司法修習生の修習資金貸与制

第1の1 修習資金貸与申請の時期

1(1) 裁判所HPの「貸与申請から返還完了までの流れ」によれば,修習地通知は10月中旬となっていますから,修習資金を12月から交付してもらうためには,実務修習地(=司法修習の場所)が決まる前に,司法研修所事務局総務課人事係に対して貸与申請をしなければなりません(70期の場合,平成28年10月3日が締切でした。)。
  そのため,最高裁判所の定める撤回書を提出することにより,いつでも将来に向かって貸与申請の撤回(司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則5条,修習資金貸与要綱12条,70期の「修習資金貸与申請撤回書」参照)ができるわけですから,とりあえず貸与申請を出しておいた方がいいと思われます。
(2) 司法修習開始前の日程については「司法修習開始前の日程」を,司法修習開始後の日程については「司法修習の日程」を参照してください。

2 司法修習生の給費制が廃止された経緯,日弁連が導入を求めている修習手当等については,「司法修習生の給費制及び修習手当」を参照してください。

3 71期から支給される修習給付金については,「司法修習生の修習給付金及び修習専念資金」を参照してください。 

司法修習生バッチです。

第1の2 司法研修所事務局総務課人事係の事務分掌

   司法研修所事務局総務課人事係の事務分掌は以下のとおりです。
① 職員の人事に関する事項
② 給与簿に関する事項
③ 諸手当の認定に関する事項
④ 厚生,保健及びレクリエーションに関する事項
⑤ 証明書の発行に関する事項
⑥ 修習資金の貸与申請に関する事項

第2 修習資金の貸与申請状況

   平成28年7月8日の第4回法曹養成制度改革連絡協議会の最高裁資料5(法務省HPに掲載)によれば,修習開始日現在における修習資金の貸与申請状況は以下のとおりです。
① 新65期2001人の場合,貸与申請者数は1688人であり,貸与申請割合は84.36%
② 66期2035人の場合,貸与申請者数は1645人であり,貸与申請割合は80.84%
③ 67期1972人の場合,貸与申請者数は1449人であり,貸与申請割合は73.48%
④ 68期1762人の場合,貸与申請者数は1181人であり,貸与申請割合は67.03%
⑤ 69期1788人の場合,貸与申請者数は1205人であり,貸与申請割合は67.39%

第3の1 修習資金の貸与月額及びその合計

1 修習資金の交付は,最大で,司法修習生に採用された年の12月から翌年12月までの合計13回です。

 

2   13ヶ月間貸与される修習資金の貸与月額は,以下のとおりです(司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則3条1項及び2項)。

① 基本額未満の貸与を希望する場合,18万円(貸与額の合計は234万円)

② 基本額の場合,23万円(貸与額の合計は299万円)

③ 配偶者,子等がある場合,25万5000円(貸与額の合計は331万5000円)

④ 家賃を支払っている場合,25万5000円(貸与額の合計は331万5000円)

→ マンスリーマンションであっても住居加算が認められることがあります。

⑤ ③及び④のいずれにも該当する場合,28万円(貸与額の合計は364万円)

第3の2 司法修習開始時点における,修習資金の貸与申請状況

   司法修習開始時点における,修習資金の貸与申請状況は以下のとおりです。

1 66期の場合(貸与申請者数の合計は1645人)
① 18万円が15人
② 23万円が1090人
③ 扶養加算による25万5000円が38人
④ 住居加算による25万5000円が422人
⑤ 28万円が44人
→ 元データとして,66期司法修習生の貸与申請関係文書を掲載しています。

2 67期の場合(貸与申請者数の合計は1449人)
① 18万円が67人
② 23万円が969人
③ 扶養加算による25万5000円が30人
④ 住居加算による25万5000円が358人
⑤ 28万円が25人
→ 元データとして,67期司法修習生の貸与申請関係文書を掲載しています。

3 68期の場合(貸与申請者数の合計は1181人)
① 18万円が66人
② 23万円が833人
③ 扶養加算による25万5000円が27人
④ 住居加算による25万5000円が229人
⑤ 28万円が26人
→ 元データとして,68期司法修習生の貸与申請関係文書を掲載しています。

4 69期の場合(貸与申請者数の合計は1205人)
① 18万円が51人
② 23万円が894人
③ 扶養加算による25万5000円が28人
④ 住居加算による25万5000円が207人
⑤ 28万円が25人
→ 元データとして,69期司法修習生の貸与申請関係文書を掲載しています。
 
5 70期の場合(貸与申請者数の合計は993人)
① 18万円が33人
② 23万円が847人
③ 扶養加算による25万5000円が27人
④ 住居加算による25万5000円が78人
⑤ 28万円が8人 
→ 元データとして,70期司法修習生の貸与申請関係文書を掲載しています。 

第3の3 裁判官の推定年収(参考)

   平成27年12月1日時点の,裁判官の推定年収は以下のとおりです(「裁判官の年収及び退職手当」参照)。
 
1 判事の年収
① 任官34年目(34期)~任官40年目(28期)(判事1号)
      約1984万円(地域手当0%)~約2325万円(地域手当18%)
② 任官29年目(39期)~任官33年目(35期)(判事2号)
      約1747万円(地域手当0%)~約2047万円(地域手当18%)
③ 任官24年目(44期)~任官28年目(38期)(判事3号)
      約1630万円(地域手当0%)~約1909万円(地域手当18%)
④ 任官19年目(49期)~任官23年目(45期)(判事4号)
      約1381万円(地域手当0%)~約1618万円(地域手当18%)
⑤ 任官16年目(53期)~任官18年目(50期)(判事5号
      約1192万円(地域手当0%)~約1397万円(地域手当18%)
⑥ 任官14年目(55期)~任官15年目(54期)(判事6号)
      約1070万円(地域手当0%)~約1253万円(地域手当18%)
⑦ 任官13年目(56期)(判事7号)
      約969万円(地域手当0%)~約1135万円(地域手当18%)
⑧ 任官11年目(57期)~任官12年目(58期)(判事8号)
      約871万円(地域手当0%)~約1020万円(地域手当18%)

2 判事補の年収
① 任官8年目(現行61期)~任官10年目(59期)(判事補1号)
      約774万円(地域手当0%)~約905万円(地域手当18%)
② 任官7年目(現行62期及び新61期)(判事補2号)
      約711万円(地域手当0%)~約832万円(地域手当18%)
③ 任官6年目(現行63期及び新62期)(判事補3号)
      約653万円(地域手当0%)~約767万円(地域手当18%)
④ 任官5年目(現行64期及び新63期)(判事補4号)
      約611万円(地域手当0%)~約717万円(地域手当18%)
⑤ 任官4年目(新64期)(判事補5号)
      約567万円(地域手当0%)~約665万円(地域手当18%)
⑥ 任官3年目(65期)(判事補6号)
      約555万円(地域手当0%)~約648万円(地域手当18%)
⑦ 任官2年目(66期)(判事補7号)
      約541万円(地域手当0%)~約629万円(地域手当18%)
⑧ 任官1年目(67期)(判事補9号)
      約508万円(地域手当0%)~約584万円(地域手当18%)

第4の1 通勤手当,旅費,健康保険の被扶養者,年金及び災害補償

1   裁判所HPの「修習資金貸与FAQ」の説明内容
① 通勤手当は支給されません。
② 修習の実施に必要不可欠な旅費は支給されます(国家公務員の旅費等に関する法律3条5項参照)。
③ 修習資金の貸与を受けた場合,健康保険の被扶養者としての認定を取り消されて,国民健康保険への加入が必要となる可能性があります。
④   修習資金の貸与を受けた場合,第3号被保険者(第2号被保険者の被扶養配偶者であり,例えば,専業主婦又は専業主夫)から第1号被保険者(例えば,学生,自営業者)への変更が必要となる可能性があります。
⑤ 司法修習生が修習中又は修習場所へ赴く途中の事故により負傷した場合,国家公務員災害補償法に基づく補償を受けることができます。
 
