲戒請求が弁護士としての品位を失うべき非行に該当する場合等
(1)   弁護士が,弁護士会に対し,懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠に関する調査及び検討をすることなく,特定の弁護士について懲戒請求をした場合,弁護士としての品位を失うべき非行に該当します(自由と正義2013年2月号96頁参照)。
(2) 平成25年9月9日付の日弁連懲戒委員会の議決書(弁護士懲戒事件議決例集(第16集)69頁以下)には,「弁護士が自ら懲戒請求者となって懲戒請求する場合にあっては,根拠のない懲戒請求は被請求者たる弁護士に多大な負担を課することになるのであり,懲戒請求権の濫用は個々の弁護士自らの拠って立つ基盤そのものを傷つけることになりかねないのであるから,より慎重な対応が求められるというべきである。」と書いてあります。
   そのため,弁護士が代理人として懲戒請求をした場合の方が,懲戒請求に関わる弁護士のリスクは小さくなると思われます。
(3) 平成30年7月17日効力発生の東弁の懲戒処分の要旨には以下の記載があります(弁護士自治を考える会ブログ平成30年11月28日付の記事参照)。
   被懲戒者は2014年3月19日、A弁護士と共にBの代理人としてBの妻Cに対する離婚訴訟を提起したところ、同年4月14日、上記訴訟前の離婚調停においてCの代理人であった懲戒請求者D弁護士に対し、上記離婚調停の期日においてC側から調停委員に対してなされた発言等を非行事実として懲戒請求を裏付ける証拠の収集を十分に行うことなく、また懲戒請求を手段として選択しなければならない程の問題では到底なく、さらに懲戒請求をすることによって、懲戒請求者D弁護士の代理人活動に業務上重大な影響を与えることを容易に予測し得たにもかかわらず、A弁護士と共にBの代理人としてあえて懲戒請求をした。

4 弁護士が他の弁護士の悪評を記載した場合,不正競争に該当する場合があること
(1)   弁護士が相手方の代理人弁護士の悪評をブログ等に記載した場合において,ブログ等の記載が事実でなかったときは,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」(不正競争防止法2条1項14号)という意味での不正競争に該当するものとして,差止請求(不正競争防止法3条)及び損害賠償請求(不正競争防止法4条)の対象となります。
(2) 知財高裁平成25年9月25日判決は以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
①   本件各記事については,直接的に被控訴人に関する特定の事実を摘示するものと,ある事実を基礎としての控訴人の意見ないし論評を記載したにすぎないものとが含まれている。
   そして,本件各記事の記載が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと理解されるときには,当該記載は,上記特定の事項についての事実を摘示するものと解するのが相当であり(最高裁平成6年(オ)第 978号同9年9月9日第三小法廷判決・民集51巻8号3804頁参照),証拠等による証明になじまない物事の価値,善悪,優劣についての批評や論議ないし法的な見解の表明は,事実を摘示するものではなく,意見ないし論評の表明の範ちゅうに属すると解すべきである(最高裁平成15年(受)第 1793号,第1794号同16年7月15日第一小法廷判決・民集58巻 5号1615頁参照)。
②   もっとも,一見して意見ないし論評の表明とみえる場合であっても,特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと解される場合には,事実の摘示を含むというべき場合もあると解すべきであることは否定し得ない(前掲最高裁平成16年7月15日第一小法廷判決参照)ため,不正競争防止法2条1項14号の「虚偽の事実」の陳述,流布の解釈においても,本件各記事中,原審が「虚偽の事実の流布」に当たると認定した部分について,一般の閲覧者の通常の理解ないし読み方を基準に,前後の文脈や一般の閲覧者が有している知識ないし経験も考慮して,事実の摘示に当たるか,単なる意見ないし論評であるか,あるいは,一見して意見ないし論評の表明とみえる場合であっても,特定の事項を明示的又は黙示的に主張するものと解される場合に当たるか否かを判断し,事実の摘示と認められるものについては,続いて「虚偽の事実」かどうかを判断する。

