陳述書

第0 目次

第1 陳述書とは
第2 陳述書の作成者
第3 陳述書の機能及び裁判官の心証形成
第4 陳述書作成の注意点
第5 陳述書の通数及び分量
第6 陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例
第7 処分証書と報告文書の違い,並びに二段の推定
第8 証拠説明書
第9 書証の提出方法に関する裁判官の意見
第10 裁判官の判断にかかる様々なバイアス

*1 陳述書提出後に実施される民事裁判の証人尋問及び当事者尋問については,「証人尋問及び当事者尋問」並びに「尋問調書」を参照してください。 
*2 民事訴訟マニュアルHPの「第5章 証拠調べ等」に陳述書,証拠説明書等の書式が載っています。
*3 法律トラブル羅針盤HP「陳述書の書き方」及び「陳述書例」が載っています。
*4 岡口基一裁判官が東京高等裁判所分限事件調査委員会に提出した,平成30年6月19日付の陳述書が「分限裁判の記録 岡口基一」ブログ「陳述書(東京高等裁判所分限事件調査委員会)」に載っています。
*5 東京地方裁判所民事部プラクティス委員会作成の書式集を掲載しています。
*6 判例タイムズ1220号(平成18年11月15日号)4頁以下に「事実認定と立証活動2」(陳述書の光と影-報告文書を中心として)が載っています。

第1 陳述書とは

1 弁護士に依頼した後に当事者尋問又は証人尋問を申請する際,「陳述書」という表題の書面を作成することが多いです。
    陳述書とは,原則として人証調べの直前に,①当事者本人,②その親族若しくは従業員といった準当事者,又は③第三者の供述を記載し,書証の形式で裁判所に提出する報告文書をいい,②準当事者及び③第三者は原則として証人予定者となります。

2 陳述書の記載例が,前橋地方・家庭裁判所HPの 「地方裁判所における民事手続について」に掲載されています。
   リンク先HPには,「陳述書とは,事件に関してあなたが経験したり認識したりした事実を時系列に沿って述べたものをいい,あなたの言い分を裁判所や相手方が理解し,事件の経緯や問題の所在を把握するために用いられるものです。」と書いてあります。


二弁フロンティア2018年1・2月合併号「弁護士任官者から見た民事弁護(前編)」末尾15頁には,弁護士任官をした後に定年退官した水野邦夫裁判官(29期)の発言として,「私は実際に法廷で人証調べに入る前には,陳述書を記録から切り離してコピーして,必ず一部手元に置いていました。そして,そのコピーに,聞きたい疑問点や,書証との矛盾点を書き込んでいました。」と書いてあります。

第2 陳述書の作成者

1 陳述書の作成者は,形式的には当事者又は証人予定者となります。
  しかし,実際は,依頼した弁護士が当事者又は証人予定者から事情を聞き,関係証拠と矛盾が生じないように留意しながら陳述書の原案を作成し,内容確認をした当事者又は証人予定者の署名押印をもらった上で,裁判所に書証として提出しています。
 

2 裁判所から見た場合,本人だけで作成した陳述書は,心情はあふれているけれども,整理がされていなくて,争点とは関係のないことが一生懸命書いてあって,肝心の争点がどうなっているかが読み取れないなど,様々な問題点があると考えられています。
  そのため,裁判所としても,プロである弁護士が本人から事実関係をヒアリングし,その成果を裁判官に理解しやすい形で再構成してくれることを期待しています。
 

3 連名で陳述書を提出した場合,どの部分が誰の陳述であるかが判明せずに反対尋問ができないため,連名で陳述書を作成することはできません。 

第3 陳述書の機能及び裁判官の心証形成

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第4 陳述書作成の注意点

「陳述書作成の注意点」に移転させました。

第5 陳述書の通数及び分量

1 陳述書の通数
(1) 陳述書提出後,主尋問の準備をしている最中に,陳述書で言い足りないことが出てきた場合,追加の陳述書を出すことがあります。
   しかし,裁判官からすると,陳述書の通数は1通が望ましいといわれています。
   なぜなら,五月雨式に陳述書がぽつぽつと出てきた場合,裁判官からすれば他の書証と陳述書が混ざって記録が見にくくなりますし,書きぶりが少し違う場合,事実関係の整理に使いにくくなるからです。
(2) 記録が膨大な事件で,例えば,責任論と損害論を分けるというように,区分けができるところで陳述書を分けて書くのは問題ありません。

2 陳述書の分量
(1) 5枚から10枚ぐらいの陳述書であれば,裁判官は一気に読むことができますから,適切な分量であるといわれています。
(2) 陳述書が短すぎて要件事実に近いことが抽象的に書いてあるだけのものは使い物になりません。
(3) 陳述書が10枚を大きく超える場合,同時に膨大な事件を抱えている裁判官からすると読む時間をなかなか確保できないため,一生懸命作ったのに,裁判官の読み方が浅くなってちゃんと読んでもらえなくなる可能性が高まります。

第6 陳述書の作成が違法となる場合に関する裁判例

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第7 処分証書と報告文書の違い,並びに二段の推定

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第8 証拠説明書

「証拠説明書」に移転させました。

第9 書証の提出方法に関する裁判官の意見

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第10 裁判官の判断にかかる様々なバイアス

判例タイムズ1261号(平成20年4月15日号)89頁に書いてある,36期の村田渉判事の発言によれば,裁判官の判断にかかる様々なバイアスとして以下のものがあります。
① スジ・すわりの感覚の過大視
② 類似事例における上級審の裁判例がある場合の,当該事件における具体的事情の軽視
③ 専門家の判断に対する過度の信頼又は過度の不信
④ 発生した被害の甚大性への過度の同情
⑤ 弱者保護・社会的正義の実現への過度の意欲又は過度の勧善懲悪主義
⑥ 裁判における過度の科学性の探求

1(1) 被害者側の交通事故(検察審査会を含む。)の初回の面談相談は無料であり,債務整理,相続,情報公開請求その他の面談相談は30分3000円(税込み)ですし,交通事故については,無料の電話相談もやっています(事件受任の可能性があるものに限ります。)
(2) 相談予約の電話番号は「お問い合わせ」に載せています。

2 予約がある場合の相談時間は平日の午後2時から午後8時までですが,事務局の残業にならないようにするために問い合わせの電話は午後7時30分までにしてほしいですし,私が自分で電話に出るのは午後6時頃までです。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)については,略歴及び取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図を参照してください。