2 通勤手当の補足説明
    司法修習生は社会人であって,学生ではありません。
   そのため,通勤手当は支給されないものの,通学定期ではなく,通勤定期を購入する必要があります。

3 旅費の補足説明
(1) 外部ブログの「移転費2」によれば,片道航空券よりも,往復航空券及びホテル代込みのパックツアーの方が安い場合であっても,「片道の」航空券を提出しない限り,旅費を支給してもらうことができないみたいです。
(2)  平成28年10月14日付の「私事旅行について(事務連絡)」によれば,導入修習,実務修習及び集合修習に参加するための旅行日の前後に私事旅行を行おうとする場合,旅行命令権者の承認を受ける必要があります。
 
4 年金の補足説明
   第3号被保険者から第1号被保険者となるための,市区町村の年金窓口への届出については,政府広報オンラインの「知っておきたい「年金」の手続」が参考になります。
 
5 公務災害の補足説明
   国家公務員災害補償法に基づく補償を受けられる場合,健康保険の給付はありません(健康保険法55条1項)。

第4の2 健康保険の被扶養者等

1(1) 平成28年10月14日付の「司法修習生採用後の健康保険等について」には,健康保険及び国民年金に関する手続の詳細等は,健康保険に関しては各健康保険組合等,国民年金に関しては住居地を管轄する市区町村の各ホームページを参照する等して確認してくださいと書いてあります。
(2) 厚生労働省保険局保険課が日本年金機構に対して回答したと思われる疑義照会回答(厚生年金保険 適用)の20頁には,以下の記載があります。

   健康保険法第3条第7項において、被扶養者は「主としてその被保険者により生計を維持するもの」と規定されており、被扶養者の認定に当たっては、その者の収入及び被保険者との関連における生活の実態により判断されます。
   裁判所法第67条の2に規定される貸与制の修習資金については、定期的に貸与単位期間の1ヵ月ごと23万円(最低18万円)貸与されるため、修習資金の目的と貸与額からも、その貸与を受けている司法修習生がそれ以外の者の収入により生計を維持されているとは言い難く、被保険者との関連における生活の実態からも被扶養者として取り扱うことは妥当ではありません。
   このため、貸与制の修習資金を受けている者については、被扶養者として認定することはできません。

(3) 公立学校共済組合愛媛支部HPの「被扶養者の認定の手続き」には,司法修習生に貸与される修習資金は,被扶養者認定における所得に含まれると書いてあります。

   また,埼玉県市町村職員共済組合の「被扶養者認定基準及び取扱い」(平成27年7月発行)の末尾6頁(PDF7頁)には,「司法修習生に貸与される修習資金は,主として月々の生活費を援助することを目的とした資金の提供と考えられているため,恒常的な収入とする。」と書いてあります。

2(1) 資格のない健康保険証を使用して医療機関等で受診した場合,後日,保険給付費(総医療費の7から9割)分を返還しなければならなくなります(協会けんぽ大阪支部HPの「健康保険証はいつまで使用できるの?」参照)。

(2) 協会けんぽの正式名称は,全国健康保険協会です。

 

3 健康保険の被扶養者の認定及び不認定は,社会保険審査官が行う審査請求(社会保険審査官及び社会保険審査会法)の対象とはなりません(関東信越厚生局HPの「審査請求にあたっての留意事項」参照)。

4 外部ブログの「信用毀損罪」によれば,司法修習生時代の収入は0円となりますから,弁護士1年目はキャッシング機能付きカードを作りにくいみたいです。
 
5(1) 平成25年10月1日施行の改正健康保険法により,被保険者が副業として行う請負業務中に負傷した場合や,被扶養者が請負業務やインターンシップ中に負傷した場合,労災保険の給付が受けられないときは健康保険の給付が受けられるようになりました(改正後の健康保険法1条参照)(外部HPの「健康保険が改正されました。」参照)。

(2) 毎年3月下旬及び9月下旬,厚生労働省関係の主な制度変更の内容が,厚生労働省HPの「社会保障全般分野のトピックス」に掲載されています。 

第4の3 東京都弁護士国民健康保険組合の取扱い

1 東京都弁護士国民健康保険組合HPの「追加加入,資格喪失Q&A」には,以下の記載がありますから,貸与制の修習資金を受けたとしても,転居しない限り,引き続き弁護士国保に加入できると思われます。

   ただし,転居したものの,住民票を異動させなかった場合,国民健康保険法116条に該当するものとして継続して加入できるかどうかはよく分かりません。

Q8 弁護士の家族として加入している長女が司法修習生となりましたが、弁護士国保の資格はどのようになりますか。

A 引き続き同一世帯で同居されていれば継続して加入することとなります。なお、転居され、住民票を異動し、組合員と別の世帯となった場合、弁護士国保は資格喪失となり、居住地の市町村国保に加入することとなります。転出された方の住民票の除票もしくは転出先の世帯全員の住民票を添付して資格喪失の手続きをおこなってください。弁護士国保から市町村国保加入のための資格喪失証明書を発行します。  

 

2 東京都弁護士国民健康保険組合には,東京三会,神奈川県弁護士会,埼玉弁護士会,千葉弁護士会等に所属している弁護士が加入できる国民健康保険組合です(東京都弁護士国民健康保険組合HPの「加入資格・手続について」参照)。

   また,弁護士国民健康保険組合は現在,東京都弁護士国民健康保険組合しかありません。

第5 修習資金貸与金の,税務上の取扱い

   平成25年3月15日の衆議院法務委員会における以下の質問及び答弁にあるとおり,修習資金貸与金は所得税の課税対象となりませんし,修習資金貸与金を受けることは所得税の扶養控除の適用に影響を与えるものではありません。

   また,修習資金貸与金を受けることは,所得証明書の記載に影響を及ぼすものではありません。

 

○宮澤博行衆議院議員(自民党)の質問

   ある若者が大学へ行った、法科大学院へ行った、このときにはやはり保護者のお父さんの扶養に入っていたわけです。ところが、司法試験に通って司法修習生になって、資金の貸与を受けるようになったら、お父さんの会社から、社会保険の扶養から外れてくれ、国民健康保険へ移ってくれ、そういうふうに言われたようなんです。貸与ですからね、所得じゃないんです。それなのにどうして保険の上でこういうふうに扱われなければならないのかというのは、これはもう一度確認した方がいいと思われます。

   さらに、税法上のことについて。今申し上げたのは保険の話なんです。税法上は、これは貸与ですから、所得じゃないわけですから、この貸与された修習資金がまさか所得税の課税対象にはなっていないと思われますけれども、その点について確認させていただきたいですし、所得税の控除対象とされている扶養親族が、修習資金の貸与を受けたときに控除対象の扶養親族に該当しなくなるということはないとは思いますけれども、その点についても確認をさせていただきたいと思います。

○藤田利彦国税庁課税部長の答弁 

   お答え申し上げます。

   一般論として申し上げますけれども、金銭の貸し付けを受けた場合で、その貸し付けを受けた金銭について返済することとされているときは、その金銭につきましては所得税法上の所得には該当しませんことから、所得税の課税対象とはなりません。

   それから、次に御質問がございました扶養控除の関係ですけれども、先ほど申しましたように、金銭の貸し付けを受けた場合で、その貸し付けを受けた金銭について返済することとされております場合には、所得税法上の所得に該当しませんことから、金銭の貸し付けを受けたことをもって所得税法上の扶養控除の適用がなくなることはありません。

   いずれにしても、国税当局としては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らして適正に取り扱うこととなります。

