検察修習

第1 各地の検察庁情報

1 「検察庁の職員の配置定員について」(平成28年4月1日付の法務省大臣官房人事課長の依命通達)を読めば,実務修習地における地方検察庁において,検事及び副検事を含む職員の配置定員が分かります。

   例えば,東京地検の場合,検事の定員が595人であり,副検事の定員が183人であり,合計778人ですし,大阪地検の場合,検事の定員が188人であり,副検事の定員が42人であり,合計230人です。

 

2(1)   検察庁事務章程(昭和60年4月6日法務省訓令第1号)の別表第1を読めば,それぞれの地方検察庁にどのような部が置かれているかが分かりますし,別表第2を読めば,それぞれの部の所管事務が分かりますし,別表第3を読めば,それぞれの部にどのような課及び室が置かれているかが分かりますし,別表第6を読めばそれぞれの課及び室の所管事務が分かります。

(2) 検察庁事務章程は,検察庁の組織を定めるものとしては,検察庁法に次ぐ存在と思われます。

 

3(1) 検察庁において司法修習生に関する事務を担当する部署は,①東京地検の場合,総務部司法修習課であり,②大阪地検の場合,総務部教養課であり,③大阪地検を除く部制庁の11地検の場合,総務部企画調査課であり,④非部制庁の37地検の場合,企画調査課です。
(2) 東京地検総務部司法修習課は,東京地検九段庁舎(〒102-0074 東京都千代田区九段南1-1-10 九段合同庁舎内)にあります(東京地検HPの「東京地方検察庁九段庁舎(総務部司法修習課,交通部,特別捜査部)参照」)。 

 

4   部が設置されている部制庁の場合,検事正(検察庁法9条),次席検事(検察庁事務章程2条)及び部長(検察庁事務章程6条)という序列になります。

   部が設置されていない非部制庁の場合,検事正,次席検事及び三席検事(検察庁事務章程4条3項参照)という序列になります。

 

5(1) 部制庁の場合,総務部の検事が指導係検事となります。

(2) 係検事(検察庁事務章程7条参照)の種類としては,指導係検事,財政経済係検事,少年係検事,外事係検事,麻薬係検事,風紀係検事,公安労働係検事,暴力係検事,環境係検事及び本部係検事があります(平成27年4月1日施行の係検事に関する規程参照)(なお,平成27年3月31日までは係検事に関する規程でした。)。

第2の1 69期検察修習の日程

69期検察修習の日程として以下のものを掲載しています。
検察修習がどこであるかを問わず,各クールの検察修習開始3日目に全国一斉起案があったみたいです。

1 東京地検における検察修習の日程

2 東京地検立川支部における検察修習の日程

3 横浜地検における検察修習の日程

4 さいたま地検における検察修習の日程

5 千葉地検における検察修習の日程

6 大阪地検における検察修習の日程

7 京都地検における検察修習の日程

8 神戸地検における検察修習の日程

9 名古屋地検における検察修習の日程

10 広島地検における検察修習の日程

11 福岡地検における検察修習の日程

第2の2 神戸地検における69期検察修習の日程

1 第69期検察実務修習(分野別)日程表を掲載しています。
   検察修習の日程が早い順に,3班→4班→1班→2班の順番になっています。
 
2(1) 平成28年1月4日に開始した第69期第3班(第1クール)の検察実務修習の日程は以下のとおりです。
1月5日(火)
10時30分~10時55分:実務修習開始式(裁判所)
11時15分~12時:書類作成,事務連絡
12時~13時:昼食会
13時30分~13時45分:検察実務修習開講式
13時45分~:事件記録検討・面談
16時~17時:総務部長講義
1月6日(水)
10時~11時:刑事部長講義
11時~:事件記録検討・面談
13時15分~14時15分:公判部長講義
14時30分~:講評
1月7日(木)
全国一斉検察起案
1月8日(金)
模擬弁解録取手続
16時30分~:記録倉庫見学
1月12日(火)
午前:事件配点,事件処理方法の説明
午後:捜査・公判
16時半~:証拠品倉庫見学
1月13日(水)
午前:捜査・公判
13時15分~14時15分:交通部長講義
14時30分~:過失講義
1月14日(木)
10時~12時:次席検事講話
13時15分~14時15分:特別刑事部長講義
15時30分~:県警本部留置施設見学,通信司令室見学
1月18日(月)
捜査・公判
1月19日(火)
11時~12時:検事正講話 
午後:捜査・公判
1月20日(水)
捜査・公判
1月21日(木)
午前:捜査・公判
13時30分~16時:加古川刑務所見学
(中略)
2月3日(水)
午前:捜査・公判
午後:全国一斉起案講評
(中略)
2月25日(木)
10時15分~10時30分:検察実務修習閉講式
午後:実務修習結果簿提出,清掃等
(2) 第4班(第2クール) ,第1班(第3クール)及び第2班(第4クール)の日程は,実務修習開始式(裁判所)がないことを除き,第3班(第1クール)とほぼ同じです。
(3) 神戸地検の検察修習の場合,神戸拘置所の見学は実施されていないみたいです。
(4) 全国検察一斉起案については,外部ブログの「修習までの流儀」で言及されています。
 
3 神戸地検5階大会議室で開催された第67期司法修習生第2班の検察実務修習開講式に関する文書を掲載しています。

第3 各地の検察庁の執務規程

○各地の検察庁の課及び室に置かれている係の所管事務については,それぞれの検察庁の執務規程を読めば分かりますから,検察修習をしているときに指導係検事にお願いしてコピーをもらえばいいと思われます。
○平成28年11月時点の各地の検察庁の執務規程として,以下のものを掲載しています。

