家事審判

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第1 家事審判

1 家事審判の概要
□ ①特殊調停事件及び一般調停事件が不成立の場合,人事訴訟又は民事訴訟に移行するのに対し,②別表第二の調停事件が不成立の場合,当然に家事審判に移行するという違いがあります。
   そのため,前者及び後者を同時に申し立てる場合,例えば,離婚調停(=一般調停事件)及び婚姻費用分担調停(=別表第二の調停事件)を同時に申し立てる場合,申立書を分割するのが普通です。
□ 別表第二に掲げる事項についての調停事件が家事審判に移行した場合,当事者が合意で定める家庭裁判所で家事審判をしてもらうことができます(合意管轄。家事事件手続法66条・民事訴訟法11条2項及び3項)。
   なお,平成24年12月31日までは,家事審判に関する合意管轄は認められていませんでしたし,離婚訴訟等の人事訴訟の場合,現在でも合意管轄は認められていません。
□ 別表第二に掲げる事項(例えば,財産分与及び年金分割)について,同事項に該当しない他の家庭に関する事項と併せて調停の申立てがされた場合であっても,申立人が調停不成立のときに審判への移行を求める意思を有していないなど特段の事情がない限り,その事件名にかかわらず,家事事件手続法272条4項に基づいて審判に移行します(最高裁平成23年7月27日決定参照)。
□ 家庭裁判所は,①子の監護に関する処分の審判(養育費関係は除く),②養子縁組をするについての許可の審判,③特別養子縁組の離縁の審判,④親権喪失,親権停止又は管理権喪失の審判等,⑤親権者の指定又は変更の審判,⑥未成年後見人又は未成年後見監督人の選任の審判,⑦氏の変更についての許可の審判をする場合,15歳以上の子の陳述を聴かなければなりません(①につき家事事件手続法152条2項,②につき家事事件手続法161条3項1号,③につき家事事件手続法165条3項1号,④につき家事事件手続法169条1項,⑤につき家事事件手続法169条2項,⑥につき家事事件手続法178条1項1号,⑦につき家事事件手続法229条1項)
□ 家庭裁判所は,民法766条の類推適用に基づき,家事事件手続法別表第二の3項により,別居中の父母の離婚が成立する「前の」,子との面会交流に関する処分を命ずることができます(最高裁平成12年5月1日決定参照)。
□ 審判書等の作成の便宜のため,①裁判所に提出した書面又は②裁判所に提出しようとする書面に関する電子データを裁判所に提供することがあります(家事事件手続規則3条参照)。
電子データの提供方法は,「電磁的方法であって裁判所の定めるもの」でありますところ,実務上は,フロッピーディスクを書記官室の窓口に持参する方法となります。
   なお,電子メールの利用については,裁判所もその有用性を認めているものの,ウィルスの問題や情報セキュリティの問題等もあり,これらを総合勘案して,各裁判体で判断しています(平成22年度司法事務協議会協議結果要旨32頁参照)ところ,事実上はほとんど利用されていません。

2 家事審判の期日
□ 家庭裁判所は,別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては,申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き,審問の期日において,当事者の陳述を聴かなければなりません(家事事件手続法68条)。
   ただし,請求すべき按分割合に関する審判事件(=年金分割事件)の場合,審問の期日における当事者の陳述を聴かずに,書面照会による陳述聴取だけがなされることがあります(家事事件手続法233条3項参照)
□ 調停手続が選考した場合に調停が不成立となった後の審判手続では,以下のような方法で当事者の陳述を聴くことが予定されています。
① 改めて審判期日を指定し,審判期日において,審問して陳述を聴取する。
② 審判期日は開かずに,当事者双方に陳述聴取書を送付し,これに回答して返送してもらうことで陳述を聴取する。
③ 当事者双方が出席している調停期日において,調停不成立後,直ちに審判期日を開いて,審問して陳述を聴取する。
□ 家庭裁判所が審問の期日を開いて当事者の陳述を聴くことにより事実の調査をするときは,他の当事者は,原則として,当該期日に立ち会うことができます(家事事件手続法69条)。