第6の1 連帯保証人及び保証会社

1   司法修習生が修習資金の貸与を受けるためには,①年収150万円以上又は資産額300万円以上を有する2人の自然人を連帯保証人として用意するか,又は②最高裁判所が指定する金融機関の保証(機関保証)を受ける必要があります(司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則4条)。

 

2 保証料は修習資金の貸与額1,000円につき18円であり(保証委託約款3条本文),保証料の支払方法は,司法修習生が貸与を受ける修習資金から所定の保証料の額を最高裁判所が差し引き,これを最高裁判所が保証会社に送金する方法がとられています(保証委託約款5条1項)。

 

3 司法修習生が修習資金の貸与を受けるために最高裁判所に提出した個人情報は,機関保証に必要な範囲で保証会社に提供される他(保証委託約款7条1項),保証会社は,機関保証に関して,司法修習生の財産,収入,信用等について調査を行うことができます(保証委託約款8条)。
 
4 平成28年11月7日付の司法行政文書不開示通知書によれば,「修習資金の貸与を受けた場合,どのような事由が発生すれば,個人信用情報機関に修習資金貸与金に関する情報が登録されることになっているかが分かる文書」は存在しません。

第6の2 司法修習生の修習資金の機関保証の人数及び割合

平成28年11月16日付の司法行政文書不開示通知書によれば,機関保証の審査に落ちた人の数が修習期ごとに分かる文書は存在しません。
司法修習生の機関保証の人数及び割合及び69期関係データによれば,65期ないし69期の場合,指定金融機関による保証を受けている司法修習生の人数は,以下のとおりです。
 
1 65期(平成23年11月28日現在)
   貸与申請者数1688人中295人(17.5%)
2 66期(平成24年11月27日現在)
   貸与申請者数1645人中297人(18.0%)
3 67期(平成25年11月27日現在)
   貸与申請者数1449人中296人(20.4%)
4 68期(平成26年11月27日現在)
   貸与申請者数1181人中279人(23.6%)
5 69期(平成27年11月27日現在)
   貸与申請者数1205人中313人(26.0%)
6 70期(平成28年11月28日現在)
   貸与申請者数993人中232人(23.4%) 

第7の1 新65期の場合,平成30年7月25日から修習資金の返還が開始すること

1   修習資金貸与金は,修習期間の終了した月の翌月から起算して5年を経過した後,10年の年賦により返還することになっています。

   新65期の場合,修習期間が終了したのは平成24年12月ですから,翌月から起算して5年を経過した月は平成30年1月となります。

   そのため,平成30年7月25日(司法修習生の修習資金の貸与に関する規則7条・修習資金貸与要綱16条)に最初の年賦金を支払うこととなります。
 
2 平成28年7月8日開催の第4回法曹養成制度改革連絡協議会資料4-1法曹の収入・所得,奨学金等調査の集計結果(平成28年7月)の末尾33頁(PDF37頁)には,「イ 司法修習終了後5年6月経過時点(修習資金の返還開始時点)での残債務額」という記載があります。

第7の2 修習資金の返還の猶予及び免除

1 修習資金の返還の猶予及び免除

(1) 最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が災害,傷病その他やむを得ない理由により返還が困難となったとき,又は修習資金の貸与を受けた者について修習資金を返還することが経済的に困難であるときは,返還の期限を猶予することができます。(裁判所法67条の2第3項,修習資金貸与要綱28条)

   この場合,国の債権の管理等に関する法律26条の例外として,担保を提供したり,利息を支払ったりする必要はありません。

(2) 最高裁判所は,修習資金の貸与を受けた者が死亡又は精神若しくは身体の障害により返還できなくなったときは,全部又は一部の返還を免除することができる。(裁判所法67条の2第4項,修習資金貸与要綱29条)

 

2 平成24年の裁判所法改正

(1)ア   平成24年8月3日法律第54号による改正前の裁判所法67条の2第3項は以下のとおりです。

   最高裁判所は、修習資金の貸与を受けた者が災害、傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となつたときは、その返還の期限を猶予することができる。この場合においては、国の債権の管理等に関する法律 (昭和三十一年法律第百十四号)第二十六条 の規定は、適用しない。

イ 平成24年8月3日法律第54号による改正前の裁判所法67条の2第3項は以下のとおりであり,赤字部分が追加されました。

   最高裁判所は、修習資金の貸与を受けた者が災害、傷病その他やむを得ない理由により修習資金を返還することが困難となつたとき、又は修習資金の貸与を受けた者について修習資金を返還することが経済的に困難である事由として最高裁判所の定める事由があるときは、その返還の期限を猶予することができる。この場合においては、国の債権の管理等に関する法律 (昭和三十一年法律第百十四号)第二十六条 の規定は、適用しない。

(2) 平成24年8月3日法律第54号は,裁判所法附則5項として以下の条文を追加しました。

   第六十七条の二第一項の修習資金の貸与については、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成十四年法律第百三十九号)附則第二条の規定による法曹の養成に関する制度についての検討において、司法修習生に対する適切な経済的支援を行う観点から、法曹の養成における司法修習生の修習の位置付けを踏まえつつ、検討が行われるべきものとする。

 

3 「経済的に困難である事由」の意義

   平成24年改正後の,司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則7条の2によれば,以下のとおりです。

① 給与所得以外の所得を有しない人の場合

猶予を受けようとする修習資金の返還の期限前1年間における収入金額(法科大学院における修学のための借入金で配偶者又は3親等内の親族からの借入金でないものを当該期間中に返還したときは,その返還額を控除した残額)が300万円以下であること。

   ただし,強制執行を受けたとき等は除かれます。

② ①以外の人の場合

   猶予を受けようとする修習資金の返還の期限前1年間における総収入金額 (法科大学院における修学のための借入金で配偶者又は3親等内の親族から の借入金でないものを当該期間中に返還したときは,その返還額を控除した 残額)から必要経費を控除した残額が200万円以下であること。

   ただし, 強制執行を受けたとき等は除かれます。

第8の1 修習資金の据置期間・返還期間中の手続

1(1) 被貸与者は,司法修習生でなくなったときから修習資金の返還を終えるまでの間,①毎年4月30日までに,最高裁判所に対し,住所等届出書を提出しなければなりませんし,②連絡先等の変更があった場合,変更が生じた日から2週間以内に,最高裁判所に対し,変更事項届出書を提出しなければなりません。

   被貸与者がこれらの手続を怠った場合,最高裁判所の請求によって期限の利益を喪失し,返還未済額の全部を返還することとなります。

(2) 平成28年8月31日付で修習資金貸与要綱(平成24年11月3日施行)が改正された結果,変更事項の届出を電子メールで行えるようになりました(裁判所HPの「修習資金要綱の一部改正について」)。

 

2 修習資金の据置期間・返還期間中の窓口は,最高裁判所事務総局経理局主計課出納係となりますところ,出納係の事務分掌は以下のとおりです。

(1) 出納第一係

① 最高裁判所に係る歳出金の支出並びに前渡資金の出納保管及び計算証明に関する事項

② 最高裁判所の保管金の出納保管及び計算証明に関する事項

③ 最高裁判所の歳入金の収納に関する事項

④ 司法修習生の修習資金の貸与決定に関する事項

(2) 出納第二係

① 最高裁判所の歳入徴収及び債権管理に関する事項

② 最高裁判所の債権及び歳入の計算証明に関する事項

③ 最高裁判所の支出に係る旅費に関する事項

(3) 出納第三係

① 最高裁判所に係る歳出金の計算証明に関する事項

② 最高裁判所の支出負担行為差引簿に関する事項

③ 最高裁判所の支出決定簿に関する事項

第8の2 住所等届出書の提出状況等が分かる文書は存在しないこと

1   新65期から68期までの,期ごとの以下の文書は存在しません(平成28年度(最情)答申第32号(平成28年10月24日答申))。
  なお,→以下の記載は,最高裁判所事務総長の説明内容です。

