司法修習生の修習専念義務,兼業・兼職の禁止及び守秘義務

第1 司法修習生の修習専念義務

1   平成24年11月当時の,「修習生活へのオリエンテーション」には,以下の記載があります。
 
   司法修習生は,修習期間中,その全力を修習のために用いて,これに専念すべき義務があります(裁判所法67条2項)。
   これは,司法修習が,法曹養成に必須の課程として,国が多大な人的,物的資源を投入して運営しているものであることや,法律実務についての基本的な知識と技法や法曹としての職業意識と倫理観を定められた期間内に修得するためには,これに全力を投入してもらう必要があることなどから導かれるものです。このような観点から,司法修習生は,国民に対し,法の支配の立派な担い手となるよう修習に専念すべき義務を負うことになります。
 
2(1) 修習専念義務を定めた裁判所法67条2項に関する法務省の説明については,「司法修習生の給費制及び修習手当」を参照してください。
   法務省の説明によれば,新65期以降の司法修習生は,給費制時代と同じ修習専念義務を負っている代わりに,無利息で修習資金の貸与を受けることができるという法的地位にあるみたいです。
(2)  新発10年国債利回りは,平成28年2月から同年11月までは0%以下となっていましたし,その後も0.1%未満ですから,以前と比べると,無利息で修習資金の貸与を受けることができるメリットは小さくなっています(日本相互証券株式会社HPの「長期金利推移グラフ」参照)。
 
3(1) 外部HPの「第004回 インターン生であれば労働者ではないのか」で引用されている厚生労働省労働基準局の通達には,以下の記載があります。
    「一般に、インターンシップにおいての実習が見学や体験的なものであり使用者から業務に係る指揮命令を受けていると解されないなど使用従属関係が認められない場合には、労働基準法第9条に規定される労働者には該当しないものであるが、直接生産活動に従事するなど当該作業による利益・効果が当該事業場に帰属し、かつ、事業場と学生との間に使用従属関係が認められる場合には、当該学生は労働者に該当するものと考えられ、また、この判断は、個々の実態に即して行う必要がある」(平成9・9・18 基発636号)
(2) 修習専念義務を負っている司法修習生の場合,実務修習庁会における使用従属関係が認められるものの,書面の起案,取調べ等による利益・効果が当該実務修習庁会に帰属するとはいいがたいことから,労働者ではないということなのかもしれません。
司法修習生バッチです。

第2の1 司法修習生の兼業・兼職の禁止

1 司法修習生は,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことはできません(司法修習生に関する規則2条)。

2(1) 平成28年7月8日の法曹養成制度改革連絡協議会の最高裁判所提出資料5「兼業許可の申請状況」によれば,兼業許可の状況は以下のとおりです。
  67期の場合,272件の申請件数に対し,許可件数が254件,不許可件数が4件,取り下げ件数が14件でした。
  68期の場合,304件の申請件数に対し,許可件数が288件,不許可件数が3件,取り下げ件数が13件でした。
(2) 平成28年1月31日現在の,第69期司法修習生の兼業に関する資料によれば,兼業許可の状況は以下のとおりです。
① 法科大学院等
   申請件数が61件,許可件数が56件,不許可件数が0件,取下げ件数が1件,審査中件数が4件
② 司法試験予備校等
   申請件数が103件,許可件数が101件,不許可件数が0件,取下げ件数が0件,審査中件数が2件
③ その他(教育関係)
   申請件数が19件,許可件数が18件,不許可件数が0件,取下げ件数が1件,審査中件数が0件
④ その他(教育関係を除く)
   申請件数が16件,許可件数が9件,不許可件数が3件,取下げ件数が4件,審査中件数が0件
⑤ 合計
   申請件数が199件,許可件数が184件,不許可件数が3件,取下げ件数が6件,審査中件数が6件
(3) 67期の人が出した,某巨大ファストフード店で働きたいという趣旨の兼業許可申請は不許可になったみたいです(外部ブログの「兼業許可申請不許可処分」参照)。