3 家事審判における証拠調べ
□ 家庭裁判所は,職権で事実の調査をし,かつ,申立てにより又は職権で,必要と認める証拠調べをしなければなりません(家事事件手続法56条1項・258条1項)し,当事者もまた,事実の調査及び証拠調べに協力しなければなりません(家事事件手続法56条2項・258条1項)。
□ 家事事件の手続における証拠調べ手続は原則として,民事訴訟法の定める方法によります(家事事件手続法64条1項・258条1項)。
   ただし,公益性・後見性を実現するための職権探知主義,密行性等の家事事件手続の特質から,以下のような特徴を有します。
① 証拠調べ手続は非公開で行われます(家事事件手続法33条)。
② 職権で証拠調べがされることがあります(家事事件手続法56条1項・258条1項)。
③ 以下の規定は準用されません(家事事件手続法64条1項・258条1項参照)。
(a) 証明することを要しない事実についての民事訴訟法179条
(b) 集中証拠調べについての民事訴訟法182条
(c) 参考人等の審尋に関する民事訴訟法187条
(d) 証人尋問を当事者本人尋問に先行させることとする民事訴訟法207条2項
(e) 真実擬制について定める民事訴訟法208条・224条(229条2項及び232条1項において準用する場合を含む)及び229条4項
→ 真実擬制の代替措置として,家庭裁判所は,当事者が正当な理由なく出頭しないとき等には,過料の制裁を科すことができます(家事事件手続法64条3項,4項及び6項・258条1項)。
4 別表第二に掲げる事項についての審判事件における手続保障
□ 別表第二に掲げる事項についての審判事件は,別表第一に掲げる事項についての審判事件に比して,公益性はさほど高くなく,むしろ自ら処分することのできる権利又は利益をめぐる対立が当事者間にあるという特徴があります。
   そのため,当事者が自ら手続を主体的に追行して裁判所の判断の基礎となる資料を積極的に提出し,相互に反論し合うことができる制度とすることが望ましいと考えられています。
□ 家庭裁判所は,事実の調査をした場合において,その結果が当事者による家事審判の手続の追行に重要な変更を生じ得るものと認めるときは,これを当事者及び利害関係参加人に通知しなければなりません(家事事件手続法63条)。
□ 家庭裁判所が事実の調査をしたときは,特に必要がないと認める場合を除き,その旨を当事者及び利害関係参加人に通知しなければなりません(家事事件手続法70条)。
□ 家庭裁判所は,別表第二に掲げる事項についての家事審判の手続においては,申立てが不適法であるとき又は申立てに理由がないことが明らかなときを除き,相当の猶予期間を置いて,審理を終結する日(=主張や資料の提出期限)を定めなければなりません(家事事件手続法71条本文)。
   ただし,当事者双方が立ち会うことができる家事審判の手続の期日においては,直ちに審理を終結する旨を宣言することができます(家事事件手続法71条ただし書)。
   これらの場合,家庭裁判所は,審判をする日を定めなければなりません(家事事件手続法72条)。
□ 「審判をする日」とは,当事者等に家庭裁判所が相当と認める方法で審判の告知をすることができるようになる日をいいます。

5 家事審判の申立ての取下げ
□ 家事審判の申立ては,審判があった後は,取り下げることができません(家事事件手続法82条1項)。
□ ①後見開始等の申立て(家事事件手続法121条,133条,142条,180条,221条),並びに②遺言の確認の申立て及び遺言書の検認の申立て(家事事件手続法212条)については,家庭裁判所の許可を得なければ,取り下げることができません。
□ ①財産の分与に関する処分の申立て及び②遺産の分割の申立てについては,相手方が本案について書面を出し,又は家事審判の手続の期日において陳述をした後は,相手方の同意を得なければ,取下げの効力を生じません(家事事件手続法153条・199条)。
   上記を除く別表第二事件については,審判が確定するまでは取り下げることができます(家事事件手続法82条2項本文)ものの,審判後に取り下げるためには相手方の同意が必要となります(家事事件手続法82条2項ただし書)。
 