① 年度ごとに,住所等届出書の提出状況が分かる文書(文書1)が存在しない理由
→ 住所等届出書は,修習資金貸与要綱(以下「貸与要綱」という。)31条により,修習資金貸与金全額の返還を終えるまで毎年4月30日を期限として,その年の4月1日における住所及び職業を最高裁判所に届け出るものであり,返還が始まった際,被貸与者宛てに確実に納入告知書を送付するために必要な情報を記載したものである。そこで,その提出を促すため,期限までに提出しない者に対して,督促を行っているが,この督促を行うために,その時点での未提出者の情報のみを把握すれば足り,年度ごと,期ごとに住所等届出書の提出状況を把握する必要はないから,申出に係る文書は作成又は取得していない。
② 年度ごとに,住所等届出書の提出を怠った結果,期限の利益を喪失した人の数が分かる文書(文書2)が存在しない理由
→ 住所等届出書の提出を相当期間怠ったときは,貸与要綱21条2項1号,司法修習生の修習資金の貸与等に関する規則(以下「貸与規則」という。)8条1項の規定により期限の利益を喪失し,返還未済額の全部を返還しなければならないこととなるが,期限の利益の喪失から未返還額の請求までの手続は,該当する被貸与者ごとに個別に行うものであり,年度ごと,期ごとに期限の利益を喪失した人数を把握する必要はないから,申出に係る文書は作成又は取得していない。
③ 年度ごとに,変更事項届出書の提出状況が分かる文書(文書3)が存在しない理由
→ 変更事項届出書は,住所の変更等,貸与要綱30条1項1号又は2号に定める事由が生じた場合に最高裁判所に届け出るものである。この変更事項届出書は,被貸与者の届出事項に変更が生じない限り,提出する必要はなく,また,同届出書が提出された場合には,個別に当該被貸与者の情報を変更し管理すれば足り,年度ごと,期ごとに変更事項届出書の提出状況を把握する必要はないから,申出に係る文書は作成又は取得していない。
④ 年度ごとに,繰上返還申請をした人の数が分かる文書(文書4)が存在しない理由
→ 繰上返還は,貸与規則7条ただし書により,年賦金の返還期限前に修習資金の返還を行うことができる制度であり,被貸与者から,繰上返還申請書が提出された場合,返還期限や返還額を当初の予定から変更するなどの処理を行い,繰上返還分の納入告知書を送付するものである。これらの事務処理は,申請者ごとに個別に行うものである。年賦金の返還開始までは,繰上返還の申請に基づいた返還のみであるため,収納済等一覧表(法定帳簿)で月別に収納された人数を数えることは可能であるが,年度ごと,期ごとに整理されたものではないことから,申出に係る文書には該当しない。
⑤ 年度ごとに,返還期限の猶予を受けた人の数が分かる文書(文書5)が存在しない理由
→ 返還期限の猶予は,裁判所法67条の2第3項に規定され,被貸与者からの申請に基づき,猶予が認められれば一定期間修習資金の返還が猶予されるが,猶予申請があった場合,申請者ごとに個別に事務処理を進めるものであり,年度ごと,期ごとに申請者の人数を把握した上で事務処理を進める必要がないから,申出に係る文書は作成又は取得していない。
⑥ 年度ごとに,返還免除を受けた人の数が分かる文書(文書6)が存在しない理由
→ 返還免除は,裁判所法67条の2第4項に規定され,被貸与者等からの申請に基づき,免除が認められれば修習資金の返還が免除されるが,免除申請があった場合,申請者ごとに個別に事務処理を進めるものであり,年度ごと,期ごとに申請者の人数を把握した上で事務処理を進める必要がないから,申出に係る文書は作成又は取得していない。
⑦ 年度ごとに,修習資金貸与金の回収状況が分かる文書(文書7)が存在しない理由
→ 修習資金の年賦金の返還は,平成30年から65期の年賦金の返還が開始されることから,現在は繰上返還を申請した者からの返還のみとなっている。繰上返還された金額の総額については,徴収簿総括表(法定帳簿)に年度末現在の記載はあるが,期ごとに整理されたものではないことから,申出に係る文書には該当しない。

2 答申書には以下の記載があります。
  本件各開示申出文書は,修習資金の貸与に関し,裁判所法,貸与規則又は貸与要綱に基づく届出書等の提出やその懈怠その他の手続上の行為があった者の数等を,期ごと,年度ごとに記載した文書であるところ,修習資金の貸与や修習資金貸与金の回収は,その性質上,いずれも,被貸与者ごとに個別に行われるものであると考えられるから,修習資金の貸与に関する事務処理上,上記のような者の数を,期ごと,年度ごとに把握する必要性があるとする事情はうかがわれず,苦情申出人もそのような事情を何ら主張しない。
  したがって,本件各開示申出文書をいずれも作成し,又は取得していないとする最高裁判所事務総長の説明は合理的であり,最高裁判所においては,本件各開示申出文書を作成し,又は取得をしていないと認められる。

第8の3 修習資金貸与金の償還状況

1 最高裁判所の徴収簿総括表のうち,以下のものを掲載しています。
① 平成25年5月分~平成28年11月分

2 最高裁判所の徴収簿総括表によれば,以下のとおりです。
24年度回収分:322万円
25年度回収分:1115万7000円
26年度回収分:2619万2000円
27年度回収分: 4013万1000円

第9 修習資金の貸与制に関する照会先

   裁判所HPの修習資金交付日一覧(第70期司法修習生向け)によれば,修習資金の貸与制に関する照会先は以下のとおりです。
 
1 貸与期間中
(1) 修習資金交付日に関すること
   最高裁判所事務総局経理局主計課出納係
   03-3264-8504(ダイヤルイン) 
(2) 修習資金交付日に関すること以外
  司法研修所事務局総務課人事係
   048-233-0025(ダイヤルイン)
 
2 貸与終了後の返還に関すること
   最高裁判所事務総局経理局主計課出納係
   03-3264-8504(ダイヤルイン)

第10 修習資金貸与金の返還を免除するために必要な法的措置,及びこれに関する国会答弁

1(1)   新65期から貸与制に移行したため,国が修習資金貸与金の返還義務を遡及的に免除する場合,国の債権の管理等に関する法律32条1項(歳入徴収官等による免除を定めた規定)に関する特例法が必要になります。
    そして,裁判所主管の歳入予算概算見積書(裁判所の予算参照)によれば,修習資金貸与金償還金は政府資産整理収入(租税印紙収入と同様に,歳入予算の「部」の一つ)に含まれますから,修習資金貸与金の返還義務を免除した場合,将来の政府資産整理収入が減少することとなります。
(2) 国の債権の管理等に関する法律32条1項の特例法としては,カネミ油症事件関係仮払金返還債権の免除についての特例に関する法律(平成19年6月8日法律第81号)があります。
   これは,「昭和四十三年に九州地方を中心に発生したカネミ油症事件をめぐる損害賠償請求訴訟に係る判決の仮執行の宣言に基づき国が支払った仮払金の返還に係る債権の債務者が当該事件による被害の発生から現在までの間に置かれてきた状況及び当該債権の債務者の多くが高齢者となっていることを踏まえ」(同法1条),国が,一定の収入基準及び資産基準を満たすカネミ油症被害者について債権免除を認めたものです。