3(1)ア 平成28年4月1日,最高裁判所行政不服審査委員会が設置されました(裁判所HPの「最高裁判所行政不服審査委員会」参照)。
  そのため,司法修習生が兼職不許可処分に対して不服がある場合,最高裁判所に対する審査請求ができるかもしれません(最高裁判所行政不服審査委員会規則1条参照)。
イ 行政不服審査法に基づく審査請求をした場合の取扱いは,「行政不服審査法に基づく審査請求書の受付等に関する事務処理要領」(平成28年7月20日付)に書いてあります。
  ただし,平成29年3月21日付の司法行政文書不開示通知書によれば,司法修習生の兼職不許可が行政不服審査法の対象となるかどうかが分かる文書は存在しません。

第2の2 第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼業禁止の緩和)

   平成26年1月31日現在の状況を記載した「第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼職禁止の緩和)について」の内容は,以下のとおりです。

第67期司法修習生に対して実施された経済的支援策(兼職禁止の緩和)について

   法曹養成制度検討会議や法曹養成制度関係閣僚会議から,法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動について兼業を認めるべきとの提言をいただいたことを受けて,最高裁判所において兼業許可の在り方について検討した結果,修習専念義務が定められた趣旨に反しないと考えられる一定の範囲で,兼業許可の運用を緩和することとした。
  今回の兼業の緩和に当たっては,修習専念義務が定められた趣旨からみて不相当かどうかという観点から判断している。許否の判断に当たっては,申請書に記載された兼業先,業務内容,業務従事時間等の事情を確認した上で判断している。

1 第67期司法修習生における兼業許可の申請数,許可数及びそれらの全司法修習生に対する割合(上記緩和型に関するもののみ)
(申請人数)
  142人(平成26年1月31日現在)
(許可人数等)
  許可人数   142人
  司法修習生  1972人
  司法修習生に占める割合  7.2パーセント
  (いずれも平成26年1月31日現在)

2 許可された業務内容及び勤務先等の詳細
○ 法科大学院における講義・ゼミの講師,学修相談,教材作成,答案添削・採点等
○ 司法試験等受験予備校における講義・ゼミの講師,個別指導,教材作成,答案添削・採点等
○ 学修・進学塾の講師,家庭教師等

3 許可されなかった業務内容及び勤務先等の詳細
   不許可としたものはない。

4 兼業許可基準の具体的内容
   具体的な許可基準は定めておらず,兼業の許否の判断に当たっては,業務内容や業務量,業務従事時間等からみて,精神的・身体的負担が重いため司法修習への専念を困難にするかどうか,中立公正性の要請や守秘義務との関係で問題がないかどうかといった観点から,事例ごとに個別具体的な事情を確認している。

5 兼業によって得られる収入の最高額及び最低額並びにその確認方法
   兼業の内容として,時給や日給及び答案添削業務における答案1通あたりの報酬単価等を確認しているが,実際に得られる収入金額については把握していない。

6 兼業に従事している時間の最高時間及び最低時間並びにその確認方法
   許否の判断に当たっては,申請書及び勤務先の募集案内等の資料により兼業に従事する時間を確認しているところ,兼業に係る業務内容,従事時間,契約内容等により兼業従事時間は様々であり,一概には説明することは困難である。
    ただし,許可となった事例についてはいずれも,基本的には休日等の司法修習に支障のない時間帯を利用して行う業務となっており,問題があるものは見当たらなかった。