第6 非弁護士との提携の禁止

「非弁護士との提携の禁止」に移転させました。

第7 弁護士会の弁護士に対する指導監督権の内容

〇大阪高裁平成21年7月30日判決(弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)113頁及び114頁)は以下のとおり判示しています(ナンバリング及び改行を追加しました。)。
1 個々の弁護士(なお,弁護士法の平成13年法律第41号に基づく改正により,その適用対象には弁護士法人も含まれるが,ここでは,弁護士法人も含めて単に『弁護士』と表記する。)が弁護士法1条1項の使命に基づいて行う基本的人権を擁護し,社会正義を実現するための活動は,ときとして国家機関に対する批判者の立場に立つべき場面も想定されなければならないから,それらの活動の適正な遂行を保障するときには,弁護士の活動を国家機関の監督から独立させる必要がある。
   他方,弁護士法その他の法律によって弁護士に認められた諸権能は,国民の権利義務に直結することもあり,その諸権能に基づく弁護士の職責の適正な遂行が確保される必要がある。
2 そこで,弁護士法は,弁護士会は,弁護士の使命及び職務にかんがみ,その品位を保持し,弁護士の事務の改善進歩を図るため,弁護士の指導,連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とするものと定めて(31条1項),弁護士会に対し,その所属する弁護士に対し,その職責を適正に遂行するよう指導,監督する権限を与えるとともに,弁護士会の指導,監督権限を全弁護士に及ぼすべく,弁護士は各単位弁護士会に加入しなければ,弁護士として活動することができないとする強制加入制度を定めている(36条,36条の2)。
3 もっとも,弁護士法31条1項に言う『指導』,『監督』の意味については,①弁護士の基本的人権を擁護し,社会正義を実現するための活動の適正な遂行を保障するためには,弁護士の活動について高度の独立性を認める必要があること,②弁護士には,職務上知り得た事実についての守秘義務が認められていること(弁護士法23条,刑法134条1項),③弁護士法は,弁護士会に対し,所属弁護士に対する監督を全うさせるための特別な権能として,懲戒権を与えているが,懲戒権の行使は,弁護士会内の独立委員会である綱紀委員会及び懲戒委員会の判断に基づいて,弁護士会の恣意に流されることなく,適正かつ公正に行われることが厳格に規定されていることを総合して考慮すると,弁護士会は,所属弁護士の受任事件の処理に関して,違法又は不当な点が存在する疑いがあり,その点が懲戒事由に該当すると思料するときは,原則として,懲戒手続によって指導監督を行うべきであって,それ以外には,専ら,所属弁護士の具体的な業務執行や事件処理にわたらない範囲での研修や研究等の一般的な指導監督をすることができるにとどまるというべきであり,所属弁護士の受任事件の処理に関して懲戒手続以外に個別具体的に指導監督権を行使することは,例えば,明らかに違法な弁護活動,実質的に弁護権を放棄したと認められる行為,あるいは職業的専門家である弁護士としての良識を著しく逸脱した行為などが存在し,懲戒手続を待っていたのでは回復し難い損害の発生が見込まれるとか,あるいは,懲戒手続によるのみでは回復し難い損害の発生を防止することができないなど,特段の事情が存在する場合に限って,しかも当該違法又は不当な行為を阻止し,又はこれを是正するために必要な限度でしか許されないと解するのが相当である。

第8の1 弁護士会の懲戒手続

1 懲戒の請求をした場合,弁護士会は対象弁護士を懲戒の手続に付し,綱紀委員会において事案の調査を行います(弁護士法58条2項)。

2(1)   弁護士会の綱紀委員会は,調査対象の弁護士(「被調査人」といいます。),懲戒請求をした人(「懲戒請求者」といいます。)から資料の提出を求めたり,調査期日に事情を聴取したりして,非行が認められるかどうかを調査します。
(2)   綱紀委員会は,調査の結果に基づき,以下のいずれかの議決をします(弁護士法58条4項参照)。
① 懲戒相当(弁護士法58条3項)
   懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当とする旨の議決です。
② 懲戒不相当(弁護士法58条4項)
   以下の場合に行われる,懲戒委員会に事案の審査を求めることを相当としない旨の議決です。
(a) 除斥期間の経過等により懲戒請求(弁護士法58条1項)が不適法である場合
(b) 除斥期間の経過等により会請求(弁護士58条2項)が不適法である場合
(c) 被調査人に懲戒の事由がない場合
(d) 事案の軽重その他情状を考慮して被調査人を懲戒すべきでないことが明らかであると認める場
③ 調査終了
   調査開始後に被調査人が死亡したり,除名,破産手続開始等の事由により会員資格を喪失した場合に行われる議決です。