1 東京地検執務規程

2 横浜地検執務規程

3 さいたま地検執務規程

4 千葉地検執務規程

5 大阪地検執務規程

6 京都地検執務規程

7 神戸地検執務規程

8 名古屋地検執務規程

9 広島地検執務規程

10 福岡地検執務規程

第4の1 刑事関係報告規程,犯罪被害者保護,検察官調書作成要領等

1(1) 「加害者の不起訴処分を争う検察審査会」に掲載されている刑事関係報告規程(法務大臣訓令)「別冊第1 事件報告」の事件報告一覧表を読めば,どのような事件が三長官報告(刑事関係報告規程に基づく法務大臣,検事総長及び高検検事長に対する報告)の対象となっているかが分かります。
   例えば,①都道府県知事,裁判官,検察官その他の検察庁職員及び公安委員会委員の犯罪の場合,受理,処分,裁判結果,上訴及び裁判確定が三長官報告の対象となり,②弁護士,裁判所の職員,司法警察職員,国税庁監察官及び法務省の職員の犯罪の場合,特異又は重大なものに限り, 受理,処分,裁判結果,上訴及び裁判確定が三長官報告の対象となります。
(2) 「高等検察庁に対する不服申立て」に掲載されている大阪高検の不服申立処理要領を読めば,事件事務規程(法務大臣訓令)191条に基づく,高等検察庁に対する不服申立ての詳細が分かります。


2   犯罪被害者等の権利利益の尊重に関する最高検察庁「次長」検事通達及び犯罪被害者等の権利利益の尊重に関する最高検察庁「部長」検事通達を読めば,検察庁の被害者対応が分かります。

3 検察官調書作成要領を読めば,検察官面前調書の末尾に記載する文言が分かります。 

4 被害者等通知制度実施要領を読めば,法務省HPには掲載されていない運用通知が分かります。

5(1) 「交通事故事件の刑事記録」を読めば,交通事故事件に関して,警察庁交通局長・刑事局長通達で定められている送致書,実況見分調書,交通事故現場見取図,被疑者供述調書,被害者供述調書,参考人供述調書等の書式が分かります。
(2) 「交通事故事件の刑事記録の入手方法」を読めば,弁護士がどのような方法で,交通事故事件の刑事記録(例えば,実況見分調書)を入手しているかが分かります。

6 検察事務については,①捜査・公判部門及び②検務事務部門(事件,令状,証拠品,執行,徴収,犯歴,記録)がありますところ,この点については,宮崎地検HPの「業務内容」の説明がわかりやすいです。

7 法務省刑事局の「取調べの可視化に関する省内勉強会の取りまとめ結果等の公表について」(平成23年8月8日付)に掲載されている「取調べに関する国内調査結果報告書」(平成23年8月作成)を読めば,被疑者取調べの時間,任意性等の争いに関する実情,検察における取調べの録音・録画,取調べの適正確保方策の運用状況等が分かります。
 

8(1) 前田恒彦元検事の「検事の転勤って,どんなもの?」によれば,全国の検察庁では,毎年1月中旬に4月の定期異動に向けた「意向打診」が一斉に行われているみたいです。 
(2) 裁判官の転勤については,「裁判官の人事異動一般」を参照して下さい。 

第4の2 冤罪事件における捜査・公判活動の問題点

法務省HPにある,冤罪事件に関する捜査・公判活動の問題点は以下の通りです。

① 平成19年8月付の「いわゆる氷見事件及び志布志事件における捜査・公判活動の問題点について」

② 平成22年4月付の「いわゆる足利事件における捜査・公判活動の問題点等について(概要)」

③ 平成22年12月付の
「いわゆる厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等について(公表版)」
→ 検察庁内部において,逮捕の判断,起訴の判断,捜査・処理における取調べ・決裁,公判遂行中の対応が具体的にどのようになされているかが非常によく分かります。

第5の1 検察修習等のポイント,実務修習結果簿,検察修習の体験談に関する外部HP等

1 togetterの「66期修習生に送る「修習のポイント」」に,検察修習等のポイントが色々と書いてあります。
 
2(1) 69期実務修習結果簿を掲載しています。
(2)   実務修習結果簿は,各配属庁会の修習終了時に,修習生各自で指導担当官(者)に提出して検印をもらい,回収します。
   そして,司法研修所における集合修習開始日に回収されます。

3 検察修習の体験談に関する外部HP等は以下のとおりです。
①   「司法修習の風景~実務修習・検察」
→ 54期検察修習(実務修習地は大阪)の体験談が書いてあります。
②   「おまえら,日本一忙しい検察修習にしてやるからな」で始まるブログ
→ 56期検察修習(実務修習地は高松)の体験談が詳しく書いてあります。
③   「実務修習日記 検察修習終了」
→ 57期検察修習(実務修習地は松山)の体験談が詳しく書いてあります。
④   「検察修習感想文」
→ 現行60期検察修習(実務修習地は富山)の体験談が書いてあります。 
⑤   「書ききれねえよ。」
→ 新60期検察修習(実務修習地は静岡)の体験談,特に検察官志望から弁護士志望に変わった経緯が書いてあります。 
⑥   「検察修習はこんな感じです。」
→ 新64期検察修習(実務修習地は広島)の体験談が書いてあります。

4 検察官の採用ルートに関する公式の説明が,検察庁HPの「検察官・検察事務官の資格,採用について」に載っています。

第5の2 検事に採用されるポイント

○外部HPの「検事に採用されるポイント2008.9の記事改訂」(作成者は元検事)によれば,検事に採用されるポイントは以下のとおりだそうです。
   ①ないし⑫のナンバリングを除き,リンク先からの引用です。
 