第2の3 司法修習生の兼業に関する事務連絡

1 「司法修習生の兼業について(事務連絡)」(平成27年10月16日付の司法研修所事務局長事務連絡)を掲載しています。
 
2  本文は以下のとおりです。
 
   司法修習生は,修習期間中,修習に専念すべき義務を負っており,最高裁判所の許可を受けなければ,公務員となり,又は他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うことができないとされ,兼職・兼業が原則として禁止されています(裁判所法67条2項,司法修習生に関する規則2条)。
   この点,司法修習生の兼業の許可について,平成25年6月26日,政府に設置された法曹養成制度検討会議の最終取りまとめにおいて,法の定める修習専念義務を前提に,その趣旨や司法修習の現状を踏まえ,司法修習生の中立公正性や品位を損なわないなど司法修習に支障を生じない範囲において従来の運用を緩和し,司法修習生が休日等を用いて行う法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動により収入を得ること(以下「対象業務」という。)を認めるべきとの提言がされ,同年7月1 6日に開催された法曹養成制度関係閣僚会議において,上記最終取りまとめを是認する内容の決定がされました。
   そこで,最高裁判所において,こうした状況等も踏まえて兼業許可の在り方について検討した結果,対象業務については,事例ごとに個別具体的な事情を確認する必要があるものの,その業務内容に照らし,休日等に行う限りにおいては,許可しても差し支えない場合が多いと考えられることから,この点に関するこれまでの取扱いを緩和しています。
   ついては,司法修習中に対象業務を行おうとする場合には,別添の申請書式を利用するなどして,兼業許可申請書を司法研修所事務局企画第二課調査係宛てに提出する方法(ただし,配属庁会における実務修習中はその配属庁会の司法修習事務担当者宛てに提出する方法)により,最高裁判所に許可の申請をしてください。
   なお,許否の判断にはある程度の期間を要するため,兼業の許可が必要な場合には,十分な余裕を持って申請してください。

第2の4 兼業許可の具体的基準を定めた文書は存在しないこと

   兼業許可の具体的基準を定めた文書(=本件開示申出文書1)は存在しないことに関して,平成28年度(最情)答申第3号(平成28年4月14日答申)には以下の記載があります(ナンバリングをしたり,改行部分を増やしたりしています。)。
①  最高裁判所事務総長が提出した資料及び最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,司法研修所においては,修習資金の貸与制の対象である平成25年度以降の司法修習生については,兼業の許可に係る運用を従前より緩和し,申請及び許可の数も増加したものの,各申請に対する許否については,事例ごとに個別に判断しており,許可基準のようなものは作成していないとのことである。
   また,上記資料等によれば,緩和の前提として,政府に設置された法曹養成制度検討会議の最終取りまとめにおいて,法の定める修習専念義務を前提に,その趣旨や司法修習の現状を踏まえ,司法修習生の中立公正性や品位を損なわないなど司法修習に支障を生じない範囲において従来の運用を緩和し,司法修習生が休日等を用いて行う法科大学院における学生指導をはじめとする教育活動により収入を得ることを認めるべきとの提言がされ,平成25年7月16日に開催された法曹養成制度関係閣僚会議において上記提言を是認する内容の決定がされたという状況があったことが認められる。
  司法研修所事務局長が平成25年度以降の司法修習生採用内定者宛てに発出した兼業に関する事務連絡にも,これらの状況について言及されているが,許可にあたっては,「事例ごとに個別具体的な事情を確認する必要があるものの,その業務内容に照らし,休日等に行う限りにおいては,許可しても差し支えない場合が多いと考えられる」とあるだけで,具体的基準は示されていない。
②   そこで検討するに,司法修習生は,その修習期間中,その修習に専念しなければならないこととされ(裁判所法67条2項),最高裁判所の許可を受けなければ,他の職業に就き,若しくは財産上の利益を目的とする業務を行うこと,すなわち兼職や兼業をすることができないものとされ(規則2条),修習専念義務が課されている。また,最高裁判所は,司法修習生の行状がその品位を辱めるものと認めるときその他司法修習生について最高裁判所の定める事由があると認めるときは,その司法修習生を罷免することができる(同法68条)とされており,司法修習生には品位保持義務が課されている。
  さらに,司法修習生は,修習にあたって知った秘密を漏らしてはならない(規則3条)とされ,高い識見と円満な常識を養い,法律に関する理論と実務を身につけ,裁判官,検察官又は弁護士にふさわしい品位と能力を備えるように努めなければならない(規則4条)とされているから,司法修習生は,その地位の性質上,当然に中立公正性を保持しなければならないということができる。
  そうすると,司法修習生から兼業の許可の申請を受けた最高裁判所としては,司法修習の性質上,その兼業の内容等が,上記のような裁判所法又は規則に定められた修習専念義務,品位保持義務及び中立公正性に抵触しないか否かを判断する必要があるということができ,これらが一種の基準となっていると解することができる一方,それ以上の詳細な具体的な基準を作成することは,兼業許可の制度の運用を硬直化することになりかねないとも考えられる。
  また,最高裁判所の職員の口頭説明の結果によれば,平成25年度の司法修習生及び平成26年度の司法修習生についての兼業許可については,上記の裁判所法又は規則上の義務等を考慮して個別に判断する方法で運用されているところ,その許否の判断は適切に行われていると認められる。
(3)   以上を総合すると,司法修習生の兼業許可については,上記の法令の基準に沿った運用がされていて,具体的な基準の定めはないが,それによって許可の事務に支障は生じていないと認められるから,具体的な基準を定めた文書は作成し,又は取得していないとする最高裁判所事務総長の説明は合理的であるということができる。
   したがって,最高裁判所において,本件開示申出文書1は保有していないものと認められる。