6 家事審判事件の記録の閲覧等
□ 当事者は,家庭裁判所の許可を得て,裁判所書記官に対し,①家事「審判」事件の記録の閲覧若しくは謄写,その正本,謄本若しくは抄本の交付又は②家事「審判」事件に関する事項の証明書の交付(=記録の閲覧等)を請求することができるのであって,以下のおそれがある場合を除き,家庭裁判所は,記録の閲覧等を許可しなければなりません(家事事件手続法47条1項ないし4項)し,不許可の裁判に対しては即時抗告をすることができます(家事事件手続法47条8項)。
① 事件の関係人である未成年者の利益を害するおそれ
② 当事者若しくは第三者の私生活若しくは業務の平穏を害するおそれ
③ 当事者若しくは第三者の私生活についての重大な秘密が明らかにされることにより,その者が社会生活を営むのに著しい支障を生じ,若しくはその者の名誉を著しく害するおそれ

第2 家事審判等に対する即時抗告

1 総論
□ (a)婚姻費用の分担に関する審判,(b)子の監護に関する処分の審判,(c)財産の分与に関する処分の審判,(d)遺産分割審判及び(e)寄与分を定める処分の審判はいずれも即時抗告のできる審判です((a)につき家事事件手続法156条3号,(b)につき家事事件手続法156条4号,(c)につき家事事件手続法156条5号,(d)につき家事事件手続法198条1項1号,(e)につき家事事件手続法198条1項4号)。
   そのため,審判の告知を受けた日から2週間後に確定し(家事事件手続法74条4項,86条1項本文参照),その時点で効力を生じることになります(家事事件手続法74条2項ただし書)。
□ 即時抗告のできない審判の場合,言渡しによって効力が生じる判決(民事訴訟法250条)と異なり,審判の告知を受けた時点でその効力が生じます(家事事件手続法74条本文)。
□ 審判に不服がある場合,審判の告知を受けた日から2週間以内に即時抗告をすることで(家事事件手続法74条),高等裁判所の判断を仰ぐことができます(家事事件手続法91条参照)。
   その際,別表第二の審判事項に対する即時抗告ですから,1件につき1,800円(1,200円の1.5倍)の収入印紙が必要になります(民事訴訟費用等に関する法律別表第一18項(1))。
□ 当事者の呼称は「抗告人」,「相手方」となり,附帯抗告が提起された場合,「抗告人(附帯相手方)」,「相手方(附帯抗告人)」となります。
   ただし,抗告手続は必ずしも当事者対立構造を有しませんから,事件によっては相手方が存在しない場合があります。
□ 家事審判に対する抗告の場合,例えば,被相続人,未成年者,事件本人,不在者,遺言者といった,当事者ではないが表示しておくべき立場がありますから,原審判の当事者等の表示を参考に当事者目録を作成することとなります。
□ 抗告を理由がないと認めるときは,原裁判所は,意見を付して事件を抗告裁判所に送付する必要があります(家事事件手続規則57条)。

2 抗告審の手続
□ 審判に対する即時抗告があった場合,抗告裁判所としての高等裁判所は,原則として,原審における当事者及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し,抗告状の写しを送付しなければなりません(家事事件手続法88条)。
□ 抗告裁判所としての高等裁判所は,原審における当事者及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ,原審判を取り消すことができません(家事事件手続法89条)。
□ 抗告裁判所としての高等裁判所は,即時抗告を理由があると認める場合,原則として,家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければなりません(家事事件手続法91条2項)。
□ 抗告審の手続には家事審判の手続が準用される他(家事事件手続法93条1項),民事訴訟法の規定が準用されます(家事事件手続法93条3項)。
□ 抗告裁判所としての高等裁判所において,調停が成立することがあります(家事事件手続法274条3項参照)。
□ 憲法32条は,何人も裁判所において裁判を受ける権利があることを規定したにすぎないものであって,裁判所の権限や審理の方法等について規定したものではありません(最高裁昭和59年10月4日決定。なお,先例として,最高裁大法廷昭和25年2月1日判決参照)。
   そして,家事審判に対する抗告審の決定は非訟事件についての裁判であることに変わりはありませんから,公開の法廷における対審又は当事者の審尋を経ないで審理,裁判されたとしても,憲法32条及び82条に違反しません(最高裁昭和59年10月4日決定参照)。

3 家事審判以外の裁判に対する即時抗告
□ 家事審判以外の付随的又は派生的事項についての決定又は命令に対する即時抗告(家事事件手続法99条)は,1週間以内にする必要があります(家事事件手続法101条1項)。