1 司法試験と司法研修所の成績が良いこと

2 検察官に向いていそうなこと

3 その他の素養
①修習中,自己紹介のときなどは,検事志望であることをアピールする(アピール下手が多い)。
②検察教官,指導検事,指導検事の上司(地方なら次席,大都市は部長)に名前・顔を覚えてもらう。
③お世辞等小手先だましはしない(すぐ見抜かれる)。
④自分の素養が本当に検察向きなのかを,オープンに評価してもらう(本当は向いてないなら他の道がよい)。
⑤実務修習地の検察庁の人(特に事務官)と仲良くする(事務官はよく見ている)。
⑥謙虚な姿勢。
⑦のびしろの大きさ(任検してから育てる組織体質である)。
⑧礼儀。例えば,検察主催の懇親会があったときは,翌日,検事正・次席にお礼に行くか,お礼状を書く。
⑨積極的に検察修習はもちろん他の修習にも取り組む。
⑩自分の大学・法科大学院の検察出身教官にアピールして知己の現役検事を紹介してもらう(必要な素養を知る機会)。
⑪一生涯検事をやり抜く覚悟(途中で辞める前提は絶対無理)。
⑫多数に埋もれない自分ならではの長所がある(人材の多様性を好む組織体質である)。

第5の3 導入修習期間中の検察ガイダンスにおける説明内容

1 外部ブログの「導入修習6日目」によれば,69期導入修習期間中の検察ガイダンスにおいて以下の説明があったみたいです。
・採用数は大体毎年70名程度
・検察修習での成績を最重要視する
・次に検察起案、刑裁起案、民裁起案の順で考慮する。
・各地各クールの検察修習1位と大規模庁の優秀者だけでも250人近くいるので、結局、決め手になるのは加点要素。
・司法試験の受験回数や順位も加点要素。
・年齢は、おおむね30歳を超えていれば減点要素。
・7月中旬までに、検察教官に対し志願表明をする。これを受けて、教官会議で被推薦者を決定する。
・全クラスの志願者データを持ち寄って検討するので、クラス割当枠はない。女性枠もない。
・被推薦者は、事実上の内定。その後一応、12月上旬に法務省で面接を受ける。
・どれほど優秀であっても、アピールしない者に対して声をかけるようなことは無い。

平成28年度(行情) 答申第755号(平成29年2月27日)によれば,検察ガイダンス関する法務省の説明内容は以下のとおりです。
① 法務省としては,分野別実務修習のほか,選択型実務修習における「法務行政修習」に関与しているだけであって,導入修習期間中における「検察ガイダンス」なるものには関与していない。
② 一般に,司法修習生からの検事への採用に当たっては,法務省において,採用願いを提出した検事志望の司法修習生に対して面接選考を行い,その採否を決しているところ,審査請求人が述べる「推薦」行為(注:検察官志望の司法修習生に対する検察教官室の推薦のことです。)は行われておらず,法務省として「推薦」なるものに関与していない。

第6 元検事による弁護活動の実例

1 元検事の弁護士が被疑者弁護をする場合,逮捕状が出ていることが事前に分かったり,相談を受けている被疑事件に関して弁護人選任届を出す前に神戸地検特別刑事部長に電話をして捜査情報を聞いたりできる反面,弁護士2人の着手金として1000万円かかることがあるみたいです(外部ブログの「私の相続事件④ 私の最大の不幸は弁護士を選ぶ判断を誤ったことだ」参照)。

   しかし,普通の弁護士が被疑者弁護をする場合,逮捕状が出ていることを事前に知ることはできませんし,弁護人選任届を出した後に電話で話ができるのはせいぜい担当検察官だけですし,初回の打合せ直後に1000万円もの着手金を請求したりすることはできません。

2 札幌地検検事正や最高検察庁総務部長検事を経験した弁護士が被疑者弁護をする場合,被疑者の妻を帯同して担当検察官やその上司である検察官,更に検事総長や検察幹部と面会できることがあるみたいです(
2015年7月8日付の戒告処分参照)。
   しかし,普通の弁護士が被疑者弁護で面会できるのはせいぜい担当検察官だけです。

3 弁護士職務基本規程77条は,「弁護士は、その職務を行うに当たり、裁判官、検察官その他裁判手続に関わる公職にある者との縁故その他の私的関係があることを不当に利用してはならない。」と定めています。

第7の1 検察の理念(公式)

○検察庁HPに掲載されている,平成23年9月30日制定の「検察の理念」を掲載しています。
 
   この規程は,検察の職員が,いかなる状況においても,目指すべき方向を見失うことなく,使命感を持って職務に当たるとともに,検察の活動全般が適正に行われ,国民の信頼という基盤に支えられ続けることができるよう,検察の精神及び基本姿勢を示すものである。
   検察は,公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ,事案の真相を明らかにし,刑罰法令を適正かつ迅速に適用実現するため,重大な役割を担っている。我々は,その重責を深く自覚し,常に公正誠実に,熱意を持って職務に取り組まなければならない。
   刑罰権の適正な行使を実現するためには,事案の真相解明が不可欠であるが,これには様々な困難が伴う。その困難に直面して,安易に妥協したり屈したりすることのないよう,あくまで真実を希求し,知力を尽くして真相解明に当たらなければならない。
   あたかも常に有罪そのものを目的とし,より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない。我々が目指すのは,事案の真相に見合った,国民の良識にかなう,相応の処分,相応の科刑の実現である。
   そのような処分,科刑を実現するためには,各々の判断が歪むことのないよう,公正な立場を堅持すべきである。権限の行使に際し,いかなる誘引や圧力にも左右されないよう,どのような時にも,厳正公平,不偏不党を旨とすべきである。また,自己の名誉や評価を目的として行動することを潔しとせず,時としてこれが傷つくことをもおそれない胆力が必要である。
   同時に,権限行使の在り方が,独善に陥ることなく,真に国民の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する,謙虚な姿勢を保つべきである。
   検察に求められる役割を果たし続けるには,過去の成果や蓄積のみに依拠して満足していてはならない。より強い検察活動の基盤を作り,より優れた刑事司法を実現することを目指して,不断の工夫を重ねるとともに,刑事司法の外,広く社会に目を向け,優れた知見を探求し,様々な分野の新しい成果を積極的に吸収する姿勢が求められる。
   