3 綱紀委員会が「懲戒相当」の議決をした場合,弁護士会は懲戒委員会の事案の審査を求ます。

4 その余の詳細は「弁護士会の懲戒手続」を参照してください。

第8の2 弁護士会の綱紀委員会及び懲戒委員会の記録の閲覧

1 綱紀委員会の記録の閲覧
(1)   弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)129頁には以下の記載があります。
   記録の閲覧・謄写については、綱紀委員会の議事録そのものは委員会の合議に関する記録という性格上、何人にも閲覧・謄写を許すべきではない(同旨、昭和六○年七月五日及び同月二四日付け日弁連会長回答)。その他の調査期日調書、証拠書類等は、対象弁護士等に対しては、適正手続の保障の見地から、閲覧・謄写を許可すべき場合が多いであろうが、懲戒請求者に対し閲覧・謄写を許可すべきかどうかは、綱紀委員会の裁量に任されていると解される。したがって、この場合、懲戒請求者が、対象弁護士等の弁解に対する反論や異議の申出の目的を有する限度においてのみ、閲覧・謄写を許可することも許されるであろうし、許可の際に、勝写した書類について、右の目的以外の使用を禁止するといった条件を付することも許されるであろう。
(2) 私が兵庫県弁護士会綱紀委員会において懲戒請求者代理人をした事案では,同会綱紀委員会は,対象弁護士が提出した弁明書及び書証の写しを私のところに郵送してくれました。

2 懲戒委員会の記録の閲覧
   弁護士懲戒手続の研究と実務(第3版)174頁及び175頁には以下の記載があります。 
   懲戒記録の閲覧・謄写については、法は何の定めも置いていないが、対象弁護士等の防御権を十分行使させるために、少なくとも審査手続中は対象弁護士等に記録の閲覧・勝写を認めることが相当である。閲覧・勝写の対象となる記録の範囲は審査期日の調書、審査期日外の調査の調書、証拠物までであり、合議の内容を記載した議事録はこれに含まれない。
   懲戒請求者に対しても記録の閲覧・謄写を認めるべきか否かについては、審査手続における懲戒請求者の地位をいかなるものと考えるかということと密接に関連するが、懲戒請求者は懲戒手続の当事者ではないから、閲覧・謄写を権利として認めることはできないが、懲戒委員会が相当と判断するときはこれを認めて差し支えないであろう。
   その他の第三者に対しては懲戒手続が弁護士会内部の手続であること、手続的に本来公開されるべきものとはいえないこと、また対象弁護士等や懲戒請求者等の名誉あるいはプライバシーの保護のためにも閲覧・謄写を許すべきではないと思料する。

第9 日弁連の懲戒手続

1 弁護士会の「綱紀」委員会が対象弁護士を懲戒しない旨の決定をした場合,懲戒請求者は日弁連に対し異議の申出ができ(弁護士法64条1項前段),異議の申出があった場合,日弁連は,綱紀委員会において異議の審査を行います(弁護士法64条の2第1項)。

2 ①弁護士会の「懲戒」委員会が対象弁護士を懲戒しない旨の決定をした場合,又は②弁護士会がした懲戒の処分が不当に軽い場合,懲戒請求者は,日弁連に対し,異議の申出ができ(弁護士法64条1項後段),異議の申出があった場合,日弁連は,懲戒委員会において異議の審査を行います(弁護士法64条の5第1項)。

第10の1 弁護士の懲戒処分と取消訴訟

1 日弁連の懲戒委員会が審査請求を却下又は棄却した場合,対象弁護士は,東京高裁に対し,日弁連の裁決の取消しの訴えを提起することができます(弁護士法61条1項)。
  そして,東京高裁の事務分配において,日弁連の裁決の取消しの訴えについては,東京高裁第4特別部が担当しています。