2(1) 71期以降について,月額13万5000円の基本給付,月額3.5万円の住居給付及び旅費法の移転料基準に準拠した移転給付からなる,修習手当の創設が検討されています(東京弁護士会HPにある,平成28年12月20日付の「司法修習生に対する経済的支援・法務省発表について」参照)。
(2) 仮に71期以降について修習手当が創設されたとしても,新65期ないし70期の修習資金の返還義務を免除するためには特例法が必要になります。
  また,カネミ油症被害者と異なり,新65期ないし70期の修習生は何らかの損害を被った被害者ではありませんし,高齢者でもありません。
  さらに,仮に修習資金返還義務の免除を認めた場合,修習資金の貸与を受けなかった同期の元修習生との間で発生する著しい不公平を解決する必要があります。
  そのため,修習資金の返還義務の免除を実現するのは,修習手当の創設以上に難しいと思われます。

3 小山太士法務省大臣官房司法法制部長は,平成29年3月31日の衆議院法務委員会において,以下の答弁をしています。
  新65期ないし70期に対する救済措置は予定していないと述べています。

1 委員から御指摘がございました、修習給付金制度の創設に伴いまして、現行の貸与制下の司法修習生、これは新六十五期から第七十期まででございますけれども、これに対しましても何らかの救済措置を講ずべきとの御意見があることは我々としても承知しております。
  ただ、修習給付金制度の趣旨でございますが、これは、先ほど御答弁申し上げましたとおり、法曹志望者が大幅に減少している中で、昨年六月の骨太の方針で言及されました、法曹人材確保の充実強化の推進等を図る点にあるわけでございまして、この趣旨に鑑みますと、修習給付金につきましては、今後新たに司法修習生として採用される者を対象とすれば足りるのではないかと考えられたところでございます。
  それからまた、加えて、仮に既に貸与で修習を終えられたような方に何らかの措置を実施するといたしましても、現行貸与制下において貸与を受けていらっしゃらない方もいらっしゃいまして、この取り扱いをどうするかといった制度設計上の困難な問題がございます。また、そもそも、既に修習を終えている人に対して事後的な救済措置を実施することにつき、国民的な理解が得られないのではないかという懸念もあるところでございます。
  ということで、本制度につきましては、救済措置を設けることは予定していないわけでございます。

2 本法案が可決、成立いたしますと、本年十一月に修習が開始される第七十一期の司法修習生から修習給付金を支給することになります。まずは新たな制度を導入していただきまして、その後はこの制度について継続的、安定的に運用していくことが重要であろうと考えております。御理解を賜りたいと考えております。 

第11 生活保護と修習資金貸与金との比較等

1 生活保護受給者の権利及び義務
   大阪府門真市HPの「生活保護受給者の権利と義務」によれば,以下のとおりです。
(1) 生活保護受給者の権利
① 不利益変更の禁止(生活保護法56条)
   正当な理由なく、保護費を減らされたり保護を受けられなくなったりするなどの不利益を受けることはありません。
② 公課及び差押えの禁止(生活保護法57条及び58条)
   保護により支給された金品には、税金をかけられたり、差し押さえられたりすることはありません。
(2) 生活保護受給者の義務
① 譲渡禁止(生活保護法59条)
   保護を受ける権利を他人に譲り渡すことはできません。
② 生活上の義務(生活保護法60条)
   常に能力に応じて勤労に励み、支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければなりません。
③ 届出の義務(生活保護法61条)
   世帯に収入があったときや世帯員の状況に変化があったときは、福祉事務所へすみやかに、正しく届け出なければなりません。
④ 指示等に従う義務(生活保護法62条)
   福祉事務所が最低生活の保障と生活の向上や自立のために必要な指導・指示をしたときは、これに従わなければなりません。
 
2 生活保護に基づく支給の種類
(1) 生活保護受給者の場合,以下のように,生活を営む上で必要な各種費用に対応して扶助が支給されます(厚生労働省HPの「生活保護制度」参照)。
① 生活扶助:日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
② 住宅扶助:アパート等の家賃
③ 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費
④ 医療扶助:医療サービスの費用
⑤ 介護扶助:介護サービスの費用
⑥ 出産扶助:出産費用
⑦ 生業扶助:就労に必要な技能の修得等にかかる費用
⑧ 葬祭扶助:葬祭費用
(2) 生活保護受給者の場合,居住移転の自由に対する制約はありませんし,働いて得た収入のうち,必要経費及び基礎控除額等を差し引いた分は手元に残ります。
(3) 平成26年7月1日施行の改正生活保護法については,厚生労働省社会・援護局保護課が作成した「生活保護法改正の概要」を参照してください。
 
3 生活保護で支給される金額の例
(1)   生活保護で支給される金額は,1級地1,1級地2,2級地1,2級地2,3級地1,3級地2の6段階となりますところ,例えば, 東京都特別区,横浜市,さいたま市,大阪市,京都市,神戸市及び名古屋市は1級地1に該当します。
   そして,平成28年4月現在, 1級地1に居住する3人世帯(夫婦子1人)(33歳,29歳,4歳)の場合,生活扶助として16万110円が支給され,住宅扶助として最大6万9800円が支給されますから,合計22万9910円となります(厚生労働省社会・援護局保護課の,平成28年5月27日付の「生活保護制度の概要等について」参照)。 
(2) 外部HPの「生活保護 金額 自動計算」を使えば,都道府県,市町村,世帯構成等を入力することで,生活保護費を計算することができます。
 
4  司法修習生の修習資金貸与金との比較
(1) 33歳の司法修習生,29歳の専業主婦及び4歳の子供という家族構成の場合,住居加算及び扶養加算の両方を利用すれば,毎月28万円の修習資金の貸与を受けることができます。
   ただし,生活保護受給者の場合,国民年金保険料(日本年金機構HPの「国民年金保険料」によれば,平成28年度は毎月1万6260円ですから,夫婦で3万2520円です。)を支払う必要がありませんし,自分で医療費を支払う必要がありませんから,手取額で言えば,大差がないかもしれません。
(2) 生活保護受給者の場合,支給された生活保護費を返還する必要はないのに対し,司法修習生の場合,貸与された修習資金を返還する必要があります。

第12 生活保護に優先して給付される制度

例えば,以下の制度があります。
 
① 雇用保険制度による給付(基本手当、傷病手当などの失業等手当):ハローワーク
 
② 求職者支援法による職業訓練受講給付金:ハローワーク
 
③ 公的年金(老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金など):年金事務所
 
④ 児童手当児童扶養手当など:市区町村役場
 
⑤ 特別障害者手当障害児福祉手当など:市区町村役場
 
⑥ 自立支援医療制度(医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度):市区町村役場
 
⑦ 介護保険法に基づく介護サービスによる給付:市区町村役場
 
⑧ 生活困窮者自立支援制度(住宅確保給付金,一時生活支援事業):市区町村役場

第13 職業訓練受講給付金(求職者支援制度)

1 厚生労働省HPの職業訓練受講給付金(求職者支援制度)からの抜粋
(1) 「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」は、雇用保険を受給できない求職者の方(受給を終了した方を含む)が,ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合,職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができる制度です。
(2)ア 職業訓練を受講している間,「職業訓練受講手当」(月額10万円)と「通所手当」(通所経路に応じた所定の金額(上限額あり))が支給されます。
   ただし,一度でも訓練を欠席したり(やむを得ない理由を除く。)ハローワークの就職支援(訓練終了後の就職支援を含む)を拒否すると,給付金が不支給となるばかりではなく,これを繰り返すと訓練期間の初日に遡って給付金の返還命令等の対象となります。
イ 職業訓練受講給付金に加えて,希望する方は,労働金庫から「求職者支援資金融資(同居又は生計を一にする別居の配偶者等がいる方:上限月額10万円、それ以外の方:上限月額5万円)の貸付を受けることもできます。
 