   これらの姿勢を保ち,使命感を持って各々の職務に取り組むことを誇りとし,刑事司法の一翼を担う者として国民の負託に応えていく。

1 国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を自覚し,法令を遵守し,厳正公平,不偏不党を旨として,公正誠実に職務を行う。

2 基本的人権を尊重し,刑事手続の適正を確保するとともに,刑事手続における裁判官及び弁護人の担う役割を十分理解しつつ,自らの職責を果たす。

3 無実の者を罰し,あるいは,真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう,知力を尽くして,事案の真相解明に取り組む。

4 被疑者・被告人等の主張に耳を傾け,積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め,冷静かつ多角的にその評価を行う。

5 取調べにおいては,供述の任意性の確保その他必要な配慮をして,真実の供述が得られるよう努める。

6 犯罪被害者等の声に耳を傾け,その正当な権利利益を尊重する。

7 関係者の名誉を不当に害し,あるいは,捜査・公判の遂行に支障を及ぼすことのないよう,証拠・情報を適正に管理するとともに,秘密を厳格に保持する。

8 警察その他の捜査機関のほか,矯正,保護その他の関係機関とも連携し,犯罪の防止や罪を犯した者の更生等の刑事政策の目的に寄与する。

9 法律的な知識,技能の修得とその一層の向上に努めるとともに,多様な事象とその変化にも対応し得る幅広い知識や教養を身につけるよう研鑽を積む。

10 常に内省しつつ経験から学び行動するとともに,自由闊達な議論と相互支援を可能とする活力ある組織風土を構築する。

第7の2 検察の理念(非公式)

「蟷螂の斧となろうとも」と題するブログを運営している冤罪被害者の方が作成した「新・検察の理念」は,以下のとおりです。
 
   この規程は、検察の職員が、いかなる状況においても、目指すべき方向を見失うことなく、使命感を持って職務に当たるとともに、検察の活動全般を独善的に行い、国民の盲信という基盤に支えられ続けることができるよう、検察の精神及び基本姿勢を示すものである。
   検察は、自らの信ずる社会正義実現のため、公共の福祉の維持や個人の基本的人権の保障を犠牲にしても、事案の真相の追求を二の次として、刑罰を科すことを恣意的に適用実現するため、重大な役割を担っている。我々は、その重責を深く自覚し、常に自らに誠実に、熱意を持って職務に取り組まなければならない。
   刑罰権の恣意的な行使を実現することには、事案の真相解明は必ずしも必要ではなく、我々に与えられた強大な権限をもってすれば、それは容易なことかもしれない。しかし、その容易さに慢心することなく、あくまで真実を希求するかのごとき態度を装いながら、検察の威信を維持すべく知力を尽くして事案解決に当たらなければならない。
   常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体が成果である。我々が目指すのは、我々の筋立てに見合った、我々の良識にかなう、相応の処分、相応の科刑の実現である。
   そのような処分、科刑を実現するためには、検察官各々の判断が検察組織全体の判断とそぐわぬことがないよう、「検察官一体の原則」の立場を堅持すべきである。権限の行使に際し、いかなる真実の誘因や圧力にも左右されないよう、どのような時にも、厳正不公平、検察至上主義を旨とすべきである。また自己の名誉や評価を目的として行動することを是として、いかなる場合でもこれが傷つけられないよう自己防衛しなければならない。
   同時に、権限行使の在り方が、独善的であることは問題ではなく、真に検察組織の利益にかなうものとなっているかを常に内省しつつ行動する、毅然とした姿勢を保つべきである。
   我々が求める役割を果たし続けるには、過去の成果や蓄積のみに依拠して満足していればよい。しかし、より強い検察活動の基盤を作り、より独善的な「検察司法」を実現することを目指して、不断の工夫を重ね、刑事司法の外、広く社会に目を向け様々な分野の新しい成果を吸収しようなどとしない脇目を振ることのない真摯な姿勢が求められる。
 
   これらの姿勢を保ち、使命感を持って各々の職務に取り組むことを誇りとし、刑事司法の全権を担う者として自らの正義を実現していく。

1 検察組織の擁護者として検察の利益のために勤務すべき責務を自覚し、法令を牽強付会の解釈をもって遵守し、厳正不公平、検察至上主義を旨として、不公正不誠実に職務を行う。

2 基本的人権を損なおうとも、あるべき大義を尊重し、刑事手続の適正を確保するとともに、裁判官及び弁護人の担う役割は、それを阻むものであることを十分理解しつつ、自らの職責を果たす。

3 罪は必ず罰せられなければならない必罰主義を旨として、一人の無辜の者を罰することになろうとも十人の犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の解決に取り組む。

4 被疑者・被告人等の主張に耳を傾けることなく、有罪方向に積極である十分な証拠の収集・把握に努め、筋立て以外の可能性を全て排除すべく評価を行う。

5 取調べにおいては、供述の任意性が問われることないようその他必要な配慮をして、我々の筋立てに沿う供述が得られるよう努める。

6 犯罪被害者等の声に耳を傾けることなく、その権利利益を忖度していては我々の信ずるところの社会正義という大義を果たせないことを理解する。

7 捜査・公判の遂行のためには、関係者の名誉を害すことになろうとも、証拠・情報の積極的な利用は不可欠であり、報道機関を最大限利用し、彼らと秘密を一部共有することで事案の効率的・効果的な解決を図る。

8 警察その他の捜査機関のほか、矯正、保護その他の関係機関とも連携し、結果的に犯罪の創製となろうともそれを厭わず、我々を正義の遂行者と位置付ける刑事政策の目的に寄与する。