2(1) 行政処分の取消又は変更を求める訴えにおいて,裁判所が行政処分を取り消すのは,行政処分が違法であることを確認してその効力を失わせるものであって,弁論終結時において,裁判所が行政庁の立場に立って,いかなる処分が正当であるかを判断するものではありません(最高裁昭和28年10月30日判決)。
(2) 弁護士を懲戒する権限は所属弁護士会及び日弁連に属し,弁護士法61条1項の訴訟で東京高等裁判所が判断するのは弁護士を懲戒するかどうかではなく,弁護士会又は日弁連がした懲戒処分の当否であります。

3 その余の詳細は「弁護士の懲戒処分と取消訴訟」を参照してください。

第10の2 弁護士法に基づかない弁護士会の処分を弁護士が争うのは極めて難しいこと

1 弁護士会は裁判所その他の団体からの求めに応じて所属弁護士を推薦していますところ,対象弁護士に一定の事由がある場合,推薦名簿から外されるという処分(例えば,推薦停止決定)を受けます。
   しかし,弁護士法に基づかない弁護士会の処分について取消訴訟の提起を認めた規定は弁護士法にありませんし,国の機関に対する監督権の発動を求める手段もありませんから,抗告訴訟の一種としての取消訴訟を提起することはできないと思われます(国選弁護人の推薦停止決定に関する東京地裁平成16年2月26日判決参照)。

2 弁護士会の推薦名簿から外されるという処分を受けたとしても,弁護士としての業務ができなくなるわけではありませんから,一般市民法秩序に係る権利利益を侵害するものとはいえず,一般市民法秩序と直接の関係を有しない弁護士会内部の問題にとどまると思います。
   そのため,当該処分の取消し又は無効確認を求める訴えは,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たらないと思われます(日本公認会計士協会会則に基づく戒告の懲戒処分に関する大阪高裁平成26年2月27日判決参照)。

3 弁護士会の推薦名簿から外されるという処分の違法を理由とする損害賠償請求は,裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に当たるものの,弁護士自治が認められる弁護士会の内部規律の問題であることにかんがみ,当該処分が違法であるかどうかについては,弁護士会の会則等に照らし,適正な手続に則ってされたかどうかによって決せられると思われます(日本公認会計士協会会則に基づく戒告の懲戒処分に関する大阪高裁平成26年2月27日判決参照)。

4 したがって,弁護士法に基づかない弁護士会の処分を弁護士が争うのは極めて難しいです。

第11の1 弁護士に対する不当な懲戒請求をした場合の責任

1 弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成します(最高裁平成19年4月24日判決 )。
   これに対して,訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは,当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係が事実的,法律的根拠を欠くものである上,提訴者がそのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知り得たといえるのにあえて訴えを提起したなど,訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られます( 最高裁平成21年10月23日判決 及び最高裁平成22年7月9日判決 。なお,先例として, 最高裁昭和63年1月26日判決及び最高裁平成11年4月22日判決参照)。
   つまり,弁護士に対する懲戒請求は,民事訴訟の提起と異なり,相当性を欠くと認められる限り不法行為を構成するということです。
 
2(1) 弁護士に懲戒の処分を受けさせる目的で,虚偽の申告をした場合,虚偽告訴罪として3月以上10年以下の懲役に処せられます(刑法172条)。
(2)   虚偽の申告とは,申告の内容をなすところの刑事・懲戒の処分の原因となる事実が客観的真実に反することをいいます( 最高裁昭和33年7月31日決定)。

3  河原崎法律事務所HP「弁護士に対する懲戒請求が不法行為になるか」 に,弁護士に対する懲戒請求が不法行為を構成するとした東京地裁平成19年6月25日判決,東京地裁平成19年10月30日判決及び大阪地裁平成20年10月23日判決が抜粋されています。

4 BLOGOSに 「弁護士が懲戒請求されるときの気分とは?」が載っています。

第11の2 弁護士の弁護活動について不法行為責任が発生する場合等

1 勾留されている患者の診療に当たった拘置所の職員である医師が,過失により患者を適時に外部の適切な医療機関へ転送すべき義務を怠った場合において,適時に適切な医療機関への転送が行われ,同病院において適切な医療行為を受けていたならば,患者に重大な後遺症が残らなかった相当程度の可能性の存在が証明されるときは,国は,患者が上記可能性を侵害されたことによって被った損害について国家賠償責任を負います最高裁平成17年12月8日判決)。
   そのため,依頼者が適切な弁護活動を受けていたならば,正当な権利を実現できた相当程度の可能性の存在が証明された場合,弁護士は,依頼者の上記可能性を侵害されたことによって被った損害について損害賠償責任を負うと思われます。