2(1) 外部HPの「職業訓練受講給付金とは」によれば,職業訓練には求職者支援訓練及び公共職業訓練があります。
   そして,求職者支援訓練の訓練機関は3~6ヶ月間であり,公共職業訓練のうち,独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)(リンク先では,「雇用・能力開発機構」)の訓練機関は標準6ヶ月間であり,都道府県の訓練機関は標準6ヶ月間から1年間であるみたいです。
(2) 求職者支援資金融資については,就職しても返済免除とならないのであって,全額を返済する必要があります。
   また,就職支援拒否,不正受給処分等により職業訓練受講給付金の支給を停止された場合,直ちに債務残高を一括返済しなければなりません。
 
3 平成23年10月1日施行の「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」(=求職者支援法)に基づく求職者支援制度の場合,月額10万円の職業訓練受講給付金及び交通費(=通所手当)を支給してもらえます。
   しかし,司法修習生の場合,実務修習地における交通費(=通勤手当)も支給してもらえません。

第14 事業主のための雇用関係助成金

厚生労働省HPの「事業主の方のための雇用関係助成金」によれば,平成28年10月現在の内容は以下のとおりです。
 
1 従業員の雇用維持を図る場合の助成金
   雇用調整助成金
 
2 離職者の円滑な労働移動を図る場合の助成金
   労働移動支援助成金
 
3 従業員を新たに雇い入れる場合の助成金
   特定求職者雇用開発助成金,障害者トライアル雇用奨励金,障害者初回雇用奨励金等
 
4 従業員の処遇や職場環境の改善を図る場合の助成金
   職場定着支援助成金,キャリアアップ助成金,高年齢者雇用安定助成金,65歳超雇用推進助成金,建設労働者確保育成助成金,通年雇用奨励金
 
5 障害者が働き続けられるように支援する場合の助成金
   障害者作業施設設置等助成金,障害者福祉施設設置等助成金,障害者介助等助成金,障害者雇用安定奨励金,重度障害者等通勤対策助成金,重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金,障害者職場復帰支援助成金
 
6 仕事と家庭の両立に取り組む場合の助成金
   両立支援等助成金,出生児両立支援助成金,介護離職防止支援助成金,女性活躍加速化助成金
 
7 従業員等の職業能力の向上を図る場合の助成金
   キャリア形成促進助成金,キャリアアップ助成金,キャリア形成促進助成金,建設労働者確保育成助成金,障害者職業能力開発助成金
 
8 労働時間・賃金・健康確保・勤労者福祉関係の助成金
   職場意識改善助成金,中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金,受動喫煙防止対策助成金,退職金共済制度に係る新規加入等掛金助成,キャリアアップ助成金

第15 司法修習における旅費

1 平成27年10月16日付の「司法修習における旅費について」を掲載しています。
 
2 司法修習生に対しては以下の旅費が支給されます。
① 導入修習及び分野別実務修習参加のための交通費及び日当
② 移転料
→ 分野別実務修習開始に際して支払われるだけですから,1度だけの支給です。
③ 分野別実務修習中における交通費及び日当
→ 現場検証や証人の所在尋問等の出張に関して支払われるものであって,通勤手当とは異なります。
④ 集合修習参加のための交通費及び日当
⑤ 集合修習後の選択型実務修習参加のための交通費及び日当
⑥ 選択型実務修習中における交通費及び日当
 
3 国家公務員等の旅費に関する法律(=旅費法)によれば,旅費の種類は,鉄道賃,船賃,航空賃,車賃,日当,宿泊料,食卓料,移転料,着後手当,扶養親族移転料,支度料,旅行雑費及び死亡手当となっています(旅費法6条1項)。
   このうち,司法修習生に対して支給される旅費は,鉄道賃,船賃,航空賃,日当及び移転料だけみたいです。

4 旅費支給事務のQ&A(平成24年4月作成)を掲載しています(平成29年4月9日追加)。

第16 司法修習生の移転料

1   平成26年11月20日開催の第13回法曹養成制度改革顧問会議の資料6-1「司法修習の充実等に向けた検討の状況について」にあるとおり,67期以降,実務修習地への移転料(転居費用)が支給されるようになりました。
 
2   平成25年12月17日開催の第5回法曹養成制度改革顧問会議の資料3-2「司法修習生の修習資金等の状況のあらまし」にあるとおり,実務修習開始に際して,自宅の引越をした場合に限り,移転料が支給されるだけです。
   つまり,①集合修習のための司法研修所への引越,及び②選択型実務修習のための実務修習地への引越については,旅費は支給されるものの,移転料は支給されません。
 
3(1) 移転料の具体的な額は以下のとおりです。
鉄道50km未満の引越:4万6500円
鉄道50km以上100km未満の引越:5万3500円
鉄道100km以上300km未満の引越:6万6000円
鉄道300km以上500km未満の引越:8万1500円
鉄道500km以上1000km未満の引越:10万8000円
鉄道1000km以上1500km未満の引越:11万3500円
鉄道1500km以上2000km未満の引越:12万1500円
鉄道2000km以上の引越:14万1000円
(2) 司法修習生に対する移転料は,旅費法別表第一・2項の「三級以下の職務にある者」のうち,「赴任の際扶養親族を移転しない場合」(旅費法23条1項2号)に該当するものとしての金額が支給されます。

第17 司法修習生の移転料と住民票

1 分野別実務修習に参加するために住所又は居所を移転した司法修習生が旅費及び移転料の支給を受ける場合,新住所地の住民票を提出するように求められます(平成27年10月16日付の「司法修習における旅費について」参照)。

   ただし,分野別実務修習に参加するために住所又は居所を移転した司法修習生が移転料の支給を受けるためには,新住所地の住民票を必ず提出しなければならないとする法令上の根拠が分かる文書は存在しません(平成26年4月30日付の司法行政文書不開示通知書参照)。
 
2 「住民基本台帳法に関する質疑応答集について」(昭和43年3月26日付の自治省行政局振興課長の通知)には以下の記載があります。

   そのため,住民基本台帳法に関する総務省の解釈からしても,司法修習の場合,転出届(住民基本台帳法24条)及び転入届(住民基本台帳法22条)(大阪市HP「住所についての届出(転入届,転出届など)」参照)を市区町村役場に提出することで住民票を移動させる法的義務はないと思われます。

問2 職業訓練法に定める職業訓練所に入所し,家族と離れて寄宿舎に居住しながら職業訓練をうけている訓練生の住所はどこにあると認められるか。

答 特段の事情のない限り,訓練期間が1年未満の者については入所前の居住地,訓練期間が1年以上の者については寄宿舎にあると認められる。

問3 会社の研修所で合宿しながら1年以上の研修をうけている場合,その者の住所はどこにあると認められるか。

答 家族と密接な生活関係がある等特段の事情のない限り,研修所にあると認められる。

第18の1 司法修習に係る旅費の取扱いを定めた事務連絡1/3

○以下の文書を掲載しています。
① 「第69期(平成27年度)司法修習に係る旅費の取扱いについて」(平成27年12月2日付の司法研修所事務局経理課長事務連絡) 
② 導入修習及び分野別実務修習に伴う招集旅費・移転料支給の留意点
③ 司法修習生に対する分野別実務修習参加のための移転料支給事務Q&A
○②及び③の文書は,①の事務連絡に添付されていた文書です。
○①の事務連絡の本文は以下のとおりです。
1 支給する旅費について
(1) 採用内定時の住所又は居所から司法研修所までの旅行にかかる鉄道賃,船賃,航空賃,車賃(以下「交通費」という。)及び日当
(2) 司法研修所から分野別実務修習のために配属された修習地(以下「配属修習地」という。)の地方裁判所(以下「実務修習庁」という。)までの旅行にかかる交通費及び日当(配属修習地が東京,立川,横浜,さいたま及び千葉の者を除く。)
(3) 採用内定時の住所又は居所から実務修習庁までの移転料
2 旅費支給庁 
   司法修習生が配属された地方裁判所
3 旅費の支給について 
   交通費及び日当については,本事務連絡に定めるほか,国家公務員等の旅費に関する法律等に準じて支給する。
4 移転料について 
   司法修習生が分野別実務修習に参加するために住所又は居所を移転したときには,採用内定時の住所又は居所から配属修習地までの路程に応じた移転料を別表の定額により支給する。ただし,旅費法上の同一地域内で住所又は居所を移転した者に対しては支給しない。
5 その他 
   旅費の支給方法等については,別添の「導入修習及び分野別実務修習に伴う招集旅費・移転料支給の留意点」及び「司法修習生に対する分野別実務修習参加のための移転料支給事務Q&A」のとおり