9 法律的な知識、訴訟技術の修得とその一層の向上に努めるとともに、多様な事象とその変化の中でも検察組織の威厳を維持しうる知識や技能を身につけるよう研鑽を積む。

10 刑事司法は検察司法であるという自負の下、上意下達をもって強固な検察組織を維持することを可能とする唯我独尊の組織風土を構築する。

第8 日弁連の,検察基本理念に関する会長声明

○日弁連が平成23年9月30日に発表した,「検察基本理念に関する会長声明」は以下のとおりです。
   弁護士から見た,検察の理念の問題点が分かります。
 
本日、最高検察庁は、「検察の理念」と題する検察基本規程を公表した。検察基本規程の制定は、本年3月31日に公表された検察の在り方検討会議提言「検察の再生に向けて」(以下「提言」という。)の中で、「検察官が職務の遂行に当たって従うべき基本規程を明文化した上で公表し、検察官の使命・役割を検察内外に明確にするべきである。」「その規程は、この提言において具体的に指摘する事項等の趣旨を踏まえ、外部の声を聞きつつ、多くの検察官が参加する議論・検討を経て制定するべきである。」との提起がなされたことを受けたものである。


検察基本規程の「あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない。」「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の真相解明に取り組む。」との記載は、提言の「検察官は、被疑者・被告人の権利保障と証拠に基づく事案の真相解明とに努めることにより、えん罪の発生を防ぎ、適切な処罰を実現しなければならない旨などを、基本規程の中核とするべき」との指摘を踏まえたものと考えられ、一定の評価をすることができる。


他方、提言が「検察官は、被告人の利益に十分配慮し、法令の定め・判例とそれらの趣旨に従い、誠実に証拠を開示するべきであること」を盛り込むことが考えられると指摘していたのに対し、今回公表された検察基本規程においては、検察官手持ち証拠を誠実に開示するべきことが明記されていない。この点は、「積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め」等の文言に読み込むことができるとしても、明確に記述されていない点は遺憾である。


また、過去の冤罪の多くは、「事案の真相解明」や「真犯人を逃さない」ことを名目として、被疑者・被告人の防御権が侵害された結果、作られてきた。このような歴史の教訓を踏まえると、今回公表された検察基本規程は、防御権を尊重すべきことへの留意が不十分である。検察は、被疑者・被告人の防御権を十分に尊重しなければならず、被疑者・被告人が被疑事実を否認していることや、黙秘権その他の権利を行使したことをもって、勾留・保釈や終局処分の場面で不利益な取扱いをすべきでないことが確認されるべきである。


今回公表された検察基本規程は、具体性においても不十分であるといわざるを得ない。自白を偏重することなく客観的な証拠を重視すべきこと、身体拘束が重大な人権制限であることを自覚すべきこと、供述を獲得するために身体拘束を利用すべきでないこと、違法・不当な捜査を認識したときは告発や是正措置を講ずべきこと等が、検察基本規程中に具体的に規定されるか、或いは今後作成されるとされる検察基本規程の解説の中などに明記されるべきである。


上記の点を含め、今回公表された検察基本規程は、今後改善が重ねられるべきものである。当連合会としては、検察基本規程が制定されたことを前向きに受け止めつつ、今後の運用については厳しくチェックし、えん罪を生まない刑事司法制度を作るため、今後もその改善を提案していく所存である。