第3の1 司法修習生の守秘義務

○弁護士の守秘義務については,「弁護士の守秘義務,弁護士職務基本規程等」を参照して下さい。
○平成24年11月当時の,「修習生活へのオリエンテーション」には,以下の記載があります。

  司法修習生は,修習に当たって知り得た秘密を漏らしてはいけません(司法修習生に関する規則3条)。
  司法修習生は,個人のプライバシーに深くかかわる具体的な事件等を素材として,法律実務を学ぶことから,裁判官,検察官又は弁護士が守秘義務を負うのと同様に,当然に秘密を守らなければなりません。
  特に,実務修習においては,実務修習地の裁判所,検察庁及び弁護士会でそれぞれ実際に具体的な事件を素材として修習しますから,当該事件等に関する秘密の保持には十分注意する必要があります。事件記録そのものについてはもちろんですが,事件に関する電子データについても,外部に流出しないようルールにのっとって厳重に管理しなければなりません(「司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策について」(注記載の「司法修習生が取り扱う集合修習関連の情報のセキュリティ対策について」を含む。)参照)。とりわけ,いわゆるファイル共有ソフトの利用,コンピュータ・ウィルスの感染やUSBメモリ等の紛失・盗難による情報の流出には,それ自体社会から厳しい目を向けられています。絶対にこのようなことがないようにしなければなりません。
  また,司法修習生ではない一般の人はもちろんのこと,たとえ他の修習生(メーリングリスト等への投稿なども含む。)と話す場合であっても,常に自分の話そうとすることが守秘義務に反するものでないかを意識する必要があります。特に,一般の人に聞かれるような場所(例えば,エレベータや電車やバスの中など)で,事件関係のことを不用意に話すことがないように十分注意しなければなりません。
(中略)
  なお,修習について外部に表現(雑誌投稿やウェブサイト,ブログへの掲載等)する場合は,具体的な事件等に関する秘密の保持を十全なものとすべきことはもとより,司法研修所教官や配属庁会の指導担当者は,実務の実際を修習するという教育上の配慮から,公にすることを前提としないで司法修習生に対して各種の指導をすることも多くあることも踏まえ,守秘義務に反するものでないかを十分に確認するとともに,前記の配慮を無にすることのないよう,表現には十分に注意を払って下さい。

第3の2 司法修習生の守秘義務違反が問題となった事例,及び法務行政修習プログラムの内容等

1(1) 平成20年6月20日付の「「前科43犯ぜひ45目指してほしい」司法修習生軽率ブログ閉鎖」によれば,同月12日に最高裁が長崎地裁に連絡して,同月14日に「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログが閉鎖されたそうです。
  また,「「法曹」「守秘義務」とは何ぞや?」によれば,検察修習のほか,刑裁修習に関して,色々と感想を書いていたみたいです。
(2) 平成20年6月19日,「司法修習生のなんとなく日記」と題するブログに関して,取り調べや刑務所内の見学など修習内容をインターネット上のブログに掲載していたとして,長崎地裁が裁判所法に基づく守秘義務違反の疑いもあるとして調べていると報道されました(孫引きですが,外部ブログの「司法修習生。守秘義務違反」参照)。
    問題となったブログの記載の一部を引用すると以下のとおりであり,ブログを書いてから4ヶ月余り後に報道されたようです。