2(1) 患者が適切な医療行為を受けることができなかった場合に,医師が,患者に対して,適切な医療行為を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは,当該医療行為が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまります(最高裁平成28年7月19日判決(判例秘書のほか,判例時報2342号7頁)。なお,先例として,最高裁平成17年12月8日判決最高裁平成23年2月25日判決参照)。
   そのため,依頼者が適切な弁護活動を受けることができなかった場合に,弁護士が,依頼者に対して適切な弁護活動を受ける期待権の侵害のみを理由とする不法行為責任を負うことがあるか否かは,当該弁護活動が著しく不適切なものである事案について検討し得るにとどまると思われます。
(2) 古賀克重法律事務所ブログの「最高裁裁判官から見た弁護活動のポイントとは、大橋正春元最高裁判事講演会」には,最高裁平成28年7月19日判決は,病院の代理人弁護士が書いた上告理由ではなく,職権による検討に基づいて原判決を破棄したものであるため,「裁判所としてもあまり表に出したくない判決なんだと思う」と書いてあります。

3 最高裁平成17年12月8日判決の裁判官才口千晴の補足意見には,「医師について「患者が適時に適切な医療機関へ転送され,同医療機関において適切な検査,治療等の医療行為を受ける利益を侵害されたこと」を理由として損害賠償を認めることは,医療全般のみならず,専門的かつ独占的な職種である教師,捜査官,弁護士などについても,適切な教育,捜査,弁護を受ける利益の侵害などを理由として損害賠償責任を認めることにつながり,責任が認められる範囲が限りなく広がるおそれがある。」と書いてあります。

第12 懲戒手続の除斥期間

1 懲戒の事由があったときから3年を経過した場合,弁護士会が「懲戒の手続」を開始することはできない(弁護士法63条)ところ,3年の期間は除斥期間ですから,停止事由等はありません。

2 ①長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪の公訴時効は3年ですし,②弁護士の預かり書類の消滅時効は3年です(民法171条)。
   そのため,事件終了の時から3年を経過した場合,非行行為に関する書類がない場合がありうることは,3年という除斥期間を定めた理由の一つとされています。

3 その余の詳細は「弁護士の懲戒手続の除斥期間」を参照してください。

第13 各弁護士会の懲戒請求の出し方

1 弁護士自治を考える会ブログの「各弁護士会の懲戒請求の出し方」には,以下の弁護士会について懲戒請求の出し方案内書等が掲載されています。
(1) 関東弁護士会連合会管内の弁護士会
・   東京弁護士会(正本1部,副本4部)
・ 第一東京弁護士会(正本1部,副本3部)
・ 第二東京弁護士会(5部)
・ 神奈川県弁護士会(6部)
・ 埼玉弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 千葉県弁護士会(部数の教示なし。)
・ 群馬弁護士会(正本1部,対象弁護士人数分)
・ 静岡県弁護士会(2部)
・ 山梨県弁護士会(部数の教示なし。)
・ 長野県弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 新潟県弁護士会(正本1部,副本2部)
(2) 近畿弁護士会連合会管内の弁護士会
・   大阪弁護士会(正本1部,副本3部)
・ 京都弁護士会(正本1部,副本4部)
・ 兵庫県弁護士会(正本1部)
・ 奈良弁護士会(部数の表示なし。)
・ 滋賀弁護士会(正本1部,副本2部)
(3) 中部弁護士会連合会管内の弁護士会
・   愛知県弁護士会(正本1部,副本4部)
・ 三重弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 岐阜県弁護士会(正本1部,対象弁護士人数分)
・ 福井弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 金沢弁護士会(正本1部,副本1部)
(4) 中国弁護士会連合会管内の弁護士会
・   広島弁護士会(1部)
・ 山口県弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 岡山弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 鳥取県弁護士会(案内書なし。)
(5) 九州弁護士会連合会管内の弁護士会
・   佐賀県弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 大分県弁護士会(1部)
・ 熊本県弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 鹿児島県弁護士会(3部)
・ 宮崎県弁護士会(正本1部,写し5部)
・ 沖縄弁護士会(部数の教示なし。)
(6) 東北弁護士会連合会管内の弁護士会
・   仙台弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 福島県弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 山形県弁護士会(正本1部,副本1部)
・ 秋田弁護士会(1部)
・ 青森県弁護士会(正本1部,副本1部)
(7) 北海道弁護士会連合会管内の弁護士会
・   札幌弁護士会(1部)
・ 函館弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 旭川弁護士会(正副2部)
・ 釧路弁護士会(正本1部,副本1部)
(8) 四国弁護士会連合会管内の弁護士会
・   香川県弁護士会(正本1部,副本2部)
・ 徳島弁護士会(2部)