2011年(平成23年)9月30日
日本弁護士連合会
会長 宇都宮 健児

第9 検察に関する分野別実務修習のガイドライン

分野別実務修習のガイドラインのうち,検察に関するものを以下のとおり貼り付けています。

1 検察の分野別実務修習における指導目標・指導方法
(1)   司法修習においては,法曹として活動を開始するに当たり必要な事実調査能力,法的分析能力,事実認定能力,書面や口頭による説得的な表現能力等を修得させることに重点をおいて指導するものとされ(司法修習生指導要綱(甲)第1章第2),検察の分野別実務修習の指導目標は,具体的事件の取扱いについて検察官の立場で修習することを通じて,法曹として必要な基本的知識や技法を修得させるとともに,検察官の使命と役割,検察官として必要な心構え及び検察の実務を理解させることとされている(同第2章第1・4⑵ア)。
(2)   検察の分野別実務修習における指導方法は,事件の捜査については,事案の真相を解明するための犯罪捜査の在り方,証拠収集及び取調べの要領を中心に指導し,事件の処理については,事案の真相の把握,見通しの体得,証拠の価値判断,事件報告の要領,起訴・不起訴処分決定の在り方等を重点として指導し,法曹として必要とされる的確な判断力を養成することを主眼とし,公判の立会については,検察官の公判立会を傍聴させるほか,立証方針の策定,提出証拠の整理,裁判所に提出する書面の作成,尋問技術など,公判立会の要領を指導すること等とされている(司法修習生指導要綱(甲)第2章第1・4⑵イ,分野別実務修習における各分野の指導準則第2・2(2)ないし(6))。
2 捜査実務修習について
(1)   司法修習生に対し,少なくとも3件の具体的な事件について,捜査実務修習を行わせるように努める。
ア 前記1の指導目標を達成するには,できるだけ多くの実際の事件に基づいて,流動的な証拠関係を前提とした捜査方針の策定,証拠収集及びその結果を踏まえた事実認定上・法律上の問題点の検討等を体験的に学ばせることが,効果的である。
   そのため,司法修習生に対し,少なくとも3件の具体的な事件について,捜査実務修習を行わせるように努める。
イ 修習生には,進行中の事件(在宅,身柄を問わない)の取扱いを可能な限り体験させるよう努めることとするが,各庁の実情に応じて,以下の(ア)又は(イ)の方法で指導することにより,具体的な事件についての捜査実務修習を行うことができる。
(ア)   同一の事件につき,複数の修習生に合同で捜査実務修習を行わせる方法
(イ)   確定事件の記録を用いる方法(例えば,手続の各段階における捜査方針の検討,事実認定上・法律上の問題点の検討,模擬取調べを実務に即して行わせるなど。)
(2)   捜査実務修習における指導の内容として,司法修習生に対し,具体的な事件について,以下の点に留意しつつ,事案の真相解明のための捜査方針(証拠収集及び取調要領)の検討,捜査(証拠収集,取調べ)の体験,終局処分の在り方(事案の真相の把握,予想される争点を見越した証拠の評価・事実認定,法令の適用,事件報告,起訴・不起訴処分の決定等)の検討等を行わせる。
ア 前記1(1)記載の指導目標に照らして,当該事件で実施するのが相当と考えられる事項について指導を行う(各事件につき全ての事項の指導を行う必要はない。)。
イ 身柄事件について捜査実務修習を行わせる場合は,被疑者の逮捕・勾留をめぐる問題点等,身柄事件に伴う捜査上の留意点についても検討等をさせるように配慮する。
ウ 修習生に,少なくとも1回は,指導係検事等の指導の下,進行中の事件の被疑者又は参考人の取調べにおいて,取調事項の全部又は一部について,自ら発問を行うことを体験させるように努める。
エ 各庁の実情に応じ可能であれば,指導係検事又はいわゆる里親検事が行う捜査に立ち合わせ,その指導を受けさせるように努める。
3 公判実務修習について
(1)   各司法修習生に対し,少なくとも1件の具体的な事件について,公判実務修習を行わせる。
ア 前記1(1)の指導目標を達成するには,実際の事件に基づいて,公判における争点に即した立証方針の策定,証拠整理・証拠開示,証人尋問の準備等の公判準備,冒頭陳述・論告等の主張検討等を体験的に学ばせることが,効果的である。
   そのため,司法修習生に対し,少なくとも1件の具体的な事件について,公判実務修習を行わせるように努める。
イ 修習生には,公判係属中の事件の取扱いを可能な限り体験させるように努めることとするが,各庁の実情に応じて,以下の(ア)又は(イ)の方法で指導することにより,具体的な事件についての公判実務修習を行うことができる。
(ア)   同一の事件につき,複数の修習生に合同で公判実務修習を行わせる方法
(イ)   確定事件の記録を用いる方法
(2)   公判実務修習における指導内容として,司法修習生に対し,具体的な事件について,証拠整理・証拠開示,裁判所提出書面(証拠等関係カード,証明予定事実記載書面,冒頭陳述,論告等)の起案,公判準備(裁判員裁判の公判リハーサル,証人テスト等)への立会い,公判前整理手続,公判手続の傍聴,控訴審査等への立会い等を行わせる。
   なお,捜査実務修習の指導の場合と同様,前記1記載の指導目標に照らして,当該事件で実施するのが相当と考えられる事項について指導を行う(各事件につき全ての事項の指導を行う必要はない。)。

第10 司法修習生による取調べ修習の合法性

0(1) この記事ブロックの記載は,「修習生って何だろう-司法試験に受かったら」(21世紀の司法修習を見つめる会)77頁ないし80頁の記載に基づいて書いています。
   なお,相島六原則とは,「取調べ修習は違法ではないか」という疑問に対し,当時の相島一之司法研修所長が昭和38年度の司法修習生指導担当者協議会で示した,司法修習生による取調べ修習を合法とするための六原則をいいます。
(2) 日弁連HPの「司法修習終了時点から見た司法修習生の実務修習について」8頁に,相島六原則の説明があります。

1 司法修習生による取調べ修習の違法説の根拠
① 取調べの主体について定めた刑事訴訟法198条1項は,「司法修習生」を主体としてあげていない。
   そのため,司法修習生による取調べは,同法197条1項ただし書が定める強制処分法定主義に違反する。
② 憲法31条の法定手続原則は,特に刑事手続においては厳格に解釈・運用されるべきである。司法修習生による取調べは法律上の明文の根拠を欠く以上,同原則違反で違憲である。
③ 取調べは被疑者に対して自己に不利益な供述まで求めるという点で,被疑者の人格の深いところまで立ち入るものであるところ,収集目的による取調べは,被疑者の人格を修習の道具として扱うものであり,人格の尊厳を趣旨とする憲法13条に違反する。

2 司法修習生による取調べ修習の合法説の根拠
① 被疑者の同意がある以上,許される。
② 将来の法曹を養成するという公益目的のためには取調べ修習は不可欠であり,それ故これを認める必要がある。
   医師のインターン制度と同じである。
③ 相島六原則を守れば,人権侵害のおそれは少ない。

3 相島六原則
① 指導検察官が,あらかじめ個々の事件ごとに事案の概要,問題点,発問要領等を説明指導すること。
② 被疑者の呼び出しは,指導検察官の責任と名において行い,修習のみを目的とする不必要な呼び出しはしないこと。
③ 指導検察官は,司法修習生の身分を説明し,被疑者の自由な意思に基づく承諾を得ること。
④ 指導検察官があらかじめ黙秘権を告知すること。
⑤ 司法修習生の被疑者に対する質問については,指導検察官が同室し,指導監督を行うこと。
⑥ 司法修習生が作成した調書はそのまま流用することなく,指導検察官があらためて取調べを行い,調書を作成すること。

4 違法説から合法説への反論
① 被疑者と検察官の力関係,司法修習生というものについての一般人の理解からして,自由かつ真摯な同意とはいえない。
   法定手続原則は同意によって放棄できるものではない。
② 公益目的であっても個人の人格を踏みにじることは許されない。
   医師のインターン制度と取調べという権力の行使を同視することはできない。
③ 相島六原則を守ることは不可能である(現実に守られたという例はほとんどない。)。
   拘束時間が長くなることは明白である。
   大部屋で一斉にやらざるを得ず,プライバシー侵害が著しい。