第18の2 司法修習に係る旅費の取扱いを定めた事務連絡2/3

導入修習及び分野別実務修習に伴う招集旅費・移転料支給の留意点の本文は以下のとおりです。
 
1 招集旅費・移転料の支給方法について
(1) 導入修習参加のための旅費及び分野別実務修習参加のための旅費(採用内定時の住所又は居所→司研→実務修習配属庁)については,その性質上,招集旅費として扱う。
(2) 旅行命令権者は,司法修習生が属する地方裁判所長とする。
(3) 具体的な支給方法,考え方については,別紙1のとおりである。
   採用内定時の住所又は居所から司研までの交通費については,従前,採用内定時に東京都,神奈川県,埼玉県又は千葉県(以下「東京近郊」という。)を住所又は居所とする司法修習生についても実務修習配属庁までの招集旅費を支給していたことに鑑み,東京近郊を住所又は居所とする司法修習生にも司法研修所までの招集旅費を支給するが,導入修習後の司研から東京近郊の裁判所までの交通費(日当を含む。)については,通勤と同一視されるべき移動として支給しない(減額調整の対象となる。)。 他方,東京近郊以外の裁判所に配属される司法修習生については,導入修習後の交通費(日当を含む。)も支給の対象となる。

2 招集旅費(交通費)について
 
   導入修習参加のための旅費(採用内定時の住所又は居所→司研)及び分野別実務修習参加のための旅費(司研→実務修習配属庁)については,それぞれ出発地から目的地までの最も経済的な通常の経路による旅費を支給する。また,導入修習終了後,修習生が転居等の準備のため採用内定時の住所又は居所に戻った場合や実家へ帰省した場合であっても,旅費については司研から実務修習配属庁までの最も経済的な通常の経路による認定額を限度として支給する。なお,この導入修習終了後に実家等へ帰省する場合については,私事旅行許可申請を提出させる必要はない。
(1) ICカードの利用
   「現金運賃」と「ICカード1円単位の運賃」の2種類の運賃体系となっている鉄道等の交通機関については,本人の申告に従い,現に支払った運賃の金額を支給する。
(2) 航空賃 
ア 航空機の利用を認める司法修習生の地域は次のとおりとする。
   なお,同地域以外の司法修習生においても,特割等で搭乗券を購入し,鉄道等の最も経済的な通常の経路による認定額よりも安価に旅行した司法修習生については,航空機利用を認め,その航空賃を支給する。
(ア) 導入修習参加のための旅行(採用内定時の住所又は居所から司研まで)
   採用内定時に福岡高等裁判所管内又は札幌高等裁判所管内に住所又は居所を有する司法修習生
(ィ) 分野別実務修習に参加するための旅行(司研から実務修習配属庁まで)
   実務修習配属庁が,福岡高等裁判所管内又は札幌高等裁判所管内の地方裁判所となる司法修習生 
イ 航空機利用が認められていない地域の司法修習生が,実際に航空機を利用し,航空賃を支給しないことが,実務修習配属庁における航空機利用の実情と比較し,バランスを失し,相当でないと判断した場合には,その支給の可否について個別に司法研修所に照会する。
(3) 航空賃支払を証明するに足る資料の取扱い 
ア 導入修習参加のための旅行(採用内定時の住所又は居所から司研まで)における, 航空賃の支払を証明するに足る資料(搭乗半券,搭乗レシート等及び領収書)については,司研において徴取し,実務修習配属庁に送付する。
イ 分野別実務修習参加のための旅行(司研から実務修習配属庁まで)における航空賃の支払を証明するに足る資料(搭乗半券,搭乗レシート等及び領収書)については,実務修習配属庁において徴取する。

3 招集旅費(日当)について 
   導入修習参加のための旅行及び分野別実務修習参加のための旅行においては,国家公務員等の旅費に関する法律別表第一に定める日当の定額の2分の1を支給する。
   なお,導入修習後の司研から東京近郊の裁判所までの旅行,在勤地内の旅行においては,4のとおり,日当は支給しない。

4 在勤地内の旅費支給について 
   採用内定時に司研の在勤地内を住所又は居所とする司法修習生については,導入修習参加のための旅費支給は次のとおりとする。
(1) 住所又は居所から司研までの行程が8キロメートル未満の司法修習生については,交通費及び日当は支給しない。
(2) 住所又は居所から司研までの行程が8キロメートル以上の司法修習生については,住所又は居所から司研までの交通費の実費のみを支給する。
   なお,司研の在勤地の地域は,別紙2のとおりである。

5 招集旅費額試算について 
   招集旅費の試算については,原則として「導入修習・分野別実務修習参加のための旅費,移転料申告書」に添付される住民票写しに基づいて行うが,分野別実務修習に参加するために住所又は居所を移転する者については,新住所地の住民票写しが追完される扱いとなっており,試算を行う時には住民票が提出されていないことから「導入修習・分野別実務修習参加のための旅費,移転料申告書」に記載されている住所に基づいて行うこととする。

6 移転料の支給における移転した事実を証明する資料について
(1) 旅費支給担当者は,分野別実務修習参加のために住所又は居所を移転した司怯修習生に対して,移転料を支給する際には,移転先の住所地に移転したことを認定するための証明力を持つ公的資料として,新住所地の住民票写しを提出させる。
(2) 住民票を新住所地に移動していないことにより,住民票写しの提出ができない場合には,住民票写しに代えて,現時点では住民票写しを提出できないこと及び申告した新住所地に間違いなく居住している旨を記載した上申書並びに分野別実務修習に参加するために新住所地に移転したことを疎明する資料(居住するアパート等の賃貸借契約書,新住所地の公共料金領収書等)を提出させた上,移転料を支給する。
   ただし,その場合においても,旅費支給事務担当者は,司法修習生に対して,速やかに新住所地に住民票を移動し,新住所地の住民票写しを提出するように指示する。
(3) (2)の方法により移転料を支給した場合には,実務修習配属庁の司法修習生事務担当者(以下「司法修習事務担当者」という。)は,住民票を新住所地に移動しないことについて,少なくとも集合修習に参加する前に一度,当該司法修習生に対して,住民票写しの提出を促すとともに,メモ等を作成して当該催告の状況について記録化する。
(4) 上申書及び住民票写し以外の疎明資料により移転料を支給した後,司法修習生が,住民票写しを提出しない場合には,司法修習事務担当者は,集合修習開始後,速やかに別紙様式により,司法研修所にその司法修習生の氏名等を報告する。
(5) 司法修習生が,住民票写しを提出できないやむを得ない事情がある場合には,(2)の上申書に,その事情を記載させる。
   なお,同事情がある場合には,(2)のただし書,(3)及び(4)に定めた指示等をする必要はない。

7 旅行命令簿等の記載方法について
(1) 発令日について 
   旅行命令発令日は,司研が,司法修習生に対して,司法修習開始日を通知した日とする。
   第69期司法修習生の旅行命令発令日は,10月16日とする。
(2) 旅行日について 
   旅行日は,司法修習生が,実際に旅行を行った日(導入修習地及び分野別実務修習配属地到着日)とする。
   なお,実際に旅行を行った日については,航空機を利用した場合には,搭乗半券等に記載された搭乗日となり,それ以外の場合は,本人の申告によるものとする。
(3) 旅行命令簿の記載例 
   別紙3のとおり
(4) 旅費請求書の記載例 
   別紙4のとおり