2 第一東京弁護士会の「懲戒請求について(留意事項)」には以下の記載があります(弁護士自治を考える会ブログの「各弁護士会の「懲戒請求の出し方」案内書・マニュアル書募集します。」参照)。
   懲戒請求書及び証拠資料の提出部数以外は,他の弁護士会でも大体,同じであると思います。
(1) 調査開始
   弁護士会は,所属の弁護士又は弁護士法人に対して,事由の説明を添えて懲戒の請求があったときは,綱紀委員会にその懲戒請求事案につき,懲戒委員会の審査に付するか否かについての調査を求めます。(弁護士法58条2項)
(2) 懲戒手続とは
   懲戒手続は,裁判とは異なり,弁護士会が弁護士を懲戒するかどうかを調査及び審査する手続です。あなたとの間の争いを解決したり,あなたや関係者に対する金銭の支払い,資料の返却等を弁護士に命じることを目的とするものではありません。
   また,この手続によって弁護士の懲戒処分がなされても,請求者の被害の回復は果たせません。
(3) 調査期間について
   綱紀委員会の結論が出るまでには,事案によっては半年以上かかることもあります。
   また,懲戒委員会に審査が進んだ場合には,更にその結論を待つ必要がありますので,その点をご留意ください。
(4) 調査結果の通知について
   綱紀委員会,懲戒委員会の結論は,書面(議決書)で通知します。電話等でのお問い合わせにはお答えすることができませんので,ご了承ください。
(5) 異議の申出
   綱紀委員会が出した結論に不服があるときは,日本弁護士連合会に異議を申し出ることができます。(弁護士法64条1項)
   また,異議の申出の結論について不服があるときは,日本弁護士連合会に,綱紀審査会による,綱紀審査を行うことを申し出ることができます。(弁護士法64条の3)
(6) 懲戒請求を取り下げたときの扱いについて
   懲戒の請求をした時には,後に弁護士との間で示談が成立するなどして請求を取り下げても,弁護士会は手続を続行して結論を出すことになります。
   但し,懲戒請求の取り下げをした方には,議決書の送付はいたしません。
(7) 除斥期間について
   弁護士法の規定により,懲戒の事由があったときから3年を経過したときは,懲戒の手続を開始することが出来ません。(弁護士法63条)
   懲戒の請求をする人が”懲戒の事由を知ったとき”からではありませんので,十分ご注意ください。
   なお,除斥期間につきましては,綱紀委員会で判断します。
(8) 答弁書等資料の取扱いについて
   提出された資料は返却しておりませんので,資料をご提出の際には,原本ではなく,コピーをご提出くださいますようお願いします。
   また,提出された資料は,原則として懲戒請求者・対象弁護士双方に閲覧及び謄写を認めておりませんので,予めご了解願います。
   なお,対象弁護士からの答弁書については,懲戒請求者から要請があった場合に綱紀委員会に諮ったうえ,懲戒請求者にご送付する取り扱いとしておりますので,答弁書をご希望の方は,その旨を綱紀委員会に書面でご連絡願います。