第11 被疑者国選対象事件,国選付添人対象事件及び裁判員裁判対象事件

1 総論
(1) 罪名別各制度対象事件早見表(平成21年5月当時のもの)
   外部HPの「罪名別各制度対象事件早見表」を見れば,被疑者国選対象事件が拡大したり,裁判員制度が導入されたりした
平成21年5月21日時点において,どの罪名の事件が,①被疑者国選対象事件(死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮),②国選付添人対象事件(死刑,無期若しくは短期2年以上の懲役・禁錮,又は故意犯の死亡結果)及び③裁判員裁判対象事件(死刑,無期の懲役・禁錮又は法定合議かつ故意犯の死亡結果)に該当するかが分かります。
(2) 少年が犯罪を犯した場合の適用される弁護制度
   少年が犯罪を犯した場合,以下の制度の対象となります(法務省HPの「現行法による国選弁護・国選付添製度の概要」参照)。
① 捜査段階
・   被疑者国選弁護制度(刑訴法37条の2)
② 家庭裁判所に事件が係属している段階
・   国選付添人制度
→ (a)検察官関与決定に伴うものにつき少年法22条の3第1項,(b)家庭裁判所の裁量によるものにつき少年法22条の3第2項,(c)被害者等の審判傍聴に伴うものにつき少年法22条の5第2項
③ 検察官送致決定後,起訴される前の段階
・   被疑者国選弁護制度(刑訴法37条の2)
④ 起訴された後の段階
・ (被告人)国選弁護制度(刑訴法36条,37条)
(3) 「弁護人」も参照してください。
 
2 被疑者国選対象事件
(1) 被疑者国選弁護制度は,日本司法支援センターが本格的に業務を開始した平成18年10月2日に開始しました。
   開始当時の被疑者国選対象事件は,死刑,無期又は短期1年を超える懲役・禁錮だけでした。
(2) 平成21年5月21日,被疑者国選対象事件が死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮となりました。
(3) 平成30年6月までに, 勾留状が発せられている身柄事件の全部が被疑者国選弁護人対象事件となります。
(4) 「被疑者の逮捕,被疑者及び被告人の勾留並びに取調べ」も参照してください。

3 国選付添人対象事件
(1) 平成13年4月1日,検察官関与決定があった場合,必ず国選付添人が付されることとなりました(少年法22条の3第1項・22条の2第1項)。

   ただし,平成13年4月1日から平成18年3月31日までにつき,検察官関与決定があった100人中,国選付添人が付されたのは25人だけです(最高裁HPの「平成12年改正少年法の運用の概況」8頁)。
(2) 平成19年11月1日,死刑,無期若しくは短期2年以上の懲役・禁錮,又は故意犯の死亡結果が,「裁量的な」国選付添人対象事件となりました(少年法22条の3第2項及び第1項・22条の2第1項)。

   ただし,その選任数は年間300人から500人程度に過ぎず(少年鑑別所に収容された少年は年間約1万人以上),被疑者国選対象事件と国選付添人対象事件の範囲が異なるため,家裁送致後,被疑者国選弁護人が引き続き国選付添人として活動できないという問題が生じていました(日弁連HPの「全面的国選付添人制度の実現(全面的国選付添人制度実現本部)参照」参照)。

(3)ア 平成26年6月18日, 死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮が,「裁量的な」国選付添人対象事件となりました(少年法22条の3第2項及び第1項・22条の2第1項)。

   これにより,被疑者国選対象事件と国選付添人対象事件の範囲が一致することとなりました。
イ  日弁連によれば,少年鑑別所に収容され身体拘束された少年の約8割について,裁量的に国選付添人が選任されることとなりました(日弁連HPの「全面的国選付添人制度の実現(全面的国選付添人制度実現本部)」参照)。
(4) 「少年事件」も参照してください。

4 裁判員裁判対象事件
(1) 裁判員裁判は平成21年5月21日に開始しました。
(2) 裁判員裁判対象事件は, 死刑,無期の懲役・禁錮又は法定合議かつ故意犯の死亡結果です(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項)。
(3) 「公判手続」も参照してください。 

第12 平成28年改正刑事訴訟法の施行時期

○刑事訴訟法等の一部を改正する法律(平成28年6月3日法律第54号)は,以下のとおり4つの時期に分かれて施行されます(外部HPの「2016年改正刑訴法成立に伴う注意点」及び「施行期日決定のお知らせ」参照)。
 
1 平成28年6月23日(付則1条2号)
(1) 裁量保釈に関する改正
ア 裁量保釈の考慮事由の明文化(刑訴法90条)
2 平成28年12月1日(付則1条3号・平成28年9月30日政令第316号)
(1) 公判前整理手続等に関する改正
ア 公判前整理手続等の請求権の付与(刑訴法316条の2第1項,316条の28第1項)
イ 証拠一覧表の開示(刑訴法316条の14第2項)
ウ 類型証拠開示の対象の拡大(刑訴法316条の15第1項9号)
(2) 弁護人選任権の教示に関する改正
ア 弁護士や弁護士会を指定した選任申出ができること及び申出先の教示の義務化(刑訴法76条,77条)
(3) 証人の特定事項の秘匿等に関する改正
ア 証人の氏名・住居の開示制限(刑訴法299条の4)
イ 証人の特定事項を公開法廷で秘匿する措置(刑訴法299条の5,299条の6)
(4) 証人の勾引に関する改正
ア 召還に応じないおそれがあるときに勾引を可能とする(刑訴法152条)
3 平成30年6月までに
(1) 被疑者国選の拡充に関する改正
ア 被疑者国選弁護人は,勾留状が発せられている被疑者すべてに付されることとする(刑訴法37条の2,37条の4)。
(2) 協議・合意制度及び刑事免責制度に関する改正
ア 協議・合意制度の新設(刑訴法350条の2ないし350条の15)
イ 刑事免責制度の新設(刑訴法157条の2)
(3) ビデオインク方式による証人尋問の拡充に関する改正
ア 一定の要件があれば,裁判所と同一構内以外の場所におけるビデオリンク方式による証人尋問を可能とした(刑訴法157条の6第2項)
4 平成31年6月までに
(1)   可視化に関する改正
ア 裁判員裁判対象事件及び検察独自捜査事件の被疑者取調の録音録画の法制化(刑訴法301条の2)