第18の3 司法修習に係る旅費の取扱いを定めた事務連絡3/3

司法修習生に対する分野別実務修習参加のための移転料支給事務Q&Aは以下のとおりです。
○11①及び13において,「住居移転に当たり住民票を移動させることは法律上の義務である」と書いてありますが,分野別実務修習に参加するために住所又は居所を移転した司法修習生が移転料の支給を受けるためには,新住所地の住民票を必ず提出しなければならないとする法令上の根拠が分かる文書は存在しません(平成26年4月30日付の司法行政文書不開示通知書参照)。
 
1 導入修習実施に伴い,分野別実務修習参加のための移転料について,昨年度の取扱いと何か変更はありますか。
   特に変更はありません。従前の住所又は居所から実務修習配属庁(裁判所)までの路程に応じた定額を支給することとなります。

2 着後手当や扶養親族移転料は,支給されないのですか。
   支給されません。

3 移転前の住所等から実務修習配属庁までの路程と新住所地までの路程を比較して少額となる方の移転料を支給することになるのですか。
   移転料の支給に当たっては,従前の住所又は居所から実務修習配属庁までの路程に応じた定額を支給することになりますが,従前の住所又は居所から新住所地までの路程に応じた定額が,実務修習配属庁までの定額よりも少額となる場合には,従前の住所又は居所から新住所地までの路程に応じた定額を支給することになります。

4 導入修習参加のため,住所又は居所を移転した司法修習生には,移転料は支給されないのですか。
   移転料は,分野別実務修習に参加するため,住所又は居所を移転した司法修習生に支給するもので,たとえば,大阪市に在住している司法修習生が,入寮するため,司研いずみ寮等に移動した場合には,移転料は支給されません。

5 移転料を支給するために提出させる書類はどのようなものですか。
   原則として,司法修習生から新住所地の住民票の写しを提出させることが必要です。

6 司法修習生から住民票を移動しないため,住民票の写しの提出ができないと言われた場合,どのようにするのですか。
   現時点で住民票の写しを提出できないこと及び申告した新たな住所地に間違いなく居住していることを記載した実務修習地の地方裁判所所長あての上申書並びに新住所地の疎明資料(アパートの賃貸借契約書の写し,新住所地の公共料金の請求書等。 以下「疎明資料」という。)を提出させてください。
   上申書及び疎明資料が提出された場合,取りあえず移転料の支給をしていただいて差し支えありません。
   ただし,この場合,司法修習生に対して,住民票を新住所地に移動させ,新住所地の住民票の写しを提出するように指示してください。

7 住民票の写しを提出してこない司法修習生に対して,どの程度の頻度で提出を促せばよいのですか。
   上申書及び住民票の写しに代わる疎明資料の提出があった際に,住民票を移動させ, 新住所地の住民票の写しの提出を促すほか,少なくとも,集合修習に参加する前に一度,9のとおり住民票の写しの提出を促してください。

8 追加提出された新住所地の住民票の転入の日付が,分野別実務修習開始の日付と離れていても移転料の支給手続に問題はありませんか。
   住民票上の転入の日付が遅くなっているのは届出が遅れたことによるものであり, 実際の転居の日が実務修習地の内示の後で,かつ,分野別実務修習開始日に近接していることが疎明資料により明らかであれば,新住所地の住民票の転入の日付が分野別実務修習開始の日付と離れていても問題はありません。

9 上申書及び疎明資料により移転料を支給した後も,司法修習生が,新住所地の住民票の写しを提出しない場合は,どうすればよいのですか。
   集合修習に参加する前に,改めて,当該司法修習生に対して次の点を伝達してください。
① 速やかに,新住所地の住民票の写しを提出すること。
② 新住所地の住民票の写しが提出されない場合には,司法研修所にその旨を報告すること。
③ 今後,新住所地の住民票の写しの提出に関して,司法研修所から連絡が入ることもありうること。
   また,以上の伝達の事実については,適宜メモを作成するなどして記録化してください。

10 司法修習生から,新住所地の住民票の写しを提出しない場合,移転料を返還する必要があるかと聞かれた場合,どのように回答すればよいですか。
   「新住所地の住民票を提出しないことにより移転料の返還を求められることはないが,認定のための証明カをもつ公的資料とされていることから,住民票の写しは提出してほしい。」旨回答してください。

11 住民票を移動しないと主張している場合には,どのようにすればよいのですか。
① 住民票を移動しない理由が「市役所等に行く時間がない」,「疎明資料によっても移転料が支給されるのであれば住民票を移動させる必要はない」等の場合 
   住居移転に当たり住民票を移動させることは法律上の義務であることを説明し,住民票を移転するまでの間,差し当たって上申書及び疎明資料を提出するように促してください。
   司法修習生から上申書及び疎明資料が提出されれば,移転料を支給して差し支えありません。
   ただし,司法修習生が,上申書等を提出する際に,改めて,速やかに,新住所地に住民票を移動し,新住所の住民票の写しを提出するように促してください。
② 住民票を移動しない理由が「家庭の事情や住宅ローンの申請の関係により住民票を移動できない」等の場合 
   住民票を移動できない事情がやむを得ないものであれば,その事情を記載した上申書及び疎明資料を提出するよう促してください。
   司法修習生から上申書及び疎明資料が提出されれば,移転料を支給して差し支えありません。
この場合,9②の司法研修所への報告も必要ありません。
③ 住民票を移動しない理由が「もともと実家所在地に住民登録があり,法科大学院在学中は学校所在地に居住していたが,住民票は移動していなかった。実務修習開始に当たり,実家に戻ったが,形式的に新住所と住民票上の住所は一致している」等の場合
   住民票上の転入日が実際の転入日と一致しないことについての上申書及び旧住所の疎明資料並びに実家所在地の住民票の写しを提出するよう促してください(招集旅費の支給のため既に実家所在地の住民票の写しを提出している場合は再度提出させる必要はありません。)。
   司法修習生から上申書及び旧住所の疎明資料並びに実家所在地の住民票の写しが提出されれば,移転料を支給して差し支えありません。
   この場合, 9②の司法研修所への報告も必要ありません。

12 集合修習参加前に,新住所地の住民票の写しの提出を促しても当該住民票の写しを提出しない場合,移転料の戻入手続を執る必要はありますか。
   特に,戻入手続を執る必要はありません。

13 住民票を移動させる意思がないため,移転料を放棄したいと述ぺた司法修習生に対しては,どのように対応すべきですか。
   放棄の理由が住民票を移動させる意思がないことによるのであれば,司法修習生に対して,住居移転に当たり住民票を移動させることは法律上の義務であることを説明した上で,取りあえず上申書及び疎明資料の提出により,移転料の支給は可能である旨連絡し,移転料を放棄するか再度,意思を確認し,記録化してください。
   再確認の結果,移転料の支給を受ける意思がある場合は,上申書及び疎明資料を提出させた上で移転料を支給し,おって住民票を移動した上で新住所地の住民票を追完するよう促してください。
   再確認の結果,移転料を放棄するのであれば,後日のトラブルを防ぐため,本人から,放棄書を提出させてください。

第19 労働時間の意義

1   厚生労働省労働基準局監督課が平成29年1月20日に作成した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」には,労働時間の意義に関して以下の記載があります。
   労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。
   そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。
   ただし、これら以外の時間についても、使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については労働時間として取り扱うこと。
   なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価す
ることができるか否かにより客観的に定まるものであること。また、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用
者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されるものであること。
ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、
労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
 
2 司法修習は,法曹三者となるために参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講に当たると思いますが,労働時間とはされていません。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。