2008-02-15 | 修習
今日,はじめて取調べやりました。
相手は80歳のばあちゃん。
最初はいろいろ話を聞いてたけど,
途中から説教しまくり。おばあちゃん泣きまくり。
おばあちゃん,涙は出てなかったけど。
けど,なんで20代の若造が80歳のばあちゃんを説教してるのか。
それに対してなんで80歳のばあちゃんが泣いて謝ってるのか。
なんとなく,権力というか,自分の力じゃない力を背後に感じた。
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2(1) 56期高松修習の人が書いた「司法修習生日記」における「検察修習」とかについては,現在でもインターネット上に存在してますから,検察修習に関するこれらの記載は司法修習生の守秘義務には違反していなかったと思われます。
  しかし,新61期長崎修習の人が書いた「司法修習生のなんとなく日記」が守秘義務に違反するとして不祥事扱いになったのに対し,56期のブログが守秘義務に違反しないと判断する基準はよく分かりません。
(2) 新61期長崎修習のブログについて守秘義務違反の可能性があると報道されたことから,それ以後,実務修習に関する詳しい記載がインターネット上に出てくることがなくなった気がします。
(3)   実際,外部ブログの「守秘義務」によれば,司法研修所が動くこと自体が司法修習生にとっては大変な脅威であって,司法修習生という立場は,まさに現代の特別権力関係だそうです。

3(1) 新61期長崎修習の人は刑務所内の見学など司法修習の内容をブログに書いたことについても守秘義務違反の疑いがあるとされました。
  しかし,例えば,選択型実務修習における法務行政修習プログラムに関する文書は法務省による情報公開の対象となっていますから,平成27年度法務行政修習プログラム関係文書を掲載しておきます。
(2) 国家公務員法109条12号・100条1項にいう「秘密」とは,非公知の事実であって,実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい,その判定は,司法判断に服します(最高裁昭和53年5月31日決定)。
   刑務所内の見学の感想は実質的に秘密として保護するに値するものではない気がしますが,司法修習生に課せられた守秘義務はそれだけ重いのかもしれません。

4(1) 平成27年度(行情)答申第135号(平成27年6月17日答申)の12頁及び13頁によれば,検事の弁護士職務経験制度における派遣法律事務所の名称及び検事の外部派遣制度における検事の派遣先法人等の名称は,不開示情報に該当するとのことです。
  そのため,司法修習生が弁護修習先で弁護士職務経験をしている検事と出会った場合,当該検事が所属している法律事務所の名称をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。
(2) 平成28年(行情)答申第365号(平成28年9月29日答申)の4頁によれば,検事の修習期については,法務省においてホームページ等で公表している等といった事実もなく,今後その予定もないとのことですし,答申の結論として,検事の修習期については検事総長の修習期も含めて不開示情報に該当するとのことです。
  そのため,司法修習生が指導係検事等の修習期をブログに記載することについても,慎重になった方がいいのかもしれません。

5 裁判所業務に必要なサイトをまとめたホワイトリストというものが裁判所にはあります(平成27年11月の全司法新聞2229号)ものの,情報公開請求では,その存在は明らかにされていません(平成28年度(最情)答申第7号(平成28年4月14日答申))。
  そのため,仮に裁判所職員が運営しているHPに記載されている情報であっても,司法修習生がブログに記載することについては慎重になった方がいいのかもしれません。

6 ツイッター等のSNSを国家公務員が私的利用する際の注意点については,総務省人事・恩給局の「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」(平成25年6月付)に書いてあります。

第3の3 司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策等

1 「司法修習生が取り扱う裁判修習関連の情報のセキュリティ対策について」(平成20年12月25日付の司法研修所長通知)別紙第1によれば,情報をパソコンで取り扱うルールは以下のとおりです(「司法修習生に関連する法規及び通達」参照)。
   ただし,元の文章が図表のため,適当にナンバリングをしています。
 