第13 少年法改正の経過

0 総論
   法務省HPの「少年法改正の経過」にあるとおり,平成12年法律第142号,平成19年法律第68号,平成20年法律第71号及び平成26年法律第23号により,少年法の改正がされてきました。

1 平成13年4月1日施行の改正少年法の内容

   最高裁HPの「平成12年改正少年法の運用の概況」及び法務省HPの「少年法等の一部を改正する法律の概要」によれば,以下のとおりです。

① 少年事件の処分等のあり方の見直し
・ 少年法における年齢区分の見直し(少年法20条1項,56条3項)
・ 凶悪重大犯罪を犯した少年に対する処分の在り方の見直し(少年法20条2項,51条2項,58条2項)
・ 保護者の責任の明確化(少年法25条の2)
・ 審判の方式(少年法22条1項)
② 事実認定手続の一層の適正化
・ 裁定合議制度(裁判所法31条の4第2項)
・ 検察官及び弁護士である付添人が関与した審理の導入(少年法22条の3第1項)
・ 抗告受理申立制度(少年法32条の4)
・ 観護措置期間の延長(少年法17条4項)
・ 保護処分終了後における救済手続の整備(少年法27条の2第2項)
③ 被害者への配慮の充実
・ 被害者等の申出による意見の聴取(少年法9条の2)
・ 被害者通知制度(少年法31条の2第1項)
・ 被害者等による記録の閲覧・謄写(少年法5条の2第1項) 


2 平成19年11月1日施行の改正少年法
① いわゆる触法少年及び虞犯少年に係る事件の調査
・ 警察官等の調査(少年法6条の2)
・ 調査における付添人(少年法6条の3)
・ 呼出し,質問,報告の要求(少年法6条の4)
・ 押収,捜索,検証,鑑定嘱託(少年法6条の5)
・ 警察官の送致等(少年法6条の6)
・ 都道府県知事又は児童相談所長の送致(少年法6条の7)
② 14歳未満の少年の少年院送致(少年法24条1項ただし書)
③ 保護観察中の者に対する措置
・ 一定の場合,決定をもって,児童自立支援施設若しくは児童養護施設又は少年院送致の保護処分とすること(少年法26条の4)
④ 裁量的な国選付添人制度
・ 死刑,無期若しくは短期2年以上の懲役・禁錮,又は故意犯の死亡結果につき,「裁量的に」国選付添人を付すること(少年法22条の3第2項)

3 平成20年12月15日施行の改正少年法の内容(ただし,一部は平成20年7月8日施行)
   法務省HPの「平成20年の少年法改正に関するポイント Q&A」によれば,以下のとおりです。
① 被害者等の少年審判の傍聴
・ 家庭裁判所は,殺人事件等一定の重大事件の被害者等から申出がある場合に,少年の年齢や心身の状態等の事情を考慮して,少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは,少年審判の傍聴を許すことができる制度を創設しました(少年法22条の4)。
② 被害者等に対する説明
・ 家庭裁判所が被害者等に対し審判の状況を説明する制度を創設しました(少年法22条の6)。

③ 被害者等による閲覧・謄写となる記録の範囲の拡大
・ 被害者等には,原則として,記録の閲覧・謄写を認めることとするとともに,閲覧・謄写の対象となる記録の範囲を拡大し,非行事実に係る部分以外の一定の記録についても,その対象となりました(少年法5条の2第1項)。

④ 被害者等の申出による意見の聴取の対象者の範囲の拡大
・ 被害者等の申出による意見の聴取の対象者を拡大し,被害者の心身に重大な故障がある場合に,被害者に代わり,被害者の配偶者,直系の親族又は兄弟姉妹が意見を述べることができることとなりました(少年法9条の2)。 
・ ④については,平成20年7月8日から施行されています。


4 平成26年6月18日施行の改正少年法
   法務省HPの「少年法の一部を改正する法律に関するQ&A参照」によれば,以下のとおりです。
① 少年審判手続に付された少年に対して,弁護士である国選付添人を付することができる事件の範囲の拡大
・ 裁量的な国選付添人対象事件が死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮となりました(少年法22条の3第2項)。
② 少年審判手続に検察官が関与することができる事件の範囲の拡大
・ 検察官関与決定の対象事件が死刑,無期又は長期3年を超える懲役・禁錮となりました(少年法22条の2第1項)。
③ 少年の刑事事件に関する処分の規定の見直し

・ 不定期刑を科すこととなる対象事件の範囲について,処断刑が「長期3年以上の有期の懲役又は禁錮」である場合から,処断刑が「有期の懲役又は禁錮」である場合に拡大しました(少年法52条1項前段)。

・ 不定期刑の長期と短期との幅について,一定の制限を設けられました(少年法52条1項前段)。
・ 不定期刑の長期と短期の上限について,改正前の少年法では長期は10年,短期は5年とされていたのを,長期は15年,短期は10年に引き上げられました(少年法52条1項後段)。
・ 不定期刑の短期について,一定の場合には処断刑の下限を下回る期間を定めることができるようにされました(少年法52条2項)。

第14 施設別収容定員・現員(刑事施設,少年院及び少年鑑別所)

○法務省が作成した,施設別収容定員・現員(刑事施設,少年院及び少年鑑別所)を掲載しています。
① 平成28年12月末現在速報値
→ 刑事施設の収容率は62.6%,少年院の収容率は43.6%,少年鑑別所の収容率は18.1%です。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。