第14 弁護士の懲戒制度の問題点に関する弁護士の声

ライフアンドマガジン株式会社が発行しているFIVE STAR MAGAZINE「アディーレ業務停止2ヶ月の衝撃 大規模法人への業務停止で一体,何が起こったか!?」(平成29年11月23日発行)5頁には,弁護士の懲戒制度の問題点に関する弁護士の声として,例えば,以下の声が載っています。
1 非行に関しては、処分が必要であるが、それぞれのケースに適切な処分が、設定されてない。
   今回の場合、新規の勧誘、営業活動について一定期間の停止処分にすればよいことである。
   業務停止のためクライアントとの委任契約を解除しなければならないというのは、当該弁護士法人へのペナルティーのみならず、何の落ち度のないクライアントへのペナルティーになっている。
2 古い体質の弁護士が懲戒の決定権を持っているため、新しいことを始めようとしてもギルド体質的な意趣返しが懲戒制度によって行われるのではないかという萎縮効果を生んでいる。
3 身内が身内を処分するということが問題である。
   また、弁護士法人への業務停止は影響が大きすぎるので、制度設計を見直すべき。
4 戒告の上の処分がいきなり業務停止であること。
   弁護士法人の場合、個人事務所の寄り合い事務所と異なり、事務所全体が業務停止になるので硬直的にすぎる。「品位」という極めてあいまいな要件が基準となっており、弁護士会の意思によっていかようにも判断ができる。
   刑事事件と異なりまったく手続き保証がなされていない(黙秘権が事実上存在しない。訴因の特定がない。争点整理がなされない。立証責任が事実上弁護士側にある)。
   弁護士会内での人的関係が処分の軽重に影響している。政策的な懲戒処分がなされている。
   証拠不十分で不起訴となった弁護士が退会命令となり、ごく軽微な違反で業務停止1 カ月となった弁護士のケース。
   とにかく目立つ弁護士に厳しい判断がなされている。
5 恣意的な判断が見受けられ、予測可能性がたちにくいのと、戒告と業務停止の影響に差がありすぎるのでその中間の処分を作るべき。
6 運用も対象にあがる懲戒案件自体が公平であるとは思えないことと確たる基準があるわけではなく、そのときの委員の意見で決まっているようにみえる。
7 柔軟性のある処分を創設すべき。
8 濫用的申立てを前提としていないため、不当な懲戒請求であっても弁護士(法人)の手続き負担が重い。
9 懲戒処分の端緒を広く求める意味では、懲戒請求権者に限定がないことは意味があるが、単位会で懲戒不相当とされた場合の日弁連への不服申立てを懲戒請求権者にも認めるのは行き過ぎである。
10 業務停止処分は、原則として、一定期間の新規受任の停止などにとどめるべき。
   また、不服申立てによる処分の効力停止を認めるべき。
   そうでないと、今回のように依頼者に対する不利益が大きく、大規模法人事務所の経営リスクも過大となる。
11 弁護士の品位を害したことが懲戒事由とされており、分かりにくい。
   また、同業者が同業者を処分するという点でも問題。
   さらに、不服申立てをしている間も処分の効果が生じる点も問題。
   懲戒請求は近時、濫用的(相手方の報復目的など)に使用されることがあり、請求権の行使を限定すべき。
12 戒告と業務停止の中間が存在しない。(たとえば、改善命令→改善されない場合に重い処分など)。
   日弁連や裁判所で争う前に(単位会の処分で)業務停止の効力が生じる、など。
13 一部のクローズドな集団の判断で経営が止まる可能性がある点。
14 法治ではなく、弁護士会の人治な処分と感じるから。
15 お客様を見てない誰でも懲戒請求できるので、濫用されている点。犯罪に相当する行為が戒告となる一方、そうではない行為が業務停止になっており、量定が恣意的。
16 法制度悪用といった件については不当に軽く、更生が見込まれる件に重い場合が散見
17 俗に言う「村社会」の論理があって、一般的には身内に甘いが、アディーレやホームロイヤーズなど、新興勢力には、極端に厳しい。
18 懲戒制度でなく、弁護士会自体が特定の弁護士が特定の倫理観を振りかざして構成されているので問題がある。柔軟性や多様性に欠ける側面がある。
19 判断が場当たり的なところがある。
(本件とは直接関連しないが)不倫騒動等、業務に関連のない理由についても無数に請求対象として受け付け得る建て付けであり、必ずしも運用側の判断能力・事務能力の及ばない領域までが対象となっている点。
20 印象ですが、目立つ事務所が叩かれるイメージで、公平性に疑問がある。
1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。