(1) 情報を取り扱う前の指導担当裁判官への誓約と許可の申請
※ 裁判所内外を問わない。
※ パソコン環境が変更になっても,同様の誓約と許可が必要
→ 遵守事項
ア スタンドアロンパソコンを使用
※ インターネットやLANのいずれにも接続しないパソコンをいう。
イ スタンドアロンパソコンを用意できないとき
○ ウィルス対策の実施
○ ファイル共有ソフトの使用禁止
○ インターネットからの物理的切断(ケーブルを抜く。)
○ 外部記録媒体への保存(内蔵ハードディスク等の内部記憶媒体への保存禁止)
(2) 情報の利用に関するルール
◎ 修習以外の目的での利用禁止
◎ 指導担当裁判官以外への複製・配布の禁止
◎ 提供(他の司法修習生に対する提供を含む。)の禁止
◎ 各裁判修習終了の都度の速やかな消去
※ 修習目的で印刷し,紙媒体で保存することは妨げない。
◎ 機器廃棄の際の消去ソフトウェアによる消去や物理的破壊
(3) 情報の裁判所外への持ち出しに関するルール
◎ 修習以外の目的での裁判所外への持ち出し禁止
◎ 持ち出しに関する指導担当裁判官への個別の届出
→ 遵守事項
○ 持ち出す情報は,必要最小限度にする。
○ パスワードの設定(推測されやすいパスワードは不可)
○ 電子メールによる送信の禁止(外部記録媒体を利用)
○ 外部記録媒体運搬の際の紛失等に対する細心の注意(盗難,紛失対策の徹底)
(4) 裁判所内における私物パソコン使用に関するルール
◎ 裁判所内通信回線への接続禁止
★万一,USBメモリを紛失した場合,ウィルス感染した場合は,直ちに報告を(報告の遅れは命取り!)
  
2(1) 司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,ニュースになることがあります(外部ブログの「司法修習生がリポート記録を紛失,佐賀地裁で修習中」参照)。
   そのため,仮に司法修習生がUSBメモリを紛失した場合,報告の遅れは命取りとなるみたいですから,ニュースになることを覚悟した上で直ちに指導担当裁判官に報告する必要があると思われます。
(2) NTTドコモ,au又はSoftBankの携帯電話を紛失した場合の対処法につき,外部HPの「会社の携帯電話を紛失した際の適切な対処法と始末書の例文」が参考になります。
 
3 裁判修習の場合,司法修習生が自分のパソコンを起案等の業務に使うわけですから,BYOD(Bring Your Own Device)に該当すると思われます。
   そして,BYODのリスクについては,外部HPの「思っているよりずっと怖い「BYOD」に潜むワナ」が参考になります。
 
4 特定非営利活動法人日本ネットワークセキュリティ協会の「2015年情報セキュリティインシデントに関する調査報告書」(平成28年6月17日発表)によれば,799件あった2015年個人情報漏洩インシデントにつき,その漏えい原因の件数及び比率は以下のとおりです。
① 紛失・置き忘れ:243件(30.4%)
② 誤操作:206件(25.8%)
③ 管理ミス:144件(18.0%)
④ 不正アクセス:64件(8.0%)
⑤ 盗難:44件(5.5%)
⑥ 不正な情報持ち出し:38件(4.8%)
⑦ 内部犯罪・内部不正行為:17件(2.1%)
⑧ 設定ミス:15件(1.9%)
⑨ バグ・セキュリティホール:12件(1.5%)
⑩ ワーム・ウィルス:10件(1.3%)
⑪ 目的外使用:2件(0.3%)
⑫ その他:1件(0.3%)
 
5 平成28年度(情)答申第6号(平成28年9月1日答申)における「苦情申出人の主張の要旨」には,以下の記載があります。 
   東京地方裁判所は,外部の出版社等に対して判決書写しを定期的に貸与しており,外部の出版社等が判決内容を掲載する場合,事件関係者の氏名,住所等を仮名処理し,個人として特定できないようにすれば足りるとしている。また,外部の出版社等に対して民事第27部(交通部)の判決書写しを貸与するに際し,事件当事者から情報提供に関する同意書を取り付けていないものの,プライバシー侵害,守秘義務違反等を理由に事件当事者から抗議文を寄せられたことはない。

第4 司法修習生と民間労働者との比較

司法修習生の欠席,罷免及び逮捕並びに民間労働者との比較を参照して下さい。
民間労働者との比較でいえば,司法修習生の労働者性は否定されていることが当然の前提となっています。 
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。