第3 家事審判に対する特別抗告及び許可抗告

1 総論
□ 即時抗告に対する決定が出た場合,憲法違反等の理由があるのであれば,当該決定の告知を受けた日から5日以内に(家事事件手続法96条2項・民事訴訟法336条2項),最高裁判所に対し,特別抗告の申立て(家事事件手続法94条)又は許可抗告の申立て(家事事件手続法97条)をすることができます。
ただし,これらの申立ては即時抗告と異なり確定遮断効はありませんから,
家事審判自体は,即時抗告に対する決定の告知があった時点で確定します(民事訴訟法119条,及び最高裁昭和51年3月4日判決参照)。
□ 双方の当事者に対する告知日が異なるときは,最後に告知を受けた者の告知日に確定します。
□ 特別抗告を5日以内にする必要があることは憲法に違反しません(最高裁大法廷昭和24年7月22日決定)。
□ 特別抗告及び許可抗告の両方を行う場合と,特別抗告又は許可抗告のいずれかだけを行う場合とで,申立手数料に違いはありません(民事訴訟費用等に関する法律3条3項後段)。
□ 最高裁判所が抗告に関して裁判権を持つのは,裁判所法7条2号に従い訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることを許した場合に限られます。
そして,裁判所法7条2号は憲法32条に違反しません(最高裁昭和37年5月31日決定。なお,先例として,最高裁大法廷昭和23年3月10日判決,最高裁大法廷昭和25年2月1日判決参照)。
□ 抗告人と相手方との間において,抗告後に,抗告事件を終了させることを合意内容に含む裁判外の和解が成立した場合,当該抗告は抗告の利益を欠くに至り,不適法として却下されます(最高裁平成23年3月9日決定)。
□ 確定した審判は,金銭の支払,物の引渡し,登記義務の履行その他の給付を命ずる部分について,執行力ある債務名義と同一の効力を有します(家事事件手続法75条)。
よって,確定した審判に違反した場合,強制執行をされる可能性があります。

 

2 特別抗告
□ 特別抗告の理由として形式的には憲法違反の主張があるものの,それが実質的には法令違反の主張にすぎない場合であっても,最高裁判所が当該特別抗告を棄却することができるにとどまり,原裁判所がこれを却下することはできません(最高裁平成21年6月30日決定)。
よって,憲法違反の主張さえすれば,必ず最高裁判所で判断してもらえます(ただし,ほぼ確実に定型文による特別抗告棄却決定が返ってくるだけです。)。

 

3 許可抗告
□ 許可抗告制度(民事訴訟法337条及び家事事件手続法97条)は,法令解釈の統一を図ることを目的として,高等裁判所の決定及び命令のうち一定のものに対し,当該裁判に最高裁判所の判例と相反する判断がある場合その他の法令の解釈に関する重要な事項が含まれる場合に,高等裁判所の許可決定により,最高裁判所に特に抗告をすることができることとしたものであり,最高裁判所への上訴制限に対する例外規定です。
そして,下級裁判所のした裁判に対して最高裁判所に抗告をすることを許すか否かは,審級制度の問題であって,憲法が81条の規定するところを除いてはこれをすべて立法の適宜に定めるところにゆだねていますから,民事訴訟法337条は憲法31条及び32条には違反しません(最高裁平成10年7月13日決定)。
□ 許可抗告制度の対象から,許可抗告の申立てに対する決定が除かれている(家事事件手続法97条1項本文)のは,許可抗告の申立てに対する決定に許可抗告を認めると際限なくこれが繰り返されることとなるからです。

第4 遺産分割審判

「遺産分割審判」及び「遺産分割審判の長期化要因」を参照して下さい。
1 相談予約の電話番号は06-6364-8525であり,交通事故(検察審査会を含む。)及び債務整理の初回の面談相談は無料であり,相続情報公開請求等の面談相談は30分3000円(税込み)です。
   交通事故及び債務整理については,無料の電話相談もやっています。
 
2 執務時間は原則として平日の午前10時から午後7時30分までですが,事前のご予約があれば,午後8時30分まで夜間相談可能です。
 
3 弁護士山中理司(大阪弁護士会所属)の略歴取扱事件弁護士費用事件ご依頼までの流れ等はこちらであり,「〒530-0047 大阪市北区西天満4丁目7番3号 冠山ビル2・3階」にある林弘法律事務所の地図はこちらです。